少年が免許を受けずに自動車を運転し、職質からも逃亡

2020-07-24

今回は16歳の少年が、免許を受けずに自動車を運転中、職務質問を受けたため逃亡し、逮捕されてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

千葉市美浜区に住む16歳のAくんは自動車を運転できる免許が無いのに、友人ら3名と自動車に乗って運転していたところを千葉西警察署のパトカーに呼び止められました。
しかしAくんは、捕まった後のことを考えると怖くなり、車を急加速させてパトカーから逃亡しました。
逃走中、赤信号を無視するなどもしています。
結局、Aくんはパトカーに止められてしまい、道路交通法違反(無免許運転、信号無視)の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)。

~無免許運転と信号無視について~

(無免許運転)
免許を受けずに自動車を運転することはもちろん犯罪です。
無免許運転をし、刑事裁判で有罪判決を受ける場合は、道路交通法第117条の2の2第1号により、「三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」に処せられます。

(信号無視)
信号を無視する行為は軽視されがちですが、信号無視も立派な犯罪行為です。
特に、自動車で警察から逃亡した際には、信号無視の嫌疑で逮捕されてしまうこともあります。
信号無視につき有罪判決が確定すると、「三月以下の懲役又は五万円以下の罰金」に処せられます(道路交通法第119条1項第1号の2)。

~Aくんは今後どうなる?~

Aくんは少年なので、原則として懲役刑や罰金刑を受けることはありません。
刑事手続の代わりに、少年保護事件としての手続が用意されています。

(逮捕・勾留)
捜査段階においては刑事訴訟法の適用があるため、逮捕・勾留されてしまうという点では成人と同じです。
まずは、早急に弁護士を依頼し、すぐに外へ出られるよう動いてもらいましょう。
Aくんらの親などが身元引受人になり、さらに、家庭環境にも問題がなければ、適切な弁護活動を行うことにより、早期に釈放されることもあります。

逮捕後、勾留がついたり、家庭裁判所への送致後、観護措置がとられ、鑑別所に収容されてしまえば、長期間、身体拘束を受けることになってしまいます。
その間、学校には行けなくなってしまうので、Aくんの進路にも弊害が生じる可能性があります。
弁護士は、捜査機関や裁判官に対し、少年を長期間勾留する弊害などを訴えかけ、身体拘束の長期化の阻止を図ります。

(家庭裁判所への送致)
警察から事件の送致を受けた検察官は、その後、少年を家庭裁判所に送致します。
家庭裁判所へ送致されると、Aくんについて、前述の「観護措置」をとるか否かが検討されます。
観護措置決定が出てしまうと、少年鑑別所に入らなければなりません。
観護措置決定の阻止のために動くことも重要な弁護活動です。

家庭裁判所へ送致されれば、Aくんの性格、資質や家庭環境、交友関係などが調査され、少年審判に役立てられます。

~最終的なAくんの処分~

少年審判が開かれると、家庭裁判所はAくんに対して必要な「保護処分」を言い渡します。
保護処分には、
・保護観察処分
・少年院送致
・児童自立支援施設又は児童養護施設送致
があります。

Aくんは無免許運転をした上、パトカーから逃亡し、信号無視までしています。
①少年審判が開かれずに「審判不開始」として事件が終了する場合、②少年審判で「不処分」が言い渡され事件が終了する場合もありますが、これらの処分の獲得は難しいかもしれません。

すると、「保護観察処分」か「少年院送致」が言い渡される可能性が高いように思われます。
Aくんの親による監護が期待できるのであれば、保護観察処分を獲得できる可能性が十分あると思われますが、家庭環境が悪く、非行を繰り返してしまいそうな状況が改善されない場合は、少年院送致もありえます。
在宅で更生を目指す保護観察処分とは違い、少年院では施設に収容され、特別の場合を除いては外出できません。
なるべくAくんにとって負担の軽い処分を獲得するため、弁護士のアドバイスを受けながら、有利な事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が道路交通法違反の疑いで逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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