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京都府南丹市の児童自身による児童ポルノ製造事件
京都府南丹市の児童自身による児童ポルノ製造事件
~ケース~
京都府南丹市在住のA(高校生)は,ライブ動画配信サイトで動画を配信していた。
その動画配信サイトは視聴者が購入したポイントを配信者に投入できるシステムを導入していた。
視聴者から服を脱いで裸で配信して欲しいとメッセージを受け取ったAは「ポイントをくれたらいいよ」とA視聴者の要求に応じるそぶりを見せた。
その後,視聴者からポイントが投入され,Aは服を脱ぎ裸になり動画配信をした。
後日,京都府警南丹警察署のサイバーパトロールがこの配信動画を発見し,Aは児童ポルノ禁止法違反の疑いで事情を聞かれることになった。
Aの両親は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談した。
(実際にあった事例を基にしたフィクションです)
~児童ポルノ禁止法~
児童ポルノ禁止法(正式名称:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)は児童ポルノによる侵害される児童の権利を擁護することを目的としています。
児童ポルノとは児童ポルノ禁止法2条3項によって,
一 児童を相手方とする又は児童による性交又は性交類似行為に係る児童の姿態
二 他人が児童の性器等を触る行為又は児童が他人の性器等を触る行為に係る児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの
三 衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させ又は刺激するもの
に該当する写真や電磁的記録に係る記録媒体その他の物であって、次の各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写したものと定義されています。
後半がわかりにくい表現となっていますが写真や画像ファイル等をUSBといったメディアに保存されたものだと考えてもらえばよろしいでしょう。
そして児童ポルノ禁止法7条によって児童ポルノの所持,提供,製造などが禁止されています。
~児童ポルノ禁止法の問題点~
さて,今回のケースでは児童ポルノの被害者であるはずのAが児童ポルノ禁止法違反とされています。
実は,児童ポルノ禁止法は立法者が児童自身による画像送信を想定しておらず,被害児童(とされる児童)自身を行為の主体から除外していません。
つまり,裸の写真などを要求された児童が実際に送信すると,児童ポルノを提供したとして児童ポルノ提供罪となってしまうのです。
脅迫や欺罔などを用いた要求の場合には,児童を利用し児童ポルノを製造したとみなされ,児童自身は児童ポルノ製造罪とはなりません。
しかし脅迫や欺罔などがない場合でも,実務上は要求者のみを処罰し,要求された児童は処罰しないという運用がされています。
一方で,児童自身に任意性が認められる場合に,児童自身も児童ポルノ製造罪の主体とされた裁判例もあります(神戸地裁平成24年12月12日)。
今回のケースではAは動画配信サイト上で視聴者に要求されたのであり,脅迫や欺罔等があったとはいえないでしょう。
また,対価としてサイト上のポイントを要求しておりAが自主的に裸の動画を配信していたといえます。
そのため,Aは児童ポルノ提供目的製造(7条3項)となってしまう可能性が高いです。
~少年事件として~
児童自身による児童ポルノ禁止法違反事件の場合,少年事件となります。
今回のようなケースでは、事件の被害者は児童自身であり被害者がいないこと等から不処分や審判不開始となる可能性があります。
しかし自身の裸の写真を常習的に販売していた場合などは保護観察処分に付される可能性もあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は少年事件刑事事件専門の法律事務所です。
お子様や自身が児童ポルノ禁止法違反に問われてしまったといった場合には0120-631-881までお気軽にお電話ください。
初回接見・無料法律相談のご予約を24時間受け付けております。
(京都府南丹警察署までの初回接見費用:41,300円)
北九州市14歳少年の傷害事件
北九州市14歳少年の傷害事件
~ケース~
福岡県北九州市内の中学校2年生のA君は、学校にも行かず、町に繰り出してうろつく日々を過ごしていました。
ある日、いつものように町をうろついていると、他の中学校の生徒から因縁をつけられ、口論となりました。
A君はカッとなってVの左頬を殴打してしまい、Vの顔面を打撲させる傷害を負わせてしまいました。
その様子をみていた通行人が警察に通報し、A君は駆け付けた福岡県警察戸畑警察署の警察官に傷害罪の現行犯として逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~傷害罪について解説~
傷害罪(刑法第204条)は、その名の通り人の身体を傷害する犯罪です。
「傷害」とは、人の生理的機能の侵害(生活機能の毀損、健康状態を不良に変更するなど)を意味し、「顔面の打撲」を与えたことは当然ながら「傷害」に該当します。
さらに判例・通説によると、暴行によって怪我を負わせてしまったケースにおいては、他人に怪我を負わせるつもり(傷害の故意)がなくても傷害罪が成立します。
A君はついカッとなってVを殴打してしまったのかもしれませんが、A君の行為が軽い暴行罪に留まらず、傷害罪を構成する可能性は極めて高いと思われます。
~A君はこれからどうなる?~
A君が成人であれば、のちに起訴された場合、刑事事件の被告人として裁判にかけられ、裁判所が傷害罪の成立を認めたときは刑の宣告を受けることになります。
もっとも、A君は少年(20歳未満の者)ですから、刑法、刑事訴訟法の他に少年法の適用を受け、原則として少年事件として事件が進行することになります。
少年事件では、成人の刑事手続きとは異なる点がいくつか存在します。
~少年事件の手続き~
捜査段階では、基本的に刑事訴訟法が適用されるので(少年法第40条)、現行犯逮捕されたA君が勾留・勾留延長される可能性がある、という点では成人と変わりません。
ただし、成人の場合は検察官が勾留の満期日までに被疑者を起訴又は不起訴あるいは処分を保留して釈放するかを決めることになるのですが、少年法は「全件送致主義」を採用しており(少年法第41、42条)、犯罪の嫌疑があると判断されれば、原則としてすべての事件が家庭裁判所に送致されます。
~家庭裁判所ではどのように手続きが進行するか~
家庭裁判所に送致された後、審判を行うため必要があるときは、24時間以内に「観護措置」をとることができます。
「観護措置」がとられた場合には、少年鑑別所に収容され、心神の鑑別を受けることになります。
「観護措置」の期間は通常4週間以内、最大で8週間です。
家庭裁判所における審判が開始され、保護処分の必要があれば①保護観察処分、②児童自立支援施設又は児童養護施設送致、③少年院送致のいずれかの決定がなされます。
~A君の親族はどうするべきか~
捜査段階で勾留され、家裁送致後も観護措置が続くと、非常に長い期間身体拘束を受けることになり、学校での評価や交友関係、少年自身の進路にも悪影響が生じます。
A君のように現行犯逮捕されてしまった場合には、一刻も早く留置場や少年鑑別所を出ることが第一の目標となります。
最終的には、なるべくA君にとって負担の少ない処分(審判不開始決定、不処分、保護観察処分など)を獲得することができるよう活動することになるでしょう。
少年事件の手続きは複雑で、少年の家庭環境、少年の素質など、様々な要素が処分を左右します。
したがって、少年事件に熟練した弁護士の助言を受け、早期の身柄解放、そしてよりA君にとって利益な処分の獲得に向けて活動するよう依頼することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には刑事事件・少年事件を専門とする弁護士が多数在籍しており、全国に支部がございます。
未成年のお子様が傷害事件を起こし、現行犯逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
(福岡県戸畑警察署までの初回接見費用:40,040円)
少年事件の終局
少年事件の終局
~ケース~
高校1年生のA君(16歳)は交際していたVさんとの別れ話の最中に,カッとなってしまいVさんを叩き,Vさんに怪我をさせてしまった。
後日,A君は警視庁竹の塚警察署に傷害罪の疑いで逮捕されることになった。
息子が少年院に入ってしまうことになるのかと不安になったA君の両親は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談した。
(フィクションです)
~少年事件の終局処分について~
前回では,少年事件の手続きがどのように進んでいくかを説明いたしました。
今回は家庭裁判所の調査の結果・審判ののち,どのような処分が下されるかを説明していきたいと思います。
(裁判所ホームページより引用,一部加筆)
~保護処分~
成人の刑事事件では,犯罪事実が認定されれば,制裁として刑事罰を科す判決が出されることが基本的な終局になります。
これに対して,少年事件では,審判を経て非行事実と要保護性が認定されれば,刑罰ではなく,保護処分を課すことが優先されます。
保護処分には保護観察,児童自立支援施設等送致,少年院送致の3種類になります。
◇保護観察◇
家庭裁判所が,少年が保護観察官や保護司の指導・監督を受けながら社会内で更生できると判断した場合には,保護観察処分に付されます。
保護観察処分に付された少年は,決められた約束事を守りながら社会内で生活し,保護観察官や保護司から生活や交友関係などについて指導を受けていくことになります。
◇児童自立支援施設等送致◇
比較的低年齢の少年で,開放的な施設での生活指導が相当と判断された場合,児童自立支援施設等に送致されます。
児童自立支援施設は,不良行為をしたり,又は不良行為をするおそれのある少年などを入所させて,必要な指導を行い,その自立を支援することを目的としている施設のことです。
◇少年院送致◇
少年が再び非行を犯すおそれが強く,社会内での更生が難しい場合,少年院に送致して矯正教育を行います。
少年院では,再び非行を犯すことのないように,少年に反省を深めさせるとともに,謝罪の気持ちを持つように促し,あわせて規則正しい生活習慣を身に付けさせ,職業指導をするなど,全般的指導を行います。
少年を少年院で身柄拘束をすることになりますので保護処分の中でも最も重い罰ということになります。
~検察官送致~
少年が罪を犯したときに14歳以上であった場合,事件の内容,少年の性格,心身の成熟度などから,保護処分よりも,刑罰を科すのが相当と判断される場合には,事件を検察官に送致することもあります(これを逆送致といいます)。
なお,少年が故意に被害者を死亡させ,その罪を犯したとき16歳以上であった場合には,原則として,事件を検察官に送致しなければならないとされています。
この場合には成人と同じ刑事裁判を受けることになります。
ただし,「裁判所は、事実審理の結果、少年の被告人を保護処分に付するのが相当であると認めるときは、決定をもって、事件を家庭裁判所に移送しなければならない」と少年法で規定されていますので,この規定が適用されれば、事件は再び家庭裁判所に送致されて、保護処分がなされる可能性が出てきます。
~都道府県知事又は児童相談所長送致~
家庭裁判所が少年を児童福祉機関の指導にゆだねるのが適当と認めた場合,都道府県知事又は児童相談所長に事件が送致されます。
児童相談所は,18歳未満の児童を巡る各種の相談に応じ,児童福祉司による指導,児童福祉施設への入所や里親への委託などの措置をしている都道府県の機関です。
~不処分、審判不開始(教育的措置)~
少年を保護処分や検察官送致などの処分に付さなくとも,少年の更生が十分に期待できる場合,非行事実がなかった場合,すでに他の少年事件で何らかの処分を受けており,加えて処分をする必要がない場合には少年を保護処分に付さないこととしたり(不処分),審判を開始せずに調査のみ行って手続を終えること(審判不開始)もあります。
不処分又は審判不開始という語感からすると,家庭裁判所が何もしないまま少年事件を終わらせているかのような誤解を与えてしまいがちですが,不処分又は審判不開始で終局する場合でも,裁判官や調査官による訓戒や指導等の教育的働きかけを加え,少年及び保護者がそれをどのように受け止めたかを見極めた上で決定を行っています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は少年事件・刑事事件を専門に扱う弁護士事務所です。
お子様が逮捕されてしまい,今後どうなるか心配な方は0120-631-881までお気軽にご連絡ください。
無料法律相談・初回接見のご予約を365日24時間受け付けております。
(警視庁竹の塚警察署までの初回接見費用:39,400円)
少年事件の流れ
少年事件の流れ
~ケース~
高校1年生のA君(16歳)は交際していたVさんとの別れ話の最中に,カッとなってしまいVさんを叩き,Vさんに全治1週間の怪我をさせてしまった。
後日,A君は警視庁竹の塚警察署に傷害罪の疑いで逮捕されることになった。
息子が少年院に入ってしまうことになるのかと不安になったA君の両親は、刑事事件と少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に相談した。
(フィクションです)
~少年事件の流れ~
少年が事件を起こすと少年院に送られてしまうというイメージがあると思います。
実際には少年事件で少年院送致となるのは実は約3%しかありません。
では残りの約97%はどのような処分になるのでしょうか。
今回は少年事件の流れについて見ていきたいと思います。
少年事件も通常の刑事事件と同じように逮捕されると最大で48時間警察署の留置施設などで身体拘束がなされます。
その間に,警察から検察官に事件の記録が送致されます。
そして検察官は,警察から事件が送致された後,勾留するのか,勾留に代わって観護措置をとるのか,勾留せず家庭裁判所に送致するのかを決めます。
少年事件では,事件が家庭裁判所に送致されると,原則として検察官はそれ以降,事件に関わらなくなります。
しかし,故意による犯罪で被害者が死亡した場合や,強盗・放火・強制性交等(旧称:強姦)などの重大犯罪で少年が非行事実を認めていない場合などは検察官が審判に参加することもあります。
検察官に送致された少年事件は,通常の刑事事件と同じように,勾留される場合もありますが,少年事件の場合には,勾留に代わる観護措置という手続きを採ることができます。
観護措置とは,勾留場所として予定されている刑事施設又は代替収容施設としての留置施設ではなく,少年の身体の取り扱いに精通した専門機関としての鑑別所に収容することで,この場合の期間は請求日から10日間で,延長は認められません。
ただし,裁判の運用上,勾留に代わる観護措置が認められることはあまり多くありません。
そして少年事件の場合,捜査機関が捜査を遂げた結果,犯罪の嫌疑があると判断した場合,全ての事件を家庭裁判所に送致することになっています(これを全件送致主義といいます)。
少年事件の送致を受けた家庭裁判所は事件の調査・審判を行います。
この際に,家庭裁判所も必要がある場合には少年の観護措置をとります。
検察官と違い,在宅で家庭裁判所調査官の監護に付する場合もありますが,多くの場合は少年鑑別所に送致されます。
家庭裁判所による観護措置の場合,期間は通常4週間,最長で8週間となります。
そして,この調査には法的調査と社会調査があります。
法的調査とは審判条件や非行事実の存否に関する調査をいい,社会調査とは少年に対してどのような処遇が最も有効適切であるかを明らかにするための調査をいいます。
このうち社会調査は,裁判官の調査命令を受けた調査官によって,少年,保護者,学校の先生に対する面接を通して実施されます。
これらの調査結果を踏まえた審判によって,最終的な処分が決まります。
少年事件の終局としては,審判不開始,保護処分,検察官送致,不処分,都道府県知事又は児童相談所長送致があります。
次回は少年事件の終局がどのようなものなのかを説明していきたいと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を数多く取り扱う法律事務所です。
お子様が逮捕されてお困りの方は、まずはお気軽にご相談ください。
無料法律相談のご予約・初回接見予約を24時間受け付けております。
まずは0120-631-881までお気軽にお問い合わせください。
(警視庁竹の塚警察署までの初回接見費用:39,400円)
恐喝罪で示談
恐喝罪で示談
高校2年生のAさんは、放課後になるといつも友人のBさんとゲームセンターなどに遊びに行っていました。
ある日、どうしてもお金がなかったAさんは、Bさんに「なあ、適当なやつ見つけてカツアゲしようぜ」と言い、カツアゲできそうな相手を探すことにしました。
そして、Aさんらは東京都小金井市にあるゲームセンターに行き、そこで見つけたVさんに暴行を加えて1万円を脅し取りました。
後日、Vさんが警視庁小金井警察署に被害届を出したことで、Aさんらは恐喝罪の疑いで取調べを受けることになりました。
Aさんの父親は、弁護士に対して「示談でお金さえ払えば解決するんですよね」と聞きました。
(フィクションです。)
【恐喝罪について】
刑法
第二百四十九条
人を恐喝して財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
恐喝罪は、恐喝、すなわち暴行または脅迫を手段として、相手方から金銭などの財産を脅し取った場合に成立する可能性のある罪です。
よく似た罪として強盗罪が挙げられますが、手段となる暴行・脅迫の強弱により区別がなされる傾向にあります。
恐喝罪は暴行・脅迫が比較的弱い場合に成立しうる罪であり、少年によるカツアゲの多くはこれに当たると言えるでしょう。
恐喝罪が成立するためには、①恐喝行為、②相手方の畏怖、③畏怖に基づく財産の移転という流れがあり、なおかつそれぞれが因果関係を持つ必要があります。
上記事例では、AさんらがVさんに対し、暴行を加えて1万円を脅し取っています。
そうすると、Aさんらは①恐喝行為によって②Vさんを畏怖させ、③それより1万円の交付を受けたと言え、恐喝罪が成立すると考えられます。
ちなみに、仮に①恐喝行為はあったものの②相手方が畏怖ではなく憐れみなどから財産を交付した場合、恐喝未遂罪が成立するにとどまることになります。
この場合には、恐喝行為から財産の移転までに因果関係が欠けるためです。
【少年事件における示談】
上記事例では、Aさんの父親が弁護士に対して「示談でお金さえ払えば解決するんですよね」と発言しています。
たしかに、被害者が存在する事件において、被害弁償などを伴う示談が不起訴や執行猶予につながりやすいことは否定できません。
ただ、それは飽くまでも通常の刑事事件での話であり、少年事件ではそう簡単に行かない点で注意が必要です。
少年事件における最終到達目標は、制裁・犯罪予防としての刑罰ではなく、少年の更生を目指した保護処分です。
こうした措置が設けられている理由は、少年の心身が発展途上にあることを考慮し、少年の健全な育成を達成するためです。
ですので、少年事件におけるあらゆる活動は、全て「少年の更生に奉仕するか」という観点から行われなければなりません。
示談に関して言うと、一番大切なことは示談による被害の補填ではなく、示談に至る過程での反省や回顧です。
そうした行動を通して、少年は自身の非行について考え、将来どう振る舞うべきか学ぶことができるからです。
もし少年院などの施設に頼ることなく少年の更生を目指すのであれば、示談の結果ではなく過程に目をやることが大切になります。
お困りのことがあれば、ぜひ少年事件の経験を有する弁護士に相談してみてください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士は、少年ひとりひとりと真摯に向き合い、真の意味での事件の解決を目指します。
お子さんが恐喝罪を疑われたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
事務所での法律相談料:初回無料(お時間の制限はございません)
警視庁小金井警察署までの初回接見費用:36,800円
傷害罪で少年院回避
傷害罪で少年院回避
中学3年生のAさんは、両親が共働きで多忙だったため、物心ついた頃から両親に構ってもらった記憶が殆どありませんでした。
そのことに嫌気が差し、Aさんは同級生をいじめたり万引きをしたりとたびたび問題行動を起こすようになりました。
ある日、Aさんが川崎市高津区内の路上を歩いていたところ、自身と同じぐらいの年齢と思しきVさんに因縁をつけられました。
そこで、AさんはVさんの顔面や腹部を手拳で殴り、うずくまったVさんを数回蹴るなどしました。
この暴行により、Vさんは全治約1か月の怪我を負い、Aさんは傷害罪の疑いで神奈川県高津警察署に逮捕されました。
Aさんの両親は、なんとか少年院だけは回避してほしいと弁護士に依頼しました。
(フィクションです。)
【傷害罪について】
第二百四条
人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
傷害罪は、暴行事件においてよく目にする代表的な犯罪の一つです。
「傷害」と聞くと出血や骨折といった怪我を想定する方が多いかと思いますが、傷害罪における「傷害」はそれだけにとどまりません。
ここで言う「傷害」とは、人の生理的機能を障害する一切の行為を指すとされ、人の身体に変調をきたすものは広く該当する可能性があります。
裁判例には、外傷後ストレス障害(PTSD)や薬物による意識障害の発生につき、傷害罪の成立を認めたものがあります。
傷害罪と似た罪として、殺人未遂罪が挙げられます。
殺人未遂罪は、殺人の実行に着手したものの、それを遂げることができなかった場合に成立しうる罪です。
傷害罪との区別は殺意があったかどうかによりますが、単に「殺意はなかった」と供述したからといって、直ちに殺人未遂罪が否定されるわけではありません。
殺意があったかどうかは、本人の供述も参考にしつつ、凶器の有無、狙った部位、暴行の回数などの様々な事情から判断されます。
そのため、場合によっては、殺意はなく傷害罪が成立するに過ぎないと主張して捜査機関と争うことも考えられるでしょう。
【少年院送致を回避するには】
被疑者が20歳未満である事件は、少年事件として通常の刑事事件とは異なる取り扱いをされるのが原則です。
少年事件に特有の事柄の一つとして、家庭裁判所の審判によって保護処分を下される点が挙げられます。
少年事件では、懲役や罰金(民事上の損害賠償とは別です)などの刑罰を科すわけではなく、非行を犯した少年の更生が図られることになります。
そのために、必要に応じて裁判の代わりとなる審判が開かれ、そこで少年ひとりひとりに適した保護処分が決定されるのです。
保護処分には様々な種類がありますが、その中でも最も重いのは少年院送致だと言うことができます。
少年院送致は、自宅などをはじめとする本来の居場所を離れて少年院に入院し、そこでの生活を通して少年の更生を目指す処分です。
少年院送致も少年の更生に奉仕する面は否定できませんが、更生を本人や家庭に委ねたりせず強制的に施設に収容する点で様々な制約が伴うものです。
そこで、場合によっては少年院送致よりも軽い保護処分を求める活動が必要となってきます。
一般的に、少年は心身が成人と比べて未成熟であり、周囲の者は少年の健全な育成を目指す責務を負っています。
そうした責務の存在から、家庭裁判所において保護処分の内容を決める際には、要保護性、すなわち少年を保護の対象とするかどうかという視点が重視されます。
もし少年院送致を回避するのであれば、そうした視点を念頭に置きながら少年の発育環境の整備を行っていくべきです。
具体的に内をすればいいか迷ったら、ぜひ一度少年事件に詳しい弁護士に相談してみてください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件に特化した弁護士が、少年院送致を回避したいというご相談に対して的確なアドバイスを致します。
お子さんが傷害罪を犯してしまい少年院送致がご心配なら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
事務所での法律相談料:初回無料(時間の制限はございません)
神奈川県高津警察署までの初回接見費用:37,000円
威力業務妨害罪で勾留阻止
威力業務妨害罪で勾留阻止
埼玉県飯能市の大学に通うAさん(18歳)は、履修している講義の発表の準備が間に合わなかったため、講義を中止させるべく爆破予告をすることにしました。
熟考した結果、Aさんは大学の教務係宛に「大学構内にあるB棟に爆弾を仕掛けた」というメールを送りました。
結局翌日の講義は全休となりましたが、大学側の通報により埼玉県飯能警察署が介入し、後日Aさんは威力業務妨害罪の疑いで逮捕されました。
逮捕の知らせを受けたAさんの両親は、弁護士に勾留阻止を依頼しました。
(フィクションです。)
【威力業務妨害罪について】
刑法
第二百三十三条
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の…業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第二百三十四条
威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
(一部略)
上記事例では、爆破予告をしたことでAさんが威力業務妨害罪を疑われています。
威力業務妨害罪は、業務の円滑な遂行を保護するための業務妨害罪の一種です。
威力業務妨害罪における「威力」とは、暴行や脅迫よりも広い範囲の勢力を指すと考えられています。
そのため、人を畏怖させるに値しない程度の弱い行為でも、「威力」には当たるとして威力業務妨害罪の手段となる余地があります。
また、刑法233条には「妨害した」と記載されていますが、業務妨害罪の性質上、妨害の結果が目に見えるかたちで現れる必要はないとされています。
つまり、売上の減少や業務の停滞といった具体的な結果が起こらなくとも、妨害行為にその危険さえ認められれば業務妨害罪は成立します。
上記事例では、Aさんが大学の教務係に対して、「大学構内にあるB棟に爆弾を仕掛けた」というメールを送っています。
この爆破予告は、大学の円滑な業務の遂行が阻害される危険を持つ「威力」と言えるため、Aさんには威力業務妨害罪が成立すると考えられます。
【少年事件における勾留阻止】
少年事件は20歳未満の者による事件であるため、大学生や社会人であっても20歳未満であれば少年事件の被疑者となる可能性はあります。
少年事件は様々な点で通常の刑事事件と異なりますが、必要に応じて逮捕や勾留が行われることは異なりません。
逮捕および勾留は、事件の重大性や被疑者の態度などから、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれが認められる場合に行われます。
更に、少年事件に限っては、少年の心身が未発達であることを考慮して「やむを得ない場合」でなければ勾留できないと少年法に定められています。
ただ、少年法に従って少年に対する勾留が慎重に行われているかどうかは、正直なところ必ずしもそうとは限らないという現実があります。
そこで、弁護士としては、少年に対する勾留の当否を特に厳しい目で見ることが求められます。
仮に勾留阻止が叶わなければ、勾留によって10日間から20日間も身体拘束が継続されることになりかねません。
学校や仕事がある多くの少年にとって、そうした長期間の身体拘束は著しい不利益を被るものです。
もし少年が逮捕されたら、初回接見に続いて勾留阻止の実現を目指すべきです。
そして、勾留阻止の実現に向けた積極的な働きかけを行うためにも、まずは弁護士に相談してみることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件のプロである弁護士が、これまでに培った知識と経験を駆使して勾留阻止の実現に取り組みます。
お子さんが威力業務妨害罪の疑いで逮捕され勾留阻止を目指すなら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
事務所での法律相談料:初回無料(時間の制限はございません)
(埼玉県飯能警察署までの初回接見費用:42,800円)
成人の事件との違いと学校への影響
成人の事件との違いと学校への影響
~ケース~
神戸市に住むAさん(18歳、高校3年生)は、学校へ通学する電車の中で、自分の好みの女子高生を見つけました。
女子高生を発見したAさんは、女子高生の後をつけたいと思ったことから、自宅の最寄り駅とは違う別の駅で下車し、女子高生の後ろで改札を出ました。
しばらく歩くと、女子高生が人気のない道を通って来たので、これはチャンスだと考え、背後から女子高生に抱きつき、その胸を触るなどしました。
Aさんは、女子高生に悲鳴を上げられたことから、その場から逃走し、駅まで戻って再び電車に乗って、自宅に帰りました。
事件から3週間後、Aさんは兵庫県垂水警察署に逮捕されました。
Aさんが逮捕されたことで心配になった両親は・・・
(フィクションです。)
~捜査段階における少年事件と成人の刑事事件の違い~
今回の事件で、Aさんに成立する罪は、その場の状況や、Aさんが触った強さなどにもよるのですが、強制わいせつ罪か、兵庫県の迷惑防止条例違反のいずれかが成立します。
少年事件も、警察や検察庁で捜査を受けている段階では、概ね成人の場合と違いはありません。
しかし、たとえば以下の点が異なります。
①捜査部門が異なる場合がある
強制わいせつ事件の場合、多くの警察署では刑事課で取り扱われています。
しかし、少年が犯した罪の場合には、生活安全課の中にある少年係(警察署の規模によって、これらの呼び方は異なります)によって取り扱われることが多くなっています。
②逮捕に続く身体拘束に種類がある
逮捕された後、さらに捜査のため、必要がある場合には、裁判所の決定により、さらに身体拘束をすることができます。
成人の場合には、勾留という制度しかなく、10日間(場合によってはさらに10日間の合計20日間)身体拘束が継続されます。
これに対し、少年の場合には、勾留することも可能ですが、勾留に代えて観護措置をとることもできます(これを「勾留に代わる観護措置」と呼んでいます)。
少年でも勾留された場合には、最長20日間の身体拘束が可能ですが、勾留に代わる観護措置がとられた場合には、10日間の身体拘束しかできません。
また、成人の場合には勾留されると警察署又は拘置所に留置されるのに対し、少年の場合には、少年鑑別所に留置される場合もあります(勾留に代わる観護措置の場合には、必ず少年鑑別所に留置されます)。
③勾留の要件が異なる
少年でも勾留できるのは既に述べた通りですが、検察官が勾留を請求した場合であっても、「やむを得ない事由」がなければ勾留できないとされています(少年法43条3項)。
この要件の意味はそれほど明確ではないのですが、本来少年は、その未成熟さから、長期の身体拘束や警察署での身体拘束は控えるべきであると考えられているところ、そのような要請があってもなお勾留という20日間の身体拘束によらなければ捜査が終了しないといった事情が必要であると考えられています。
~少年と学校の問題~
少年事件では、少年の多くは学校に通学しています。
18歳や19歳の大学生の少年であれば、定期試験等を除けば、通学しないことでそれほど問題が起きないかもしれません。
一方で、少年が高校生や中学生の場合には、休んでしまうと、大きな問題が生じる場合があります。
加えて、都道府県によっては、警察が少年を逮捕した段階で、警察から学校に通報が行くという制度が設けられているところがあります。
学校に事件を知られてしまうと、学校からご両親へ事情を尋ねる問い合わせが入りうるのはもちろんのこと、最終的に、学校から本人へ停学や退学などの処分がなされる可能性があります。
特に私立学校では、このような傾向が強いということができます。
逮捕後も、学校に継続的に通学をするためには、早期に身体拘束から解放されることが不可欠です。
逮捕の種類にもよりますが、通常逮捕日の翌日か翌々日には勾留(ないしは勾留に代わる観護措置)をするかしないかの手続きが行われます。
早期に弁護士をつけ、勾留を判断する裁判官に対して事情を説明するなどして、身体拘束を継続しないよう説得することが必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
痴漢などの少年事件でお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
お問合せは、フリーダイアル0120-631-881まで。
(兵庫県垂水警察署への初回接見費用:37,800円)
京都府宇治市の少年事件(傷害)
京都府宇治市の少年事件(傷害)
~事件例~
15歳のAくんは、特にあてもなく京都府宇治市の繁華街をうろついていました。
その際に、路上で酔っぱらったVに絡まれてしまい、頭にきたAくんはVの顔面を殴打し、鼻骨骨折の傷害を負わせてしまいました。
Aくんは近くにいた目撃者に通報されてしまい、京都府宇治警察署の警察官に傷害罪の現行犯として逮捕されてしまいました。
京都府宇治警察署から知らせを受けたAくんの親は、自分の息子が逮捕されてしまったことに大変ショックを受けています。
(事件例はフィクションです)
~Aくんは今後どうなるか?~
Aくんは15歳ですから、少年法第2条1項の「少年」に該当します。
少年法は犯罪を犯した少年に対し、原則として刑罰を科するのではなく、少年の健全育成のために「保護処分」を行う「保護主義」を掲げています(少年法第1条)。
以上の観点から、手続きには基本的に成人と同じく刑事訴訟法が適用されるのですが、少年法を根拠とする特則が適用される場面がいくつかあります。
少年の身柄を拘束する場合
まずAくんは、警察官から取調べを受け、検察官に事件が送致された後、勾留されてしまう可能性があるという点では同じですが、少年を拘束する場合の処遇に配慮し、「勾留に代わる観護措置」という制度が存在します。
全件送致主義
捜査機関がAさんの傷害事件につき捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があると判断したときは、すべての事件を家庭裁判所に送致することとされています(少年法第41、42条)。
したがって、成人の場合のように、検察段階で起訴猶予処分の獲得を目指して弁護活動を行うということは想定されません。
ですが、犯罪の嫌疑がない、または嫌疑が不十分である場合において、家庭裁判所に事件を送致しないように働きかけることはできます。
家庭裁判所段階
事件が家庭裁判所に送致された後は、少年保護事件として、成人とは異なる手続きが進められます。
成人の場合は起訴後、身体拘束を続ける場合には引き続き勾留が取られます。
しかし、少年の場合には、家庭裁判所送致後、身体拘束を続ける必要があるか否かを裁判官が判断する手続きがあり、これを「観護措置決定手続」といいます。
捜査段階は在宅で手続きが進んできたが、家庭裁判所送致後に観護措置決定を受ける、ということもありえます。
審判
家庭裁判所は、調査の結果、審判を開始するのが相当であると認めるときは、審判開始決定をしなければなりません(少年法第21条)。
保護処分
家庭裁判所は審判を通じ、①不処分、②保護観察処分、③少年院送致、④児童自立支援施設または児童養護施設送致、⑤検察官送致の決定を行います。
~少年事件において弁護士ができること~
早期身柄解放に向けて活動する
Aくんが逮捕された後、勾留されれば、最長10日間、勾留延長されればさらに最長10日間もの間身体拘束を受けることになります。
この場合、通学していた学校から退学処分を受けるなど、少年の更生のために必要な機会が奪われ、少年の人生に悪影響を及ぼす可能性が危惧されます。
そこで、弁護士は勾留を避けるために、検察官に対して勾留の要件を満たさない旨を説得し、勾留請求をしないよう働きかけることが考えられます。
また、上記の活動が功を奏さず、勾留されてしまった場合には、勾留に対する「準抗告」を行い、勾留決定に対する不服申し立てを行うことができます。
観護措置決定を避ける
家庭裁判所に送致された後、Aくんを少年鑑別所で拘束する必要があるか判断されますが、この時に、観護措置の必要がない旨を主張する意見書を提出したり、面談を通じて裁判官に観護措置決定を行わないよう働きかけることが考えられます。
また、観護措置決定がなされてしまった場合には、①異議申立て(少年法第17条の2)、②観護措置取消の職権発動を促す申立てにより、観護措置決定を争うことが考えられます。
審判不開始決定をめざす
Aくんに対して保護処分を行うことは妥当ではないとして、審判不開始決定を目指すことが考えられます。
Aくんにとって、より負担の少ない処分を目指す
身体拘束を伴う少年院送致よりも、家に帰ることが許される保護観察処分、不処分の獲得を目指して活動することが考えられます。
~Aくんに弁護士は必要か?~
以上みてきたように、少年事件の手続きは非常に複雑であり、法律の専門家である弁護士に弁護活動を依頼することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、少年事件に熟練した弁護士が多数在籍しており、Aくんにとって最も利益な処分の獲得のために活動します。
お子さまが傷害事件を起こし、逮捕されてしまった方は、お気軽に0120-631-881までご相談ください。
(京都府宇治警察署までの初回接見費用:36,500円)
触法少年の強制わいせつ
触法少年の強制わいせつ
事例:A(12歳)は、学校のトイレで、自分より年少の女児(10歳)を裸にして身体を触るなどわいせつ行為を繰り返していた。
これを知った女児Vの親は、福岡県飯塚警察署の警察官に、被害届を提出した。
Aの家族は強いショックを受け、少年事件に強いと評判の弁護士に相談することにした。
(本件は事実を基にしたフィクションです。)。
~強制わいせつ罪と触法少年~
刑法176条は、「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。」として、強制わいせつ罪を規定しています。
刑法176条に規定されている強制わいせつ罪は前段と後段に分かれており、後段においては前段で必要とされる「暴行又は脅迫」が要件となっておらず、同意の有無を要件としていないことになります。
このように同条後段が、被害者が「13歳未満」であった場合には、同意を問わず強制わいせつ罪が成立することにした趣旨は、13歳未満の者には自らの性的自由に関する判断能力を欠くため、そのような同意能力のない者を特に保護することにした点にあります。
したがって、強制わいせつ罪の被害者が「13歳未満」(つまり12歳以下)である場合には、「わいせつな行為」をしたことをもって強制わいせつ罪(刑法176条後段)が成立しうることになります。
もっとも、本件少年Aは12歳であり、刑事未成年(刑法41条「14歳に満たない者の行為は、罰しない。」)として、刑法によって罰することはできません。
また、同時にAは20歳未満であることから、少年法の適用化に置かれることになります。
この場合、Aのような刑事未成年者(14歳未満)は、少年法上では「触法少年」(少年法3条1項2号)としてさらに特殊な地位に立つことになります。
~触法少年と弁護士による弁護活動~
もっとも、触法少年についても、警察官は必要があるときは、少年や保護者などを呼び出して質問することができることとされています(少年法6条の4)。
したがって、通常の少年事件や成人の刑事事件と同じく、警察官による権限行使が適正になされているか等をチェックする弁護士の活動が重要になる点に変わりはありません。
触法少年による事件は、通常の少年事件や成人の刑事事件より馴染みが薄い事件類型であることから、戸惑いを抱くご家族も多く、早期に専門家である弁護士に相談することが肝要です。
また、触法少年については、都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り、これを審判に付することができる(少年法3条2項)とされています。
したがって、刑事未成年ではない少年(14歳以上20歳未満)と違い、触法少年については児童相談所への送致が家庭裁判所に事件を送致する前提条件となります。
家庭裁判所に送致されてしまうと、その後の手続は通常の少年事件の場合とほぼ同じであり、少年審判の対象となりうることから、弁護士としては、審判の不開始や不処分を得るための弁護活動を行うこと検討していくことになります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事未成年による少年事件を含む刑事事件を専門に扱っている法律事務所です。
14歳未満の触法少年は、精神的肉体的に極めて未熟であるため、その更生を図るためには少年自身へのケアを含め細心の注意を払う必要があります。
弁護士による弁護活動が少年の今後の人生を左右するといっても過言ではありません。
少年事件に強い弁護士に依頼するメリットは、成人の刑事事件にも増して重要になります。
弊所では、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)にて、ご家族による少年事件のご相談も承っております。