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少年鑑別所と少年院
少年鑑別所と少年院について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。
~ 事例 ~
埼玉県深谷市に住むAさん(17歳)は,大型ショッピングストアの化粧品売り場で化粧品等5点を万引きした窃盗罪で埼玉県深谷警察署に逮捕されました。
その後,Aさんの身柄は検察官の元に送られ,検察官により勾留の請求をされましたが却下されました。
その代わり,Aさんは勾留い代わる観護措置により少年鑑別所に収容されてしまいました。
収容先を知ったAさんのご両親は,少年鑑別所がどういう役割の施設か分からず,少年事件に強い弁護士に尋ねてみることにしました。
(フィクションです。)
~ はじめに ~
少年院についてはご存知の方が多いかと思われますが,少年鑑別所の存在や役割についてはご存知の方は少ないようです。
そこで,今回は,少年鑑別所とはどんな施設で,少年院とはどのような違いがあるのかについてご紹介したいと思います。
~ 少年鑑別所 ~
少年鑑別所は,通常は,家庭裁判所等の求めに応じ,鑑別を行うこと,観護の措置の決定が執られて収容している者等に対して,観護処遇を行うこと,地域社会における非行及び犯罪の防止に関する援助を行うことを目的とする,法務省所管の施設です。
通常は,事件が家庭裁判所に送致された後に収容される施設ですが,本件のAさんのように家庭裁判所に送致される前に収容されることもあります。
* 家庭裁判所送致前の少年鑑別所 *
収容される施設自体には変わりありませんが,家庭裁判所送致前と送致後では,少年鑑別所に対し求められる役割が異なります。
すなわち,送致前は,いまだ捜査機関による捜査を受けている段階ですから,主に「罪証隠滅」あるいは「逃亡」を防止することを目的としています(収容期間は,検察官の請求があった日から10日間で,期間の延長は認められていません)。
他方で,送致後は,少年審判に向けて準備しなければなりませんから,先ほど冒頭でも申し上げたように,少年の非行,犯罪を防止するために鑑別等を行うことを目的としています(収容期間は,通常4週間です)。
= 鑑別 =
「鑑別」とは,医学,心理学,教育学,社会学などの専門的知識や技術に基づき,鑑別対象者について,その非行等に影響を及ぼした資質上及び環境上問題となる事情を明らかにした上,その事情の改善に寄与するため,適切な指針を示すことをいいます。
少年鑑別所に所属する「法務技官」による面接や各種心理検査を受け,知能や性格等の資質上の特徴,非行に至った原因,今後の処遇上の指針を明らかにしていきます。
= 収容中の生活とその後 =
少年鑑別所は少年院と異なり,少年に対する教育を目的とした施設ではありませんから,規則正しい生活は求められるものの,比較的自由な生活を送れているようです。
運動や読書の時間なども設けられ,少年によっては学校の教科書,教材等を持ち込んで勉強している少年もいるようです。
少年鑑別所で鑑別された結果は「鑑別結果通知書」として家庭裁判所に提出され,家庭裁判所はそれを少年審判などに活用します。
~ 少年院 ~
少年院は,家庭裁判所から保護処分として送致された者などを収容する施設で,その健全な育成を図ることを目的として矯正教育,社会復帰支援等を行う法務省所管の施設です。
少年鑑別所とは以下の違いがあります。
* 収容される時期の違い *
少年鑑別所は少年審判前に収容される施設,少年院は少年審判後に収容される施設です。
* 目的による違い *
少年鑑別所は少年審判に向けて,少年の性格や資質等を調査することを目的する施設,少年院は少年の矯正,教育を目的とした施設です。
* 収容期間の違い *
少年鑑別所での収容期間は通常4週間です。
少年院での収容期間は処遇の内容によって異なりますが,平均して1年と言われています。
* その他 *
少年院は少年の矯正・教育を目的としているため,少年鑑別所よりも制限が多く,生活は厳しいものとなるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
お困りの方は,まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。
無料法律相談,初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
少年が免許を受けずに自動車を運転し、職質からも逃亡
今回は16歳の少年が、免許を受けずに自動車を運転中、職務質問を受けたため逃亡し、逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
千葉市美浜区に住む16歳のAくんは自動車を運転できる免許が無いのに、友人ら3名と自動車に乗って運転していたところを千葉西警察署のパトカーに呼び止められました。
しかしAくんは、捕まった後のことを考えると怖くなり、車を急加速させてパトカーから逃亡しました。
逃走中、赤信号を無視するなどもしています。
結局、Aくんはパトカーに止められてしまい、道路交通法違反(無免許運転、信号無視)の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)。
~無免許運転と信号無視について~
(無免許運転)
免許を受けずに自動車を運転することはもちろん犯罪です。
無免許運転をし、刑事裁判で有罪判決を受ける場合は、道路交通法第117条の2の2第1号により、「三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」に処せられます。
(信号無視)
信号を無視する行為は軽視されがちですが、信号無視も立派な犯罪行為です。
特に、自動車で警察から逃亡した際には、信号無視の嫌疑で逮捕されてしまうこともあります。
信号無視につき有罪判決が確定すると、「三月以下の懲役又は五万円以下の罰金」に処せられます(道路交通法第119条1項第1号の2)。
~Aくんは今後どうなる?~
Aくんは少年なので、原則として懲役刑や罰金刑を受けることはありません。
刑事手続の代わりに、少年保護事件としての手続が用意されています。
(逮捕・勾留)
捜査段階においては刑事訴訟法の適用があるため、逮捕・勾留されてしまうという点では成人と同じです。
まずは、早急に弁護士を依頼し、すぐに外へ出られるよう動いてもらいましょう。
Aくんらの親などが身元引受人になり、さらに、家庭環境にも問題がなければ、適切な弁護活動を行うことにより、早期に釈放されることもあります。
逮捕後、勾留がついたり、家庭裁判所への送致後、観護措置がとられ、鑑別所に収容されてしまえば、長期間、身体拘束を受けることになってしまいます。
その間、学校には行けなくなってしまうので、Aくんの進路にも弊害が生じる可能性があります。
弁護士は、捜査機関や裁判官に対し、少年を長期間勾留する弊害などを訴えかけ、身体拘束の長期化の阻止を図ります。
(家庭裁判所への送致)
警察から事件の送致を受けた検察官は、その後、少年を家庭裁判所に送致します。
家庭裁判所へ送致されると、Aくんについて、前述の「観護措置」をとるか否かが検討されます。
観護措置決定が出てしまうと、少年鑑別所に入らなければなりません。
観護措置決定の阻止のために動くことも重要な弁護活動です。
家庭裁判所へ送致されれば、Aくんの性格、資質や家庭環境、交友関係などが調査され、少年審判に役立てられます。
~最終的なAくんの処分~
少年審判が開かれると、家庭裁判所はAくんに対して必要な「保護処分」を言い渡します。
保護処分には、
・保護観察処分
・少年院送致
・児童自立支援施設又は児童養護施設送致
があります。
Aくんは無免許運転をした上、パトカーから逃亡し、信号無視までしています。
①少年審判が開かれずに「審判不開始」として事件が終了する場合、②少年審判で「不処分」が言い渡され事件が終了する場合もありますが、これらの処分の獲得は難しいかもしれません。
すると、「保護観察処分」か「少年院送致」が言い渡される可能性が高いように思われます。
Aくんの親による監護が期待できるのであれば、保護観察処分を獲得できる可能性が十分あると思われますが、家庭環境が悪く、非行を繰り返してしまいそうな状況が改善されない場合は、少年院送致もありえます。
在宅で更生を目指す保護観察処分とは違い、少年院では施設に収容され、特別の場合を除いては外出できません。
なるべくAくんにとって負担の軽い処分を獲得するため、弁護士のアドバイスを受けながら、有利な事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が道路交通法違反の疑いで逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
盗撮少年事件で現行犯逮捕されて早期釈放
少年事件の逮捕から釈放までの流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
大阪市東淀川区在住のAさん(17歳少年)は、ショッピングモール内の書店で、女性のスカートの中を盗撮した容疑で、目撃者の通報を受けて駆け付けた警察官により、大阪府東淀川警察署に現行犯逮捕されてしまった。
Aさんの両親は、Aさん逮捕の知らせを受けて、Aさんの逮捕されている東淀川警察署に、刑事事件に強い弁護士を派遣した。
弁護士がAさんと話をしたところ、「Aさんには今回の事件以前にも盗撮の余罪があり、既に警察取調べで過去の余罪のことを話してしまった」という話だった。
Aさんの両親は、弁護士から今後の少年事件の見通しと弁護活動方針の報告を受けた上で、早期釈放と保護処分軽減に向けて、少年弁護活動を弁護士に依頼することにした。
(事実を基にしたフィクションです)
~少年事件の逮捕から少年審判までの流れ~
一般の刑事事件(20歳以上の成人による刑事事件)の捜査においては、①警察署から取調べの呼び出しを受けて、取調べを終えればその日は自宅に帰される形で事件捜査が進む「在宅捜査」と、②留置施設で身柄拘束を受けたままの形で事件捜査が進む「逮捕・勾留」の、2つのパターンが考えられます。
一方で、「20歳未満の少年による少年事件」の捜査においては、「在宅捜査」と「逮捕・勾留」と「少年鑑別所で身柄拘束を受ける観護措置」の3つのパターンが考えられます。
少年事件の身柄拘束の必要性が大きい場合には、「逮捕・勾留」された後に、「少年鑑別所での観護措置」がなされて、身柄拘束が長期に渡り継続されるケースも多いです。
少年事件や刑事事件の捜査では、一般的に「在宅捜査」のほうが多い傾向にあり、「逮捕・勾留」等の身柄拘束をするかどうかの捜査機関の判断は、逃亡や証拠隠滅のおそれがある事情や、共犯者がいる事情、被疑者が事件を否認している事情などが、身柄拘束の判断に影響します。
少年が刑事犯罪を起こして逮捕された場合には、一般的に、以下の流れで身柄拘束が続きます。
①逮捕
②48時間以内に警察官が検察官に身柄を送致
③24時間以内に検察官が裁判官に勾留請求
④10日間の勾留(勾留されずに観護措置となるケースもある)
⑤(勾留延長されたケースに限り)追加で10日間の勾留
⑥少年鑑別所での観護措置(4週間程度の期間となることが多い)
⑦少年審判での保護処分の判断
~少年事件の釈放タイミング~
逮捕された少年は、事件の内容に応じて、身柄拘束の必要性が無いと判断された時点で、釈放される可能性があります。
「裁判官が勾留の判断をするタイミング」や「家庭裁判所が観護措置の判断をするタイミング」等で、刑事事件に強い弁護士が、釈放に向けた意見書提出などの働きかけをすることで、早期釈放の可能性が高まることが期待されます。
既に身柄拘束の判断が出て、「勾留中」や「観護措置中」の段階においても、弁護士の側より、釈放に向けた準抗告の申立てを行うことで、「在宅捜査」や「在宅での家庭裁判所の調査」が相当であることを主張し、少年の釈放が認められる可能性も考えられます。
逮捕されている少年に、「逃亡のおそれ」「証拠隠滅のおそれ」等の身柄拘束の必要性が無いことを示し、被疑者の家族が少年本人をきっちり管理監督し、その後の捜査機関の取調べにも応じさせることができると、弁護士の側から主張することが、早期釈放に向けて重要な弁護活動となります。
盗撮少年事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
少年が詐欺事件で逮捕・年齢切迫少年に対する弁護活動
少年が詐欺事件で逮捕されてしまった事例を題材に、年齢切迫少年に対する弁護活動ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~事例~
大阪府箕面市に住む少年A(19歳)は偽造された商品券を使い、V店の店員から商品をだまし取った。
大阪府箕面警察署の警察官は、少年Aを詐欺および偽造有価証券行使の疑いで逮捕した。
Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実を基にしたフィクションです。)。
~少年による詐欺および偽造有価証券行使~
本件でまず問題となるのが、店員を騙して商品の交付を受けた行為にいかなる犯罪が成立するかです。
刑法246条1項は、「人を欺いて財物を交付させた者」を、詐欺罪とする旨を規定しています。
この規定からも、本件は典型的な詐欺事件であるように思われます。
もっとも、厳密に考えると上記詐欺罪の要件に該当するのか一考の余地があります。
なぜならば、本件では少年Aに騙され商品を交付した者と被害者が一致していないからです。
詐欺罪における交付行為は、原則として被害者(=物の占有者)が行う必要があります。
これは、詐欺罪が被害者の意思に基づく交付罪であるということから導かれるものです。
しかし、本件で交付を行ったのはあくまで店員であり、店員は通常店の商品の占有者とは考えられていません。
商品の占有は管理者たる店の店長等にあることが通常であり、店員はその占有補助者にすぎません。
したがって、商品を占有する被害者が交付行為を行っていないことから詐欺罪の要件を欠くとも考えられるのです。
もっとも、判例・実務は、このような場合にも詐欺罪が成立しうるとしています。
判例(最判昭和45年3月26日)は、騙された者において被害者のためにその財産を処分しうる権能または地位がある場合には、被害者の意思に基づく交付行為があったと同視できるとしています。
したがって、本件で少年Aに騙されて商品を交付した者も、店員である以上は占有者たる店長から業務上その財産を処分する権能を与えられていたといえることから、少年Aの行為に詐欺罪が成立することになります。
さらに、少年Aは詐欺行為の前提として、「偽造……の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し」ていることから、偽造有価証券行使罪(刑法163条)が成立します。
したがって、少年Aには詐欺罪のみならず、偽造有価証券行使罪も成立することに注意が必要です。
なお、有価証券の偽造行為自体にも関与している場合には有価証券偽造罪(刑法162条)が問われることになります。
~19歳の少年に対する弁護活動~
本件で逮捕された少年Aは19歳であり、いわゆる年齢切迫少年であることが考えられます。
少年法の適用対象となる者は、行為時のみならず少年審判を受ける段階でも20歳未満であることが必要になります。
逮捕された時期と20歳を迎える少年の誕生日の間隔によって、少年事件として扱われるのか成人として通常の刑事事件として扱われることなるのかという点で大きな違いが生じることになるのです。
このように年齢切迫少年の事件においては、少年の年齢や逮捕の時期によって弁護活動も大きく変わってきます。
したがって、少年事件の経験が豊富な刑事事件専門の弁護士に相談することが重要になってくるのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年による詐欺事件などの少年事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
詐欺事件で逮捕されてしまった少年のご家族は、年中無休で対応しているフリーダイヤル(0120-631-881)にまずはお電話ください。
担当者が、逮捕された少年への弁護士による接見サービスなどについて分かりやすくご案内いたします。
少年が恐喝の疑いで逮捕・少年に対する弁護活動
少年が恐喝の疑いで逮捕されてしまった事例を題材に、少年に対する弁護活動などについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~事例~
神戸市長田区に住む少年Aはショッピングモール内で、かねてから対立していたVに対して「殴られたくなければ金を出せ」などと因縁をつけ、Vから現金を脅し取った。
兵庫県長田警察署の警察官は、少年Aを恐喝の疑いで逮捕した。
Aの家族は、少年事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実を基にしたフィクションです。)。
~恐喝罪と強盗罪の区別~
本件では、少年Aは恐喝罪の疑いによって逮捕されてしまっています。
本件事例は、恐喝罪で逮捕されているものの、一見すると強盗事件のようにも見えるかもしれません。
では、恐喝罪と強盗罪はどのように区別されるのでしょうか。
まず、それぞれの犯罪を規定する刑法の条文を見てみることにしましょう。
刑法249条1項は、「人を恐喝して財物を交付させた者」を恐喝罪として「10年以下の懲役」に処する旨を定めています。
これに対し、236条1項は「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者」を強盗罪とし、「5年以上の有期懲役」に処するとしています。
ここから、強盗罪は「暴行又は脅迫」を手段とする犯罪だということが分かります。
他方、恐喝罪も条文上は「人を恐喝して」とありますが、これも暴行又は脅迫を手段とする点では強盗罪と同様であることに注意が必要です。
いずれの犯罪も暴行又は脅迫行為を手段として行われることになりますが、法定刑が重い強盗罪が成立するためにはより強度の「暴行又は脅迫」が認められなければなりません。
つまり、反抗を抑圧する程に強度の「暴行又は脅迫」が行われたといえる場合には、より重い強盗罪が問われることになるのです。
そして判例実務上、反抗を抑圧する程度に達しているかどうかは、暴行・脅迫行為の態様や犯行時間・場所など状況を総合的に考慮した上で判断すべきものとされています。
本件では、専ら「脅迫」行為があったといえるかが問題となりますが、AがVを脅した際に何ら凶器等が使われていないことや、ショッピングモールを犯行現場としている点で助けを呼ぶことも可能であったことを考慮すると、Vの反抗を抑圧するまでの脅迫行為とは言い難いと考えられます。
もっとも、相手方を畏怖する程度の脅迫行為はあったと考えられることから、少年Aの行為に恐喝罪が成立するものといえるでしょう。
~少年を対象とする弁護活動(捜査段階)~
20歳未満の未成年に対しては、少年法が適用されるということは多くの方がご存知のことと思います。
それでも、逮捕・勾留などの捜査段階においては、少年事件も通常の刑事事件とほぼ同様の手続が採られることになります。
もっとも、逮捕などの身体拘束処分は、心身の発達過程にある少年にとって重大な影響を及ぼします。
特に逮捕後に勾留されることになると、最大20日間もの身体拘束がなされることになりその不利益は計り知れません。
したがって、弁護士による勾留阻止の活動が、成人事件以上に重要になってくるといえるでしょう。
なお、少年事件においては、刑事訴訟法に規定されている勾留要件(刑訴法207条1項・60条1項)に加え、「やむを得ない場合」(少年法43条3項)という要件が加重されています。
したがって、弁護士としては,刑訴法上の要件のみならず,少年法上の要件にも目を配った弁護活動が求められます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、恐喝事件を含む少年事件を扱っている刑事事件専門の法律事務所です。
お子様が恐喝事件で逮捕されてしまったご家族は、年中無休のフリーダイヤル(0120-631-881)まで今すぐにお問い合わせください。
少年が原則として刑罰を受けないのはなぜか
今回は、少年が原則として刑罰を受けない理由について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
京都市に住む高校1年生で16歳のAくんは、友人3名と共謀し、公園の公衆トイレに呼び出した同級生の女子生徒Vと強制的に性交してしまいました。
Aくんらの犯行後、Vは被害を親に打ち明け、京都府下鴨警察署に被害届を提出しました。
翌日、Aくんらは自宅において、強制性交等罪の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~少年が罪を犯すとどんな処罰を受けるか?~
よく知られていることですが、少年は「原則として」刑罰を受けることはありません。
それは、少年法が「保護主義」を理念として掲げており、少年の健全育成のために必要な保護処分を行う手続が予定されているからです。
(保護処分の種類)
保護処分は、少年審判の結果、必要に応じて家庭裁判所が言い渡します。
保護処分には、①保護観察処分、②少年院送致、③児童自立支援施設又は児童養護施設送致があります。
Aくんが保護処分を受ける場合、①、②が言い渡される可能性が高いため、以下、①、②に絞って解説します。
保護観察処分は、保護観察官などの指導・支援を受けながら、在宅で更生を目指すものです。
施設に収容される少年院送致と比べて、少年本人や家族の負担が軽いといえます。
少年院送致とは、少年院に入って更正を目指す保護処分です。
特別の場合を除いて外出できないので、保護観察処分と比べて負担は重いです。
ケースの事件は、罪名、犯行態様共に悪質であり、保護処分を言い渡される場合においては、少年院送致が言い渡される可能性が十分考えられます。
反対に、犯行の悪質性、Aくんの年齢を考えると、③や不処分が言い渡される可能性はかなり低いものと思われます。
~少年が刑事罰を受ける可能性~
例外的に14歳以上の少年が刑事罰を受ける可能性はあります。
少年が刑事罰を受け得る場合として、
・死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるとき(少年法第20条1項)
・故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であって、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るもの(少年法第20条2項)
・審判時に少年が20歳以上に達している場合や、調査の結果、少年が20歳以上に達していることが判明したとき(少年法第19条2項、第23条3項)
が挙げられます。
1つめの場合は、事件が検察官に送致され、送致を受けた検察官は、原則として起訴を強制されることになります(少年法第45条5号)。
刑事裁判にかけられた結果、有罪判決を受けた場合、少年であっても刑罰を受けることになります。
ケースの事件は、「死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件」に該当します。
複数の友人と共謀して同級生と強制的に性交した点で相当悪質であり、検察官送致の可能性は相当高いでしょう。
2つめの「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であって、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るもの」については、原則として検察官送致がなされます。
「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件」には、「殺人罪」、「傷害致死罪」、「危険運転致死罪」などが含まれます。
単純な死亡人身事故を起こした場合に適用される「過失運転致死罪」はこの中に含まれません。
3つめについては、もはや少年法の適用対象ではないため、検察官送致が行われます。
~最後に~
少年事件はいずれも、事件を起こした少年の将来に関わる重大な問題といえます。
なるべく早期に弁護士を依頼し、最も少年にとって有利な事件解決を目指すことが重要といえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が強制性交等事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
強盗致傷事件で少年が逆送
少年事件の検察官送致(逆送)について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
福岡市西区在住のAさん(18歳少年)は、友人ら3人と共謀して、深夜のコンビニ店で現金を脅し取る強盗事件を起こし、その際にコンビニ店員に怪我を負わせたとして、強盗致傷罪の容疑で、福岡県西警察署に逮捕された。
その後の警察での取調べの際に、Aさんは、一般の少年事件扱いではなく、検察官送致(逆送)されて、成人と同じ刑事処罰の手続が行われる見込みだと聞かされた。
Aさんの両親は、刑事処罰を避けられないか、検察官送致を防ぐことができないかを、刑事事件に強い弁護士に法律相談した。
Aさんの両親は、まずは弁護士を警察署にいるAさんのもとに派遣して、今後の少年事件の弁護対応を弁護士とともに検討することにした。
(事実を基にしたフィクションです)
~少年事件の少年審判手続~
20歳未満の少年少女が犯罪事件を起こした場合の少年事件では、成人の刑事手続とは異なり、「家庭裁判所の少年審判」の手続に付されて、少年少女の保護や健全な育成に向けた「保護処分」がなされることになります。
家庭裁判所の少年審判では、家庭裁判所の調査官による調査結果に応じて、「保護処分」の内容が決定され、①少年院送致、②児童自立支援施設、児童養護施設送致、③保護観察処分、④不処分、のいずれかの措置がとられます。
少年事件で逮捕された場合には、逮捕された少年の身柄は、警察の捜査が終わった段階で、少年鑑別所に送致されます。
逮捕されてから2,3日後に少年鑑別所に送致されるケースや、逮捕されてから10日間の勾留(または20日間の勾留延長)が決まり、勾留期間の終了後に少年鑑別所に送致されるケースが考えられます。
少年鑑別所では、少年が犯罪事件に至るまでの経緯や犯行動機の調査とともに、少年の家庭環境や学校環境での普段の素行や行動思考パターンなどが、家庭裁判所の調査官により、調査されます。
~少年事件の検察官送致(逆送)~
一方で、20歳未満の少年が起こした犯罪事件が、刑事処罰が相当であると判断されるような凶悪な犯行態様であった場合などには、少年の身柄は家庭裁判所から検察庁へ送致(逆送)され、成人の手続と同じ刑事事件として扱われることがあります。
検察官送致(逆送)の要件を定めた少年法20条によると、①「死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるとき」、②「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るもの」のいずれかの場合には、原則として少年は検察官送致され、刑事責任を問われることになります。
ただし、上記要件を満たす場合でも、例外的に検察官送致がなされないケースがあり、その判断の際には、「犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情」が考慮されます。
20歳未満の少年が警察に逮捕された際には、できるだけ早く弁護士に法律相談をして、少年本人との接見(面会)に弁護士を向かわせることが重要になります。
弁護士は、少年本人から直接に話を聞くことで、事件の具体的内容を把握し、警察取調べの対処方法や今後の事件の見通しなどをアドバイスして、逮捕直後の少年の不安を和らげることができます。
また、弁護士の少年弁護活動を通じて、少しでも早く釈放されるように身柄解放活動をする、少年審判で不処分の結果を得る、少年院に入れさせない、検察官送致(逆送)をさせないように、積極的に働きかけることができます。
福岡市西区の強盗致傷少年事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
少年が脅迫と現住建造物等放火の疑いで逮捕
今回は、16歳の少年が脅迫・現住建造物等放火未遂事件を起こし、逮捕されてしまった場合の手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
東京都江戸川区に住むAくんは16歳の高校1年生です。
Aくんは、かねてから険悪な仲となっていた同級生Vに対し、「お前の家に火をつけるから」などと記載したメッセージを送り、同日、Vの自宅周りにライター用オイルをまいて火をつけようとしました。
ところが、上記行為をパトロール中の警視庁小松川警察署の警察官に現認されてしまったため、職務質問の上、Aくんは現住建造物等放火未遂の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~脅迫罪とは?~
生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫する犯罪です。
親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も同様です。
上記行為を行った場合、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます(刑法第222条)。
他人に対し、「自宅に火を点ける」などと申し向ければ、通常、脅迫罪が成立することになるでしょう。
~現住建造物等放火罪とは?~
放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損する犯罪であり、法定刑は死刑又は無期若しくは五年以上の懲役となっています。
「焼損」とは、火が放火の媒介物を離れ、客体に燃え移り独立して燃焼を継続する状態に達したことをいいます。
Aくんはライター用オイルをV宅周辺に散布し、これに火を点けようとした、ということなので、「焼損」結果は生じていませんが、放火の実行の着手があったと認められる可能性があります。
したがって、Aくんの行為につき、現住建造物等放火未遂罪が成立することになるでしょう。
~ケースの事件は少年事件~
現住建造物等放火罪が重罪であることはよく知られていますが、Aくんは少年なので、原則として刑罰を受けることはありません。
成人と同じように逮捕・勾留された上で捜査されることは考えられますが、その後、家庭裁判所に送致される点が成人と異なります。
以下、簡単にケースの事件において予想される手続をみていきましょう。
(逮捕)
Aくんは現行犯逮捕後、警察署に引致され、取調べを受けることになります。
弁護士はこの時点で選任しておくことが望ましいでしょう。
↓
(検察への送致)
逮捕後、48時間以内にAくんは検察へ送致されることになります。
検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に、Aくんの勾留を請求するか、あるいは釈放するかを決定します。
↓
(勾留決定)
勾留・勾留延長決定が出ると、最長20日間身体拘束を受けることになります。
勾留場所が「少年鑑別所」になる場合もあります。
↓
(家庭裁判所への送致)
検察官は、原則としてAくんを家庭裁判所に送致しなければなりません。
↓
(家裁送致後)
家裁に送致された後は、Aくんについて観護措置をとるか否かが決められます。
観護措置をとられると、少年鑑別所に収容され、専門的な見地から、Aくんの資質や環境上の問題が調査されます。
調査によって得られた資料は、次の少年審判においても役立てられます。
↓
(少年審判)
Aくんにつき必要な保護処分を行うか否かが決められます。
保護処分には、①少年院送致、②保護観察処分、③児童自立支援施設又は児童養護施設送致があります。
Aくんに対する処分を直ちに決められない場合は、「試験観察」が言い渡され、適当な期間、家庭裁判所調査官の観察に付せられることもあります。
~Aくんに必要な弁護活動~
ケースの事件は、未遂とはいえ、現住建造物等放火罪を含む重大なものです。
脅すだけにとどまらず、実際に火をつけようとした点で、問題は根深いものがありそうです。
少年院送致の可能性もありえます。
早期に弁護士を依頼し、Aくんの心身の状態、交友関係、家庭における監護態勢を見直し、有利な事件解決に向けて行動することを強くおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が脅迫・現住建造物等放火未遂事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
少年の痴漢事件の手続を解説
今回は、未成年の大学生が電車内で痴漢をしてしまった場合の手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
東京都町田市に住む大学1回生のAくん(18歳)は、電車に乗って通学中、目の前に立っていた女性Vに劣情を催し、Vの太ももを背後から撫でてしまいました。
驚いたVが「痴漢です」と叫んだところ、騒ぎに気付いたWがAくんの腕を掴んで次の停車駅で降車させ、駅員と鉄道警察隊に引き渡しました。
Aくんは警視庁町田警察署に引致され、Wによって既に現行犯逮捕されていることを知らされました。
Aくんの逮捕を知った親は大変ショックを受けています。
今後どうなってしまうのでしょうか。(フィクションです)
~Aくんに成立する犯罪~
ケースのような行為を行うと、多くの場合、各都道府県が制定する迷惑防止条例違反の罪が成立することになるでしょう。
Aくんの場合は、犯行を行った時、電車がどこを走っていたかによって適用される迷惑防止条例が異なってきます。
都道府県をまたいで走る電車内での痴漢事件においては、この点に注意が必要でしょう。
~Aくんは今後どうなるのか?~
逮捕されてしまった場合、被疑者本人や、その家族は今後どうなってしまうのか、という点につき、大きな不安を覚えることがほとんどです。
Aくんは大学生ですが、18歳なので少年法上の「少年」です。
したがって、成人とは異なる手続を踏む必要があります。
成人の被疑者が痴漢行為を行い、起訴され有罪判決を受ける場合においては、罰金刑や懲役刑などの刑罰を受けることになります。
しかし、Aくんは少年なので、原則として刑罰を受けることはありません(例外的に少年が刑に処せられる場合もありますが、ケースの場合においてはまず考えられません)。
その代わり、必要に応じてAくんに保護処分を言い渡す「少年保護事件手続」が進行します(手続の結果、少年審判が開始されない場合や、開始された場合においても、「不処分」が言い渡されることもあります)。
それでは、今後Aくんはどうなるのでしょうか。
(逮捕・勾留)
逮捕・勾留されうる、という点では、成人と同じです。
勾留されてしまうと、捜査段階において逮捕から最長23日間身体拘束を受けることになります。
身元引受人を用意するなどして、Aくんに勾留がつかないよう活動する必要があります。初めての事件で、身元引受がしっかりとしていれば、Aくんが勾留されずに釈放される可能性は十分にあるでしょう。
(家庭裁判所への送致)
身柄・在宅の別を問わず、ケースの事件は検察に送致されることになるでしょう。
送致を受けた検察官は、原則として事件を家庭裁判所に送致しなければなりません。
(家裁への送致後)
家裁に送致された後は、Aくんについて観護措置をとるか否かが検討されます。
観護措置をとられてしまうと、少年鑑別所に入った上で調査を受けなければなりません。
在宅でも調査を遂げられる旨を主張し、観護措置による身柄拘束を回避する必要があります。
観護措置は、2週間を超えることができませんが、とくに継続の必要があるときに1回に限り更新することができます。
さらに、「特別更新」の要件を満たしている場合は、さらに2回を限度として期間を更新することができます。
(少年審判)
Aくんに必要が認められれば、保護処分が言い渡されることになります。
保護処分には
①保護観察処分
②少年院送致
③児童自立支援施設又は児童養護施設送致
があります。
反対に、Aくんに保護処分を言い渡さなくても更正を期待できる場合には、①そもそも少年審判が開かれない、②少年審判で「不処分」が言い渡されることも考えられます。
Aくんが過去に事件を起こしておらず、Aくんの親にも十分な監護能力があると判断されれば、審判の不開始や、不処分の決定を得られる場合もあります。
弁護士と相談しながら、Aくんの将来にとって最も有利な事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が痴漢事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
少年の事後強盗致傷事件
今回は、高校生が事後強盗致傷事件を起こしてしまった場合における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
横浜市保土ヶ谷区に住む高校2年生のAくん(17歳)は、スーパーでお菓子を万引きし店外に出たところ、警備員に肩を掴まれたので、これを振り払いました。
すると、振り払ったAくんの手の爪が警備員の顔に当たってしまい、擦過傷を負わせてしまいました。
揉みあいの末、Aくんは警備員に取り押さえられ、通報により駆け付けた神奈川県保土ヶ谷警察署の警察官により、事後強盗致傷の疑いで引致されることになってしまいました。(フィクションです)
~Aくんが疑われている事後強盗致傷罪を解説~
刑法第238条は、「窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる」と規定しています。
これによれば、軽微な万引きをした場合であっても、①逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、②暴行又は脅迫を行うと、事後強盗事件として取り扱われ、強盗罪と同じ法定刑で処罰されることになります(ケースの場合は少年事件なので、原則として刑罰を受けることはありません)。
さらに、刑法第240条は「強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する」としています。
刑法第240条の「強盗」には、事後強盗犯も含まれます。
したがって、事後強盗犯が暴行又は脅迫を行い、人を死傷させた場合においては、事後強盗致死傷罪が成立することになります。
こうなると万引きでは済まされず、深刻な事態となります。
~今後の弁護活動~
(早期の身柄解放活動)
少年事件においても、成人の刑事事件と同様に、逮捕・勾留される可能性があります。
身元引受人(主にAくんの親や、親族など)を用意するなどして、逃亡のおそれ、罪証隠滅のおそれがないことを説得的に主張することが必要です。
(罪名を軽くする弁護活動)
もし、嫌疑が事後強盗致傷ではなく、窃盗、傷害事件に変更されればどうでしょうか。
この場合、罪名が軽くなったといえるので、最終的にAくんになされる処分が軽くなることが期待できます。
ケースのAくんは万引き後、自身の肩を掴む警備員の手を振り払ったにすぎません。
ところが、刑法第238条の「暴行又は脅迫」の程度は、相手の反抗を抑圧するに足りる程度のものであることを要します(大審院昭和19年2月8日判決)。
Aくんが警備員の手を振り払った行為は、刑法第238条の暴行に該当しない、と主張することが考えられます。
捜査機関がこれに納得すれば、嫌疑が事後強盗致傷から、窃盗、傷害に落ちることが期待できます。
~家庭裁判所の審判~
警察、検察での捜査が終われば、Aくんは家庭裁判所に送致されることになります。
送致後、Aくんについて「観護措置」をとるか否かが決定されます。
観護措置をとられてしまうと、少年鑑別所に収容され、Aくんの心身の調査などが行われることになります。
在宅でも調査ができることを訴え、少年鑑別所に収容されずにすむよう働きかける必要があります。
~有利な処分の獲得~
少年審判が開始されると、必要に応じてAくんに保護処分が言い渡されることになります。
非行事実が事後強盗致傷である場合、少年院送致を含む重い処分が言い渡される可能性があります。
しかし、前述の通り、窃盗・傷害の非行事実に落とすことができれば、保護観察処分や不処分など、かなり有利な処分を獲得できる可能性が高まります。
早期に適切な弁護活動を開始し、有利な事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
高校生のお子様が事後強盗致傷事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。