少年事件の不送致と簡易送致

2019-10-17

少年事件の不送致と簡易送致

福岡県北九州市の高校に通うA君(16歳)は、友人V君宅へ遊びにいった際、たまたま見つけたV君の財布をポケットにしまい、V君と遊んだ後財布を持ち出しました。その後、V君から福岡県戸畑警察署に被害届が提出され、A君は、警察官から電話で、「V君の財布を盗んだことで戸畑警察署まで来てくれないか」と言われました。A君はこのことを母親に話し、今後の事件の見通しや対応方法について相談すべく母親とともに少年事件に詳しい法律事務所の弁護士を訪ねました。A君やA君の母親は、A君の事件が今後、検察庁へ送致されてしまわないか、家庭裁判所へ送致されてしまわないか、それらを回避するためにはどうすればいいか大変気にされているようです。
(フィクションです。)

~ 少年事件は全件送致主義が取られている ~

一定の嫌疑がある限り、原則としてすべての少年事件が捜査機関(警察、検察)から家庭裁判所へ送致される手続きのことを全件送致主義といいます。
捜査機関から家庭裁判所へ送致されるパターンは次の2つです。

一つは、警察→家庭裁判所のパターンです。
ただし、法定刑が「罰金刑以下の罪」にかかる事件(例:軽犯罪法)が対象です。

少年法41条
 司法警察員は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、罰金以下の刑にあたる犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。

もう一つは、警察→検察→家庭裁判所のパターンです。

少年法42条1項
 検察官は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、第四十五条第五号本文に規定する場合を除いて、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。

A君の事件は窃盗罪(刑法235条)に当たる事件です。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」と懲役刑が規定されており「罰金以下の罪」には当たりません。したがって、A君の事件は後者のルートで送致される可能性が出てきます。

~ 不送致と簡易送致 ~

ところが、全件送致主義にもかかわらず、警察の判断で事件を家庭裁判所、あるいは検察庁へ送致しない処分(手続)が取られるとされることがあります。
これを「不送致」といいます。
法令上「不送致」の根拠が見当たりませんから、いかなる場合に「不送致」となるか、についても不明です。
ただし、犯罪捜査規範214条1項には次の規定が設けられています。

犯罪捜査規範214条1項

 捜査した少年事件について、その事実が極めて軽微であり、犯罪の原因及び動機、当該少年の性格、行状、家庭の状況及び環境等から見て再犯のおそれがなく、刑事処分又は保護処分を必要としないと明らかに認められ、かつ、検察官又は家庭裁判所からあらかじめ指定されたものについては、被疑少年ごとに少年事件簡易送致書及び捜査報告書(家庭裁判所へ送致するものについては、別記様式第二十二号。ただし、管轄地方検察庁の検事正が少年の交通法令違反事件の捜査書類の様式について特例を定めた場合において、当該都道府県警察の警察本部長が管轄家庭裁判所と協議しその特例に準じて別段の様式を定めたときは、その様式)を作成し、これに身上調査表その他の関係書類を添付し、一月ごとに一括して検察官又は家庭裁判所に送致することができる。

これは「簡易送致」といって、

少年事件について、その事実が極めて軽微であり、犯罪の原因及び動機、当該少年の性格、行状、家庭の状況及び環境等から見て再犯のおそれがなく、刑事処分又は保護処分(保護観察、少年院送致など)を必要としないと明らかに認められ、かつ、検察官又は家庭裁判所からあらかじめ指定された少年事件

について、

関係書類を一括して検察庁、又は家庭裁判所へ送致する手続き

のことです。

簡易送致」は送致自体はされるのですが、そもそも捜査機関により保護処分などが必要ではないと判断されているため、送致後、調査を受けたり、少年審判を受けたり、保護処分を受けることはないといっていいでしょう。
これに対して「不送致」は、そもそも家庭裁判所や検察庁へ送致されない、という処分です。したがって、この処分を受けた場合についても、検察庁から呼び出しを受けたり、調査を受けたり、少年審判を受けたり、保護処分を受けることはありません。
そして、「不送致」もおおよそ「簡易送致」の基準が参考となるのではないかと思われます。

~ 不送致、簡易送致を受けるには? ~

具体的には、警察に対し、①被害者との示談が成立し、一切の刑事処分や家庭裁判所送致を望んでいないこと、②非行事実が極めて軽微であること、③犯罪の原因及び動機、当該少年の性格、行状、家庭の状況及び環境等からみて再犯のおそれがないこと、④刑事処分又は保護処分を必要としないと明らかに認められることを、意見書や上申書、示談書等の書面で主張し、担当警察官と面談の上で主張、立証することが必要不可欠です。
  
事件が警察署段階にある内に、示談交渉等早期に弁護活動を行うことが必要と考えられますので、適切な弁護士に依頼することをお勧めします。

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