高校生の無免許運転事件

2019-06-19

高校生による無免許運転事件

~ケース~
Aくん(17歳男子高校生)は、東京都武蔵野市内の道路において、免許を受けずに原動機付自転車(原付)を運転していたところ、警視庁武蔵野警察署の警察官から職務質問を受け、無免許運転が発覚してしまいました。
Aくんはその場で現行犯逮捕され、武蔵野警察署に引致され取調べを受けています。
Aくんの逮捕を知った親は、どうしたものかと思い、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に電話をすることにしました。(フィクションです)

~原動機付自転車の無免許運転の罪について解説~

原付免許その他原付を運転することができる免許を受けずに原付を運転した場合、無免許運転の罪を構成し、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます(道路交通法第117条の2の2第1号)。

~今後Aくんはどうなるか?~

(少年法の適用)
原動機付自転車の無免許運転は犯罪ですが、Aくんは少年(20歳未満の者)ですから、少年法が適用され、少年保護事件として手続きが進行することになります。
少年法は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的としています(少年法第1条)。
成人の事件においては、警察、検察の捜査を遂げた後、事件について起訴されれば、裁判で有罪あるいは無罪の判断がなされます。
これに対し、少年保護事件においては、捜査段階での手続(逮捕勾留及びこれに関連する処分)はおおむね成人と同じですが(少年法第40条)、捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、犯罪の嫌疑がない場合であっても、家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
成人の事件においては、犯罪を立証できる場合であっても検察官の裁量で被疑者を起訴しない「起訴猶予処分」が可能ですが、少年事件においては、少年の教育による改善更正が優先されているといえます。

~Aくんに必要な活動~

(身柄解放活動)
逮捕勾留され、身体拘束が続くと、学校を無断欠席し続けることになり、Aくんの高校生活にも悪影響が生じます。
捜査段階における身柄解放活動では、主に検察官の勾留請求、裁判官の勾留決定に対して、その要件を満たさないことを説得的に主張することになります。
検察官や裁判官がこれを容れれば、勾留されずに釈放されます。
また、勾留されてしまった場合には、準抗告などの不服申し立てを通じて、勾留の取消を請求することも考えられます。
また、家庭裁判所に送致された場合、裁判官は少年鑑別所に送致する観護措置(少年法17条1項2号)をするかどうか決定します。
観護措置原則2週間、延長により最長4週間(一部の重大事件は8週間)少年鑑別所に収容されることになります(少年法17条3・4項)。
家庭裁判所送致にあたって、少年鑑別所における心身鑑別(少年の性質などのより詳しい調査です。)までする必要がないことや、鑑別所の収容により少年が学校に出席できず留年や退学といった大きな不利益を被りかねず却って少年の更生にもとることなどを主張し、少年鑑別所に送致しないことを求めることになります。

(審判不開始決定・不処分に向けて)
少年審判が開始されてしまうと、保護観察処分少年院送致等の保護処分がなされる可能性があります。
Aくんは高校生であり、今後の学業、進路になるべく悪影響を与えないように、なるべく負担の少ない処分を目指すべきです。
審判不開始決定を得ることができれば、事件は終了し、少年院送致などの保護処分を受けることもありません。
ただし、軽微な事件で、家庭裁判所にこれ以上の少年手続が必要ないことを納得してもらう必要があります。
逮捕勾留された事件で審判不開始ということはまずありません。
そのため、審判は開始するが裁判官の訓戒にとどめて保護処分を下さないという不処分を目指すことになります。
そのためには、Aくんをとりまく周囲の環境(保護者との関係、学校に今後も在籍できるかどうか、交友関係)を調整し、Aくんの社会復帰を円滑にすることが必要です。
また、Aくんの内面に働きかけ、内省を促し、心からの反省を促すことも重要です。
保護処分によらずに、このまま社会復帰した場合であっても、Aくんが改善更正しうるということを説得するには、上記の調整が極めて重要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、少年事件についても、豊富な知識を備えた弁護士が多数在籍しています。
お子様が無免許運転事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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