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(事例紹介)建造物損壊罪と威力業務妨害罪で少年ら3人を逮捕

2023-08-02

(事例紹介)建造物損壊罪と威力業務妨害罪で少年ら3人を逮捕

警察署に対する建造物損壊罪と威力業務妨害罪で、20歳未満の少年ら3人が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

・参考事例

18~19歳の少年3人が、東京都にある警視庁昭島警察署の玄関前で、消火器の消火剤を噴射し、複数回打ち上げ花火を発射。

消火器を投げつけ、玄関扉の強化ガラス1枚(約27万円相当)を破壊したとして、同署は少年らを建造物損壊罪威力業務妨害罪の容疑で逮捕しました。

警察からの取調べに対し、少年らは「仲間が逮捕された仕返しをした」と容疑を認めています。
(※2023年5月30日に『朝日新聞デジタル』で掲載された記事の内容を一部変更しています。)

・威力業務妨害罪とは

今回の事例で、少年らが警視庁昭島警察署に対して行った行為は、威力業務妨害罪が成立しています。
威力業務妨害罪については、刑法第234条で以下のように規定されています。

  • 刑法第234条(威力業務妨害)
    威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

上記条文に記載されている「前条の例」とは、刑法第233条で規定されている信用毀損罪・偽計業務妨害罪と同様の罰則であることを指しています。

  • 刑法第233条(信用及び業務妨害)
    虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

つまり、威力業務妨害罪は、威力を用いて人の業務を妨害した者に対し、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」の罰則を与える罪ということです。

「威力」とは、人の意思を制圧するに足る勢力の使用を指し、今回の事例で考えると、警察署の玄関で消火器を噴射したり打ち上げ花火を発射させる行為は、警察署に出入りしようとする人を制圧する行為に該当するため、少年らの行為は威力業務妨害罪が成立するということになります。

ちなみに、「警察署に対する業務妨害は公務執行妨害罪ではないのか?」と思った方もいるのではないでしょうか。

公務執行妨害罪が成立する行為は、公務員が職務を執行しているときに暴行・脅迫を加える行為です。

今回の事例で考えると、少年らの行為は、公務員である警察官ではなく警察署に対する行為だったため、公務執行妨害罪ではなく威力業務妨害罪が成立するということです。

・建造物損壊罪とは

今回の事例で、少年らは前述した威力業務妨害罪とは別に、建造物損壊罪の容疑もかけられています。
建造物損壊罪については、刑法第260条で以下のように規定されています。

  • 刑法第260条(建造物等損壊及び同致死傷)
    他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

建造物損壊罪が指す「損壊」の定義とは、建造物の本来の効用を滅却あるいは減損させる一切の行為とされています。

少年らは、警察署の玄関扉に消火器を投げつけ、玄関扉の強化ガラス1枚を破壊しているので、建造物である警察署の効用を減損させたとして、建造物損壊罪が成立します。

・少年事件の流れ

今回の事件で逮捕されたのは、18~19歳の少年です。

刑事事件において、20歳未満の者は「少年」として扱われ、成人が刑事事件を起こした場合に行う刑事手続きとは違う手続きが行われます。

警察が逮捕・取調べをして検察に送致するまでは成人も少年も同じ流れですが、少年の場合は、検察に送致された後は原則全ての事件が家庭裁判所に送致されます。

家庭裁判所に送致後は、送致された少年の法的調査と社会調査を行い、調査の結果を踏まえて、裁判官が審判(=少年事件における裁判のこと)にかけるかどうかを判断し、審判にかける場合は少年に対する最終的な処遇を決定します。

少年事件の詳しい流れについては、以下の記事でより詳しく解説しています。

少年事件・少年犯罪の流れ

・子どもが威力業務妨害罪・建造物損壊罪による少年事件を起こしてしまった方へ

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件に特化している専門の弁護士事務所です。

威力業務妨害罪や建造物損壊罪はもちろん、様々な少年事件の弁護活動・付添人活動を数多く行ってきた実績を持つ弁護士が多数在籍しています。

子どもが少年事件を起こしてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
初回無料の法律相談や、逮捕されている場合の初回接見サービスを提供していますので、ご予約の際は24時間受付中のフリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

(事例紹介)乳児の死体遺棄事件で逮捕された19歳の母親を逆送

2023-07-26

(事例紹介)乳児の死体遺棄事件で逮捕された19歳の母親を逆送

生後間もなく死亡した男児をそのまま遺棄したとして、死体遺棄罪の疑いで逮捕された19歳の母親が、家庭裁判所に送致された後に逆送が決定されたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

・参考事例

広島県東広島市で生後間もない男児の遺体が見つかった事件で、広島家裁は、死体遺棄の疑いで逮捕、家裁送致された母親でベトナム国籍の技能実習生の女A(19)の少年審判を開き、検察官送致(逆送)を決定しました。

決定などによると、Aは実習先の寮で男児を出産。
間もなく死亡したため、自分のベッドに遺体を寝かせて生活を続けたが、出産の事実が周りに知られると、帰国させられるかもしれないと考え、近くの空き地に穴を掘って遺体を埋めて遺棄したとされています。

裁判官は決定理由で「わが子の死体を敬う意識を欠くなど責任を軽視することはできない」と指摘し、日本語の会話能力が著しく低いため「保護処分による更生を援助することも困難」などとして、刑事処分が相当としました。
(※6月1日に掲載された『Yahoo!ニュース』記事の一部を変更しています)

・死体遺棄罪(死体損壊等罪)

死体遺棄罪とは、文字通り死体を遺棄したときに成立する犯罪で、刑法第190条で規定されている死体損壊罪の中に含まれています。

  • 刑法第190条(死体損壊等)
    死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。

「死体」とは死亡した人の身体を指し、「遺棄」とは通常の埋葬と認められない方法で死体を放棄することを指します。

今回の事例では、Aは出産したことが周囲に知られると帰国させられるかもしれないと思い、死亡した男児を近くの空き地に穴を掘って埋めています。

この行為は、死亡した人の身体を通常の埋葬と認められない方法で放棄しているため、死体遺棄罪が成立することになります。

・逆送(検察官逆送)とは

逆送とは、14歳以上20歳未満の少年が刑事事件を起こした際に行われる特別な手続きを指します。

少年事件では、警察から検察に送致された後、原則全ての刑事事件が検察から家庭裁判所に送致されます。

家庭裁判所に送致された後、少年に対する調査が行われ、調査結果を踏まえた上で、裁判官が審判を行うかどうかの判断や、審判を行う場合の最終的な処遇を決定します。

本来、少年事件は処罰を与えることより更生させることに重きを置いているため、刑事処罰ではなく保護処分を課すことが優先されます。

ただ、家庭裁判所の審判において、少年に対し刑事処罰が相当であると判断されると、事件が家庭裁判所から検察官に戻されることになります。

このように、刑事処罰が相当であると審判で判断された少年事件が家庭裁判所から検察官に送致されることを逆送(検察官逆送)と言います。

逆送には、以下2つの種類があります。

1.年齢超過による逆送

少年事件が家庭裁判所に送致され、調査・審判を行っている段階で、少年の年齢が20歳以上と判明したことにより、事件を成人と同様の刑事手続きに戻すために行われる逆送です。

20歳以上かどうかの判断は、事件当時ではなく、家庭裁判所に送致されて調査・審判が行われている時点で判断されます。

2.刑事処分が相当であることによる逆送

死刑、懲役又は禁固に当たる事件について、家庭裁判所による調査の結果、罪質及び情状に照らして、家庭裁判所が刑事処分が相当であると認めることにより行われる逆送です。

事件当時16歳以上の少年で、故意の犯罪行為で被害者を死亡させた事件や、犯罪行為時18~19歳の特定少年で、死刑、無期又は短期1年以上の懲役、禁固に当たる事件に関しては、原則逆送されます。

今回の事例で考えると、Aは事件当時19歳の特定少年であり、死体遺棄罪の罰則は3年以下の懲役刑のみであること、Aの日本語会話力が著しく低く保護処分による更生を援助することが困難であることから、裁判官は逆送を決定したということになります。

・逆送を防ぐためには弁護士へ依頼を

逆送されてしまえば、成人の刑事事件と同様の刑事手続きが行われます。

また、逆送されると、ほとんどの少年は刑事処分を受けることになるため、未然に逆送を防ぐためには、少年事件に強い専門の弁護士に付添人活動を依頼することが重要です。

弁護士に依頼すれば、弁護士が少年の付添人として、裁判官に対して刑事処分が相当であると判断させないために、少年が保護処分で更生できること等を主張し、逆送を防ぐために尽力します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件に特化した専門の弁護士事務所です。
お子さんが事件を起こし、逆送されないか不安を抱えている方は、24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)お問い合わせメールよりご連絡ください。

 

(事例紹介)威力業務妨害罪により少年が家庭裁判所へ送致

2023-07-19

(事例紹介)威力業務妨害罪により少年が家庭裁判所へ送致

今回は、回転寿司店における威力業務妨害の非行事実により少年が家庭裁判所へ送致された報道につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

・ケース

山口地検は27日、回転ずしチェーン「はま寿司」の山口県内の店舗で、レーン上のすしにわさびを勝手にのせる動画を拡散させたとして、威力業務妨害の疑いで書類送検された少年1人を家裁送致した。

今年1月、県内のはま寿司の店舗で、他の客が注文したとみられるレーン上のすしにわさびをのせる動画が交流サイト(SNS)上で拡散。
はま寿司が5月に被害届を提出し、山口県警が今月6日、はま寿司の業務を妨害したとして威力業務妨害の疑いで書類送検していた。
Yahoo!JAPANニュース6月27日「迷惑動画で少年を家裁送致 はま寿司、山口地検」より引用)

・飲食店における客の迷惑行為

今年に入ってから、飲食店における客の迷惑行為について注目が集まっており、以前ではあまり見られなかった、強い対応をとる企業も増えてきているようです。
冒頭で紹介した記事がその一例といえます。

・家庭裁判所送致とは?

少年事件ではない刑事事件においては、警察、検察が事件を捜査した後、検察官が起訴、不起訴の別を決定するのが通常です(軽微な事件では警察限りで事件が終了する場合もあります)。
前述の刑事手続においては、被疑者を裁判にかけるか否かについて、検察官が裁量を有していることになります。

これに対し少年事件では全件送致主義がとられており、家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合には、すべての事件を家庭裁判所に送致することが捜査機関に義務付けられています(少年法第41条、42条)。

・家庭裁判所に送致された後は?

家庭裁判所に送致された後は、非行事実のほか、少年の生い立ち性格家庭環境などが調査されます。
調査は在宅で行われる場合もあれば、少年鑑別所に少年を収容した上で実施される場合もあります。

調査の後に審判が開かれた場合、家庭裁判所は必要に応じて保護処分を決定したり(少年院送致,保護観察処分など)、刑事処分が相当であると判断すれば、検察官送致(逆送)を決定することになります。

また、特に処分の必要がないとして不処分とする場合もあります。

・最後に

少年法では、少年の年齢によって異なる処分を予定していることがあり、その内容はかなり複雑です。
少年事件を有利に解決するためには、少年事件に熟練した弁護士のアドバイスが役立ちます。

お子様が少年事件の被疑者となった場合や、家庭裁判所の審判を受けることになってしまい、どうすればよいかわからない、という場合には、少年事件に詳しい弁護士のアドバイスを受け、今後の対応を検討することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
少年事件に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)15~19歳の少年少女4人が強盗致傷罪の疑いで逮捕

2023-07-12

(事例紹介)15~19歳の少年少女4人が強盗致傷罪の疑いで逮捕

今回は、15歳から19歳の少年少女4人が強盗致傷罪の疑いで逮捕された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

・ケース

SNSを通じて呼び出した男性会社員に暴行を加えてけがをさせたうえ、現金を奪った疑いで、少年少女4人が逮捕されました。

強盗致傷罪の疑いで逮捕されたのは、福岡市などに住む15歳から19歳の少年少女4人です。
4人は、22日午後8時前、福岡市中央区にあるホテルの敷地内で、SNSを通じて会う約束をした男性会社員の顔や頭を殴るなどしてけがをさせたうえ、現金4万5000円を奪った疑いが持たれています。

取り調べに対し、4人はいずれも容疑を認めているということで、警察が事件のいきさつを詳しく調べています。
RKBオンライン6月24日「男性会社員から現金奪う 強盗致傷容疑で少年少女4人逮捕」より引用)

・「特定少年」については厳しい処分がありうる

逮捕された少年少女4人の中には19歳の者が含まれているのとのことですが、18歳、19歳の少年については、原則逆送対象事件の拡大(後述します)、「起訴された場合における実名報道の解禁など、17歳以下の少年とは異なる、より不利益な取り扱いがなされる可能性があります。

逆送を簡潔に説明するならば、「保護処分ではなく刑事処分が妥当な少年につき、家庭裁判所から検察官へ送致する処分」ということができます。
この場合は、20歳以上の者と同じように刑事裁判にかけられ、有罪判決を受けた場合には、懲役刑などの刑罰を受けることになります。

強盗致傷罪の法定刑は「無期又は六年以上の懲役」となっており(刑法第240条)、少年法第62条2項2号によれば、特定少年につき原則逆送対象事件となっています。
逆送決定は家庭裁判所の裁量によってなされるものもありますが、原則逆送対象事件については、文字通り原則として逆送決定を行わなければなりません

・17歳以下の少年についても逆送決定がありうる

今回は特定少年に重きを置いた解説を行いましたが、17歳以下の少年についても逆送決定がなされる場合があります(少年法第20条)。

少年法の定めるルールはかなり複雑であり、事件解決のためには少年事件に熟練した弁護士のサポートが重要となります。
お子様が強盗致傷事件を起こし逮捕されてしまった方は、すぐに少年事件に詳しい弁護士と相談しアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
逆送決定に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)バイクで信号無視などを繰り返した5人の少年が検挙

2023-07-05

(事例紹介)バイクで信号無視などを繰り返した5人の少年が検挙

今回は、バイクに乗って信号無視を繰り返す、車線をはみ出すなどの運転をした疑いで、5人の少年が検挙された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

・ケース

バイクに乗って信号無視を繰り返すなどの危険な運転をしたなどとして、少年ら5人が検挙されました。

警視庁によりますと、16歳から18歳の少年ら5人はことし2月、東京・足立区で4台のバイクに乗り、信号無視や車線をはみ出すといった危険な運転を繰り返したなどの疑いが持たれています。
5人はSNSで知り合い、近くのガソリンスタンドにほかの仲間と20人ほどで集まっていて、通報を受け駆けつけた警察官から逃げる際に犯行に及んだとみられています。

調べに対し、5人はいずれも容疑を認め、「警察に呼び止められると面倒なので逃げた」などと供述しているということです。
livedoorNEWS 6月15日『「警察に呼び止められると面倒で逃げた」バイクで“危険運転”か 少年ら5人検挙 足立区』より引用)

・5人の少年らはこれからどうなるのか?

少年らの身体拘束の有無は不明ですが(通常、被疑者が逮捕された事件報道においては「逮捕」と記載されます)、逮捕されずに在宅で捜査されているのであれば、後日、検察、家庭裁判所に送致され、審判が開かれれば、必要に応じて保護処分を受けることになるでしょう。

もっとも、少年らがバイクに乗って信号無視等を繰り返してまで逃走を図った点については、不審な行動として厳しく追及される可能性があります。
捜査機関は、「警察に知られるとまずいことがあるから逃げたのではないか」と疑い、取り調べを行うことが予想されるからです。

さらに、日常からこのような運転を行う集団に属し、家庭環境やその他の素行にも問題があると判断されれば、家庭裁判所から少年院送致などの重い処分を言い渡される可能性も生じてきます。

少年事件を有利に解決するためには、少年事件に関する専門的な知識を有する弁護士のサポートが重要となります。
まずは少年事件に詳しい弁護士の法律相談を受け、今後の弁護活動についてアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
少年事件に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)特定少年と実名報道について

2023-06-28

(事例紹介)特定少年と実名報道について

今回は、少年事件において実名報道がなされうるケースにつき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

・ケース

岐阜市の陸上自衛隊・日野基本射撃場で隊員3人が銃で撃たれ死傷した事件で、逮捕された自衛官候補生の男は18歳でした。

2022年の法改正で、18歳と19歳の容疑者は特定少年と呼ばれ、17歳以下の少年と区別して扱われるようになりました。

警察などの捜査を経て、家庭裁判所に一旦送られた後、殺人や強盗など法定刑の下限が1年以上の罪となる事件の場合、検察に再び身柄を送る逆送となります。

そして改めて起訴されれば、20歳以上と同じ公開の裁判で審理されるようになるだけでなく、通常の少年事件では禁止されている報道機関による実名報道も解禁されます。

重大事件の場合は、地検が公表することもあります。
Yahoo!JAPANニュース 6月16日「地検が“実名公表”の場合も…射撃場での事件で逮捕された自衛官候補生の18歳男「特定少年」の今後の扱いは」より引用)

・少年の実名報道がなされうるケース

刑事事件を起こした被疑者が少年である場合には、事件を報道する場合であっても、「〇歳少年」などと記載することが通常です。
少年法第61条において、「家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない」と規定されているからです。

しかし、特定少年(18歳、19歳の少年)について少年法第68条は「第六十一条の規定は、特定少年のとき犯した罪により公訴を提起された場合における同条の記事又は写真については、適用しない(但書省略)」としており、特例が定められています。

もっとも、検察庁などが特定少年についても匿名を維持するケースは少なくなく、少年の健全育成・更生への配慮とされています。

たしかに、検察庁が特定少年の氏名などを公表し、報道機関がこれを報道することによって、少年の今後の更生が困難になる可能性も否定できません。
実名報道に関して不安のある方は、少年事件に熟練した弁護士のアドバイスを受け、今後の対策をともに検討する必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
特定少年の実名報道に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)東京で起きた強盗事件の被疑者少年らが家裁へ送致

2023-06-14

(事例紹介)東京で起きた強盗事件の被疑者少年らが家裁へ送致

今回は、東京の銀座にある高級腕時計店で少年らが強盗事件を起こした報道につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

・ケース

東京・銀座の高級腕時計店に仮面をつけた男らが押し入った強盗事件で、東京地検は男ら4人を家庭裁判所に送致した。

5月8日に起きた東京・銀座の仮面強盗事件では、高校生を含む16歳から19歳の4人の男が腕時計などを奪った強盗の疑いのほか、港区・赤坂のマンション敷地内などに侵入した現行犯で逮捕された。

これまでの調べに対し、男らは黙秘または否認している。

東京地検は6月7日、4人を家庭裁判所に送致し今後、家裁が男らの生活状況の調査などを行い処分が決められる。
Yahoo!JAPANニュース 6月8日 「銀座“仮面強盗” 少年ら4人を家裁送致 高級腕時計奪いマンションへ侵入 男らは黙秘・否認」より引用)

・民法上の成人年齢は18歳だが

民法第4条によれば、「年齢十八歳をもって、成年とする」とされており、現在の成人年齢は18歳です。
しかし、少年法上の「少年」は「二十歳に満たない者」(少年法第2条1項)であり、18歳、19歳も少年法の適用があることになります。

なお、余談ですが、お酒を飲んでよい年齢、タバコを吸ってもよい年齢は民法第4条にかかわらず、20歳からです(二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律第1条1項、二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律第1条)。

・18歳、19歳の少年には特別な手続が予定されている

少年法には「逆送」とよばれる特別な手続があり、少年について保護処分ではなく、刑事処分が適切であると家庭裁判所が判断した場合に、検察官のもとへ「逆送」されることになります。
家庭裁判所の裁量により「逆送」がなされることもありますが、その一方で、重大事件などは「原則として」「逆送」される手続が予定されています(原則逆送対象事件)。

17歳以下の少年についても原則逆送対象事件はありますが、18歳、19歳の少年は「特定少年」とされ(少年法第62条1項)、原則逆送対象事件の範囲がより広く定められています。

冒頭の事件の少年の中には特定少年とされる19歳の方が含まれているとのことですが、強盗罪は少年法第62条2項2号により、原則逆送対象事件となります。

・少年法は複雑であり、少年事件に熟練した弁護士のサポートが重要

少年法は令和4年にその内容が大きく変更され、従来から複雑であった制度がより複雑になったといえるでしょう。
このような少年法に基づく手続に対応するためには、少年事件に熟練した弁護士のサポートが極めて重要となります。

お子様が逮捕されてしまった場合には、まず、少年事件に詳しい弁護士を探しだし、すみやかに相談を受けられることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
少年事件に関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(参考事例)交通事故で犯人隠避の少年を逮捕

2023-05-17

(参考事例)交通事故で犯人隠避の少年を逮捕

交通事故が発生した後、運転をしていなかった少年が「自分が運転手だ」と嘘をついたことで犯人隠避罪で逮捕されたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

【参考事例】

14日、名古屋市東区で、飲酒運転の乗用車が欄干に突っ込み、同乗者3人が死傷した事故で、うその申告で運転者を隠したなどとして助手席の少年が逮捕されました。
この事故は、14日午前、男女5人が乗った乗用車が橋の欄干に突っ込み、1人が死亡、2人が大けがをしたものです。
警察によりますと、新たに逮捕された春日井市の会社員の少年は、乗用車の持ち主で、運転していた少年の身代わりに、自分が事故を起こしたとうその申告をした、犯人隠避などの疑いがもたれています。
調べに対し、容疑を認めているということです。

この事故では、運転していた少年が酒を飲んで運転し、同乗者を死傷させたとして、危険運転致死傷の疑いで逮捕されています。

(中京テレビニュース 2023年5月16日配信 同17日閲覧)

【事件で問題となる犯人隠避の罪】

参考事例では、飲酒の後運転をして事故を起こした運転手と、それを庇った助手席の者が、それぞれ問題となっています。

まず、実際に運転をしていた運転手は、他の自動車や歩行者と接触したわけではなく自身の車が橋の欄干(らんかん)に衝突し、同乗者が怪我をしたという事故です。
この場合も、いわゆる人身事故として取り扱われます。
また、運転手は運転前に飲酒していたと報じられていることから、
危険運転致死傷罪
過失運転致傷罪道路交通法違反(酒気帯び運転)
が問題になると考えられます。

次に、助手席に座っていた少年について、本当は運転をしていなかったにもかかわらず運転をしていたと申告した嫌疑で逮捕されています。
この場合に問題となる犯罪に、犯人隠避罪があります。
条文は以下のとおりです。

刑法103条 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

犯人隠避の罪は、警察官などが犯人を見つけられなくするような行為を意味します。
判例では、犯人に逃げるようにアドバイスした行為や、犯人に対し逃亡のための資金を渡す行為、犯人がいる場所に来た警察官に「別の場所に逃げた」と嘘を言う行為、など様々な行為が隠避と認められています。
今回助手席にいた少年は、いわゆる身代わり出頭に類する行為により警察官に対して真の運転手がいることを隠そうとしていることから、犯人隠避の罪が成立すると考えられます。

【少年事件での弁護活動】

少年事件での弁護活動・付添人活動は、成人の刑事事件とは手続きが異なるという点だけでなく、少年の性格などを把握したうえでの対話が必要となります。
例えば、大人の取調べに対して突っぱねているだけで本当は罪を認めたいと考えている場合、別の犯人から脅されて犯人であると名乗り出た場合、罪の重さを理解していない場合、大人の言っている言葉や用語を理解していない場合、など、様々な状況が検討されるため、先入観にとらわれず、時間をかけて少年の話を聞き取ることが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、開設当初から数多くの刑事事件・少年事件に携わってきました。
お子さんが犯人隠避の罪などで逮捕・勾留された場合、少年事件の弁護活動・付添人活動が豊富な、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
まずは初回接見サービス(有料)により、事件の内容をお子さんから直接伺った上で、今後の見通しなどについてご説明致します。

(事例紹介)詐欺事件を起こし、別件で少年鑑別所に収容されていた少年2人が逮捕

2023-05-10

(事例紹介)詐欺事件を起こし、別件で少年鑑別所に収容されていた少年2人が逮捕

少年鑑別所に収容されていた少年が逮捕された詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

埼玉県警朝霞署は24日、詐欺容疑で、静岡県袋井市、男子高校生(17)と同県磐田市、無職の少女(17)の2人を逮捕した。

逮捕容疑は氏名不詳者らと共謀し、今年1月26日午後1時ごろから数回、志木市の無職女性=当時(79)=方に県内の孫(28)を装って電話し、「書類を間違えて発送した。仕事の都合でお金が必要」などと話し、同日午後2時半ごろ、同方を訪れ、女性から現金100万円とキャッシュカード2枚をだまし取った上、同市内のATMで計5回にわたり現金計80万円を引き出した疑い。

同署によると、事件後に女性が孫に連絡を入れたため詐欺と分かった。
同署はコンビニ店の防犯ビデオなどから2人を特定。
その後の捜査で、犯行後に別件で静岡少年鑑別所に収容されていることが分かり、同署は24日、同鑑別所で2人を逮捕した。

2人は友人関係で、女性方やコンビニ店で受け子や見張り役をやっていた。調べに対して「間違いない」と容疑を認めているという。

(埼玉新聞 令和5年4月26日(水) 10時02分配信 「鑑別所で…静岡の17歳男女を逮捕 志木の女性から現金などだまし取った疑い 友人同士で受け子、見張り役」より引用)

・詐欺罪

紹介したニュースの少年(少年法第2条において、20歳に満たない者)2人は、詐欺罪の容疑で逮捕されています。
参考事例の詐欺事件は、特殊詐欺にあたります。
その中でも今回の事例は、親族を装って電話をかけ、仕事のトラブルを騙って現金やキャッシュカードを騙し取っていることから特殊詐欺の類型の1つであるオレオレ詐欺に該当します。

・少年鑑別所

事件を起こした2人は少年鑑別所で逮捕されています.
時系列としては、
①事件Aを起こす
②事件Bを起こす
③事件Bで捜査を受け、家庭裁判所に送致されて観護措置を受ける
④事件Aの捜査の結果、少年らが犯人であることを特定し、既に事件Bで少年鑑別所にて収容観護されていることが判明
という事例であると考えられます。

少年鑑別所では、少年の保護処分を決める少年審判を開く前に、少年が非行に及んだ理由などを調べるための行動観察や面談などが行われます。
また、勾留に代わる観護措置により少年鑑別所に収容されている場合は、警察官等による取調べも行われます。

成人の事件で勾留の手続きが採られた場合、捜査段階での勾留期間は最大で20日間ですが起訴され裁判になる場合には繰り返し延長ができるため、裁判が終わるまでは勾留されるという場合もあります。
しかし少年事件の観護措置決定は2週間+延長2週間の4週間で終える必要がありますので、その期間内に審判期日を設ける場合がほとんどです。

なお、実務的には、捜査をしている段階で余罪があると分かっている事件であれば、捜査がすべて終わった時点で家庭裁判所に送致する場合が多いです。
身柄拘束が必要な事件の場合、20日間の捜査勾留期間内に捜査が終わることが望ましいですが、終わらない場合、1件目の事件で処分保留の釈放をしつつ、2件目の事件で逮捕して改めて勾留する、という流れが一般的で、全ての捜査が終了した後、家庭裁判所の判断で少年鑑別所に収容されます。

しかし、今回報道されている事件について、報道の範囲内で推測される手続きとしては、逮捕により鑑別所での収容観護の執行停止、又は取消しして、2件目の捜査が行われます。
状況や事件の内容によっては、2件目の捜査終了後に改めて家庭裁判所に送致され、最初から少年鑑別所での収容観護が行われる可能性があります。

・少年事件は手続きが複雑

今回の報道事例は特にレアケースですが、少年事件では成人の刑事事件とは異なる手続きが多々見られます。
実は、法律の専門家である法曹三者(弁護士・検察官・裁判官)も、試験勉強から研修(司法修習)、実務に至るまで、少年法をはじめとした少年事件に関する法律に触れる機会は極めて少なく、手続きを知らない方も少なくありません。

そんな中、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所として、これまで数多くの少年事件に携わってきました。
20歳未満のお子さんが詐欺などの罪を犯して逮捕された、捜査を受けている、少年鑑別所で収容観護が行われているという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。

(事例紹介)10代の学生に対する傷害事件で少年2人が逮捕

2023-05-03

(事例紹介)10代の学生に対する傷害事件で少年2人が逮捕

少年同士で起きた傷害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

静岡県焼津市で、顔見知りの15歳の男子学生2人に暴行を加え、けがをさせたとして10代の少年2人が4日、逮捕されました。
傷害の疑いで逮捕されたのは、藤枝市に住む無職の16歳の少年と焼津市に住む無職の15歳の少年です。少年らは3月下旬、焼津市内で顔見知りの15歳の男子学生2人に顔を殴ったり、体を蹴ったりするなどの暴行を加え、けがをさせた疑いが持たれています。男子学生2人は打撲するなどの軽傷です。
警察によりますと、少年らの間に何らかのトラブルがあったということで、事件の詳しい経緯などを詳しく調べています。

(静岡朝日テレビ 令和5年4月4日(火) 12時03分配信 「15歳の少年2人に暴行か…傷害容疑で15歳と16歳の無職の少年を逮捕 静岡・焼津警察署」より引用)

・傷害罪

上記の事件では2人の少年が傷害の容疑で逮捕されています。
傷害について定めた条文は下記のとおりです。

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪における「傷害」とは、人の生理的機能(生活機能)に傷害を与えること、または広く健康状態を不良に変更することを言う、というのが判例通説の見解です。
この「傷害」が扱っている幅は広く、皮膚を傷つける等の行為は固より、病気にかからせることや昏倒させることで人の意識作用に障害を生じさせる行為も、傷害罪の言う「傷害」に当たるとされています。

・少年事件での逮捕後の流れ

事件を起こした犯人が20歳に満たない少年であった場合、その事件は少年事件という扱いになります。
少年が逮捕された場合、警察官は少年を48時間以内に事件を釈放するか検察官に送致するかを決定します。
その後、警察官から被疑者の送致を受けた検察官は、少年を釈放するか裁判官への勾留を請求するかを24時間以内に決定します。
この流れは成人の刑事事件と少年事件で変わりありませんが、少年事件では少年法第43条に「少年の被疑事件においては、やむを得ない場合でなければ、裁判官に対して、勾留を請求することはできない。」と定められているため、少年事件の勾留決定には相応の事情が求められます。
また、少年事件では、勾留ではなく「勾留に代わる観護措置」の決定を受け、警察署等の留置施設ではなく少年鑑別所で観護措置を受ける場合もあります。

少年事件は犯罪の嫌疑がある限り、原則すべての事件を家庭裁判所に送致する必要があります。
これを全件送致主義と言います。
また、成人が起こした刑事事件の場合、通常の裁判や略式裁判、不起訴といった手続きが付されますが、少年事件は少年審判と呼ばれる手続きに付されます。
審判で言い渡される処分も成人の刑事事件とは異なり、少年院送致や保護観察処分といった少年事件独自の処分が課されます。

このように成人が起こす事件と少年が起こす事件では、手続きの面で多くの違いが見られます。
少年が事件を起こしてしまった場合、少年事件の弁護活動・付添人活動の経験が豊富な弁護士にアドバイスを求めることで、その後の手続きや見通しなどを理解できると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件並びに少年事件を専門に扱う弁護士事務所です。
当事務所では、逮捕・勾留や少年鑑別所での観護措置を受けている少年のもとに弁護士が直接行って接見を行う初回接見サービス(有料)を実施しております。
また、在宅事件の場合は事務所にて無料で法律相談を受けることもできます。
20歳未満のお子さんが傷害事件を起こしてしまい、少年事件の手続きや見通しを知りたいという方は、24時間対応している弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へご連絡ください。

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