少年が詐欺事件で逮捕・年齢切迫少年に対する弁護活動

2020-07-10

少年が詐欺事件で逮捕されてしまった事例を題材に、年齢切迫少年に対する弁護活動ついて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事例~

大阪府箕面市に住む少年A(19歳)は偽造された商品券を使い、V店の店員から商品をだまし取った。
大阪府箕面警察署の警察官は、少年Aを詐欺および偽造有価証券行使の疑いで逮捕した。
Aの家族は、詐欺事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実を基にしたフィクションです。)。

~少年による詐欺および偽造有価証券行使~

本件でまず問題となるのが、店員を騙して商品の交付を受けた行為にいかなる犯罪が成立するかです。
刑法246条1項は、「人を欺いて財物を交付させた者」を、詐欺罪とする旨を規定しています。
この規定からも、本件は典型的な詐欺事件であるように思われます。
もっとも、厳密に考えると上記詐欺罪の要件に該当するのか一考の余地があります。
なぜならば、本件では少年Aに騙され商品を交付した者と被害者が一致していないからです。

詐欺罪における交付行為は、原則として被害者(=物の占有者)が行う必要があります。
これは、詐欺罪が被害者の意思に基づく交付罪であるということから導かれるものです。
しかし、本件で交付を行ったのはあくまで店員であり、店員は通常店の商品の占有者とは考えられていません。
商品の占有は管理者たる店の店長等にあることが通常であり、店員はその占有補助者にすぎません。
したがって、商品を占有する被害者が交付行為を行っていないことから詐欺罪の要件を欠くとも考えられるのです。

もっとも、判例・実務は、このような場合にも詐欺罪が成立しうるとしています。
判例(最判昭和45年3月26日)は、騙された者において被害者のためにその財産を処分しうる権能または地位がある場合には、被害者の意思に基づく交付行為があったと同視できるとしています。
したがって、本件で少年Aに騙されて商品を交付した者も、店員である以上は占有者たる店長から業務上その財産を処分する権能を与えられていたといえることから、少年Aの行為に詐欺罪が成立することになります。

さらに、少年Aは詐欺行為の前提として、「偽造……の有価証券又は虚偽の記入がある有価証券を行使し」ていることから、偽造有価証券行使罪(刑法163条)が成立します。
したがって、少年Aには詐欺罪のみならず、偽造有価証券行使罪も成立することに注意が必要です。
なお、有価証券の偽造行為自体にも関与している場合には有価証券偽造罪(刑法162条)が問われることになります。

~19歳の少年に対する弁護活動~

本件で逮捕された少年Aは19歳であり、いわゆる年齢切迫少年であることが考えられます。
少年法の適用対象となる者は、行為時のみならず少年審判を受ける段階でも20歳未満であることが必要になります。
逮捕された時期と20歳を迎える少年の誕生日の間隔によって、少年事件として扱われるのか成人として通常の刑事事件として扱われることなるのかという点で大きな違いが生じることになるのです。
このように年齢切迫少年の事件においては、少年の年齢や逮捕の時期によって弁護活動も大きく変わってきます。
したがって、少年事件の経験が豊富な刑事事件専門の弁護士に相談することが重要になってくるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年による詐欺事件などの少年事件を含む刑事事件専門の法律事務所です。
詐欺事件で逮捕されてしまった少年のご家族は、年中無休で対応しているフリーダイヤル(0120-631-881)にまずはお電話ください。
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