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カツアゲして逮捕
カツアゲして逮捕
京都府京都市伏見区に住む16歳のAくん。
仲間と共に、中学生や高校生に対するカツアゲを繰り返していました。
ある時、カツアゲされたVくんが抵抗したことから、財布を無理やり奪った際に、Vくんに捻挫などの傷害を負わせてしまいました。
Vくんの両親は京都府伏見警察署に被害届を提出。
捜査の結果、Aくん達の犯行が発覚し、Aくん達は逮捕されました。
(フィクションです)
~Aくん達に成立する犯罪~
カツアゲをした場合、一般には恐喝罪が成立し、その際にケガを負わせた場合にはさらに傷害罪が成立する可能性があります。
刑法第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
しかしAくん達の場合、Vさんに財布を嫌々ながら「交付させた」(249条1項)というよりは、無理矢理奪っていることから、より重い強盗致傷罪が成立するおそれもあります。
第236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
第240条
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
強盗罪における暴行や脅迫は、相手方の反抗を抑圧するような強い態様のものをいいます。
一方、恐喝罪はこれよりも弱い態様での暴行や脅迫を用いた場合に成立します。
Aくん達の行為も、Vさんの抵抗を排して財布を無理やりを奪っているので、Vさんの反抗を抑圧する強い暴行があったとして、恐喝罪ではなく強盗罪が成立する可能性があります。
しかもその際にケガをさせてしまったので、240条の強盗致傷罪という大変重い罪が成立してしまうおそれがあるのです。
~少年事件の手続~
20歳未満の少年による事件でも、まずは警察や検察が捜査を行う点は成人事件と同じです。
したがって成人事件同様、逮捕・勾留により最大23日間の身体拘束がなされる可能性があります。
その後、成人事件では地方裁判所あるいは簡易裁判所での裁判となりますが、少年事件は原則として家庭裁判所の管轄となります(全件送致主義)。
事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所調査官が中心となって、事件の内容や犯罪を行った理由、少年の非行の進み具合、家庭環境等の調査、必要な処分の検討などが行われます。
これらの調査・検討のために、平均4週間程度、少年鑑別所に収容されることもあります(これを観護措置と呼びます)。
これらの調査・検討の結果、少年が反省し、再犯の可能性が少ないなどの事情があれば、少年審判不開始決定がなされ、手続が全て終了となる場合もあります。
成人事件における不起訴(起訴猶予)に近いものといえます。
逆に、一部の重大事件においては、後述のように事件が再び検察庁に戻されることもあります。
~少年審判の内容~
上述の少年審判不開始決定がなされなかった場合には、少年審判が開始されます。
少年審判は、成人事件における刑事裁判に相当するものです。
ただし、少年審判の結果として、刑罰ではなく以下のような保護処分が行われます。
①不処分
内容的には少年審判不開始決定と近いものです。
少年審判開始後に、反省態度や再犯可能性の減少がみられた場合になされる可能性があります。
②保護観察
保護観察所の指導・監督の下、少年を社会の中で生活させながら、更生させていくというものです。
成人事件における執行猶予に近いものといえます。
③児童自立支援施設や児童養護施設への送致
比較的非行性が②よりも進んでいる少年や、家庭環境に問題があり②の保護観察が行えないといった場合に、各種福祉施設に住まわせつつ、社会の中で更生させるというものです。
④少年院送致
③よりも非行性が進んでいる少年について、特別の事情のない限り外出が許されない環境で生活させ、更生させていくものです。
収容期間は刑法などの法律に書かれた懲役・禁錮の期間に拘束されません。
事件により異なりますが、平均すると1年ほどと言われています。
⑤検察官送致(逆送)
凶悪事件などにおいて、成人の場合と同じ刑罰を受けさせるべきと判断された場合などになされるもので、改めて成人と同じ刑事裁判を受ける流れになります(ただし、18歳未満の者には死刑が科されない、不定期刑が存在する、といった少年事件特有の措置があります)。
~弁護士の活動~
弁護士は、付添人として少年の権利保護や更生に向けた環境作りのために活動します。
たとえば、家裁調査官や裁判官に対して、少年の非行内容が軽微であること、非行性が進んでいないこと、再犯の可能性が低いこと、家族の監督が期待できることなど、本人に有利な事情があればできる限り主張します。
また、被害者と示談を成立させたり、少年が帰る家庭環境の調整に動く場合もあります。
これらの活動により、勾留や観護措置などによる身体拘束を防いだり、審判不開始や軽い審判結果となることを目指します。
少年の人生に大きくかかわってくることですので、少年事件が発覚したら一度弁護士にご相談されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件や刑事事件を専門に扱っている弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに初回接見に伺います。
仮に逮捕されていない場合には、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
接見や法律相談では、今後の手続の流れや予想される処分、弁護士の活動などをご説明いたします。
カツアゲなどの少年事件でお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。
高校生の無免許運転事件
高校生による無免許運転事件
~ケース~
Aくん(17歳男子高校生)は、東京都武蔵野市内の道路において、免許を受けずに原動機付自転車(原付)を運転していたところ、警視庁武蔵野警察署の警察官から職務質問を受け、無免許運転が発覚してしまいました。
Aくんはその場で現行犯逮捕され、武蔵野警察署に引致され取調べを受けています。
Aくんの逮捕を知った親は、どうしたものかと思い、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に電話をすることにしました。(フィクションです)
~原動機付自転車の無免許運転の罪について解説~
原付免許その他原付を運転することができる免許を受けずに原付を運転した場合、無免許運転の罪を構成し、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(道路交通法第117条の2の2第1号)。
~今後Aくんはどうなるか?~
(少年法の適用)
原動機付自転車の無免許運転は犯罪ですが、Aくんは少年(20歳未満の者)ですから、少年法が適用され、少年保護事件として手続きが進行することになります。
少年法は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的としています(少年法第1条)。
成人の事件においては、警察、検察の捜査を遂げた後、事件について起訴されれば、裁判で有罪あるいは無罪の判断がなされます。
これに対し、少年保護事件においては、捜査段階での手続(逮捕・勾留及びこれに関連する処分)はおおむね成人と同じですが(少年法第40条)、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、犯罪の嫌疑がない場合であっても、家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
成人の事件においては、犯罪を立証できる場合であっても検察官の裁量で被疑者を起訴しない「起訴猶予処分」が可能ですが、少年事件においては、少年の教育による改善更正が優先されているといえます。
~Aくんに必要な活動~
(身柄解放活動)
逮捕、勾留され、身体拘束が続くと、学校を無断欠席し続けることになり、Aくんの高校生活にも悪影響が生じます。
捜査段階における身柄解放活動では、主に検察官の勾留請求、裁判官の勾留決定に対して、その要件を満たさないことを説得的に主張することになります。
検察官や裁判官がこれを容れれば、勾留されずに釈放されます。
また、勾留されてしまった場合には、準抗告などの不服申し立てを通じて、勾留の取消を請求することも考えられます。
また、家庭裁判所に送致された場合、裁判官は少年鑑別所に送致する観護措置(少年法17条1項2号)をするかどうか決定します。
観護措置は原則2週間、延長により最長4週間(一部の重大事件は8週間)少年鑑別所に収容されることになります(少年法17条3・4項)。
家庭裁判所送致にあたって、少年鑑別所における心身鑑別(少年の性質などのより詳しい調査です。)までする必要がないことや、鑑別所の収容により少年が学校に出席できず留年や退学といった大きな不利益を被りかねず却って少年の更生にもとることなどを主張し、少年鑑別所に送致しないことを求めることになります。
(審判不開始決定・不処分に向けて)
少年審判が開始されてしまうと、保護観察処分、少年院送致等の保護処分がなされる可能性があります。
Aくんは高校生であり、今後の学業、進路になるべく悪影響を与えないように、なるべく負担の少ない処分を目指すべきです。
審判不開始決定を得ることができれば、事件は終了し、少年院送致などの保護処分を受けることもありません。
ただし、軽微な事件で、家庭裁判所にこれ以上の少年手続が必要ないことを納得してもらう必要があります。
逮捕、勾留された事件で審判不開始ということはまずありません。
そのため、審判は開始するが裁判官の訓戒にとどめて保護処分を下さないという不処分を目指すことになります。
そのためには、Aくんをとりまく周囲の環境(保護者との関係、学校に今後も在籍できるかどうか、交友関係)を調整し、Aくんの社会復帰を円滑にすることが必要です。
また、Aくんの内面に働きかけ、内省を促し、心からの反省を促すことも重要です。
保護処分によらずに、このまま社会復帰した場合であっても、Aくんが改善更正しうるということを説得するには、上記の調整が極めて重要になります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所であり、少年事件についても、豊富な知識を備えた弁護士が多数在籍しています。
お子様が無免許運転事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
少年事件と全件送致主義
少年事件と全件送致主義
高校生のA君は、運転免許を持たないのに、興味本位で親名義の車を運転したところ、自損事故を起こしてしまいました。近くの人がA君が運転する車にかけより、A君の無事を確認して110番通報しました。そして、A君は、現場に来た警視庁東大和警察署の警察官に無免許運転の疑いで事情を聴かれることになりました。警察の調べでは、A君がこれまで繰り返し無免許運転していたことが判明しました。その後、A君の事件(道路交通法違反)は警察から検察庁、検察庁から家庭裁判所へと送られました。
(フィクションです。)
~ 全件送致主義 ~
少年(20歳に満たない者)の事件は,警察,検察での捜査が終わると,例外的な場合を除き家庭裁判所へ送致されます。これを全件送致主義といいます。少年法にその根拠がありますので、一応、その条文を載せておきます。
少年法41条
司法警察員は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、罰金以下の刑にあたる犯罪の嫌疑があると思料するときは、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。
少年法42条1項
検察官は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、第45条第5号本文に規定する場合を除いて、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。
なお、検察官を経由せずに、司法警察員から直接家庭裁判所へ送致される事件は「直送事件」とも呼ばれています。「罰金以下の刑にあたる犯罪」とは、その罪の法定刑に罰金刑、拘留、科料の刑が定められている犯罪をいいます。具体的には、軽犯罪法の各号に定められる罪、各都道府県が定める青少年育成条例の自撮り画像要求行為に関する罪(都道府県によっては定められていないところもあります)などがあります。
~ どうして全件送致主義?? ~
成人(20歳以上の者)事件の場合、検察官の裁量によって、事件を不起訴処分、つまり裁判所の審判を仰ぐ必要のない判断をすることができます。では、なぜ、少年事件は、基本的に事件を裁判所へ送致する「全件送致主義」が取られているのでしょうか?これは一見すると、成人事件より少年事件の方が取扱が厳しいのではないかとの見方をすることもできます。
それは、一言でいうと、少年法が
少年の健全な育成
をも目的としている(少年法1条)からだといえます。
少年事件の場合、犯罪の嫌疑がある場合はもちろん、犯罪の嫌疑がない場合であっても、そう疑われるに至った経緯・背景には様々あると思います。そうした経緯・背景には、少年自身の性格、少年の取り巻く環境(家庭、学校、交友関係など)などに関する問題が影響しているのです。そこで、そうした問題を一つ一つ丁寧に調査し、少年の性格を矯正し、少年を取り巻く環境を整備することで健全な大人へと育っていってもらうことを少年法は期待していると考えられます。また、そうした調査や、少年への働きかけ、少年を取り巻く環境調整は、警察や検察の捜査機関が行うには限界があります。少年や少年を取り巻く環境の問題を調査し、それを少年の更生に繋げるのは捜査機関よりも家庭裁判所の方が適しています。そこで、全件送致主義が取られているのです。
~ おわりに ~
少年事件を担当する弁護士は、少年法が全件送致主義を採用している趣旨を組んで、少年が抱える問題に真摯に向き合いながら弁護活動を行います。お困りの方は、弊所の弁護士までご相談ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。少年事件でお困りの方はフリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談と初回接見(有料)を24時間受け付けております。
偽札で児童買春
偽札で児童買春
~ケース~
大学1年生のA君(18歳)は、自宅にあったおもちゃの1万円札である子供銀行券(縦55mm,横115mm)を実物大に拡大カラーコピーして偽札を作成した。
A君は後日,インターネットで知り合ったVさんと埼玉県川口市のホテルで性交をし,対価として封筒に上記コピー3枚を入れたものを手渡した。
Vさんは封筒の中身をちらっと確認し,その場では偽札であるとは気が付かなかった。
その後,Vさんが自宅に戻り封筒から取り出したところ偽札であることに気が付いた。
Vさんは埼玉県川口警察署に通報し,A君は事情を聞かれることとなった。
(実際にあった事件を基にしたフィクションです)
~A君に成立する罪~
A君は対価を支払って性交をするいわゆる買春(売春)という違法な行為をしています。
ただ、売春を禁止する売春防止法は、18歳以上の者を相手方とする売春に罰則を定めていません。
ですので、Vさんが18歳以上であれば、A君に刑罰は科されません。
一方,Vさんが18歳未満の場合には児童買春および埼玉県青少年健全育成条例違反(いわゆる淫行条例違反)となります。
ただし、淫行については、青少年が行ったもの(つまり青少年同士の淫行)であれば処罰されません。
A君の行為の内,一番問題となるのはおもちゃの1万円札を本物のお札のように拡大カラーコピーしたことです。
A君は偽札を作ったということですので、通貨偽造罪(刑法148条)が成立しそうです。
しかし,通貨偽造罪のいう「偽造」とは、一般人が本物であると誤信する程度の外観が必要です。
A君の作ったものはパッと見ただけでは一瞬本物かと思いますが,普通に見ればコピーだと分かる程度のものだったといえるでしょう。
そのため,通貨偽造罪のいう「偽造」には当たらず,A君は通貨偽造罪は成立しないと考えられます。
しかし,「通貨のようなもの」を作る行為も実は通貨及証券模造取締法という法律によって禁止されています。
この法律は通貨などに似ている外観を有する物の製造や販売した者に1ヵ月以上3年以下の懲役を科すと定められています。
模造とは、一見すると本物に見えますが,一般人が普通に見れば偽物とわかる程度の外観をもつものを作成することを言います。
おもちゃの子供銀行券や1万円札のパロディ商品は、裏がメモ帳として白紙になっている,四方に余白があるなど明らかに本物ではないと分かる場合が多いでしょう。
A君がコピーの基にした子供銀行券も、実際の紙幣のサイズよりも一回り小さくなっていますので一見して偽物であるとわかります。
そのため,上記のような商品などは偽造はもちろん,模造にすら当たらないと言えます。
一方で,A君は原寸大に拡大コピーしたわけですから,一見すると本物に見える程度のレベルの外観を作ってしまったことになるでしょう。
そのため,A君は通貨及証券模造取締法違反となる可能性が高いでしょう。
ちなみに、A君が偽札を用いてVさんと性交に及んだことで、性交という利益を詐取する詐欺罪(詐欺利得罪。246条2項)が成立するように思えるかもしれません。
ですが、以下のとおり、こうしたケースにおいて詐欺罪は成立しないと考えられています。
お釣りなどで得た偽札を偽札だと知りながら使用した場合、収得後知情行使等罪という罪が成立します。
この罪も他人を騙して支払いを免れる点では詐欺罪と同様ですが、法定刑の重さは詐欺罪よりも明らかに軽くなっています。
そこで、自身が偽造した通貨を用いるというケースについても、刑の均衡を保つべく詐欺罪の成立は認めないとされているのです。
ただし、その場合も偽造通貨行使等罪という罪が成立することはありえます。
~弁護活動~
A君は18歳ですので、少年(20歳未満の者)が罪を犯したとして少年事件に当たります。
少年事件の場合は、刑事事件の刑罰の代わりに,家庭裁判所が調査・審判を行い保護処分を下します。
ただし,重大な事件である場合は、家庭裁判所が検察官に事件を再び送致し、通常の刑事事件と同じ手続となる場合もあります(逆送)。
通貨偽造罪を疑われた場合には、重大な事件として検察官に事件が送致される可能性もありますが,通貨及証券模造取締法違反であれば逆送される可能性は低いでしょう。
A君に下される保護処分としては、保護観察処分または少年院送致が考えられます。
今回のケースでは、買春を行っていたこと,通貨偽造罪につながるおそれのある犯罪のため,少年院送致となる可能性もないとは言い切れません。
しかし,そもそも少年事件というのは、少年の性格、能力、生活態度、更生の可能性といった要素を成人よりも重視するものです。
そのため,弁護士の力を借りながらきちんと対応すれば、少年院を回避できる可能性は高くなるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は少年事件・刑事事件専門の法律事務所です。
少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
警察署での初回接見・事務所での無料法律相談のご予約を24時間受け付けています。
少年審判における試験観察とは
少年審判における試験観察とは
かつて、万引きを犯し、少年審判で保護観察の保護処分を受け保護観察中だったA君(16歳)は,大阪府大阪市福島区のコンビニでまたしても万引きして店員に見つかってしまいました。そして、A君の事件は大阪府福島警察署から大阪家庭裁判所に送られ、少年審判で「試験観察」の決定を受けました。A君とA君の母親は少年院だけは行きたくないと思い、弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
~ 少年(20歳未満の者)に対する処分 ~
万引きは窃盗罪(刑法235条)に当たります。窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と定められています。しかし、原則として、少年にこの刑罰が科されることはありません。精神的にも身体的にも未熟な少年に対しては、その行為に対する制裁を科すよりも、少年の更生を期待し、それ相応の処分を科した方が、少年のためでもあり社会のためでもあると考えられているからです。
では、少年に対してはどのような処分が下されるのでしょうか?
少年に対する処分は、
・不処分
→非行事実が認められない場合、保護処分が必要のない場合の処分
・保護処分
→非行事実が認められることを前提に、少年を更生させるための処分。保護観察、児童自立支援施設または児童養護施設送致,少年院送致の3種類があります。
・検察官送致
→保護処分よりも刑罰を科するのが相当と判断される場合に、事件が検察官に送致される処分。なお、事件が家庭裁判所に送致された後に年齢が20歳に達した場合は必ず、少年が故意に被害者を死亡させ,その罪を犯したとき16歳以上であった場合には,原則として,送致されます。
~ 少年審判のおける試験観察とは ~
試験観察とは,保護処分を決定するために必要があると認めるときに,決定をもって,相当の期間,少年を調査官の観察に付するというものです。少年に対する終局処分を一定期間留保し,その期間の少年の行動等を調査官の観察に付するために行われる中間処分です。試験観察は,保護観察中に再非行を犯したような場合など,保護観察所・保護司による指導・監督・教育制度だけでは処遇として不十分と認められる場合などに行われるようです。
なお,試験観察はあくまで中間処分に過ぎないので,試験観察が終わってもそれで終了というわけではなく,最終的には試験観察の経過を見て終局処分(保護処分等)が決定されます。
* 試験観察の種類 *
試験観察の種類は2種類あります。一つは在宅試験観察と呼ばれるもの、もう一つは補導委託と呼ばれるものです。
在宅試験観察の場合、少年審判の日に「釈放」され、自宅等へ戻ることができます。その後は、日記などを付けたり、定期的に家庭裁判所に出頭して調査官と面札するなどして、最終的に終局処分が下されます。
他方、補導委託の場合、少年審判の日に自宅へ戻ることはできません。つまり、補導委託先(農家やお寺など)へ身柄を移され、そこでの生活を経た後、最終的に終局処分が下されます。
~ 試験観察が予想される場合、試験観察となった場合の弁護活動 ~
試験観察が予想される場合は、まずは、在宅試験観察を求めていきます。そのためにも、早い段階から少年に更生を促し、在宅でも更生できる環境を整えておく必要があります。試験観察となった場合は、定期的に少年や保護者と面談するなどして、不処分や保護観察などの軽い処分を獲得できるよう努めます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。
児童買春と虞犯
児童買春と虞犯
~ケース~
兵庫県神戸市中央区の高校2年生のAさんは自宅にほとんど帰らず,学校の友人やインターネットで知り合った人の家に宿泊するなどして日々を過ごしていた。
また,Aさんはお小遣いや食費などを稼ぐためにSNSや掲示板で援助交際の募集をしていた。
Aさんは何人かの男性と関係をもち,その都度,2万~3万円を受け取っていた。
ある日,AさんがSNSの書き込みに応じて待ち合わせの場所に行くと,兵庫県生田警察署の生活安全課のXが待っていた。
兵庫県生田警察署のサイバー補導員であるXの捜査手法は,援助交際の募集などの書き込みに対し,応じたふりをし,待ち合わせ場所で児童を補導するというものであった。
警察から連絡を受けたAさんの両親は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の無料法律相談を利用した。
(フィクションです)
~児童買春の発覚~
警察の生活安全課などは、サイバー補導としてネット上で児童買春や援助交際の募集などを監視し,未然に防ぐ活動をしています。
援助交際などの募集に乗ったふりをし,会う約束をし,女児を補導します。
このような手法はおとり捜査で違法ではないかと思われるかもしれませんが,既に援助交際などの犯意をもって誘っている児童に対して未遂段階で補導をするという趣旨であり,新たに犯意を誘発しているわけではなく適法であると解されています。
~児童買春と補導~
児童買春は「児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(通称:児童ポルノ禁止法,児童買春禁止法etc)」によって禁止されており,児童買春をしたものは処罰されます。
児童買春禁止法は児童買春をした者のみが処罰され,売春をした児童を処罰する規定はありません。
これは立法趣旨が「児童の権利の擁護」であるためです。
児童買春の当事者は売春防止法における「売春」をしたといえますが,売春防止法には売春行為そのものに罰則は設けられていません。
そのため,児童買春において売春した側の児童が刑事罰を受けるということは原則ありません。
しかし,児童買春で補導されてしまった児童は少年法の手続きによって保護処分を受けることにな場合もあります。
具体的には,以下のとおり少年法の規定に抵触します。
少年法(抜粋)
第3条
1 次に掲げる少年は,これを家庭裁判所の審判に付する。
三 次に掲げる事由があつて,その性格又は環境に照して,将来,罪を犯し,又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年
イ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
ロ 正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと。
ハ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し,又はいかがわしい場所に出入りすること。
ニ 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること
この規定に該当する者を虞犯(ぐはん)少年と呼びます。
成人の場合は,特定の犯罪をしなければ処罰をうけることはありません(罪刑法定主義)。
一方,少年の場合には,上記の虞犯少年に該当する場合には家庭裁判所の審判に付される場合があります。
虞犯少年の規定には罪を犯したことは要件になっていませんので,犯罪をしていなくても家庭裁判所の審判に付されることもあります。
審判により下される保護処分は刑罰ではありませんが、少年院送致をはじめとして少年の生活を制限する側面があることは否定できません。
虞犯少年として家庭裁判所の審判に付される場合,生活環境や日常生活などに大きな問題がある場合が多いです。
そのため,通常の少年事件に比べ,虞犯少年として審判に付された場合は少年院送致となる場合が高くなっています。
~弁護士として~
虞犯少年の場合,少年院送致の割合も高いため、審判に先立って観護措置がとられる可能性も高くなります。
観護措置がとられてしまうと少年鑑別所に収容され,大半の場合4週間少年鑑別所で生活することになります。
少年鑑別所にいる間は学校に通うことはできなくなります。
少年鑑別所は、身柄保全や心身鑑別などの重要な役割を担っています。
とはいえ,少年が身柄拘束されることは少年自身やご家族の方にとって大きな負担となります。
そこで少年事件に詳しい弁護士が弁護活動や付添人活動をすれば、早期釈放や保護観察処分が実現できる場合もあります。
保護観察処分は基本的に家庭での更生を期待するものなので、やはり少年院送致とは自由の制約の程度が全く異なります。
いずれにせよ対応が早いに越したことはないので、できるだけ早く少年事件に詳しい弁護士に相談されることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は少年事件・刑事事件専門の法律事務所です。
お子様が非行により警察のお世話になってしまいお困り・お悩みの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
事務所での無料法律相談・警察署での初回接見のご予約を24時間受け付けています。
(初回の法律相談は無料です)
弁護人,付添人の弁護活動②
弁護人,付添人の弁護活動②
京都府南丹市在住の少年A君は,少年B君から誘われ,B君と共謀して小遣い銭稼ぎにひったくりを企てました。B君が,真夜中,被害者女性が運転する自転車の前かごからバックをひったくった一方で,A君は,周囲に誰もいないか見張りの役を務めました。その際,被害女性が転倒して怪我をしましたが,B君は,被害女性から助けを求められた数名の男性に取り押さえられ,強盗致傷罪の現行犯で逮捕されました。一方,A君は,その場から逃げることができましたが,B君とのLINEのやり取りなどからB君との共謀が発覚し,後日,窃盗罪の共謀として逮捕され,その後勾留されてしまいました。
(フィクションです)
~ 前回からの続き ~
A君は窃盗罪で勾留されてしまいました。そして,勾留期間は,はじめの10日間に加えて10日間延長され,合計で20日間勾留されてしまいました。その後,A君の事件は家庭裁判所に送られ,A君に対し観護措置決定が出され,A君は少年鑑別所に収容されてしまいました。
前回は,家庭裁判所送致前の「弁護人」の弁護活動をご紹介しましたが,今回は,家庭裁判所送致後の「付添人」の弁護活動についてご紹介したいと思います。
~ 付添人の弁護活動 ~
少年事件を家庭裁判所に送致する目的は,「少年の健全な育成を期し,非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うこと」などにあります(少年法1条)。そこで,付添人活動の目的も「少年の性格の矯正,環境の調整」に主眼が置かれます。
* 保護処分 *
保護処分とは,少年審判において,少年に非行(犯罪)事実が認められる場合に,少年の健全な育成,更生を目的として下される処分のことをいいます。保護処分には「保護観察」「児童自立支援施設・児童養護施設送致」「少年院送致」の3種類があります(少年法24条1項)。なお,保護処分のほか,審判すら開かれない「審判不開始決定」,審判を開いた上で保護処分を下さない「不処分決定」というのもあります。
= 観護措置決定に対する異議申立て =
少年鑑別所に送致(収容)する旨の決定に対しては異議申し立てをすることができます(少年法17条の2)。異議申立てが受け入れられれば,少年は少年鑑別所から釈放されます。
= 接見 =
家庭裁判所送致前と同様,送致後も少年との面会(接見)が基本の活動となります。面会では,将来の進路,家族・友人との関係など更生に向けた取り組みなどについて話をお聴きします。
= 学校,職場,家族,身元引受人との調整 =
少年が社会に復帰した後の環境を整備することも必要です。そのためには,学校,職場,家族,身元引受人などと調整して社会復帰後の環境を整えておく必要があります。
= 家庭裁判所調査官との面談 =
家庭裁判所調査官は,少年及びその保護者と面会するなどして,紛争の原因や少年が非行に至った動機,生育歴,生活環境等を調査し,その結果を家庭裁判所に報告します。この報告の際,家庭裁判所調査官は家庭裁判所に少年の保護処分に関する意見を申し立てることができます。そのため付添人としては,家庭裁判所調査官と面談して,少年の更生に向けた取り組みなどを報告する必要があります。
= 法律記録,社会記録の閲覧,謄写 =
「法律記録」とは,非行(犯罪)事実の存否を判断するために用いられる記録です。要するに,検察庁から家庭裁判所に送られる供述調書等の書類のことをいいます。「社会記録」とは,家庭裁判所の送致後に作成される記録で,家庭裁判所の調査官が作成した調査結果や少年鑑別所の鑑別結果です。社会記録は,裁判官が,少年審判で保護処分を決める際の重要な資料となります。付添人は,まず法律記録を閲覧,謄写して少年が本当に非行を犯したかどうか確認した上で,社会記録を閲覧・謄写し,少年の更生や環境調整のための活動に活かしていきます。
= 少年審判への出廷 =
決められた期日の少年審判へ出廷します。少年審判では,少年,保護者に事件のことや今後の生活などについて質問し,最後に,保護処分に関する意見を述べます。
~ おわりに ~
以上,これまで「弁護人,付添人の弁護活動」と題して少年事件における弁護活動についてご紹介してきました。もし,お子様が刑事事件・少年事件に関わるようなことがありましたら,ぜひ,一度,弊所までご連絡ください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。
ぜひ一度ご相談ください。
(京都府南丹警察署までの初回接見費用:4万1,100円)
弁護人,付添人の弁護活動①
弁護人,付添人の弁護活動①
京都府南丹市在住の少年A君は,少年B君から誘われ,B君と共謀して小遣い銭稼ぎにひったくりを企てました。B君が,真夜中,被害者女性が運転する自転車の前かごからバックをひったくった一方で,A君は,周囲に誰もいないか見張りの役を務めました。その際,被害女性が転倒して怪我をしましたが,B君は,被害女性から助けを求められた数名の男性に取り押さえられ,強盗致傷罪の現行犯で京都府南丹警察署に逮捕されました。一方,A君は,その場から逃げることができましたが,B君とのLINEのやり取りなどからB君との共謀が発覚し,後日,窃盗罪の共犯として逮捕され,その後勾留されてしまいました。
(フィクションです)
~ はじめに ~
少年とは20歳未満の男女のことをいいます。少年にとって逮捕という手錠をはめられ身柄を拘束されることは精神的にもかなりショックなことだと思います。また,そのご家族にとっても同じことが言えるのではないでしょうか?そんなとき,弁護人,付添人は少年にどんなことができるのでしょうか?今回は,弁護人,付添人が逮捕された少年のためにできることを中心に紹介していきたいと思います。
~ 弁護人,付添人 ~
ところで,弁護人,付添人の違いはお分かりでしょうか?
少年事件の場合,少年の弁護をしてくれる人を事件の家庭裁判所送致の前と後とで区別しています。送致前を弁護人,送致後を付添人と呼んでいます。弁護人は弁護士の中から選任しなければならないのが原則です(刑事訴訟法31条1項)。一方で,付添人は,弁護士のみならず,家庭裁判所の許可を受ければ保護者でもなることができます(少年法10条2項)。しかし,家庭裁判所送致後も専門的な知識が必要となる場面が多いですから,通常は,弁護士が付添人となることが多いようです。
~ 弁護人の弁護活動 ~
前置きはこれくらいにして早速本題に入りたいと思います。まず,今回は,家庭裁判所送致前,つまり,弁護人の弁護活動についてご紹介いたします。ただし,ここでご紹介する弁護活動はあくまで一般的なもので,その内容は個別事案により異なってきますことを予めご了承ください。
= 接見 =
まずは,少年との面会(接見)が基本の活動となります。精神的にまだまだ未熟な少年にとっては弁護士の存在は心強いでしょう。接見では,事件の認否によって具体的なアドバイスをさせていただくことができます。取調べへの対応方法のアドバイス,事件の見通しなどをお伝えすることも可能です。また,少年が学生・生徒であれば,学校との橋渡し役を務めることも可能です。
= 釈放に向けた活動 =
ご依頼された時期により異なりますが,勾留前であれば,警察官,検察官,裁判官に釈放するよう,また勾留の理由,必要がないことを意見書などにまとめて訴えることによって早期釈放を促します。また,勾留決定後,または観護措置決定後であれば,その決定に不服申し立てを行うなどして早期釈放に努めます。
= 示談交渉 =
示談交渉は弁護士にお任せください。示談交渉をはじめるには,捜査機関(警察,検察)から被害者の氏名,連絡先,住所などの個人情報を取得する必要がありますが,個人情報を取得できるのは弁護士しかいません。また,示談交渉にあたっては相手方を条件を詰めていく必要がありますが,それには知識や経験が必要となります。示談が成立すれば早期釈放に繋がることもあります。
= 家庭裁判所への意見書の提出 =
勾留決定後は最大20日間,身柄拘束されます。そして,家裁送致後は家庭裁判所の観護措置という決定が出れば,今度は少年鑑別所に収容されてしまいます。そこで,弁護人としては家庭裁判所に対し,観護措置は必要でない旨の意見書を提出するなどして早期釈放に努めます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。
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(京都府南丹警察署までの初回接見費用:4万1,100円)
年齢切迫少年の傷害事件
年齢切迫の少年事件
~ケース~
福岡県福岡市中央区在住の大学2年生のAさんは、些細な口論から同級生のVさんを殴ってしまい怪我をさせてしまいました。
Vさんが福岡県中央警察署に被害届を出したことによって、Aさんは傷害罪の疑いで福岡県中央警察署で事情を聞かれることになりました。
Aさんは現在大学2年生の19歳ですが,2ヵ月後に誕生日を迎え20歳になります。
Aさんの両親は、今後のAさんがどのような刑事手続きになるのか不安になり、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談しました。
(フィクションです)
~少年法~
日本において刑事事件を起こしてしまった場合,被疑者が成人であるか少年であるかによって手続きが大きく異なります。
少年および成人は少年法第2条1項で次のように定められています。
第二条 この法律で「少年」とは、二十歳に満たない者をいい、「成人」とは、満二十歳以上の者をいう。
なお,20歳未満の者が婚姻をすると、民法753条により成年とみなされます。
ですが、これはあくまでも民事法上の話であり、刑事法の領域である少年事件では通常どおり少年として扱われます。
成人による通常の刑事事件では、事件が警察署から検察庁に送致されたあと,検察官が事件を起訴するかどうかを判断します。
事件が起訴された場合は、略式手続の同意により罰金刑が科されるか、刑事裁判が行われて有罪無罪の判断と量刑が行われます。
事件が起訴されなかった場合は、不起訴となって直ちに事件が終了します。
不起訴の理由で多いのは起訴猶予であり、これは犯罪の立証は見込めるものの事件後の情状などにより刑罰を科す必要はないと判断されたことを指します。
その他,違法な捜査があった場合や検察官の捜査により犯人でなかったことが判明した場合などに、嫌疑なしや嫌疑不十分で不起訴となる場合もあります。
一方,少年事件では、検察官が送致を受けた事件をすべて家庭裁判所に送致するのが原則です(全件送致主義)。
その後,家庭裁判所は調査・審判を経て少年に対する保護処分を決定します。
事件後の情状などによってそもそも審判を開始しない場合(審判不開始)や,審判の結果保護処分には付さないとものとする場合(不処分)もあります。
これらとは別に,家庭裁判所から検察官に事件が再び送致されることもあり、この再度の送致を逆送といいます。
検察官に少年事件を逆送するのは大きくわけて2つの場合があります。
一つ目は、少年事件であっても刑事処分が相当である場合です(少年法第20条)。
一般的に,被害者が死亡してしまっている事件や放火事件などの重大な事件が検察官に逆送される傾向にあります。
また,事件を起こした時に16歳以上の少年で,故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件については,裁量の余地なしに検察官に逆送するのが原則となります。
ただし,犯行の動機及び態様,犯行後の情況,少年の性格,年齢,行状及び環境その他の事情を考慮し,刑事処分以外の措置を相当と認めるときは,例外的に検察官に逆送しないとされています(少年法第20条第2項但書)。
もう一つの場合は,年齢超過による検察官送致です。
年齢超過とは、少年事件が家庭裁判所に送られ,調査・審判の間に少年が誕生日を迎え成人となった場合をいいます。
この場合には、少年法19条2項により事件が検察官に送致されることになります。
家庭裁判所から事件の逆送を受けた検察官は犯罪の嫌疑があるときは起訴しなければならないと定められています(少年法45条5号)。
ただし,送致後の情況により訴追を相当でないと思料するときは起訴しなくてもよいと定められています(同条但書)。
これは通常の刑事事件の手続きの起訴猶予処分に相当する処分であると考えられます。
~逆送されないために~
刑事処分相当による逆送の場合には,少年法20条2項但書により逆送しない場合もありえます。
一方,年齢超過による逆送は,裁量によって逆送しないということはできず必ず逆送する必要があります。
そのため,年齢超過による逆送を防ぐためには,誕生日を迎える前に事件を終局させる必要があります。
今回のようなケースであれば、被害者の方と示談交渉することによって事件を早期に終局させることで,誕生日を迎える前に審判不開始や不処分となる可能性もあります。
ただ,少年事件は被害者の方も少年である場合も多く,ご両親の方と示談交渉をすることが多くなります。
また,被害者の方が知り合いという場合であれば直接示談交渉できる可能性もありますが,知り合いでない場合にはそもそも連絡を取ることが困難です。
そうした状況でも,弁護士であれば,警察や検察から被害者の方の連絡先を聞いて示談交渉ができる場合もあります。
まずは弁護士に相談されるのがベストな選択肢です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は少年事件・刑事事件専門の法律事務所です。
未成年のお子様が刑事事件を起こしてしまいお悩みの方は0120-631-881までお気軽にご相談ください。
初回接見・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
(初回接見費用:35,000円)
無免許運転と交通保護観察
無免許運転と交通保護観察
~ケース~
東京都練馬区の高校2年生のA君(17歳)は親の所有する乗用車を勝手に運転していた。
ある日,たまたま実施されていた交通検問において無免許運転であることが発覚した。
A君は道路交通法違反(無免許運転)の疑いで現行犯逮捕され,警視庁光が丘警察署に連れていかれた。
警視庁光が丘警察署から連絡を受けたA君の両親は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談した。
(フィクションです)
~無免許運転~
一般に無免許運転は純無免,取消無免,停止中無免,免許外運転の4種類に大別されます。
純無免はこれまでに1回も免許の交付を受けた事がない場合,取消無免は免許が取消されたにも関わらず運転した場合,停止中無免は運転免許の停止中に運転した場合,免許外運転は免許は持っているものの運転してはいけない車種を運転した場合をいいます。
特に,普通免許の場合,取得時期によって中型自動車が運転できるかどうかが変わってきますので業務などで運転をする場合には注意が必要です。
A君の場合は17歳であり,年齢から考えてそもそも普通自動車の運転免許は交付されることはありませんので、無免許運転のうち純無免となります。
無免許運転は、道路交通法第64条で「何人も,第84条第1項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで,自動車又は原動機付自転車を運転してはならない」と規定されています。
罰則は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金と定められています(道路交通法117条の2の2)。
~少年事件~
A君は高校2年生の17歳ですので通常の刑事事件ではなく少年事件として扱われます。
通常の刑事事件では事件が警察から検察官に送致された後,検察官によって起訴するかどうかが判断されます。
一方,少年事件の場合,事件が検察官に送致された後は,全件家庭裁判所に送致されます。
事件の送致を受けた家庭裁判所は家庭裁判所調査官による調査の結果を踏まえ,少年を審判に付し保護観察処分とするか,通常の刑事事件として扱うために事件を検察官に送致するかを決定します。
家庭裁判所調査官による調査の結果,審判に付された場合にはほとんどの場合,保護観察処分や少年院送致になります。
少年である場合,無免許で車を運転することにあまり抵抗感がなく,無免許運転を軽く捉えている場合も多いです。
無免許運転以外の非行事実などによっては保護観察処分ではなく少年院送致となってしまう可能性もあります。
なお,少年事件の中でも交通事件の場合,交通保護観察という一般の保護観察よりも期間が短い特別な保護観察処分となる場合があります。
一般の保護観察の場合,おおむね1年を経過し,3カ月以上継続して成績が良好であれば解除されます。
交通保護観察の場合,おおむね6月を経過していることが解除の目安とされています。
交通保護観察では一般保護観察に準じた指導監督に加えて,交通法規や運転技術等に関する個別指導,交通道徳や運転技術の向上を図るための集団処遇等が行われます。
また,少年の交通事件では,家庭裁判所での処分より刑事処分として罰金刑に処すため、検察官に逆送されることが他の少年事件より多くなっています。
~弁護活動~
少年が無免許運転をしてしまった場合には,少年自身が犯した罪の重さを自覚し,真摯な反省をすることが重要です。
そして,再犯防止への取り組みを行うことが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
お子様が無免許運転をしてしまいお困りの場合、弁護士が今後の手続きや再犯防止策について無料法律相談にてご説明差し上げることができます。
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(警視庁光が丘警察署までの初回接見費用:36,800円)