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少年による特殊詐欺事件

2020-01-23

今回は、高校2年生の少年が、オレオレ詐欺グループの犯行に加担してしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

大阪府立高校2年生で16歳のAくんは、面識のない人物から、SNSのメッセージを通じ、「高収入アルバイト」があることを聞かされました。
その内容は、銀行員を装って、高齢男性から現金を受け取る、というものでした。
1回これに従事すれば、30万円の報酬がもらえるということだったので、Aくんは上記「高収入アルバイト」に参加し、ターゲットの高齢男性から現金300万円を受け取り、指定された場所で指示された人物にこれを引き渡しました。
後日、Aくんの自宅に大阪府淀川警察署の警察官が現れ、「前にやったアルバイトについて聞きたいことがある」とのことです。
Aくんの親は大変驚いています。
Aくんはどうなってしまうのでしょうか。
(フィクションです)

~Aくんにかけられている嫌疑~

Aくんには、詐欺の共犯の疑いがかけられていると思われます。
より具体的には、オレオレ詐欺などを行う犯罪グループと共謀し、その中でもいわゆる「受け子」という役割を遂行した、という嫌疑がかけられているでしょう。

詐欺罪は刑法典上の犯罪であり(刑法第246条1項)、法定刑は10年以下の懲役です。
Aくんが成人であれば、通常の刑事事件として手続が進行するのですが、ケースのAくんは16歳の少年ですから、原則として少年法の適用があり、少年保護事件として手続が進行することになります。
以下、手続の概要と、その状況に応じた弁護活動について、解説していきたいと思います。

~今後の手続~

(捜査段階)
ケースの段階では、まず警察に出頭を求められています。
出頭後は、「高収入アルバイト」に従事するに至った経緯、アルバイトの内容、グループの実態についてかなり厳しく追及されるものと思われます。
逮捕される可能性も十分あります。
ケースのような特殊詐欺事件の「受け子」としてお子様が警察に連れて行かれてしまった場合は、逮捕される可能性を十分踏まえ、早期に弁護士に相談しましょう。

逮捕され、留置された場合は、逮捕時から48時間以内にAくんの身柄が検察庁送致されます。

送致後は、検察官が取調べを行い、身柄を受け取った時から24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAくんの勾留を求めるか(勾留請求)、釈放して在宅で捜査を行うかどうかを決めます。

この段階での弁護活動としては、少年を勾留することの悪影響を訴えかけ、勾留をしないよう働きかけることが考えられます。
また、Aくんが詐欺グループと共謀した事実、詐欺の故意について否認している場合には、即時に釈放するように、あるいは、勾留せず、家庭裁判所にも送致しないよう働きかけることが考えられます。

(家庭裁判所への送致)
検察官は原則として、全ての少年保護事件を、家庭裁判所送致しなければなりません。
勾留されたまま家庭裁判所に送致されると、到着のときから24時間以内にAくんについて「観護措置」をとるかどうかが決定されます。
観護措置がとられると「少年鑑別所」に送致され、Aくんの心身の状況などが調査されます。

観護措置は原則2週間までとされていますが、特に継続の必要があるとされると、1回に限り更新することができます。
多くは更新されています。
特別な要件を満たす場合(少年法第17条4項参照)には、さらに2回を限度として更新することができます。

観護措置がとられると、基本的に4週間近くという長期間、身体拘束を受けることになるので、このような事態はできれば回避したいところです。
そのためには、捜査段階である勾留中に、観護措置をとるだけの必要性がないといえるだけの環境調整を行っていくことが必要です。
また、観護措置決定に対しては、異議申し立てをすることも可能です。

(少年審判)
少年審判において、保護処分の必要が認められると、「少年院送致」「保護観察処分」「児童自立支援施設又は児童養護施設送致」という処分が言い渡されます。
「不処分」という決定もありますが、ケースの場合において、詐欺罪が成立する場合には、あまり期待できない処分です。
ケースの場合は、少年院送致か、保護観察処分のいずれかが言い渡される可能性が高いと思われます。
どちらになるかは、Aくんの家庭環境、交友関係、生活態度、被害額などを考慮して決められます。
大切なのは、Aくんに真摯な内省を促し、家庭環境を整えるなどして、出来る限り保護観察処分の獲得を目指すことです。

まずは弁護士と相談し、よりAくんの将来に悪影響を及ぼさないような事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が特殊詐欺事件に加担した疑いで逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

振込詐欺少年事件で私選付添人

2020-01-18

私選付添人と国選付添人の違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~事例~

兵庫県西宮市在住のAさん(16歳少年)は、振込詐欺グループの一員として、振込詐欺の被害者から金品を受け取る「受け子」という形で、振込詐欺犯罪に関わったとして、兵庫県甲子園警察署に逮捕された。
Aさん逮捕の知らせを警察から聞かされたAさんの両親は、まずは少年事件に強い弁護士をAさんとの面会に向かわせて、弁護士からAさんへの今後の警察取調べ対応のアドバイスを依頼することにした。
その後に、Aさんの身柄は少年鑑別所に移されて、Aさんは家庭裁判所の少年審判を受けることになった。
Aさんの両親は、弁護士が「Aさんの付添人」として少年審判に関与し、Aさんの保護処分を軽くするように少年弁護の働きかけをしてもらえるよう、弁護士に依頼した。
(フィクションです。)

~私選付添人と国選付添人の違いとは~

20歳未満の少年少女が刑事犯罪を起こして逮捕された場合には、一般的なケースによると、まずは警察署で身柄拘束(逮捕・勾留)され、厳しい取調べを受けます。
警察署での勾留期間が満了した後には、少年の身柄は少年鑑別所に移されて、家庭裁判所の調査官による少年の調査が行われます。
この調査の後に、少年自身の更生のためには、どのような保護処分がなされるべきかが、家庭裁判所の少年審判で判断されることになります。

弁護士は「少年の付添人」に選任されることにより、「警察の取調べ」や「家庭裁判所の調査」において、どのように対応するべきかを弁護士が少年にアドバイスする形や、調査官への弁護士意見を述べる形で、少年審判までの少年事件の流れに関与することができます。
少年やその家族が自分で選ぶ弁護士を「私選付添人」といいます。
他方で、少年のために、国が選ぶ弁護士を「国選付添人」といいます。

「国選付添人」は費用がかかりませんが、国が弁護士リストからランダムに選ぶ弁護士であるため、必ずしも少年事件に詳しい弁護士に担当してもらえるとは限りません。
また、「国選付添人」を付けるためには条件があり、事件の刑事処罰が「死刑又は無期若しくは長期三年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪のもの」であり、かつ「検察官関与決定」がされたもの、あるいは「観護措置がとられており、家庭裁判所が付添人の必要性を認めるとき」に限り、国選付添人を付けることができるとされています。

・少年法 22条の3第2項(国選付添人)
「家庭裁判所は、第三条第一項第一号に掲げる少年に係る事件であつて前条第一項に規定する罪のもの又は第三条第一項第二号に掲げる少年に係る事件であつて前条第一項に規定する罪に係る刑罰法令に触れるものについて、第十七条第一項第二号の措置がとられており、かつ、少年に弁護士である付添人がない場合において、事案の内容、保護者の有無その他の事情を考慮し、審判の手続に弁護士である付添人が関与する必要があると認めるときは、弁護士である付添人を付することができる。」

他方で、「私選付添人」は弁護士費用がかかるものの、どのような少年事件においても条件無く付けることができて、少年事件に詳しい弁護士を、少年本人との相性も考えつつ、自分で選ぶことができます。

振込詐欺少年事件においては、まずは警察取調べの初期段階で、少年がどのように事件に関与したか、振込詐欺の犯行グループの中で少年がどの程度の役割を担っていたのか、といった事情につき、弁護士のアドバイスを受けることにより、厳しい警察取調べの中で、少年本人がどう供述していくかが重要となります。
そして、その後の家庭裁判所の調査では、少年の普段の素行や、家族との関わり方、学校との関わり方などが調査されるため、少年の今後のより良い周囲環境作りを弁護士とともに検討していくことが重要となります。

事件早期の段階から、弁護士を「私選付添人」として選任することで、警察取調べから家庭裁判所の少年審判までの流れにおいて、一貫した少年弁護活動や、少年の更正のための環境作りのために、弁護士が深く関与することができます。
兵庫県西宮市振込詐欺少年事件でお困りの方は、刑事事件・少年事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。

放火と少年院送致

2020-01-13

少年事件の逆送について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

【事例】

京都府舞鶴市に住む高校3年生のA君は、自宅で受験勉強を巡って父親と親子喧嘩をした腹いせに、新聞紙にライターで火をつけそれを自宅和室に投げ込みました。
すると和室から煙がもくもくと立ち込めました。これに反応したA君の父親が119番通報、110番通報し、駆け付けた消防隊の活動によって火は消し止められましたが、和室は全焼してしまいました。その後、京都府舞鶴警察署の警察官などの実況見分や事情聴取などからA君が犯人であることが特定されました。そして、A君は現住建造物等放火罪の被疑者として舞鶴警察署の捜査を受けることになりました。
(この事例はフィクションです。)

~ 放火の罪と現住建造物等放火罪 ~

放火の罪は刑法108条から刑法118条まで規定されていますが、A君が疑いをかけられている現住建造物放火罪は刑法108条に規定されています。

刑法108条
 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

現住建造物等放火罪は、現に人がいる住居又は建造物等を放火する罪です。
したがって、法定刑が「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」と刑法犯の中でも重い刑に属します。

「放火して」とは、故意に目的物(家等の建造物)の焼損(燃えること)に原因力を与えることをいいます。
・ライターで新聞紙に火をつけ、その新聞紙を家の中に投げ込む
・燃えている火の中に油を注ぎこむ
などがその典型でしょう。

また、
・はじめはたばこの不始末で畳みが燃えていたものの、これを消化することが可能であったのに、建物を焼損する意図で、殊更発火防止の措置を取らなかった
という不作為も「放火して」に当たる場合があります。

「人」とは犯人以外の者をいいますから、「現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物」とは、犯人以外の者が住む住居、あるいは犯人以外の者がいる建造物ということになります。
「焼損」とは、火が媒介物を離れて目的物に燃え移り、目的物が独立して燃焼を継続しうる状態に達することをいいます。

~ 少年院送致 ~

少年院送致は、家庭裁判所の少年審判において下される保護処分(少年院送致の他に、保護観察、児童自立支援施設または児童養護施設送致があります)の一つです。少年審判では、少年をどの種類の少年院に送致するかまで決定されます(少年審判規則37条1項)。少年院の種類は以下のとおりです(少年院法4条1項1号から3号)。
第1種(1号)
 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がないおおむね十二歳以上二十三歳未満のもの(次号に定める者を除く。)
第2種(2号)
 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね十六歳以上二十三歳未満のもの
第3種(3号)
 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね十二歳以上二十六歳未満のもの
* 少年院の収容期間は? *
少年院の収容期間は、大きく短期処遇と長期処遇にわけられます。
短期処遇は、さらに特修短期処遇と一般短期処遇にわけられ、「特修短期処遇」の場合、「4か月」以内、「一般短期処遇」の場合、「6か月」以内です。長期処遇については10か月から2年です。
さきほど、少年審判では家庭裁判所から処遇に関する勧告が出されることがあります(少年審判規則38条2項)。ここで、家庭裁判所が特集短期処遇、一般短期処遇との勧告を出せば、少年院はこれに従うべきとされています(従う勧告)。また、長期処遇については、「比較的短期」の処遇勧告が出た場合、収容期間は10か月以内とされ、少年院はその勧告を尊重しなければならないとされています(尊重勧告)。しかし、長期処遇について何ら勧告がない場合は、少年院が1年から2年の範囲内で決めています。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は,まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。どうぞ、お気軽にご相談ください。

少年の無免許運転事件

2020-01-09

今回は、少年が自動車を無免許で運転してしまった場合の弁護活動につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

福岡市中央区に住むAくんは、16歳の高校生です。
不良仲間のA2くんらを誘い、自家用車を運転していたところ、福岡県中央警察署の警察官の検問により止められ、無免許運転が発覚してしまいました。
Aくんらは任意で取調べを受けた後、親が身元引受人となって帰宅することができましたが、Aくんの親は今後どうなってしまうのか不安に感じています。
どうすればよいのでしょうか。
(フィクションです)

~まずは弁護士に相談~

まずは、少年事件の得意な弁護士に相談しましょう。
弁護士に相談することにより、今後の手続について理解することができ、さらに、弁護活動を依頼すれば、Aくんになされる処分を軽くすることを目指して活動してもらえます。

~少年事件の手続~

Aくんの行った行為は、「無免許運転」という犯罪行為です。

※道路交通法第117条の2の2第1号(抜粋)
第百十七条の二の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 法令の規定による運転の免許を受けている者(第百七条の二の規定により国際運転免許証等で自動車等を運転することができることとされている者を含む。)でなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)又は国際運転免許証等を所持しないで(第八十八条第一項第二号から第四号までのいずれかに該当している場合又は本邦に上陸をした日から起算して滞在期間が一年を超えている場合を含む。)運転した者

無免許運転を行うと、成人であれば、上記の通り、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
もっとも、よく知られている通り、Aくんは少年ですから、少年法の適用があり、上記の様な懲役刑を受けたり、あるいは罰金刑を受けることはありません。
その代わり、少年保護事件として手続が進行し、家庭裁判所による審判が開かれれば、Aくんの事情に応じた保護処分を言い渡されることになります。

(警察、検察段階での手続)
ケースの直後はこの段階に当たるでしょう。
このまま在宅で事件が進行すれば、警察の呼び出しに応じて出頭し、取調べを受けます。
検察でも同様です。

(家庭裁判所への送致)
少年事件では、事件が原則として家庭裁判所に送致されることになります。
成人における「起訴猶予処分(有罪を立証する用意があるが、検察官の裁量で被疑者を裁判にかけない処分)」のように、捜査機関限りで事件が終了することはありません。

(家庭裁判所への送致後)
家庭裁判所に送致された後は、「観護措置」をとるかどうかを決定します。
身柄を拘束されている少年は24時間以内に判断されます。
観護措置がとられると、少年鑑別所に収容され調査を受けることになります。
観護措置をとらない場合であっても、Aくんの家庭環境や、心身の状態、犯罪傾向などが調査されます。

~ケースの場合に予想される処分~

審判開始決定がなされた場合は、在宅でAくんの改善更正を図る「保護観察処分」か、保護処分などを行わない「不処分」を言い渡される可能性が高いでしょう。
保護観察処分は在宅で行われますが、保護観察所の指導監督・補導援護を受けなければならないので、少なからずAくんにも負担がかかります。
不処分を獲得できれば、上記の様な負担がかかりません。

関係者によるAくんへの働きかけ(説諭、訓戒)や、Aくんの交際関係などを見直したことが家庭裁判所に評価され、保護処分の必要がないと認められれば、不処分となる可能性が十分あります。
まずは、少年事件を得意とする弁護士のアドバイスを聞き、Aくんの将来に及ぼす悪影響が最も少ない、有利な事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が無免許運転事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

少年の殺人未遂事件における弁護活動

2020-01-05

少年の殺人未遂事件における弁護活動

今回は、少年が殺人未遂事件を起こしてしまった場合における弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

中学生のAくん(15歳)は、東京都台東区に住む同級生のVの胸をナイフで刺し、殺害しようとした疑いで警視庁本富士警察署に現行犯逮捕されてしまいました。
Vに対する怨恨が動機のようです。
Aくんの親は大変ショックを受けましたが、Aくんの将来に悪影響を与えないように弁護士を依頼することを検討しています。
少年事件で弁護士を頼むメリットとして、どのようなものがあるのでしょうか。(フィクションです)

~殺人未遂事件について~

殺人の実行に着手したものの、これを遂げなかった場合に、殺人未遂罪が成立します。
殺害しようとしたが、相手を傷つける前に犯行を止められた、あるいは、相手を傷つけてしまったが、相手は死亡しなかった、という場合が典型例となります。

ケースのAくんは、殺意を持ってVの胸を刺し殺害しようとしたが、これを遂げなかった、というものです。
このような場合に殺人未遂罪が成立する可能性は極めて高いと思われます。

~少年事件の手続~

Aくんは20歳に満たない少年ですから、少年保護事件として手続が進行します。
そのため、殺人未遂事件を起こした場合であっても、原則として刑罰を受けることはなく、必要に応じて保護処分を言い渡されることにより、事件が終了することになります。
最終的にAくんに言い渡される可能性のある処分については、後述します。

(捜査段階)
少年保護事件であっても、捜査段階において逮捕・勾留されうるという点は、成人と同じです。
捜査中は、Vを殺害しようとするに至った動機、犯行態様などについて詳しく聞かれることになります。

(家庭裁判所への送致)
捜査機関での捜査が終わると、家庭裁判所に送致されます。
送致後、家裁が「観護措置」を行うか否かを検討します。
この段階までに勾留がついていると、観護措置がとられる可能性が高いです。

観護措置がとられると、2週間身体拘束を受けることになります。
この期間は1回更新することができ、殺人未遂などの重い事件で証人尋問の決定などをして、少年を収容しなければ審判に著しい支障が生じるおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある場合には、さらに2回を限度として更新することができます。
以上を合計すると、最大8週間、観護措置として身体拘束を受ける可能性がある、ということになります。

観護措置を受けると、少年鑑別所に収容され、Aくんの心身の調査などが行われます。
この調査の結果は、後の少年審判に役立てられます。

(気をつけるべき処分)
少年法第20条1項は、
「死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない」
としています。
これを「検察官送致」、「逆送」と呼びます。

先ほど、「原則として刑罰を受けない」と記載しましたが、上記の処分がなされると、成人と同様に刑事裁判にかけられ、刑事罰を受けなくてはならなくなる可能性が極めて高くなります。
また、公開の法廷で審理が行われるので、Aくんの負担も大きくなります。
本件は、殺人未遂事件として手続が進めば裁判員裁判となりますので、Aくんの負担はさらに大きなものとなるでしょう。
Aくんの将来を考えると、この処分は回避したいところです。
弁護士は、罪質は実際のところ傷害でありそれほど重くはないことや、検察官送致を行うことによってAくんに生じる不利益について、家庭裁判所の裁判官に説明し、上記処分の回避に努めます。

(審判)
保護処分には、①保護観察処分、②少年院送致、③児童自立支援施設又は児童養護施設送致があります。
Aくんには、少年院送致が言い渡される可能性が高いでしょう。
少年院では、身体拘束を伴うなど、Aくんにとって負担になりうる処遇がなされますが、少年院はAくんの改善更正を重視している施設ですから、必ずしもAくんの将来のためにならないわけではありません。

少年事件では、Aくんの将来を踏まえ、真摯に内省を促し、改善更正を目指していくことが重要な目的となります。
どのように取り組むかにより、Aくんの改善更生を大きく左右します。

少年法に詳しい弁護士のアドバイスを受けながら、事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が殺人未遂事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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校内を自転車で走り回り逮捕

2019-12-31

校内を自転車で走り回り逮捕

今回は、少年の建造物侵入事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

東京都八王子市在住のAくんは、14歳の中学2年生です。
日頃から共にイタズラなどをして遊んでいる仲間数名を誘い、深夜、通学先である中学校の校舎内を自転車で走り回るなどしました。
防犯装置を作動させてしまったらしく、しばらくすると警備員と警察官が中学校に駆け付け、Aくんらは建造物侵入の疑いで警視庁高尾警察署に現行犯逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~少年の建造物侵入事件~

Aくんらが行った行為は、建造物侵入罪を構成する可能性の高い行為です。
ただし、Aくんは14歳の「少年」なので、少年法の適用があり、逮捕後も、原則として刑罰を受けることはありません。
その代わり、少年保護事件として手続が進行することになります。

少年が犯罪を犯すと、少年院などに行く場合がある、ということはよく知られています。
ですが、少年院送致は、家庭裁判所で言い渡される保護処分の一つにすぎず、少年院送致以外の処分が言い渡されることもあります。

保護処分には、前述の①少年院送致、②保護観察処分、③児童自立支援施設又は児童養護施設送致があります。
家庭裁判所がAくんに保護処分を言い渡す場合、Aくんの犯罪傾向、家庭環境、交友関係などを考慮し、保護処分の種類を決定します。

~今後の手続~

少年が非行を行った場合、直ちに上記の保護処分が言い渡されるわけではありません。
ケースの場合に想定される手続を大まかに説明すると、
警察や検察などの捜査機関による捜査→家庭裁判所への送致→少年の調査→少年審判→保護処分等の決定
という流れになると思われます。

(捜査段階)
原則として刑罰を受けることはない、と述べましたが、捜査段階においては刑事訴訟法の適用があるので、成人と同じく、逮捕・勾留される可能性があります。
現に、Aくんは現在、現行犯逮捕されています。
この段階で、Aくんのためにどのようなことができるでしょうか。

逮捕直後であれば、勾留を避ける活動を行うことが検討されます。
逮捕され、さらに勾留がつくと、最長23日間も身体拘束を受けることになります。
弁護士は、少年を長期間勾留することの悪弊、逃亡や罪証隠滅のおそれがなく勾留の要件を満たしていないことなどを検察官や裁判官に主張し、勾留をしないよう求めることができます。

勾留されてしまった後は、勾留決定に対する不服申立制度を活用し、勾留の取消を求めて活動することが考えられます。

(家庭裁判所への送致)
上記の身柄解放活動が功を奏し、在宅事件として手続が進行する場合も、勾留された状態で手続が進行する場合も、検察官は最終的に、Aくんを家庭裁判所に送致しなければなりません。
家裁に送致された後は、24時間以内に「観護措置」をとるか否かが決められます。
観護措置がとられると、少年鑑別所に収容され、Aくんの資質、性格などが、様々な専門的方法により調査されます。
観護措置がとられなければ、そのまま家に帰ることができます。

(審判開始決定)
審判を開始する決定がなされると、非公開の少年審判が開かれます。
ここで、冒頭に記載した保護処分やその他の決定(不処分など)が言い渡されることになります。

~目指すべき到達点~

Aくんの家庭環境に大きな問題がある(育児放棄がなされているなど)場合でなければ、ケースの場合、裁判官による訓戒のみで処分を下さない不処分や、保護観察処分が言い渡される可能性が高いでしょう。

少年院送致が言い渡された場合は施設に収容され、特別の場合を除いては外出することができないのに対し、保護観察処分の場合は、在宅で改善更正を図ることができます。
不処分の場合は、審判をもって終わりとなります。
Aくんの犯罪傾向がそれほど進んでおらず、また、家庭環境に問題がないのであれば、A君の負担を少なくするために、不処分ないし保護観察処分を獲得すべきです。

そのためには、家庭裁判所の裁判官に、Aくんが在宅でも改善更正できており、処分は必要ないことを納得させなければなりません。
そのためには、審判に先立ち、共犯者である仲間との交際の態様を見直しながら、Aくんをとりまく環境を調整していく必要があります。
少年事件を専門とする弁護士のアドバイスが大いに役立つと思います。
弁護士のアドバイスを受けながら、事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が建造物侵入事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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少年による暴行事件の簡易送致

2019-12-26

少年による暴行事件の簡易送致

少年の暴行事件簡易送致について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ ケース ~

神奈川県横須賀市の中学校に通うA君(15歳)は、高校受験のストレスなどから担任の教師Vの顔を殴る蹴るなどの暴行を加えました。V教師は学校と相談の上、神奈川県横須賀警察署に被害届を提出しました。そこで、A君は暴行罪の被疑者として捜査を受けることにしました。A君は、Vに暴行を加えたことを全面的に認め、Vに謝罪した旨を申し出ています。そこで、A君とA君の両親は、少年事件に詳しい弁護士に今後の対応を相談しに行き、弁護活動を依頼しました。依頼を受けた弁護士は、さっそくVに謝罪と示談交渉したい旨の連絡を入れ、A君が書いた謝罪文を持って示談交渉に臨みました。そして、弁護士はVとの間で示談を成立させ、その結果を警察に連絡しました。そうしたところ、弁護士は警察から検察庁に簡易送致する旨の回答を得ました。
(フィクションです。)

~ 暴行罪 ~

暴行罪とはどんな罪なのでしょうか??
暴行罪は刑法208条に規定されています。

刑法208条
 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

暴行罪の「暴行」とは、人の身体に向けられた不法な有形力の行使をいうとされています。
殴る、蹴る、突く、押す、投げ飛ばすなど人の身体に直接触れる行為が暴行の典型ですが、それに限らず、

・着衣を強く引っ張る行為
・胸ぐらをつかむ行為
・人に向かって石やガラスコップを投げる行為、棒を振りかざす行為
・毛髪をはさみなどで切断する行為
・教室内で金属棒を振り回す行為

なども暴行に当たるおそれがあります。

暴行罪には「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」という刑罰にが規定されています。
しかし、少年(20歳未満の者)が暴行罪を犯したからといって、直ちにこれらの刑罰を科されるわけではありません。

成人の場合は、捜査(逮捕、取調べなど)→起訴→裁判→有罪→刑罰という流れをたどります。
他方、少年の場合は、捜査→家庭裁判所送致→少年審判→保護処分少年院送致保護観察など)という流れをとどることが一般的です。
また、少年審判は必ず開かれるものではありません。家庭裁判所送致後の調査で、少年審判に付することができず、又は少年審判に付するのが相当でないと認められる場合は少年審判は開かれません。

~ 家庭裁判所へ送致されるルートは2つ ~

以下は、少年事件の捜査→家庭裁判所送致までの流れをご説明します。

捜査機関は少年事件について捜査を遂げた結果、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料されるときは、すべての少年事件を家庭裁判所へ送致しなければなりません。
これを全件送致主義といいます。

事件が捜査機関から家庭裁判所へ送致されるルートは2つあります。
一つは、警察から直接、家庭裁判所へ送致されるルートです。直送事件とも呼ばれています。ただし、このルートで送致される事件は、過失傷害罪(30万円以下の罰金)、軽犯罪法違反(拘留、又は科料)など法定刑が「罰金以下の刑に当たる罪」に限られます。
もう一つは、警察から検察庁を経て家庭裁判所へ送致されるルートです。法定刑に罰金刑が規定されていても、選択刑として懲役刑が規定されていると、その罪に関する事件はこのルートで送致されることになります。
暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」ですから、後者のルートで送致されることになります。

~ 少年事件の簡易送致制度 ~

しかし、事案が軽微で少年の保護の必要のない事件についてまで一律に同じ手続きで家庭裁判所に送致させることは、少年にとっても負担ですし、保護善導する上でも効果的とはいえません。また、多くの事件を取り扱う捜査機関の負担にもなりかねません。
そこで、一定の基準を満たす少年事件については、簡易送致制度に基づき簡易送致手続が行われています。
これは、被疑少年ごとに少年事件簡易送致書という書類を作成し、直送事件の場合は直接家庭裁判所へ、直送事件でない場合は検察官へ送致する手続きです。

いかなる場合に簡易送致とするかは犯罪捜査規範第214条に規定されています。

犯罪捜査規範214条

1 捜査した少年事件について、その事実が極めて軽微であり、犯罪の原因及び動機、当該少年の性格、行状、家庭の状況及び環境等から見て再犯のおそれがなく、刑事処分又は保護処分を必要としないと明らかに認められ、かつ、検察官又は家庭裁判所からあらかじめ指定されたものについては、被疑少年ごとに少年事件簡易送致書及び捜査報告書(略)を作成し、これに身上調査表その他の関係書類を添付し、一月ごとに一括して検察官又は家庭裁判所に送致することができる。
2 前項の規定による処理をするに当たつては、第二百条(微罪処分の際の処置)に規定するところに準じて行うものとする。

これからすると、簡易送致の対象は

・事実が極めて軽微であること
・犯罪の原因及び動機、当該少年の性格、行状、家庭の状況及び環境等から見て再犯のおそれがないこと
・刑事処分、保護処分を必要としないと明らかに認められること
・検察官又は家庭裁判所からあらかじめ指定された事件であること

の条件を満たす必要がありそうです。

~ 簡易送致のメリットは?簡易送致を目指すには? ~

簡易送致された場合は、検察庁から呼び出しを受けて取調べを受ける可能性は低いでしょう。また、家庭裁判所で少年審判を受ける可能性も低いと思われます。
簡易送致するか否かは警察が決めますから、簡易送致を目指すには、警察が事件を検察庁に送致する前に、被害者に被害弁償し示談を成立させた上でその結果を警察に提出する必要があります。また、少年を取り巻く環境を整え、更生可能性、再犯のおそれがないこともしっかりアピールする必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。刑事事件少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談初回接見サービスの予約受付を承っております。

少年が特殊詐欺事件で窃盗未遂罪に

2019-12-21

少年が特殊詐欺事件で窃盗未遂罪に

特殊詐欺に関与して窃盗未遂罪を疑われた少年事件について,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事例~

少年A(19歳)は,Xの指示により,いわゆる受け子(被害者から被害品を受け取る役)を担うことになっていた。
Xは架け子(被害者に電話をかけて騙す役)として,V(埼玉県越谷市在住)に対し「あなたのキャッシュカードが悪用されている」「これから警察がチェックしにお宅に伺う」等の嘘をついてVを騙した。
XとAは,この後,数時間以内にAがV宅に赴き,キャッシュカードをチェックする振りをして,カード状のものとすり替え持ち去るという計画を立てていた。
計画通りV宅に向かっていたAだったが、不審さを感じた埼玉県越谷警察署の警察官は,職務質問を開始し,その後,少年Aを窃盗未遂罪の疑いで逮捕した。
Aの家族は,少年事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~少年と特殊詐欺の受け子~

本件は,近年社会問題となっている(主に高齢者を被害者とする)特殊詐欺の中でも「すり替え詐欺」と呼ばれているものの一種です。
もっとも,特殊詐欺の一部とされているものの,本件では窃盗未遂罪によって逮捕されています。
では,なぜ詐欺未遂罪ではなく窃盗未遂罪が成立すると考えられているのでしょうか。

詐欺罪とは「交付罪」と呼ばれる類型に分類されます。
条文上も「人を欺いて財物を交付させた者」(刑法246条1項)を詐欺罪とする旨定めており,詐欺罪の成立には被害者の意思に基づく「交付」が必要になることが分かります。
これに対し,窃盗罪(刑235条)は奪取罪と呼ばれる類型であり,被害者の意思に反して財物の占有を取得する犯罪と位置づけられています。
したがって,窃盗罪詐欺罪は,被害者の意思に基づく交付行為があったか否かによって区別されることになると考えられています。
本件では,Vの隙を見てカードの入った封筒を持ち去るつもりであることから,Vによる「交付」行為は予定されていないことになります。
したがって,詐欺罪ではなく窃盗罪が成立するか否かを検討すると考えられます。

なお,本件で重要な事実として,Aは被害者宅に到着することなく逮捕されてしまったことが挙げられます。
このような場合,まだAはVに対し何も行っていないのですから,窃盗未遂罪が成立する余地はないように思われるかもしれません。
しかし本件では,多くの特殊詐欺事案と同じように,首謀者たる架け子がすでにVを電話で騙しています。
未遂罪は「犯罪の実行に着手」(刑法43条本文)することで成立するものであり,架け子による電話が実行の着手と評価される余地があります。
そうなると、犯行計画を立てるなどして架け子と共謀(刑法60条参照)を遂げたAにも窃盗未遂罪が成立する可能性があるのです。

~少年事件における刑事弁護士の活動~

少年事件では、通常の刑事事件と異なり,原則として全ての事件を家庭裁判所に送ることになっています(全件送致主義)。
一般に、少年は少年法によって過剰に保護されているなどといった印象をお持ちの方も多いかもしれません。
しかし,上記のような点から鑑みれば,むしろ少年法は少年に対し厳格な手続を採っているともいえるのです。
たとえば、成人であれば微罪処分不起訴処分が予想される軽微な事件でも、少年事件では原則どおり家庭裁判所に送致することが求められるからです。
もっとも、基本的に少年事件であっても、逮捕されてから家裁に送致されるまでの間は通常の刑事事件と変わるところはありません。
したがって、弁護士による接見によって、正確な刑事手続に関する知識を与え、安易に捜査官の取調べに流されないように勇気づける等のアプローチをすることが極めて重要になってくるのです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件を含む刑事事件を専門とした法律事務所です。
弊所は刑事事件を専門としているため、少年事件の経験も豊富な弁護士が多数所属しています。
窃盗事件逮捕された少年のご家族等は、フリーダイヤル(0120-631-881)まで早急にお問い合わせください。
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証拠隠滅罪と少年事件の流れ

2019-12-16

証拠隠滅罪と少年事件の流れ

少年による証拠隠滅事件の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ ケース ~

このところ、テレビなどでは「大阪府箕面市内のコンビニXに強盗が押し入り、金属棒で店員を殴りつけ逃走した」というニュースが連日報道されていました。
同市に住むA君(19歳)は、ある日、先輩のB(20歳)から呼び出され、上記事件の犯人がBであることを打ち明けられました。そして、A君は、Bから犯行に使用した金属棒を隠すよう言われました。A君は犯行にかかわりたくないと思いながらも、過去にBから様々お世話になったことを思い出し、Bの頼みを聞き入れることにしました。そして、A君はBに言われたとおり、金属棒を捨てたところ、大阪府箕面警察署の警察官の職務質問をされました。そして、A君はこれまでの経緯を警察に説明したところ、証拠隠滅罪で逮捕されました。また、その後、Bも強盗致傷罪で逮捕されました。
(フィクションです。)

~ 証拠隠滅罪 ~

証拠隠滅罪は刑法104条に規定されています。

刑法104条

他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

「他人の」とは、行為者以外の者をいいます。
この点、「自己の」とされていない点に注意が必要です。
つまり「自己の」刑事事件に関する証拠を隠滅しても証拠隠滅罪は成立しません。
これは、罪を犯した犯人自身にこうした行為に出ないことについて期待することが難しいという考えに基づきます。

「刑事事件」とは、現に裁判中に限らず、捜査中の事件も含まれます。また、少年法により将来刑事処分を受ける可能性がある少年保護事件も含まれると解されています。
「証拠」とは、物にかぎらず、人(被害者、目撃者など)も含まれます。
「隠滅」とは、物理的に滅失させるだけではなく、証拠の顕出を妨げ、その価値を減失・減少させるすべての行為を含むと解されています。

なお、今回、A君はBの強盗への関与は認められませんが、仮に関与が認められる場合(たとえば、犯行中に見張りをした、犯行の準備段階で金属棒を貸したなどの場合)は強盗致傷罪の共犯者となる余地が出てきます。
共犯者となった場合、金属棒は「他人の」刑事事件に関する証拠と同時に自己の刑事事件に関する証拠にもなります。
この場合における証拠隠滅罪の成否について、最高裁判所の見解は明らかにされておらず、他の裁判所では肯定も否定もありうるところです。

~ 事件認知後の少年事件の流れ ~

少年の場合も、事件が認知されれば、家庭裁判所送致までは基本的には成人と同様の流れとなります。
逮捕勾留され身柄を拘束されることもありますし、在宅被疑者として警察から出頭の要請に応じるべき場合もあります。
一方、必要な捜査がひととおり終わり家庭裁判所へ送致された後は、専門職員による調査・面会、家庭裁判所調査官による調査・面会などを受けることになります。送致の段階で勾留により身柄を拘束されている場合は、観護措置を取られ少年鑑別所に収容されます。
各機関なの調査・面会が終わると、必要に応じて少年審判が行われます(審判不開始により受ける必要がない場合もあります)。
少年審判では、保護観察少年院送致などの保護処分や、検察官送致(いわゆる逆送)の決定が下されます。
少年審判の結果不処分とされることもありえますが、多くの場合は上記の処分に付されると考えて差し支えないでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

高校生の脅迫事件で不処分決定を目指す

2019-12-11

高校生の脅迫事件で不処分決定を目指す

今回は、少年の脅迫事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

兵庫県小野市に住む高校生(16歳)のAくんは、友人Vに含むところがあり、VのSNSのコメント欄に「調子に乗るなよ。家に火をつけようか。熱いだろうな」などと書きこんでしまいました。
Vは恐怖し、親に相談したところ、親は激怒して兵庫県小野警察署に被害届を提出しました。
ある日、Aくんの自宅に少年係の警察官が現れ、「SNSのことで聞きたいことがある」と告げ、A君は任意同行されてしまいました。
Aくんはその晩帰宅できましたが、今後どうなってしまうのか不安です。
Aくんの両親から相談を受けた弁護士は、脅迫罪に当たる可能性があることを指摘したうえで、不処分を目指すことを提案しました。(フィクションです)

~Aくんには何罪が成立するか?~

脅迫罪を構成する可能性が高いと思われます。
脅迫罪は、「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫」する犯罪です(刑法第222条1項)。

「自宅に火をつけようか」と申し向ける行為は、上記の害悪の告知に該当する可能性が高いと思われます。

実際に火をつける訳ではなくても、「自宅に火をつけようか」と申し向けること自体が「脅迫罪」を構成する可能性があるということです。
仮に実際にVの自宅に火をつけた場合には、別途「現住建造物等放火罪」(刑法第108条)に問われることになるでしょう。

~Aくんの事件はどう解決すべきか?~

(特殊な少年手続)
Aくんは少年なので、脅迫罪を構成しうる行為を行ったとしても、原則として刑罰に問われることはありません。
その代わり、少年保護事件として手続が進み、必要に応じて家庭裁判所により保護処分を言い渡されることになります。

(大まかな手続の流れ)
現在、在宅事件として捜査が行われているので、警察の出頭要請に応じて出頭し、取調べを受けることになります。
在宅捜査中、Vに腹いせをしたり、口封じなどを試みた場合、罪証隠滅のおそれがあると判断され、逮捕されてしまう可能性が高まります。
事件が解決するまでは、不必要にVと接触しない方が賢明でしょう。
また、出頭要請には、特段の事情が無い限り、応じた方が良いと思われます。
決まった出頭日に出頭しない場合、逃亡のおそれがあると判断され、やはり逮捕されてしまう可能性を高めてしまうことになります。

捜査機関が捜査を遂げると、Aくんは家庭裁判所に送致され、非行事実の確認やAくんの人物像などの調査が行われることになります。
その際、調査を円滑に行うために「観護措置」を行うかどうかを検討されます。
観護措置が行われると、少年鑑別所に収容されて調査を受けることになります。

これまで在宅で捜査がなされてきた場合であっても、観護措置決定がなされ、少年鑑別所に収容されることはありえます。
少年鑑別所に収容されてしまうと、2週間の身体拘束を受けることになります。
期間は、1回更新することができ、さらに、要件を満たす場合は、さらに2回を限度として更新することができます。
今回のケースで観護措置決定がなされた場合、一般的な傾向に照らせば4週間収容されると見込まれます。
身体拘束の期間が長引くと、Aくんにとって不利になります。
なるべく早い段階で弁護士に依頼し、観護措置決定がとられないように活動してもらいましょう。

(審判)
調査の結果、審判を開始するのが相当であると認めるときは、審判開始決定がなされます。
少年審判では、必要に応じて、①保護観察処分、②少年院送致、③児童自立支援施設又は児童養護施設送致といった、保護処分が言い渡されます。
これに対し、いずれの保護処分にも付する必要がないと認められれば、何らの処分も行わない不処分決定がなされます。

少年審判が開始された場合において、Aくんにもっとも負担がかからないのは、不処分決定を獲得することです。
不処分決定を獲得するためには、審判開始決定がなされる前から、Aくんに真摯な内省を促し、家庭環境を調整するなどして、Aくんの監護態勢を整えておく必要があります。
どのようにすれば説得的な環境調整ができるのか、という点については、少年事件を専門とする弁護士の助言が大いに役立つでしょう。
お子様がケースのような事件を起こしてしまった場合には、なるべく早い段階で弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が脅迫事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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