京都府宇治市の少年事件(傷害)

2019-01-13

京都府宇治市の少年事件(傷害)

~事件例~

15歳のAくんは、特にあてもなく京都府宇治市の繁華街をうろついていました。
その際に、路上で酔っぱらったVに絡まれてしまい、頭にきたAくんはVの顔面を殴打し、鼻骨骨折の傷害を負わせてしまいました。
Aくんは近くにいた目撃者に通報されてしまい、京都府宇治警察署の警察官に傷害罪の現行犯として逮捕されてしまいました。
京都府宇治警察署から知らせを受けたAくんの親は、自分の息子が逮捕されてしまったことに大変ショックを受けています。
(事件例はフィクションです)

~Aくんは今後どうなるか?~

Aくんは15歳ですから、少年法第2条1項の「少年」に該当します。
少年法は犯罪を犯した少年に対し、原則として刑罰を科するのではなく、少年の健全育成のために「保護処分」を行う「保護主義」を掲げています(少年法第1条)。
以上の観点から、手続きには基本的に成人と同じく刑事訴訟法が適用されるのですが、少年法を根拠とする特則が適用される場面がいくつかあります。

少年の身柄を拘束する場合
まずAくんは、警察官から取調べを受け、検察官に事件が送致された後、勾留されてしまう可能性があるという点では同じですが、少年を拘束する場合の処遇に配慮し、「勾留に代わる観護措置」という制度が存在します。

全件送致主義
捜査機関がAさんの傷害事件につき捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があると判断したときは、すべての事件を家庭裁判所に送致することとされています(少年法第41、42条)。
したがって、成人の場合のように、検察段階で起訴猶予処分の獲得を目指して弁護活動を行うということは想定されません。
ですが、犯罪の嫌疑がない、または嫌疑が不十分である場合において、家庭裁判所に事件を送致しないように働きかけることはできます。

家庭裁判所段階
事件が家庭裁判所に送致された後は、少年保護事件として、成人とは異なる手続きが進められます。
成人の場合は起訴後、身体拘束を続ける場合には引き続き勾留が取られます。
しかし、少年の場合には、家庭裁判所送致後、身体拘束を続ける必要があるか否かを裁判官が判断する手続きがあり、これを「観護措置決定手続」といいます。
捜査段階は在宅で手続きが進んできたが、家庭裁判所送致後に観護措置決定を受ける、ということもありえます。

審判
家庭裁判所は、調査の結果、審判を開始するのが相当であると認めるときは、審判開始決定をしなければなりません(少年法第21条)。

保護処分
家庭裁判所は審判を通じ、①不処分、②保護観察処分、③少年院送致、④児童自立支援施設または児童養護施設送致、⑤検察官送致の決定を行います。

~少年事件において弁護士ができること~

早期身柄解放に向けて活動する
Aくんが逮捕された後、勾留されれば、最長10日間、勾留延長されればさらに最長10日間もの間身体拘束を受けることになります。
この場合、通学していた学校から退学処分を受けるなど、少年の更生のために必要な機会が奪われ、少年の人生に悪影響を及ぼす可能性が危惧されます。
そこで、弁護士は勾留を避けるために、検察官に対して勾留の要件を満たさない旨を説得し、勾留請求をしないよう働きかけることが考えられます。
また、上記の活動が功を奏さず、勾留されてしまった場合には、勾留に対する「準抗告」を行い、勾留決定に対する不服申し立てを行うことができます。

観護措置決定を避ける
家庭裁判所に送致された後、Aくんを少年鑑別所で拘束する必要があるか判断されますが、この時に、観護措置の必要がない旨を主張する意見書を提出したり、面談を通じて裁判官に観護措置決定を行わないよう働きかけることが考えられます。
また、観護措置決定がなされてしまった場合には、①異議申立て(少年法第17条の2)、②観護措置取消の職権発動を促す申立てにより、観護措置決定を争うことが考えられます。

審判不開始決定をめざす
Aくんに対して保護処分を行うことは妥当ではないとして、審判不開始決定を目指すことが考えられます。

Aくんにとって、より負担の少ない処分を目指す
身体拘束を伴う少年院送致よりも、家に帰ることが許される保護観察処分、不処分の獲得を目指して活動することが考えられます。

~Aくんに弁護士は必要か?~

以上みてきたように、少年事件の手続きは非常に複雑であり、法律の専門家である弁護士に弁護活動を依頼することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、少年事件に熟練した弁護士が多数在籍しており、Aくんにとって最も利益な処分の獲得のために活動します。
お子さまが傷害事件を起こし、逮捕されてしまった方は、お気軽に0120-631-881までご相談ください。
(京都府宇治警察署までの初回接見費用:36,500円)

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