カツアゲして逮捕

2019-06-29

カツアゲして逮捕

京都府京都市伏見区に住む16歳のAくん。
仲間と共に、中学生や高校生に対するカツアゲを繰り返していました。
ある時、カツアゲされたVくんが抵抗したことから、財布を無理やり奪った際に、Vくんに捻挫などの傷害を負わせてしまいました。
Vくんの両親は京都府伏見警察署被害届を提出。
捜査の結果、Aくん達の犯行が発覚し、Aくん達は逮捕されました。
(フィクションです)

~Aくん達に成立する犯罪~

カツアゲをした場合、一般には恐喝罪が成立し、その際にケガを負わせた場合にはさらに傷害罪が成立する可能性があります。

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第249条1項
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。

しかしAくん達の場合、Vさんに財布を嫌々ながら「交付させた」(249条1項)というよりは、無理矢理奪っていることから、より重い強盗致傷罪が成立するおそれもあります。

第236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。
第240条
強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

強盗罪における暴行や脅迫は、相手方の反抗を抑圧するような強い態様のものをいいます。
一方、恐喝罪はこれよりも弱い態様での暴行や脅迫を用いた場合に成立します。

Aくん達の行為も、Vさんの抵抗を排して財布を無理やりを奪っているので、Vさんの反抗を抑圧する強い暴行があったとして、恐喝罪ではなく強盗罪が成立する可能性があります。
しかもその際にケガをさせてしまったので、240条の強盗致傷罪という大変重い罪が成立してしまうおそれがあるのです。

~少年事件の手続~

20歳未満の少年による事件でも、まずは警察や検察が捜査を行う点は成人事件と同じです。
したがって成人事件同様、逮捕勾留により最大23日間の身体拘束がなされる可能性があります。
その後、成人事件では地方裁判所あるいは簡易裁判所での裁判となりますが、少年事件は原則として家庭裁判所の管轄となります(全件送致主義)。

事件が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所調査官が中心となって、事件の内容や犯罪を行った理由、少年の非行の進み具合、家庭環境等の調査、必要な処分の検討などが行われます。
これらの調査・検討のために、平均4週間程度、少年鑑別所に収容されることもあります(これを観護措置と呼びます)。

これらの調査・検討の結果、少年が反省し、再犯の可能性が少ないなどの事情があれば、少年審判不開始決定がなされ、手続が全て終了となる場合もあります。
成人事件における不起訴(起訴猶予)に近いものといえます。
逆に、一部の重大事件においては、後述のように事件が再び検察庁に戻されることもあります。

~少年審判の内容~

上述の少年審判不開始決定がなされなかった場合には、少年審判が開始されます。
少年審判は、成人事件における刑事裁判に相当するものです。
ただし、少年審判の結果として、刑罰ではなく以下のような保護処分が行われます。

①不処分
内容的には少年審判不開始決定と近いものです。
少年審判開始後に、反省態度や再犯可能性の減少がみられた場合になされる可能性があります。

②保護観察
保護観察所の指導・監督の下、少年を社会の中で生活させながら、更生させていくというものです。
成人事件における執行猶予に近いものといえます。

③児童自立支援施設や児童養護施設への送致
比較的非行性が②よりも進んでいる少年や、家庭環境に問題があり②の保護観察が行えないといった場合に、各種福祉施設に住まわせつつ、社会の中で更生させるというものです。

④少年院送致
③よりも非行性が進んでいる少年について、特別の事情のない限り外出が許されない環境で生活させ、更生させていくものです。
収容期間は刑法などの法律に書かれた懲役・禁錮の期間に拘束されません。
事件により異なりますが、平均すると1年ほどと言われています。

⑤検察官送致(逆送)
凶悪事件などにおいて、成人の場合と同じ刑罰を受けさせるべきと判断された場合などになされるもので、改めて成人と同じ刑事裁判を受ける流れになります(ただし、18歳未満の者には死刑が科されない、不定期刑が存在する、といった少年事件特有の措置があります)。

~弁護士の活動~

弁護士は、付添人として少年の権利保護や更生に向けた環境作りのために活動します。

たとえば、家裁調査官や裁判官に対して、少年の非行内容が軽微であること、非行性が進んでいないこと、再犯の可能性が低いこと、家族の監督が期待できることなど、本人に有利な事情があればできる限り主張します。
また、被害者と示談を成立させたり、少年が帰る家庭環境の調整に動く場合もあります。
これらの活動により、勾留観護措置などによる身体拘束を防いだり、審判不開始や軽い審判結果となることを目指します。

少年の人生に大きくかかわってくることですので、少年事件が発覚したら一度弁護士にご相談されることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件刑事事件を専門に扱っている弁護士事務所です。
ご家族などからご依頼いただければ、拘束されている警察署等にすみやかに初回接見に伺います。
仮に逮捕されていない場合には、事務所での法律相談を初回無料で行っております。
接見や法律相談では、今後の手続の流れや予想される処分、弁護士の活動などをご説明いたします。

カツアゲなどの少年事件でお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。

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