放火罪で少年事件に

2019-09-22

放火罪で少年事件に

~ケース~
大阪府大阪市城東区に16歳のAくんは、以前自宅近くに住むVさんと揉め、うっぷん晴らしのためにVさんのアパートに放火してしまいました。
具体的な犯行内容は、Aさんは知人のアパートの共用玄関に入り、灯油をまいて火を点けるというものでした。
アパートは全焼し、警察による捜査の結果、防犯カメラに映っていたAくんが任意同行され、取調べで放火を認めたところ、住居侵入罪および現住建造物等放火罪の疑いで逮捕されました。(フィクションです)

~現住建造物等放火罪とはどのような犯罪か?~

放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑(以上が「建造物等」)を焼損する犯罪です。
法定刑は死刑又は無期若しくは5年以上(20年以下)の懲役となっており、大変な重罪です。
「現に人が住居に使用し」とは、現に人の起臥寝食の場所として日常使用されることを意味します。
「現に人がいる」とは、放火の際に人(犯人を除く)が現在することを意味します。
一応、前者は「現住建造物等」、後者は「現在建造物等」というかたちで区別されます。
ケースの場合は、少なくとも知人が生活を送る場所として使用されているアパートと認められると考えられるので、同アパートは現住建造物に該当するでしょう。
また、「焼損」とは、判例によると、火が放火の媒介物を離れ、客体に燃え移り独立して燃焼を継続する状態に達したことをいうとし、その主要部分が毀損されたり、効用が害されることまでは必要とされません(大審院大正7年3月15日判決)。
ケースでは、Aくんの放火によりアパートが全焼しているので、明らかに「焼損」の結果が生じているといえます。
したがって、Aくんに現住建造物等放火罪が成立する可能性は高いでしょう。

~住居侵入罪とはどのような犯罪か?~

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入する犯罪です。
法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。
裁判例において、アパートの共用玄関は「住居」または「邸宅」(居住用の建物で住居以外のもの。例として空き家)のいずれかに該当すると考えられます。
また、「侵入」とは、「管理権者の意思に反する立ち入り」を意味しますが、放火目的での立ち入りを管理権者が容認しているとは考えられません。
したがって、Aくんが放火目的で知人のアパートの共用玄関に立ち入る行為は、住居侵入罪を構成する可能性が高いと思われます。

~Aくんは今後どうなるか?~

16歳のAくんは「少年」(20歳未満の者)に当たるので、少年法の適用があります。
したがって、原則として、Aくんに対し、刑罰を科すことを目的とした手続きではなく、Aくんの素質、家庭環境を調査した上で、適切な保護処分を行う手続きがなされます(例外的に不処分で終わる場合もあり)。
保護処分の種類には、①少年院送致、②保護観察処分、③児童自立支援施設又は児童養護施設送致があります。

(少年院送致)
少年院に送致されると、特別な場合以外は外出できず、規律ある生活に親しませ、少年の改善更正を図る処遇がなされます。
本来の生活圏からの離脱を余儀なくされる都合上、保護処分の中では少年にとって最も負担の大きいものと言えます。
(保護観察処分)
保護観察処分は、少年を施設に収容せず、家庭や職場等に置いたまま、指導監督・補導援護を加えてその改善更正を図る処遇です。
保護観察処分を言い渡された場合は、少年院送致とは異なり社会に復帰できるので、比較的負担の軽い処分ということができます。
(児童自立支援施設又は児童養護施設送致)
児童自立支援施設は、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童等を入所させ、又は保護者の下から通所させて、必要な指導を行い、その自立を支援することを目的とする施設です。
児童養護施設は、保護者のいない児童、虐待されている児童、その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、併せてその自立を支援することを目的とする施設です。
改善更正というより保護の色彩が強く、ケースのAくんに対してこの処分が選択される可能性はあまりないと思われます。
(検察官送致)
また、上記の保護処分とは異なり、Aくんに対し、「検察官送致」(少年法第20条1項)という決定がなされる可能性が考えられます。
検察官送致(「逆送」とも)は、調査の結果、保護処分ではなく通常の刑事処分が相当と認められるときになされる決定です。
検察官送致をされると、原則として起訴され、刑事裁判にかけられることになります。
現住建造物等放火罪がかなり重い犯罪であることを考慮すると、検察官送致をされる可能性は否定できません。
また、現住建造物等放火罪は裁判員裁判対象事件であるため、その裁判は複雑かつ長期にわたることが見込まれるでしょう。

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