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中学生が学校で暴行

2019-10-12

中学生が学校で暴行

~ケース~
東京都新宿区所在の中学校に通う中学3年生(15歳)のAくんは、頻繁に校内暴力事件を起こしており、学校からも問題視されていました。
ある日、校内で同級生Vと喧嘩騒ぎを起こしてしまい、AくんはVの顔面を右手の拳で殴打してしまいました。
学校もAくんの暴力が甚だしく手に負えなかったので、警察に通報しました。
Vは鼻骨を骨折する傷害を負っており、Aくんは傷害罪の疑いで警視庁新宿警察署逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~傷害罪について解説~

傷害罪とは、その名の通り、人の身体を傷害する犯罪です(刑法第204条)。
鼻骨の骨折は、当然、傷害罪にいう「傷害」に該当するでしょう。
暴行によって傷害を負わせてしまった場合には、犯人において被害者を傷害するつもりがなくても傷害罪が成立すると考えられています。
つまり、相手方に怪我などを負わせるつもりがなかったとしても、故意に暴行を加えている以上は怪我などについても責任を負うということです。
傷害罪の法定刑は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金となっています。

~Aくんは今後どうなるのか?~

Aくんは「少年」(20歳未満の者)ですから、少年法の適用があります。
したがって、傷害事件を起こしてしまった場合であっても、原則として、少年法の定める少年保護手続にのっとり、Aくんに必要な保護処分を行うことを目的として事件が進行します。

少年法の適用がある場合でも、捜査段階においては刑事訴訟法の適用があるので、細かい相違点はありますが(少年鑑別所を勾留の場所とすることができるなど)、おおむね成人と同様に手続が進行します。

まずは警察署に引致され、取調べを受けることになります。
引き続き留置する必要が認められると、逮捕時から48時間以内にAくんの身柄が検検察庁へ送致されます。

送致されると、検察官が取調べを行い、検察官は身柄を受け取ったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内にAくんの勾留を請求するか、Aくんを釈放するかを決めなければなりません。
勾留されてしまうと、上記期間に加えて更に10日間も身体拘束が続きます。
やむを得ない事由があると認められると、さらに最長10日間勾留が延長されます。

~Aくんの身柄解放活動~

上記の通り、Aくんが勾留されると、捜査段階で最長23日間もの間身体拘束を受けることになります。
Vが同じ学校の生徒であることを考えると、事件の被害者との接触が懸念される結果、身体拘束を受ける可能性が高くなるでしょう。
一方で、Aくんは中学3年生であり、Aくんの将来設計に関して重要な時期ということができます。
そのような時期に、長期間勾留されることは避けたいところです。
そこで、弁護士に依頼し、勾留を阻止する活動、釈放に向けた活動など、早期の身柄解放を実現するために行動することをおすすめします。
釈放され、在宅で事件が進行するのであれば、今まで通り学校に通うことができ、Aくんの将来に及ぼす悪影響もなるべく小さくすませることができるでしょう。

~家庭裁判所での審判~

捜査の最終段階において、検察官はAくんを家庭裁判所に送致します。
少年法は全件送致主義が採られているので、事件の性質、Aくんの内省を考慮して、家庭裁判所に送致しない、という選択肢がとられることはありません。

家庭裁判所での審判が開かれると、Aくんに保護処分が必要かどうか、ということが検討されます。
保護処分の種類として、①少年院送致、②保護観察処分、③児童自立支援施設または児童養護施設送致があります。
これらは刑罰ではなく、Aくんの改善更正を図るためになされる処分です。
家庭裁判所における審判が開かれた場合、少年院送致か、保護観察処分がなされる可能性が高いと思われます。
少年院送致の場合は少年院での生活を求められるため、特別の場合を除いて外出することはできません。
一方、保護観察処分は在宅で行われるので、家に帰ることができます。

Aくんが中学3年生であることを考慮すると、なるべく在宅で改善更正を図る処分を獲得したいところです。
そのためには、Aくんに真摯な内省を促し、家庭環境などを調整し、Aくんが在宅でも改善更正しうることを家庭裁判所に納得してもらわなければなりません。
弁護士のアドバイスを受けながら、環境調整を行い、よりAくんにとって有利な事件解決を目指していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、少年の暴行事件についてもご相談いただけます。
お子様が暴行事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

初回法律相談:無料

虞犯少年と一時保護

2019-10-07

虞犯少年と一時保護

東京都東村山市に住む高校2年生のAさん(16歳)は、浪費癖が激しく、親からお金をもらってはお金を遊び代に使い果たすことを繰り返していました。そして、親からもらう小遣いでは足りないと感じたAさんは、出会い系サイトで援助交際をしてくれる男性を募り、男性にあっては性交などに応じて男性からお金をもらっていました。そうしたある日、Aさんはいつものように援助交際をしようと思ってスマートフォン片手に街を歩いていると、警視庁東村山警察署の私服警察官から補導を受けてしまいました。その後、警察官はAさんの両親にもこのことを伝えましたが、Aさんを両親のもとへ帰すのは適当ではないと判断し、児童相談所に通告しました。そして、Aさんは虞犯少年として児童相談所一時保護されてしまいました。
(事実を基に作成したフィクションです。)

~ 虞(ぐ)犯少年 ~

虞犯少年とは、少年法3条1項3号イないしニに定められている事由があって、その性格または環境に照らし合わせて、将来罪を犯し、または刑罰法令に触れる行為をするおそれがある少年(20歳未満の者)のことを言います。
虞犯少年であるかどうかは、1回限りの虞犯事由の該当行為や行状だけでは判断されず、飲酒、喫煙、怠学、性風俗での稼働・援交の事実等の外部的行状に加えて本人の性格、環境などを照らし総合的に判断されています。

少年法3条1項3号
イ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること
ロ 正当の理由がなく家庭により附かないこと
ハ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること
二 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること

~ 虞犯少年の取り扱い ~

虞犯少年の取り扱いは、年齢により異なります。

虞犯少年14歳未満の場合は、保護者がいないとき又は保護者に監督させることが不適当であると認められるときは、児童相談所に通告されます。その上で、家庭裁判所の少年審判に付すことが適当であると認められる場合に、虞犯事案が家庭裁判所へ送致されます。
虞犯少年14歳以上18歳未満の場合は、保護者がいないとき又は保護者に監督させることが不適当であると認められ、かつ家庭裁判所に直接送致することが不適当であると認められ、かつ家庭裁判所に直接送致するよりも、まず児童福祉法による措置に委ねるのが適当であると認められる場合は児童相談所に通告されます。
虞犯少年18歳以上の場合は、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料される場合に、家庭裁判所に送致されます。

このように、虞犯は犯罪ではありませんが、虞犯少年とされた場合、家庭裁判所の審判に付される可能性があります。
これは、いまだ犯罪行為にまだ至っていない少年を早期に発見し、審判前の調査を通じて、少年に対して適切な保護を与えることにより、犯罪の種(目)を事前に摘んでおこう、という狙いがあるからです。

~ 一時保護とは ~

一時保護は、児童福祉法33条に基づく措置です。

児童福祉法33条1項
 児童相談所長は、必要があると認めるときは、第二十六条第一項の措置を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、児童の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該一時保護を行わせることができる。

そして、厚生労働省の「児童相談所運営指針」では、

① 緊急保護
② 行動観察
③ 短期入所指導

を要する場合に一時保護するとしています。なお、①緊急保護については

ア 棄児、迷子、家出した子ども等現に適当な保護者又は宿所がないために緊急にその子どもを保護する必要がある場合
イ 虐待、放任等の理由によりその子どもを家庭から一時引き離す必要がある場合(略)
ウ 子どもの行動が自己又は他人の生命、身体、財産に危害を及ぼし若しくはそのおそれがある場合

と区分されており、A君はアに基づき一時保護された可能性があります。

一時保護の期間は、児童福祉法上は「第二十六条第一項の措置を採るに至るまで」としか規定されていませんが、先の指針では、

一時保護は子どもの行動を制限するので、その期間は一時保護の目的を達成するために要する必要最小限の期間とする。
一時保護の期間は2ヶ月を超えてはならない。ただし、児童相談所長等は、必要があると認めるときは、引き続き一時保護を行うことができる。

としています。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。刑事事件少年事件逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見無料法律相談の予約を受け付けております。

少年の特殊詐欺事件で逮捕

2019-10-02

少年の特殊詐欺事件で逮捕

事例:主犯であるBは,Vの息子になりすまして,Vに用意しておいた口座に現金を振り込ませようとした。
Bは,少年A(18歳)に対し,自らが現金を引き出せない場合は代わりに引き出してほしい旨を告げ,少年Aはこれを了承した。
そして,少年AはBの代わりに,神奈川県横浜市内でVが振込んだ現金を引き出した。
神奈川県戸塚警察署の警察官は,詐欺事件に関与したとして少年Aを逮捕した。
Aの家族は,少年事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実を基にしたフィクションです。)。

~特殊詐欺における出し子と少年~

近年,オレオレ詐欺などを含めたいわゆる特殊詐欺が社会問題となっていますが,こういった特殊詐欺に少年が関与することも珍しくありません。
首謀者が架け子(電話を掛けて被害者を騙す役)というリスクの比較的低い行為を担当し,出し子(騙し取ったキャッシュカードでお金を引き出す役)や受け子(騙された被害者からキャッシュカードやお金を受け取る役)というリスクの高い行為を未成年等の少年に任せるという構図がしばしばみられます。
まず,出し子として本件のような特殊詐欺に関与した者の行為に,どのような犯罪が成立しうるか確認しておきましょう。

刑法246条1項は,「人を欺いて財物を交付させた者は,10年以下の懲役に処する」として,財物を詐取する詐欺罪を規定しています。
本件では,少年A自身は「人を欺」く行為をしておらず(そのような行為をしているのはあくまで架け子のBです。),同条に当たらないことから,詐欺罪の成立は認められないようにも思えます。
ですが,刑法は60条において,「2人以上共同して犯罪を実行した者は,すべて正犯とする」との規定を置いており,犯行において担当していない行為(上記事例であれば架け子のBによる「欺く行為」)についても責任を負うことになる可能性があります。
このように、複数名が互いの行為を利用し合って一つの犯罪を行うことを、共同正犯と言います。
もし刑法60条により共同正犯が成立するとされると,教唆犯や幇助犯といったいわゆる従犯と異なり,第1次的な刑事責任を負うことになります。
教唆犯は他人に犯罪をそそのかすもの、幇助犯は他人の犯罪を手助けするものであり、いずれも他人のために犯罪に関与するに過ぎません。
これに対して、共同正犯は、いわば他人と協力して自己(および他人)のために犯罪を行うものです。
こうした違いから、共同正犯の方が責任が重いとされているのです。

~幇助にとどまるとの主張~

実務においては,共犯事件として処理される事件は,ほとんどが教唆犯や幇助犯ではなく共同正犯として扱われています。
検察官や裁判官からすれば、報酬の約束や役割の重大性などから正犯としての刑事責任を負わせるのが相当のように思われる事案が多いからでしょう。
もっとも,少年の行為が幇助にとどまるとの主張が全く受け容れられないかといえば,そうではありません。
したがって,弁護士としては,Aの関与はあくまで幇助にとどまるとして,刑事責任がさほど重くないことを積極的に主張していくことも考えられるでしょう。
こうした主張を行うにあたっては,少年事件刑事事件に関する専門的な知識が不可欠なことから、迅速に法律の専門家である弁護士に知見を求めることが肝要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は,少年事件刑事事件専門の法律事務所です。
少年事件については,通常の刑事事件と異なる点も多く,少年事件を多く取り扱った経験を持つ弁護士に相談することが重要です。
少年は可塑性(更生の可能性)に富むことからも,少年鑑別所等への収容など重い責任を負わせることはできるだけ避けるべきです。
特殊詐欺事件逮捕されてしまった少年のご家族は,24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)まで,まずはお電話ください。
特に少年事件では,逮捕されてしまった本人(少年)もご家族も不安が大きいでしょうから,弁護士による早期の接見(面会)をおすすめいたします。

少年事件と不処分

2019-09-27

少年事件と不処分

埼玉県比企郡に住むA君(16歳)は,試験勉強や部活の成績が不調であることなどでストレスが溜まっていました。そして,ある日,A君は学習塾の先生Vさんからテストの結果が悪かったことを指摘されたことに憤慨し、Vさんの顔面を手拳で数回殴る暴行を加えました。A君は、さらにVさんに殴りかかろうとしたところ、周囲の人に制止され、埼玉県小川警察署に通110番報され、暴行罪逮捕されてしまいました。その後、Vさんは加療約3週間の怪我を負ったことが判明し、A君に対する容疑は暴行罪から傷害罪へ切り替わりました。
(フィクションです)

~ 逮捕後の流れ ~

少年(20歳に満たない者)事件として逮捕されると留置場に留置(収容)されます。
その後、勾留決定が出た場合は警察の留置場に、勾留に代わる観護措置決定が出た場合は少年鑑別所に収容されます。前者の拘束期間は、勾留請求のあった日から最大で20日間、後者の場合は10日間です。

収容中に、警察、検察の捜査を受けます。警察,検察での捜査が終わると,事件は家庭裁判所へ送られます(家庭裁判所送致)。
身柄を拘束されている場合は通常,少年鑑別所に収容され(留置場に収容されていた場合は移送され),そこで、少年の性格などを鑑別するための担当技官による面接や心理検査などを受けます。また,同時に家庭裁判所調査官の調査も受けます。調査の結果は家庭裁判所に報告され,少年審判などに活かされます。

少年審判では、少年が非行を犯したかどうか、犯したと認められる場合にどんな処分を科すのが適当かを判断されます。
ただし,少年審判は必ず開かれるとは限りません(審判不開始決定)。また,仮に開かれたとしても保護処分保護観察少年院送致等)が下されない場合もあります(不処分決定)。以下,ご紹介いたします。

~ 審判不開始決定 ~

審判不開始決定とは,少年鑑別所や家庭裁判所調査官による調査の結果,審判に付することができず,又は審判に付するのが相当でないと認めるときに,少年審判を開始しない旨の決定をいいます。

「審判に付することができず」とは,非行事実の存在の蓋然性がない場合や少年の所在が不明であり,審判することができない場合などが当たります。「非行事実の存在の蓋然性がない場合」とは,少年の行為が非行の構成要件に該当しない場合や証拠上非行事実の存在の蓋然性すら認められない場合,すなわち,成人でいえば「嫌疑なし」の場合をいいます。この場合は,少年自身を少年事件の手続から解放する必要がありますし,少年に適切な処分を下すことができないからです。

「審判に付するのが相当ではない場合」とは,事案が軽微であったり,家庭裁判所に送致された段階では少年が十分に反省していて要保護性(矯正施設による保護の必要性)がなくなったりしている場合をいいます。少年審判の一番の目的は「少年の更生」にありますから,審判開始前に少年が更生していると認められる場合は少年審判を開くことは不要であるからです。

~ 不処分決定 ~

不処分(決定)とは,家庭裁判所における少年審判の結果,保護処分に付することができないとき,又は保護処分に付するまでの必要がないと認めるときに,保護処分に付さない旨の決定のことをいいます。

保護処分に付することができないとき」とは,非行事実の存在が認められない場合などが当たります。「非行事実の存在が認められない場合」とは,少年の非行事実の存在について,合理的疑いを超える心証が得られない場合をいいます。成人でいえば「無罪判決」に相当します。

保護処分に付するまでの必要がないとき」とは,審判までに少年が更生し,要保護性がなくなった場合や試験観察期間中の少年の生活態度からさらに保護処分を行う必要がなくなった場合などが当たります。調査や審判の過程で,調査官などによる教育的な働きかけによって,少年の問題点が改善され,要保護性がなくなった場合をいいます。

~ 審判不開始決定,不処分決定を受けるための弁護活動 ~

家裁送致から少年審判まである程度の期間がありますから、付添人(主に弁護士)としては,その間に,少年に対して教育的な働きかけを行っていき,少年の事件に対する反省を深めさせたり,少年を取り巻く環境を整えていかなければなりません。裁判所に意見を具申できるのは家庭裁判所調査官ですが、付添人はその家庭裁判所調査官と緊密に連絡を取り合いながら、少年の処遇に関し意見を述べることもできます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所刑事事件少年事件専門の法律事務所です。少年事件でお困りの方はフリーダイヤル0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談等を24時間受け付けております。

放火罪で少年事件に

2019-09-22

放火罪で少年事件に

~ケース~
大阪府大阪市城東区に16歳のAくんは、以前自宅近くに住むVさんと揉め、うっぷん晴らしのためにVさんのアパートに放火してしまいました。
具体的な犯行内容は、Aさんは知人のアパートの共用玄関に入り、灯油をまいて火を点けるというものでした。
アパートは全焼し、警察による捜査の結果、防犯カメラに映っていたAくんが任意同行され、取調べで放火を認めたところ、住居侵入罪および現住建造物等放火罪の疑いで逮捕されました。(フィクションです)

~現住建造物等放火罪とはどのような犯罪か?~

放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑(以上が「建造物等」)を焼損する犯罪です。
法定刑は死刑又は無期若しくは5年以上(20年以下)の懲役となっており、大変な重罪です。
「現に人が住居に使用し」とは、現に人の起臥寝食の場所として日常使用されることを意味します。
「現に人がいる」とは、放火の際に人(犯人を除く)が現在することを意味します。
一応、前者は「現住建造物等」、後者は「現在建造物等」というかたちで区別されます。
ケースの場合は、少なくとも知人が生活を送る場所として使用されているアパートと認められると考えられるので、同アパートは現住建造物に該当するでしょう。
また、「焼損」とは、判例によると、火が放火の媒介物を離れ、客体に燃え移り独立して燃焼を継続する状態に達したことをいうとし、その主要部分が毀損されたり、効用が害されることまでは必要とされません(大審院大正7年3月15日判決)。
ケースでは、Aくんの放火によりアパートが全焼しているので、明らかに「焼損」の結果が生じているといえます。
したがって、Aくんに現住建造物等放火罪が成立する可能性は高いでしょう。

~住居侵入罪とはどのような犯罪か?~

正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入する犯罪です。
法定刑は3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。
裁判例において、アパートの共用玄関は「住居」または「邸宅」(居住用の建物で住居以外のもの。例として空き家)のいずれかに該当すると考えられます。
また、「侵入」とは、「管理権者の意思に反する立ち入り」を意味しますが、放火目的での立ち入りを管理権者が容認しているとは考えられません。
したがって、Aくんが放火目的で知人のアパートの共用玄関に立ち入る行為は、住居侵入罪を構成する可能性が高いと思われます。

~Aくんは今後どうなるか?~

16歳のAくんは「少年」(20歳未満の者)に当たるので、少年法の適用があります。
したがって、原則として、Aくんに対し、刑罰を科すことを目的とした手続きではなく、Aくんの素質、家庭環境を調査した上で、適切な保護処分を行う手続きがなされます(例外的に不処分で終わる場合もあり)。
保護処分の種類には、①少年院送致、②保護観察処分、③児童自立支援施設又は児童養護施設送致があります。

(少年院送致)
少年院に送致されると、特別な場合以外は外出できず、規律ある生活に親しませ、少年の改善更正を図る処遇がなされます。
本来の生活圏からの離脱を余儀なくされる都合上、保護処分の中では少年にとって最も負担の大きいものと言えます。
(保護観察処分)
保護観察処分は、少年を施設に収容せず、家庭や職場等に置いたまま、指導監督・補導援護を加えてその改善更正を図る処遇です。
保護観察処分を言い渡された場合は、少年院送致とは異なり社会に復帰できるので、比較的負担の軽い処分ということができます。
(児童自立支援施設又は児童養護施設送致)
児童自立支援施設は、不良行為をなし、又はなすおそれのある児童等を入所させ、又は保護者の下から通所させて、必要な指導を行い、その自立を支援することを目的とする施設です。
児童養護施設は、保護者のいない児童、虐待されている児童、その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、併せてその自立を支援することを目的とする施設です。
改善更正というより保護の色彩が強く、ケースのAくんに対してこの処分が選択される可能性はあまりないと思われます。
(検察官送致)
また、上記の保護処分とは異なり、Aくんに対し、「検察官送致」(少年法第20条1項)という決定がなされる可能性が考えられます。
検察官送致(「逆送」とも)は、調査の結果、保護処分ではなく通常の刑事処分が相当と認められるときになされる決定です。
検察官送致をされると、原則として起訴され、刑事裁判にかけられることになります。
現住建造物等放火罪がかなり重い犯罪であることを考慮すると、検察官送致をされる可能性は否定できません。
また、現住建造物等放火罪は裁判員裁判対象事件であるため、その裁判は複雑かつ長期にわたることが見込まれるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が現住建造物等放火事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

初回法律相談:無料

少年院、少年院送致について

2019-09-17

少年院送致について

兵庫県尼崎市の高校に通うA君(16歳)は、お金の貸し借りの件で友人Vさんと口論となり、Vさんの顔や腹部を殴る蹴るなどの暴行を加えて、全治2か月間の大けがを負わせてしまいました。そして、A君は、学校の通報により駆け付けた兵庫県尼崎南警察署の警察官に傷害罪逮捕されてしまいました。その後、A君の傷害事件は検察庁を経て、家庭裁判所へ送られました。この際、検察官は「少年院送致相当」との意見を付しています。A君の両親は、A君に過去2度の同種非行歴があったことから、何とかして少年院送致は避けたいと思い、少年事件に強い弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)

~ 少年院、少年院送致とは ~

少年院は、家庭裁判所から保護処分として送致された者などを収容する施設で、その健全な育成を図ることを目的として矯正教育、社会復帰支援等を行う法務省所管の施設です。
少年院に収容されると、規律ある生活を求められ、自由な生活を送ることができなくなりますから、「子どもを少年院に入らせたくない。」などと考えられる親御様が多くおられます。確かに、そのとおりなのですが、上記でも書きましたように、少年院は少年の健全な育成を図ることを目的とし、少年に対する矯正教育を施し、社会復帰支援等を行う場所です。ですから、少年院に入所したからといって一概に少年の人生にとって「マイナス」ではなくむしろ「プラス」に働き、立派に更生したという少年も現実におられます。
もし、お子様が「少年院送致保護処分を受けそうだ」、「少年院送致を受けた」などという場合は、こうした双方の側面を考慮し、果たして少年の更生のために適当か否かという観点から今後の対応を決めていく必要があるでしょう。

※保護処分
 保護処分とは、家庭裁判所に送致された少年を更生させるために行われる少年法上の処分のことをいいます。保護処分には、少年院送致の他、保護観察、児童自立支援施設等送致の3種類があり、少年審判時に言い渡されます。

なお、少年審判では、少年をどの種類の少年院に送致するかまで決定されます(少年審判規則37条1項)。少年院の種類は以下のとおりです(少年院法4条1項1号から3号)。

第1種(1号)
 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がないおおむね十二歳以上二十三歳未満のもの(次号に定める者を除く。)
第2種(2号)
 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね十六歳以上二十三歳未満のもの
第3種(3号)
 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね十二歳以上二十六歳未満のもの

少年院の収容期間は、大きく短期処遇と長期処遇にわけられます。

短期処遇は、さらに特修短期処遇と一般短期処遇にわけられ、「特修短期処遇」の場合、「4か月」以内、「一般短期処遇」の場合、「6か月」以内です。長期処遇については10か月から2年です。

少年審判では家庭裁判所から処遇に関する勧告が出されることがあります(少年審判規則38条2項)。ここで、家庭裁判所が特修短期処遇、一般短期処遇との勧告を出せば、少年院はこれに従うべきとされています(従う勧告)。また、長期処遇については、「比較的短期」の処遇勧告が出た場合、収容期間は10か月以内とされ、少年院はその勧告を尊重しなければならないとされています(尊重勧告)。しかし、長期処遇について何ら勧告がない場合は、少年院が1年から2年の範囲内で決めています。

~ 少年院送致を回避するには ~

少年院に収容されるのは、社会内での更生が期待できないと判断されるためです。
したがって、少年院送致を回避するためには、少年が少年鑑別所に収容されているときから少年に対し教育的な働きかけを行って少年に反省、更生を促し、非行の原因となった、少年自身に帰属する問題(性格、考え方、行動等)や少年を取り巻く環境に現れた負の部分をできる限り除去する必要があります。また、それとともに、少年が更生するための新たな環境を整備し、保護処分を決定する裁判官に、

なぜ少年院ではなく社会内での更生が少年にとって適当か

ということを具体的に主張する必要があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。刑事事件少年事件逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見無料法律相談の予約を受け付けております。
  

少年事件の流れ~子どもが逮捕されたら~

2019-09-12

少年事件の流れ~子どもが逮捕されたら~

京都府京都市西京区の高校に通うのA君(17歳)は、当時交際していたVさんとの別れ話の最中に、Vさんの言動に腹を立て、脚でVさんの腹部を蹴るなどの暴行を加えて,Vさんに全治約1週間の怪我を負わせました。そこで、A君はVさんの110番通報により駆け付けた京都府西京警察署の警察官に傷害罪逮捕されてしまいました。息子が少年院に入ってしまうことになるのかと不安になったA君の両親は、少年事件に詳しいA君との接見を依頼しました。
(フィクションです)

~ 少年院送致は全体の何%? ~

少年(20歳未満の者)が犯罪を犯したといえば、まっさきに思い浮かぶのは

少年院

という方も多いかと思います。
しかし、平成30年度版犯罪白書によると、平成29年に少年院に入所した少年は2147人で、刑法犯罪等で検挙された少年は50209人ですから、少年院に入所した少年は検挙少年全体の

約4%

に過ぎません。
また、逮捕されたからといって直ちに少年院に入所することが決まるのではなく、一定の手続を踏む必要があります。

~ 逮捕から家庭裁判所送致まで ~

警察に逮捕されると、少年であっても警察の留置場(留置施設)に収容されます。
逮捕後の流れは、

逮捕→②検察官送致→③検察官による「勾留請求」OR「勾留に代わる観護措置請求」→④裁判官による「勾留決定」OR「勾留に代わる観護措置決定」→⑤家庭裁判所送致→観護措置決定
 
という手続を踏みます(なお、この間、不服申し立て等により釈放を早めることも可能です)。

①から②まで最大で48時間、①から③まで最大で72時間拘束されます。なお、①の段階では警察官の、②の段階では、検察官の判断により釈放されることがあります。また、③の段階、つまり、請求を受けた裁判官の判断により釈放されることもあります。
勾留決定があった場合(④)は、逮捕された際に収容された留置場へ収容されるでしょう。勾留に代わる観護措置決定があった場合(④)は指定された少年鑑別所へ収容されます。つまり、逮捕時の留置場から少年鑑別所へ身柄を移されます。
勾留の期間は、検察官の勾留請求があった日から「10日間」で、その後、やむを得ない事由がある場合は最大「10日間」延長されることがあります。観護措置の期間も請求の日から「10日間」ですが、延長は認められていません。
拘束された少年は、上記の期間内に警察や検察の捜査を受け、事件を⑤家庭裁判所へ送致される手続を取られます。

~ 家庭裁判所送致から少年審判まで ~

家庭裁判所送致から少年審判までの流れは以下のとおりです。

①家庭裁判所送致&観護措置決定→②少年鑑別所における鑑別、家庭裁判所調査官による調査等を受ける→③少年審判

①の観護措置決定とは、通常、少年鑑別所へ収容する旨の決定のことをいいます。つまり、上記④の勾留決定により警察署の留置場に収容されていた少年は、観護措置決定により少年鑑別所へ身柄を移送されます。他方、勾留に代わる観護措置決定により少年鑑別所に収容されていた少年に対しては、家庭裁判所送致されると観護措置決定が出たものとみなされます(これを「みなし観護措置」といいます)。この場合、少年の収容場所は従前の少年鑑別所のままです。
収容期間は観護措置決定のときから「2週間」ですが、2週間更新することができるとされており、多くの事件では更新されていますから、通常、拘束期間は観護措置決定の日から「4週間」となります(例外あり)。ただし、不服申し立てによってはやめに釈放されることもあります。
この拘束期間中に、少年鑑別所において専門技官による鑑別(専門的調査)を受けたり、家庭裁判所調査官による面談を受けるなどします。なお、面談を受けるのは少年に限らず、保護者などの少年の関係者が広く含まれる場合があります。
こうした調査を受けるなどした上で、③少年審判を受けます。少年審判では、非行事実が認められるかどうか、認められるとして少年にどんな処分を下すことが適当か判断されます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。刑事事件少年事件逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見無料法律相談の予約を受け付けております。

集団暴走と少年事件

2019-09-07

集団暴走と少年事件

福岡県北九州市に住むA君(17歳)は、同区内の高校に通う高校2年生です。A君はバイクが好きで、自身の誕生日祝いに、同区内の道路をバイク仲間10人と原動機付自転車を集団暴走していました。そうしたところ、A君他10人は福岡県八幡東警察署のパトカーに制止するよう呼び止められました。しかし、A君らはその制止を振り切り集団暴走を継続したところ、増員された警察官によって制止されてしまいました。そして、A君他5人は、道路交通法違反(共同危険行為)で現行犯逮捕されましたが、残り5人はいまだ逃走中で未検挙です。A君は、逮捕勾留され、接見禁止決定が出てしまいました。A君の両親はこのままではA君と面会できないことから、まずは接見禁止の解除をしてもらうべく弁護士に相談しました。
(フィクションです。)

~ 集団暴走 ~

少年の集団暴走で典型的なのが

共同危険行為

です。

この共同危険行為は道路交通法68条で、

二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。

と定められています。

~ どうして集団暴走してしまうの?辞めさせるには? ~

集団暴走を行う少年については、集団暴走を行う少年自身に問題があることはもちろん、少年がその所属する不良集団に大きな影響を受けていることが多いと思われます。

そのため、少年に集団暴走を辞めさせるには、少年をその不良集団から脱退させ、関係性を断ち切らせることが重要です。ただ、この手の不良集団は地域に根付いている場合が多く、少年を不良集団から脱退させるためには、引っ越しするなどして生活環境を変えるしかない場合もあります。
また、集団暴走を行う少年の中には、人に危害を加えていないから問題ないという誤った考えを持ってしまっている少年もいます。そのような場合には、審判までの間に、弁護士が少年に対して、少年の考えがいかに幼稚で誤った考え方であるのかを諭していく必要があります。

~ 接見禁止とは ~

接見禁止とは、原則として検察官の請求を受けた裁判官が、被疑者(少年)が逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があると認めた場合に、勾留されている被疑者と弁護人又は弁護人となろうとする者以外の者との接見を禁じることをいいます。本件の場合、未検挙の者が5人いることから、これらの者と通謀するなどして罪証隠滅行為を働くおそれが高いとして接見禁止決定が出る可能性が高いでしょう。

接見禁止の効力を解き、弁護人又は弁護人となろうとする者以外との接見(面会)を可能とすることをいいます。
接見禁止を解除するための手段として、接見禁止の裁判に対する準抗告・抗告の申立てがあります。これは法律(刑事訴訟法)上認められた手続きです。他に、接見禁止の全部又は一部解除の申立てがあります。全部解除となれば、制限なく接見できます。また、一部解除とは、裁判官・裁判所が認めた範囲の人のみ接見を認める処置です。

事件関係者との接見は認めないが、事件に全く関係のない家族等なら接見を認める

などという場合に一部解除となります。
ですから、子ども様との一刻も早い接見をお望みの場合は、弁護士に法律上の異議申立てや全部又は一部解除の申し立てを行ってもらいましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。接見禁止が付いてお困りの方、その他刑事事件少年事件でお困りの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。24時間、無料法律相談初回接見サービスの予約受付を承っております。

中学生の傷害致死事件

2019-09-02

中学生の傷害致死事件

~ケース~
中学3年生のAくん(15歳)は、東京都港区において、他校の中学生と頻繁に喧嘩を行っていました。
ある日、Aくんが喧嘩中に他校の生徒Vの腹部あたりを蹴ったところ、Vはバランスを崩して後ろに倒れて失神しました。
それを目撃した通行人の通報され、Aくんは駆け付けた警察官により傷害罪の現行犯として警視庁高輪警察署に逮捕されてしまいました。
その後、後頭部の強打が原因でVが死亡したため、傷害致死罪の疑いで捜査が進められることになりました(フィクションです)

~傷害致死罪について解説~

人の身体を傷害し、結果的に死亡に至った場合に成立しうる犯罪です(刑法第205条)。
傷害致死罪に類似した犯罪類型として「殺人罪(刑法第199条)」がありますが、傷害の時点で殺意がない、という点で殺人罪と異なります。

傷害致死罪の法定刑は3年以上の有期懲役となっています。
もっとも、Aくんは未成年であり、「少年」(20歳未満の者)に該当するため、原則として少年法の定める少年保護事件として事件が進行することになります。

~少年保護事件の手続について解説~

少年保護事件においても、捜査段階においては主に刑事訴訟法が適用されるため、逮捕勾留されうる点では成人と同様です。
逮捕勾留されると、最長で23日間身体拘束を受けることになります。
成人の場合、勾留される場所は警察の留置場または拘置所になりますが、少年の場合、「少年鑑別所」を勾留の場所とすることもできます(少年法第48条2項)。
「少年鑑別所」は、医学・心理学・教育学・社会学その他の専門的知識に基づいて、少年の資質の鑑別を行う、法務省管轄の施設です。

捜査機関が捜査を遂げると、事件は家庭裁判所に送致されます。
成人の場合は検察官が起訴又は不起訴を決定することになっており、不起訴となれば事件は裁判所に係属することなく終了します。
これに対して、少年保護事件においては「全件送致主義」が採られており、検察官の裁量で家庭裁判所に送致しない、ということはできません。

(家庭裁判所へ送致された後)
まずは、家庭裁判所がAくんに対し、「観護措置」を行うかどうかを検討します。
観護措置」とは、家庭裁判所が調査、審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、少年の身体を保護してその安全を図る措置をいいます。
観護措置は、2週間を超えることができませんが、とくに継続の必要があるときに1回に限り更新することができます。
さらに、「特別更新」の要件を満たしている場合は、さらに2回を限度として期間を更新することができます。
実務上は4週間が最も多く、2週間で観護措置が終わるというケースは殆ど見られません。
観護措置がとられると、少年は前述した少年鑑別所に収容され、心身鑑別のために様々な調査が行われることになります。

(「逆送」の可能性)
家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪を犯した少年について、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるとき、検察官送致決定を行います。
また、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた事件であって、その罪を犯すとき16歳以上の少年については、検察官に送致する決定をしなければなりません。
これを一般に「逆送」といいます。
傷害致死事件は、人が死亡していることからしばしば重大な事件として扱われます。
Aくんは事件当時は15歳なので当然に逆送になるわけではありませんが、逆送決定がなされる可能性が大きいです。
逆送されると、成人と同様に起訴され、有罪の場合は刑罰が科されることになります。
刑事裁判の公判は公開される点、懲役刑が言い渡される場合、少年刑務所の処遇が矯正教育として不十分である点などを考慮すると、できれば逆送決定は回避したい処分です。
弁護士は、可能な限り、逆送決定が行われないよう働きかけ、後述する保護処分に向けた事件解決を目指します。

(家庭裁判所における審判)
家庭裁判所における審判では、少年を更生するための措置である保護処分が決定されます。
一方、公的機関などの援助がなくとも更生が可能だと考えられた場合には、何らの保護処分も行わない不処分の決定がなされます。
保護処分の種類として、①少年院送致、②保護観察処分、③児童自立支援施設又は児童養護施設送致があります。
ケースの場合、不処分あるいは②、③の保護処分が言い渡される可能性は低く、①の少年院送致が言い渡される可能性が高いでしょう。
少年院も矯正教育施設ですから、Aくんの改善更正を図る、という目的に照らすと妥当な処分であるようにも思えます。
ただ、本来の生活圏を離れて身柄が収容される点や、少年院へ送致されたという経歴が残る点を考えると、少年院送致の是非も一考の余地があると言えます。

ケースの事件においては、逆送決定など、Aくんにとって不利益の大きい処分を回避し、Aくんの改善更正に適した処分の獲得に向けて行動することが、弁護士の主な活動になると思われます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所であり、少年による傷害致死事件についてもご相談いただけます。
お子様が傷害致死事件を起こしお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にの無料法律相談をご利用ください。

万引きで示談するも家庭裁判所に

2019-08-28

示談するも家庭裁判所に

東京都町田市の高校に通うA君は、漫画本欲しさに市内の書店で漫画本3冊を万引きしたところ、その行為を一部始終見ていた保安員に逮捕されました。そして、A君は、通報を受け現場に駆け付けた警視庁南大沢警察署の警察官に引き渡されましたが、A君のご両親が南大沢警察署に身元引受人として出頭し、今後A君を厳重に監督していく旨誓約したことから釈放されさました。その後、A君のご両親はA君とともに書店へ行き店長に謝罪し、万引きした漫画本3冊の買い取りと、迷惑料として1万円を支払いました。ところが、後日、A君は南大沢警察署東京地方検察庁立川支部から呼び出しを受けたばかりか、万引きの件を東京家庭裁判所立川支部に送られた(家裁送致)と聞きました。A君やA君のご両親は、被害弁償が済んでいたのにどうして家裁送致されなければならないのか納得がいかず、少年事件に強い弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)

~ 少年事件は全件送致主義が原則 ~

※少年=20歳未満の者

一定の嫌疑がある限り、原則としてすべての少年事件が捜査機関から家庭裁判所へ送致される手続きのことを全件送致主義といいます。
全件送致主義は、少年法41条、42条に根拠があります。

少年法41条
 司法警察員は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、罰金以下の刑にあたる犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。

少年法42条1項
 検察官は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、第四十五条第五号本文に規定する場合を除いて、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。

~ 成人事件の場合、微罪処分、起訴猶予がある ~

他方、成人事件の場合、微罪処分不起訴処分(起訴猶予等)が認められています。

微罪処分とは、事件が警察から検察庁へ送致されることなく、被疑者への厳重注意、訓戒等で終了する手続きのことをいいます。
微罪処分を受けると検察庁へ送致されることはありませんから、検察庁から呼び出しを受けたり、何らかの刑事処分(起訴、不起訴)を受けるおそれはありません。もちろん、刑罰を科されることもありません。

また、不起訴処分は、検察官の刑事処分の一つで、起訴しない、つまり、裁判所に刑事裁判を求めない処分のことをいいます。
不起訴処分を受けると刑事裁判を受ける必要がなくなる、というわけです。

~ では、なぜ少年事件は全件送致主義なの? ~

成人事件の場合、今回のA君のご両親のように、被害者に被害弁償したり、あるいは被害者と示談を締結することができれば微罪処分不起訴処分を獲得できる可能性は高くなるでしょう。ところが、少年事件の場合、同様のことを行っても、事件は原則家裁送致されてしまいます。なぜでしょうか?

これは、少年法が

少年の健全な育成(1条)

という教育目標を掲げているからだ、といえます。

少年事件の場合、犯罪の嫌疑がある場合はもちろん、犯罪の嫌疑がない場合であっても、そう疑われるに至った経緯・背景には様々あると思います。そうした経緯・背景には、少年自身の性格、少年の取り巻く環境(家庭、学校、交友関係など)などに関する問題が影響しているのです。そこで、そうした問題を一つ一つ丁寧に調査し、少年の性格を矯正し、少年を取り巻く環境を整備するという教育的な働きかけを行っていくことで健全な大人へと育っていってもらう、ということを少年法は期待しているのであり、少年の時期であればまだ深く犯罪に根付いていない可能性が高いためそれが可能だと考えられます。

また、そうした調査や、少年への教育的な働きかけ、少年を取り巻く環境調整は、警察や検察の捜査機関が行うには限界があります。少年や少年を取り巻く環境の問題を調査し、それを少年の更生に繋げるのは捜査機関よりもむしろ家庭裁判所(家庭裁判所調査官、少年鑑別所の技官など)の方が適しているといえます。そこで、全件送致主義が取られている、というわけです。

~ 審判不開始、不処分もあり得る ~

ただ、全件送致主義が取られているからといって、少年の方が不利かといえばそうではありません。
何より少年手続きを通じて、少年の矯正、更生が期待できます。
また、少年の矯正、更生態度によっては、そもそも少年審判が開かれない審判不開始、保護処分を科されない不処分もあり得ます。その意味でははやめには被害者に被害弁償することなども全く無意味ではありません。

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