少年が脅迫と現住建造物等放火の疑いで逮捕

2020-06-12

今回は、16歳の少年が脅迫・現住建造物等放火未遂事件を起こし、逮捕されてしまった場合の手続について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

東京都江戸川区に住むAくんは16歳の高校1年生です。
Aくんは、かねてから険悪な仲となっていた同級生Vに対し、「お前の家に火をつけるから」などと記載したメッセージを送り、同日、Vの自宅周りにライター用オイルをまいて火をつけようとしました。
ところが、上記行為をパトロール中の警視庁小松川警察署の警察官に現認されてしまったため、職務質問の上、Aくんは現住建造物等放火未遂の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~脅迫罪とは?~

生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫する犯罪です。
親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も同様です。
上記行為を行った場合、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられます(刑法第222条)。
他人に対し、「自宅に火を点ける」などと申し向ければ、通常、脅迫罪が成立することになるでしょう。

~現住建造物等放火罪とは?~

放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損する犯罪であり、法定刑は死刑又は無期若しくは五年以上の懲役となっています。

「焼損」とは、火が放火の媒介物を離れ、客体に燃え移り独立して燃焼を継続する状態に達したことをいいます。
Aくんはライター用オイルをV宅周辺に散布し、これに火を点けようとした、ということなので、「焼損」結果は生じていませんが、放火の実行の着手があったと認められる可能性があります。
したがって、Aくんの行為につき、現住建造物等放火未遂罪が成立することになるでしょう。

~ケースの事件は少年事件~

現住建造物等放火罪が重罪であることはよく知られていますが、Aくんは少年なので、原則として刑罰を受けることはありません。
成人と同じように逮捕・勾留された上で捜査されることは考えられますが、その後、家庭裁判所に送致される点が成人と異なります。

以下、簡単にケースの事件において予想される手続をみていきましょう。

(逮捕)
Aくんは現行犯逮捕後、警察署に引致され、取調べを受けることになります。
弁護士はこの時点で選任しておくことが望ましいでしょう。

(検察への送致)
逮捕後、48時間以内にAくんは検察へ送致されることになります。
検察官は、身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に、Aくんの勾留を請求するか、あるいは釈放するかを決定します。

(勾留決定)
勾留・勾留延長決定が出ると、最長20日間身体拘束を受けることになります。
勾留場所が「少年鑑別所」になる場合もあります。

(家庭裁判所への送致)
検察官は、原則としてAくんを家庭裁判所に送致しなければなりません。

(家裁送致後)
家裁に送致された後は、Aくんについて観護措置をとるか否かが決められます。
観護措置をとられると、少年鑑別所に収容され、専門的な見地から、Aくんの資質や環境上の問題が調査されます。
調査によって得られた資料は、次の少年審判においても役立てられます。

(少年審判)
Aくんにつき必要な保護処分を行うか否かが決められます。
保護処分には、①少年院送致、②保護観察処分、③児童自立支援施設又は児童養護施設送致があります。
Aくんに対する処分を直ちに決められない場合は、「試験観察」が言い渡され、適当な期間、家庭裁判所調査官の観察に付せられることもあります。

~Aくんに必要な弁護活動~

ケースの事件は、未遂とはいえ、現住建造物等放火罪を含む重大なものです。
脅すだけにとどまらず、実際に火をつけようとした点で、問題は根深いものがありそうです。

少年院送致の可能性もありえます。
早期に弁護士を依頼し、Aくんの心身の状態、交友関係、家庭における監護態勢を見直し、有利な事件解決に向けて行動することを強くおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が脅迫・現住建造物等放火未遂事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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