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中学生の万引き事件
中学生の万引き事件
中学生の万引き事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~ケース~
京都府八幡市在住のAさん(13歳)は、市内のコンビニで数回にわたって万引き行為を繰り返していました。
Aさんは、いつものように同コンビニでお菓子とジュースを万引きしたところ、その様子を店員に目撃されてしまい、一連の万引き行為の犯人がAさんであることが判明しました。
Aさんの対応をしたコンビニ店員は、Aさんの犯行が数回にわたるもので悪質であると判断し、警察に通報することにしました。
その後、Aさんは京都府八幡警察署にて窃盗罪の疑いで取調べが行われました。
警察から送致を受けた児童相談所は、調査の結果Aさんの事件を家庭裁判所に送致しました。
送致を受けた家庭裁判所は,Aさんの事件を少年審判に付す判断をしました。
Aさんの両親は刑務所に収容されるのではないかと不安になって,少年事件に強い弁護士に無料法律相談することにしました。
(上記の事例はフィクションです)
~刑事未成年者~
14歳に満たない者は「刑事未成年者」と呼ばれ、常に責任無能力者として扱われるので、その者が犯した行為は罰せられません(刑法41条)。
そのため、14歳未満の者の行為については犯罪は成立せず、懲役刑などで刑務所に収容されることはありません。
しかし、少年法3条には、「家庭裁判所は,14歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年(触法少年)について,都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けた場合に限り,少年審判に付すことができる」旨の規定があります。
そのため、14歳未満の触法少年であっても少年審判の対象にはなり得ます。
~少年審判での処分について~
少年審判とは、罪を犯した少年などに過ちを自覚させ、更生させることを目的として、本当に非行を犯したかどうかを確認した上、非行の内容や個々の少年の抱える問題性に応じた適切な処分を選択するための手続です。
少年審判については、審判の手続は原則非公開とされており、非行少年に対し自分の行為の反省を促すことが主たる目的となっています。
処分には、保護処分と言われる「保護観察」「少年院送致」「児童養護施設送致・児童自立支援施設送致」の他、「児童福祉機関(多くは児童相談所)送致)」、「不処分(決定)」があります。
保護観察処分は、少年を施設に収容せずに行う処分であり、保護観察官や保護司が少年の生活状況を確認し、状況に応じて指導監督が行われます。
保護観察処分がなされる場合には、少年に対し遵守すべき事項が定められることになります。
そのため、保護観察期間中は保護観察官らが、少年が遵守事項を守っているかどうかを逐一チェックすることになります。
上記の処分の中で、制限なく日常生活を送れる処分は「不処分(決定)」です。
不処分決定は、審判の結果,①保護処分に付することができないとき,②保護処分に付する必要がないと認められるときに出されるものですが,多くは②の事由によります。
少年審判に臨む裁判官は,少年審判の前に,家庭裁判所調査官から上がってきた調査結果に目を通しています。
そのため、少年審判が始まるまでに,調査官に対し②の事由が存在することを具体的に主張し、調査官を説得する必要があります。
このような主張には、専門的な法的知識にとどまらず、少年審判の豊富な経験なども必要になります。
そのため、特に少年事件に精通した弁護士に依頼することを強くお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所には、特に少年事件に精通した弁護士が多数在籍しております。
万引き事件などの少年事件・触法少年事件でお困りの方は,刑事事件・少年事件を専門に扱っている,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル(0120-631-881)までお電話ください。
24時間いつでも無料法律相談、初回接見のご依頼を受け付けています。
少年事件の不送致と簡易送致
少年事件の不送致と簡易送致
福岡県北九州市の高校に通うA君(16歳)は、友人V君宅へ遊びにいった際、たまたま見つけたV君の財布をポケットにしまい、V君と遊んだ後財布を持ち出しました。その後、V君から福岡県戸畑警察署に被害届が提出され、A君は、警察官から電話で、「V君の財布を盗んだことで戸畑警察署まで来てくれないか」と言われました。A君はこのことを母親に話し、今後の事件の見通しや対応方法について相談すべく母親とともに少年事件に詳しい法律事務所の弁護士を訪ねました。A君やA君の母親は、A君の事件が今後、検察庁へ送致されてしまわないか、家庭裁判所へ送致されてしまわないか、それらを回避するためにはどうすればいいか大変気にされているようです。
(フィクションです。)
~ 少年事件は全件送致主義が取られている ~
一定の嫌疑がある限り、原則としてすべての少年事件が捜査機関(警察、検察)から家庭裁判所へ送致される手続きのことを全件送致主義といいます。
捜査機関から家庭裁判所へ送致されるパターンは次の2つです。
一つは、警察→家庭裁判所のパターンです。
ただし、法定刑が「罰金刑以下の罪」にかかる事件(例:軽犯罪法)が対象です。
少年法41条
司法警察員は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、罰金以下の刑にあたる犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。
もう一つは、警察→検察→家庭裁判所のパターンです。
少年法42条1項
検察官は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、第四十五条第五号本文に規定する場合を除いて、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。
A君の事件は窃盗罪(刑法235条)に当たる事件です。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と懲役刑が規定されており「罰金以下の罪」には当たりません。したがって、A君の事件は後者のルートで送致される可能性が出てきます。
~ 不送致と簡易送致 ~
ところが、全件送致主義にもかかわらず、警察の判断で事件を家庭裁判所、あるいは検察庁へ送致しない処分(手続)が取られるとされることがあります。
これを「不送致」といいます。
法令上「不送致」の根拠が見当たりませんから、いかなる場合に「不送致」となるか、についても不明です。
ただし、犯罪捜査規範214条1項には次の規定が設けられています。
犯罪捜査規範214条1項
捜査した少年事件について、その事実が極めて軽微であり、犯罪の原因及び動機、当該少年の性格、行状、家庭の状況及び環境等から見て再犯のおそれがなく、刑事処分又は保護処分を必要としないと明らかに認められ、かつ、検察官又は家庭裁判所からあらかじめ指定されたものについては、被疑少年ごとに少年事件簡易送致書及び捜査報告書(家庭裁判所へ送致するものについては、別記様式第二十二号。ただし、管轄地方検察庁の検事正が少年の交通法令違反事件の捜査書類の様式について特例を定めた場合において、当該都道府県警察の警察本部長が管轄家庭裁判所と協議しその特例に準じて別段の様式を定めたときは、その様式)を作成し、これに身上調査表その他の関係書類を添付し、一月ごとに一括して検察官又は家庭裁判所に送致することができる。
これは「簡易送致」といって、
少年事件について、その事実が極めて軽微であり、犯罪の原因及び動機、当該少年の性格、行状、家庭の状況及び環境等から見て再犯のおそれがなく、刑事処分又は保護処分(保護観察、少年院送致など)を必要としないと明らかに認められ、かつ、検察官又は家庭裁判所からあらかじめ指定された少年事件
について、
関係書類を一括して検察庁、又は家庭裁判所へ送致する手続き
のことです。
「簡易送致」は送致自体はされるのですが、そもそも捜査機関により保護処分などが必要ではないと判断されているため、送致後、調査を受けたり、少年審判を受けたり、保護処分を受けることはないといっていいでしょう。
これに対して「不送致」は、そもそも家庭裁判所や検察庁へ送致されない、という処分です。したがって、この処分を受けた場合についても、検察庁から呼び出しを受けたり、調査を受けたり、少年審判を受けたり、保護処分を受けることはありません。
そして、「不送致」もおおよそ「簡易送致」の基準が参考となるのではないかと思われます。
~ 不送致、簡易送致を受けるには? ~
具体的には、警察に対し、①被害者との示談が成立し、一切の刑事処分や家庭裁判所送致を望んでいないこと、②非行事実が極めて軽微であること、③犯罪の原因及び動機、当該少年の性格、行状、家庭の状況及び環境等からみて再犯のおそれがないこと、④刑事処分又は保護処分を必要としないと明らかに認められることを、意見書や上申書、示談書等の書面で主張し、担当警察官と面談の上で主張、立証することが必要不可欠です。
事件が警察署段階にある内に、示談交渉等早期に弁護活動を行うことが必要と考えられますので、適切な弁護士に依頼することをお勧めします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗罪などをはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。
中学生が学校で暴行
中学生が学校で暴行
~ケース~
東京都新宿区所在の中学校に通う中学3年生(15歳)のAくんは、頻繁に校内暴力事件を起こしており、学校からも問題視されていました。
ある日、校内で同級生Vと喧嘩騒ぎを起こしてしまい、AくんはVの顔面を右手の拳で殴打してしまいました。
学校もAくんの暴力が甚だしく手に負えなかったので、警察に通報しました。
Vは鼻骨を骨折する傷害を負っており、Aくんは傷害罪の疑いで警視庁新宿警察署に逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~傷害罪について解説~
傷害罪とは、その名の通り、人の身体を傷害する犯罪です(刑法第204条)。
鼻骨の骨折は、当然、傷害罪にいう「傷害」に該当するでしょう。
暴行によって傷害を負わせてしまった場合には、犯人において被害者を傷害するつもりがなくても傷害罪が成立すると考えられています。
つまり、相手方に怪我などを負わせるつもりがなかったとしても、故意に暴行を加えている以上は怪我などについても責任を負うということです。
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。
~Aくんは今後どうなるのか?~
Aくんは「少年」(20歳未満の者)ですから、少年法の適用があります。
したがって、傷害事件を起こしてしまった場合であっても、原則として、少年法の定める少年保護手続にのっとり、Aくんに必要な保護処分を行うことを目的として事件が進行します。
少年法の適用がある場合でも、捜査段階においては刑事訴訟法の適用があるので、細かい相違点はありますが(少年鑑別所を勾留の場所とすることができるなど)、おおむね成人と同様に手続が進行します。
まずは警察署に引致され、取調べを受けることになります。
引き続き留置する必要が認められると、逮捕時から48時間以内にAくんの身柄が検検察庁へ送致されます。
送致されると、検察官が取調べを行い、検察官は身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAくんの勾留を請求するか、Aくんを釈放するかを決めなければなりません。
勾留されてしまうと、上記期間に加えて更に10日間も身体拘束が続きます。
やむを得ない事由があると認められると、さらに最長10日間勾留が延長されます。
~Aくんの身柄解放活動~
上記の通り、Aくんが勾留されると、捜査段階で最長23日間もの間身体拘束を受けることになります。
Vが同じ学校の生徒であることを考えると、事件の被害者との接触が懸念される結果、身体拘束を受ける可能性が高くなるでしょう。
一方で、Aくんは中学3年生であり、Aくんの将来設計に関して重要な時期ということができます。
そのような時期に、長期間勾留されることは避けたいところです。
そこで、弁護士に依頼し、勾留を阻止する活動、釈放に向けた活動など、早期の身柄解放を実現するために行動することをおすすめします。
釈放され、在宅で事件が進行するのであれば、今まで通り学校に通うことができ、Aくんの将来に及ぼす悪影響もなるべく小さくすませることができるでしょう。
~家庭裁判所での審判~
捜査の最終段階において、検察官はAくんを家庭裁判所に送致します。
少年法は全件送致主義が採られているので、事件の性質、Aくんの内省を考慮して、家庭裁判所に送致しない、という選択肢がとられることはありません。
家庭裁判所での審判が開かれると、Aくんに保護処分が必要かどうか、ということが検討されます。
保護処分の種類として、①少年院送致、②保護観察処分、③児童自立支援施設または児童養護施設送致があります。
これらは刑罰ではなく、Aくんの改善更正を図るためになされる処分です。
家庭裁判所における審判が開かれた場合、少年院送致か、保護観察処分がなされる可能性が高いと思われます。
少年院送致の場合は少年院での生活を求められるため、特別の場合を除いて外出することはできません。
一方、保護観察処分は在宅で行われるので、家に帰ることができます。
Aくんが中学3年生であることを考慮すると、なるべく在宅で改善更正を図る処分を獲得したいところです。
そのためには、Aくんに真摯な内省を促し、家庭環境などを調整し、Aくんが在宅でも改善更正しうることを家庭裁判所に納得してもらわなければなりません。
弁護士のアドバイスを受けながら、環境調整を行い、よりAくんにとって有利な事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所であり、少年の暴行事件についてもご相談いただけます。
お子様が暴行事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
虞犯少年と一時保護
虞犯少年と一時保護
東京都東村山市に住む高校2年生のAさん(16歳)は、浪費癖が激しく、親からお金をもらってはお金を遊び代に使い果たすことを繰り返していました。そして、親からもらう小遣いでは足りないと感じたAさんは、出会い系サイトで援助交際をしてくれる男性を募り、男性にあっては性交などに応じて男性からお金をもらっていました。そうしたある日、Aさんはいつものように援助交際をしようと思ってスマートフォン片手に街を歩いていると、警視庁東村山警察署の私服警察官から補導を受けてしまいました。その後、警察官はAさんの両親にもこのことを伝えましたが、Aさんを両親のもとへ帰すのは適当ではないと判断し、児童相談所に通告しました。そして、Aさんは虞犯少年として児童相談所で一時保護されてしまいました。
(事実を基に作成したフィクションです。)
~ 虞(ぐ)犯少年 ~
虞犯少年とは、少年法3条1項3号イないしニに定められている事由があって、その性格または環境に照らし合わせて、将来罪を犯し、または刑罰法令に触れる行為をするおそれがある少年(20歳未満の者)のことを言います。
虞犯少年であるかどうかは、1回限りの虞犯事由の該当行為や行状だけでは判断されず、飲酒、喫煙、怠学、性風俗での稼働・援交の事実等の外部的行状に加えて本人の性格、環境などを照らし総合的に判断されています。
少年法3条1項3号
イ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること
ロ 正当の理由がなく家庭により附かないこと
ハ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること
二 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること
~ 虞犯少年の取り扱い ~
虞犯少年の取り扱いは、年齢により異なります。
虞犯少年が14歳未満の場合は、保護者がいないとき又は保護者に監督させることが不適当であると認められるときは、児童相談所に通告されます。その上で、家庭裁判所の少年審判に付すことが適当であると認められる場合に、虞犯事案が家庭裁判所へ送致されます。
虞犯少年が14歳以上18歳未満の場合は、保護者がいないとき又は保護者に監督させることが不適当であると認められ、かつ家庭裁判所に直接送致することが不適当であると認められ、かつ家庭裁判所に直接送致するよりも、まず児童福祉法による措置に委ねるのが適当であると認められる場合は児童相談所に通告されます。
虞犯少年が18歳以上の場合は、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料される場合に、家庭裁判所に送致されます。
このように、虞犯は犯罪ではありませんが、虞犯少年とされた場合、家庭裁判所の審判に付される可能性があります。
これは、いまだ犯罪行為にまだ至っていない少年を早期に発見し、審判前の調査を通じて、少年に対して適切な保護を与えることにより、犯罪の種(目)を事前に摘んでおこう、という狙いがあるからです。
~ 一時保護とは ~
一時保護は、児童福祉法33条に基づく措置です。
児童福祉法33条1項
児童相談所長は、必要があると認めるときは、第二十六条第一項の措置を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、児童の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該一時保護を行わせることができる。
そして、厚生労働省の「児童相談所運営指針」では、
① 緊急保護
② 行動観察
③ 短期入所指導
を要する場合に一時保護するとしています。なお、①緊急保護については
ア 棄児、迷子、家出した子ども等現に適当な保護者又は宿所がないために緊急にその子どもを保護する必要がある場合
イ 虐待、放任等の理由によりその子どもを家庭から一時引き離す必要がある場合(略)
ウ 子どもの行動が自己又は他人の生命、身体、財産に危害を及ぼし若しくはそのおそれがある場合
と区分されており、A君はアに基づき一時保護された可能性があります。
一時保護の期間は、児童福祉法上は「第二十六条第一項の措置を採るに至るまで」としか規定されていませんが、先の指針では、
・一時保護は子どもの行動を制限するので、その期間は一時保護の目的を達成するために要する必要最小限の期間とする。
・一時保護の期間は2ヶ月を超えてはならない。ただし、児童相談所長等は、必要があると認めるときは、引き続き一時保護を行うことができる。
としています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。
少年の特殊詐欺事件で逮捕
少年の特殊詐欺事件で逮捕
事例:主犯であるBは,Vの息子になりすまして,Vに用意しておいた口座に現金を振り込ませようとした。
Bは,少年A(18歳)に対し,自らが現金を引き出せない場合は代わりに引き出してほしい旨を告げ,少年Aはこれを了承した。
そして,少年AはBの代わりに,神奈川県横浜市内でVが振込んだ現金を引き出した。
神奈川県戸塚警察署の警察官は,詐欺事件に関与したとして少年Aを逮捕した。
Aの家族は,少年事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実を基にしたフィクションです。)。
~特殊詐欺における出し子と少年~
近年,オレオレ詐欺などを含めたいわゆる特殊詐欺が社会問題となっていますが,こういった特殊詐欺に少年が関与することも珍しくありません。
首謀者が架け子(電話を掛けて被害者を騙す役)というリスクの比較的低い行為を担当し,出し子(騙し取ったキャッシュカードでお金を引き出す役)や受け子(騙された被害者からキャッシュカードやお金を受け取る役)というリスクの高い行為を未成年等の少年に任せるという構図がしばしばみられます。
まず,出し子として本件のような特殊詐欺に関与した者の行為に,どのような犯罪が成立しうるか確認しておきましょう。
刑法246条1項は,「人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する」として,財物を詐取する詐欺罪を規定しています。
本件では,少年A自身は「人を欺」く行為をしておらず(そのような行為をしているのはあくまで架け子のBです。),同条に当たらないことから,詐欺罪の成立は認められないようにも思えます。
ですが,刑法は60条において,「2人以上共同して犯罪を実行した者は,すべて正犯とする」との規定を置いており,犯行において担当していない行為(上記事例であれば架け子のBによる「欺く行為」)についても責任を負うことになる可能性があります。
このように、複数名が互いの行為を利用し合って一つの犯罪を行うことを、共同正犯と言います。
もし刑法60条により共同正犯が成立するとされると,教唆犯や幇助犯といったいわゆる従犯と異なり,第1次的な刑事責任を負うことになります。
教唆犯は他人に犯罪をそそのかすもの、幇助犯は他人の犯罪を手助けするものであり、いずれも他人のために犯罪に関与するに過ぎません。
これに対して、共同正犯は、いわば他人と協力して自己(および他人)のために犯罪を行うものです。
こうした違いから、共同正犯の方が責任が重いとされているのです。
~幇助にとどまるとの主張~
実務においては,共犯事件として処理される事件は,ほとんどが教唆犯や幇助犯ではなく共同正犯として扱われています。
検察官や裁判官からすれば、報酬の約束や役割の重大性などから正犯としての刑事責任を負わせるのが相当のように思われる事案が多いからでしょう。
もっとも,少年の行為が幇助にとどまるとの主張が全く受け容れられないかといえば,そうではありません。
したがって,弁護士としては,Aの関与はあくまで幇助にとどまるとして,刑事責任がさほど重くないことを積極的に主張していくことも考えられるでしょう。
こうした主張を行うにあたっては,少年事件・刑事事件に関する専門的な知識が不可欠なことから、迅速に法律の専門家である弁護士に知見を求めることが肝要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,少年事件・刑事事件専門の法律事務所です。
少年事件については,通常の刑事事件と異なる点も多く,少年事件を多く取り扱った経験を持つ弁護士に相談することが重要です。
少年は可塑性(更生の可能性)に富むことからも,少年鑑別所等への収容など重い責任を負わせることはできるだけ避けるべきです。
特殊詐欺事件で逮捕されてしまった少年のご家族は,24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)まで,まずはお電話ください。
特に少年事件では,逮捕されてしまった本人(少年)もご家族も不安が大きいでしょうから,弁護士による早期の接見(面会)をおすすめいたします。
少年事件と不処分
少年事件と不処分
埼玉県比企郡に住むA君(16歳)は,試験勉強や部活の成績が不調であることなどでストレスが溜まっていました。そして,ある日,A君は学習塾の先生Vさんからテストの結果が悪かったことを指摘されたことに憤慨し、Vさんの顔面を手拳で数回殴る暴行を加えました。A君は、さらにVさんに殴りかかろうとしたところ、周囲の人に制止され、埼玉県小川警察署に通110番報され、暴行罪で逮捕されてしまいました。その後、Vさんは加療約3週間の怪我を負ったことが判明し、A君に対する容疑は暴行罪から傷害罪へ切り替わりました。
(フィクションです)
~ 逮捕後の流れ ~
少年(20歳に満たない者)事件として逮捕されると留置場に留置(収容)されます。
その後、勾留決定が出た場合は警察の留置場に、勾留に代わる観護措置決定が出た場合は少年鑑別所に収容されます。前者の拘束期間は、勾留請求のあった日から最大で20日間、後者の場合は10日間です。
収容中に、警察、検察の捜査を受けます。警察,検察での捜査が終わると,事件は家庭裁判所へ送られます(家庭裁判所送致)。
身柄を拘束されている場合は通常,少年鑑別所に収容され(留置場に収容されていた場合は移送され),そこで、少年の性格などを鑑別するための担当技官による面接や心理検査などを受けます。また,同時に家庭裁判所調査官の調査も受けます。調査の結果は家庭裁判所に報告され,少年審判などに活かされます。
少年審判では、少年が非行を犯したかどうか、犯したと認められる場合にどんな処分を科すのが適当かを判断されます。
ただし,少年審判は必ず開かれるとは限りません(審判不開始決定)。また,仮に開かれたとしても保護処分(保護観察,少年院送致等)が下されない場合もあります(不処分決定)。以下,ご紹介いたします。
~ 審判不開始決定 ~
審判不開始決定とは,少年鑑別所や家庭裁判所調査官による調査の結果,審判に付することができず,又は審判に付するのが相当でないと認めるときに,少年審判を開始しない旨の決定をいいます。
「審判に付することができず」とは,非行事実の存在の蓋然性がない場合や少年の所在が不明であり,審判することができない場合などが当たります。「非行事実の存在の蓋然性がない場合」とは,少年の行為が非行の構成要件に該当しない場合や証拠上非行事実の存在の蓋然性すら認められない場合,すなわち,成人でいえば「嫌疑なし」の場合をいいます。この場合は,少年自身を少年事件の手続から解放する必要がありますし,少年に適切な処分を下すことができないからです。
「審判に付するのが相当ではない場合」とは,事案が軽微であったり,家庭裁判所に送致された段階では少年が十分に反省していて要保護性(矯正施設による保護の必要性)がなくなったりしている場合をいいます。少年審判の一番の目的は「少年の更生」にありますから,審判開始前に少年が更生していると認められる場合は少年審判を開くことは不要であるからです。
~ 不処分決定 ~
不処分(決定)とは,家庭裁判所における少年審判の結果,保護処分に付することができないとき,又は保護処分に付するまでの必要がないと認めるときに,保護処分に付さない旨の決定のことをいいます。
「保護処分に付することができないとき」とは,非行事実の存在が認められない場合などが当たります。「非行事実の存在が認められない場合」とは,少年の非行事実の存在について,合理的疑いを超える心証が得られない場合をいいます。成人でいえば「無罪判決」に相当します。
「保護処分に付するまでの必要がないとき」とは,審判までに少年が更生し,要保護性がなくなった場合や試験観察期間中の少年の生活態度からさらに保護処分を行う必要がなくなった場合などが当たります。調査や審判の過程で,調査官などによる教育的な働きかけによって,少年の問題点が改善され,要保護性がなくなった場合をいいます。
~ 審判不開始決定,不処分決定を受けるための弁護活動 ~
家裁送致から少年審判まである程度の期間がありますから、付添人(主に弁護士)としては,その間に,少年に対して教育的な働きかけを行っていき,少年の事件に対する反省を深めさせたり,少年を取り巻く環境を整えていかなければなりません。裁判所に意見を具申できるのは家庭裁判所調査官ですが、付添人はその家庭裁判所調査官と緊密に連絡を取り合いながら、少年の処遇に関し意見を述べることもできます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。少年事件でお困りの方はフリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談等を24時間受け付けております。
放火罪で少年事件に
放火罪で少年事件に
~ケース~
大阪府大阪市城東区に16歳のAくんは、以前自宅近くに住むVさんと揉め、うっぷん晴らしのためにVさんのアパートに放火してしまいました。
具体的な犯行内容は、Aさんは知人のアパートの共用玄関に入り、灯油をまいて火を点けるというものでした。
アパートは全焼し、警察による捜査の結果、防犯カメラに映っていたAくんが任意同行され、取調べで放火を認めたところ、住居侵入罪および現住建造物等放火罪の疑いで逮捕されました。(フィクションです)
~現住建造物等放火罪とはどのような犯罪か?~
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑(以上が「建造物等」)を焼損する犯罪です。
法定刑は死刑又は無期若しくは5年以上(20年以下)の懲役となっており、大変な重罪です。
「現に人が住居に使用し」とは、現に人の起臥寝食の場所として日常使用されることを意味します。
「現に人がいる」とは、放火の際に人(犯人を除く)が現在することを意味します。
一応、前者は「現住建造物等」、後者は「現在建造物等」というかたちで区別されます。
ケースの場合は、少なくとも知人が生活を送る場所として使用されているアパートと認められると考えられるので、同アパートは現住建造物に該当するでしょう。
また、「焼損」とは、判例によると、火が放火の媒介物を離れ、客体に燃え移り独立して燃焼を継続する状態に達したことをいうとし、その主要部分が毀損されたり、効用が害されることまでは必要とされません(大審院大正7年3月15日判決)。
ケースでは、Aくんの放火によりアパートが全焼しているので、明らかに「焼損」の結果が生じているといえます。
したがって、Aくんに現住建造物等放火罪が成立する可能性は高いでしょう。
~住居侵入罪とはどのような犯罪か?~
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入する犯罪です。
法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。
裁判例において、アパートの共用玄関は「住居」または「邸宅」(居住用の建物で住居以外のもの。例として空き家)のいずれかに該当すると考えられます。
また、「侵入」とは、「管理権者の意思に反する立ち入り」を意味しますが、放火目的での立ち入りを管理権者が容認しているとは考えられません。
したがって、Aくんが放火目的で知人のアパートの共用玄関に立ち入る行為は、住居侵入罪を構成する可能性が高いと思われます。
~Aくんは今後どうなるか?~
16歳のAくんは「少年」(20歳未満の者)に当たるので、少年法の適用があります。
したがって、原則として、Aくんに対し、刑罰を科すことを目的とした手続きではなく、Aくんの素質、家庭環境を調査した上で、適切な保護処分を行う手続きがなされます(例外的に不処分で終わる場合もあり)。
保護処分の種類には、①少年院送致、②保護観察処分、③児童自立支援施設又は児童養護施設送致があります。
(少年院送致)
少年院に送致されると、特別な場合以外は外出できず、規律ある生活に親しませ、少年の改善更正を図る処遇がなされます。
本来の生活圏からの離脱を余儀なくされる都合上、保護処分の中では少年にとって最も負担の大きいものと言えます。
(保護観察処分)
保護観察処分は、少年を施設に収容せず、家庭や職場等に置いたまま、指導監督・補導援護を加えてその改善更正を図る処遇です。
保護観察処分を言い渡された場合は、少年院送致とは異なり社会に復帰できるので、比較的負担の軽い処分ということができます。
(児童自立支援施設又は児童養護施設送致)
児童自立支援施設は、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童等を入所させ、又は保護者の下から通所させて、必要な指導を行い、その自立を支援することを目的とする施設です。
児童養護施設は、保護者のいない児童、虐待されている児童、その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、併せてその自立を支援することを目的とする施設です。
改善更正というより保護の色彩が強く、ケースのAくんに対してこの処分が選択される可能性はあまりないと思われます。
(検察官送致)
また、上記の保護処分とは異なり、Aくんに対し、「検察官送致」(少年法第20条1項)という決定がなされる可能性が考えられます。
検察官送致(「逆送」とも)は、調査の結果、保護処分ではなく通常の刑事処分が相当と認められるときになされる決定です。
検察官送致をされると、原則として起訴され、刑事裁判にかけられることになります。
現住建造物等放火罪がかなり重い犯罪であることを考慮すると、検察官送致をされる可能性は否定できません。
また、現住建造物等放火罪は裁判員裁判対象事件であるため、その裁判は複雑かつ長期にわたることが見込まれるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が現住建造物等放火事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
初回法律相談:無料
少年院、少年院送致について
少年院送致について
兵庫県尼崎市の高校に通うA君(16歳)は、お金の貸し借りの件で友人Vさんと口論となり、Vさんの顔や腹部を殴る蹴るなどの暴行を加えて、全治2か月間の大けがを負わせてしまいました。そして、A君は、学校の通報により駆け付けた兵庫県尼崎南警察署の警察官に傷害罪で逮捕されてしまいました。その後、A君の傷害事件は検察庁を経て、家庭裁判所へ送られました。この際、検察官は「少年院送致相当」との意見を付しています。A君の両親は、A君に過去2度の同種非行歴があったことから、何とかして少年院送致は避けたいと思い、少年事件に強い弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)
~ 少年院、少年院送致とは ~
少年院は、家庭裁判所から保護処分として送致された者などを収容する施設で、その健全な育成を図ることを目的として矯正教育、社会復帰支援等を行う法務省所管の施設です。
少年院に収容されると、規律ある生活を求められ、自由な生活を送ることができなくなりますから、「子どもを少年院に入らせたくない。」などと考えられる親御様が多くおられます。確かに、そのとおりなのですが、上記でも書きましたように、少年院は少年の健全な育成を図ることを目的とし、少年に対する矯正教育を施し、社会復帰支援等を行う場所です。ですから、少年院に入所したからといって一概に少年の人生にとって「マイナス」ではなくむしろ「プラス」に働き、立派に更生したという少年も現実におられます。
もし、お子様が「少年院送致の保護処分を受けそうだ」、「少年院送致を受けた」などという場合は、こうした双方の側面を考慮し、果たして少年の更生のために適当か否かという観点から今後の対応を決めていく必要があるでしょう。
※保護処分
保護処分とは、家庭裁判所に送致された少年を更生させるために行われる少年法上の処分のことをいいます。保護処分には、少年院送致の他、保護観察、児童自立支援施設等送致の3種類があり、少年審判時に言い渡されます。
なお、少年審判では、少年をどの種類の少年院に送致するかまで決定されます(少年審判規則37条1項)。少年院の種類は以下のとおりです(少年院法4条1項1号から3号)。
第1種(1号)
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がないおおむね十二歳以上二十三歳未満のもの(次号に定める者を除く。)
第2種(2号)
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね十六歳以上二十三歳未満のもの
第3種(3号)
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね十二歳以上二十六歳未満のもの
少年院の収容期間は、大きく短期処遇と長期処遇にわけられます。
短期処遇は、さらに特修短期処遇と一般短期処遇にわけられ、「特修短期処遇」の場合、「4か月」以内、「一般短期処遇」の場合、「6か月」以内です。長期処遇については10か月から2年です。
少年審判では家庭裁判所から処遇に関する勧告が出されることがあります(少年審判規則38条2項)。ここで、家庭裁判所が特修短期処遇、一般短期処遇との勧告を出せば、少年院はこれに従うべきとされています(従う勧告)。また、長期処遇については、「比較的短期」の処遇勧告が出た場合、収容期間は10か月以内とされ、少年院はその勧告を尊重しなければならないとされています(尊重勧告)。しかし、長期処遇について何ら勧告がない場合は、少年院が1年から2年の範囲内で決めています。
~ 少年院送致を回避するには ~
少年院に収容されるのは、社会内での更生が期待できないと判断されるためです。
したがって、少年院送致を回避するためには、少年が少年鑑別所に収容されているときから少年に対し教育的な働きかけを行って少年に反省、更生を促し、非行の原因となった、少年自身に帰属する問題(性格、考え方、行動等)や少年を取り巻く環境に現れた負の部分をできる限り除去する必要があります。また、それとともに、少年が更生するための新たな環境を整備し、保護処分を決定する裁判官に、
なぜ少年院ではなく社会内での更生が少年にとって適当か
ということを具体的に主張する必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件で逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見、無料法律相談の予約を受け付けております。
少年事件の流れ~子どもが逮捕されたら~
少年事件の流れ~子どもが逮捕されたら~
京都府京都市西京区の高校に通うのA君(17歳)は、当時交際していたVさんとの別れ話の最中に、Vさんの言動に腹を立て、脚でVさんの腹部を蹴るなどの暴行を加えて,Vさんに全治約1週間の怪我を負わせました。そこで、A君はVさんの110番通報により駆け付けた京都府西京警察署の警察官に傷害罪で逮捕されてしまいました。息子が少年院に入ってしまうことになるのかと不安になったA君の両親は、少年事件に詳しいA君との接見を依頼しました。
(フィクションです)
~ 少年院送致は全体の何%? ~
少年(20歳未満の者)が犯罪を犯したといえば、まっさきに思い浮かぶのは
少年院
という方も多いかと思います。
しかし、平成30年度版犯罪白書によると、平成29年に少年院に入所した少年は2147人で、刑法犯罪等で検挙された少年は50209人ですから、少年院に入所した少年は検挙少年全体の
約4%
に過ぎません。
また、逮捕されたからといって直ちに少年院に入所することが決まるのではなく、一定の手続を踏む必要があります。
~ 逮捕から家庭裁判所送致まで ~
警察に逮捕されると、少年であっても警察の留置場(留置施設)に収容されます。
逮捕後の流れは、
①逮捕→②検察官送致→③検察官による「勾留請求」OR「勾留に代わる観護措置請求」→④裁判官による「勾留決定」OR「勾留に代わる観護措置決定」→⑤家庭裁判所送致→観護措置決定
という手続を踏みます(なお、この間、不服申し立て等により釈放を早めることも可能です)。
①から②まで最大で48時間、①から③まで最大で72時間拘束されます。なお、①の段階では警察官の、②の段階では、検察官の判断により釈放されることがあります。また、③の段階、つまり、請求を受けた裁判官の判断により釈放されることもあります。
勾留決定があった場合(④)は、逮捕された際に収容された留置場へ収容されるでしょう。勾留に代わる観護措置決定があった場合(④)は指定された少年鑑別所へ収容されます。つまり、逮捕時の留置場から少年鑑別所へ身柄を移されます。
勾留の期間は、検察官の勾留請求があった日から「10日間」で、その後、やむを得ない事由がある場合は最大「10日間」延長されることがあります。観護措置の期間も請求の日から「10日間」ですが、延長は認められていません。
拘束された少年は、上記の期間内に警察や検察の捜査を受け、事件を⑤家庭裁判所へ送致される手続を取られます。
~ 家庭裁判所送致から少年審判まで ~
家庭裁判所送致から少年審判までの流れは以下のとおりです。
①家庭裁判所送致&観護措置決定→②少年鑑別所における鑑別、家庭裁判所調査官による調査等を受ける→③少年審判
①の観護措置決定とは、通常、少年鑑別所へ収容する旨の決定のことをいいます。つまり、上記④の勾留決定により警察署の留置場に収容されていた少年は、観護措置決定により少年鑑別所へ身柄を移送されます。他方、勾留に代わる観護措置決定により少年鑑別所に収容されていた少年に対しては、家庭裁判所送致されると観護措置決定が出たものとみなされます(これを「みなし観護措置」といいます)。この場合、少年の収容場所は従前の少年鑑別所のままです。
収容期間は観護措置決定のときから「2週間」ですが、2週間更新することができるとされており、多くの事件では更新されていますから、通常、拘束期間は観護措置決定の日から「4週間」となります(例外あり)。ただし、不服申し立てによってはやめに釈放されることもあります。
この拘束期間中に、少年鑑別所において専門技官による鑑別(専門的調査)を受けたり、家庭裁判所調査官による面談を受けるなどします。なお、面談を受けるのは少年に限らず、保護者などの少年の関係者が広く含まれる場合があります。
こうした調査を受けるなどした上で、③少年審判を受けます。少年審判では、非行事実が認められるかどうか、認められるとして少年にどんな処分を下すことが適当か判断されます。
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集団暴走と少年事件
集団暴走と少年事件
福岡県北九州市に住むA君(17歳)は、同区内の高校に通う高校2年生です。A君はバイクが好きで、自身の誕生日祝いに、同区内の道路をバイク仲間10人と原動機付自転車を集団暴走していました。そうしたところ、A君他10人は福岡県八幡東警察署のパトカーに制止するよう呼び止められました。しかし、A君らはその制止を振り切り集団暴走を継続したところ、増員された警察官によって制止されてしまいました。そして、A君他5人は、道路交通法違反(共同危険行為)で現行犯逮捕されましたが、残り5人はいまだ逃走中で未検挙です。A君は、逮捕後勾留され、接見禁止決定が出てしまいました。A君の両親はこのままではA君と面会できないことから、まずは接見禁止の解除をしてもらうべく弁護士に相談しました。
(フィクションです。)
~ 集団暴走 ~
少年の集団暴走で典型的なのが
共同危険行為
です。
この共同危険行為は道路交通法68条で、
二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。
と定められています。
~ どうして集団暴走してしまうの?辞めさせるには? ~
集団暴走を行う少年については、集団暴走を行う少年自身に問題があることはもちろん、少年がその所属する不良集団に大きな影響を受けていることが多いと思われます。
そのため、少年に集団暴走を辞めさせるには、少年をその不良集団から脱退させ、関係性を断ち切らせることが重要です。ただ、この手の不良集団は地域に根付いている場合が多く、少年を不良集団から脱退させるためには、引っ越しするなどして生活環境を変えるしかない場合もあります。
また、集団暴走を行う少年の中には、人に危害を加えていないから問題ないという誤った考えを持ってしまっている少年もいます。そのような場合には、審判までの間に、弁護士が少年に対して、少年の考えがいかに幼稚で誤った考え方であるのかを諭していく必要があります。
~ 接見禁止とは ~
接見禁止とは、原則として検察官の請求を受けた裁判官が、被疑者(少年)が逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると認めた場合に、勾留されている被疑者と弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁じることをいいます。本件の場合、未検挙の者が5人いることから、これらの者と通謀するなどして罪証隠滅行為を働くおそれが高いとして接見禁止決定が出る可能性が高いでしょう。
接見禁止の効力を解き、弁護人又は弁護人となろうとする者以外との接見(面会)を可能とすることをいいます。
接見禁止を解除するための手段として、接見禁止の裁判に対する準抗告・抗告の申立てがあります。これは法律(刑事訴訟法)上認められた手続きです。他に、接見禁止の全部又は一部解除の申立てがあります。全部解除となれば、制限なく接見できます。また、一部解除とは、裁判官・裁判所が認めた範囲の人のみ接見を認める処置です。
事件関係者との接見は認めないが、事件に全く関係のない家族等なら接見を認める
などという場合に一部解除となります。
ですから、子ども様との一刻も早い接見をお望みの場合は、弁護士に法律上の異議申立てや全部又は一部解除の申し立てを行ってもらいましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。接見禁止が付いてお困りの方、その他刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスの予約受付を承っております。
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