(事例解説①)少年が特殊詐欺事件を起こした場合の処分は?

2024-03-20

(事例解説①)少年が特殊詐欺事件を起こした場合の処分は?

少年 特殊詐欺

特殊詐欺事件については、近年、ニュースや新聞でも取り上げられることが多くなりました。

今回は、少年特殊詐欺事件を起こした場合の処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・参考事例

※事例はフィクションです。

専門高校に通っているAさん(19歳・武蔵野市在住)は,「バイクを買うお金が欲しい」と思い,インターネットで見つけた「高収入」という謳い文句の仕事を受けてしまいました。

実際には,高齢のおばあさんに「金融庁の職員」を名乗ってキャッシュカードを預かるというもので,報酬として5万円を受け取ってしまいます。
Aさんは詐欺だと気づき「もう辞めたい」と言いましたが組織の人間に「警察にばらす」と脅され,ズルズルと続けてしまいました。

ある時、Aさんの自宅に警視庁三鷹警察署の警察官がやってきて,自宅の捜索を行い,Aさんは詐欺罪逮捕されてしまいました。

Aさんの家族は,Aさんがこれからどうなるのか,少年院に行くのか心配に思い,あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に相談することにしました。

・特殊詐欺に対する処分

特殊詐欺の「受け子」「出し子」と呼ばれる,いわゆる末端の役割として10代,20代の若者が使われてしまっています。(参考:「特殊詐欺「受け子」や「出し子」に…SNSからの応募が最多 警察庁が公表」出典元『Yahoo!JAPANニュース』)

特殊詐欺の「受け子」とは,騙された被害者から金品を直接受け取るという役割の者のことです。
「出し子」とは,騙し取ったキャッシュカードを不正に利用してATM等から現金を引き出す役割です。

直接金品を騙し取る「受け子」に対しては詐欺罪が,ATMから引き出す「出し子」に対しては窃盗罪が成立します。
また,受け子,出し子行為によって取ったものを他の共犯者に渡したり,指示役に預けたりする行為は,犯罪によって得た財産を隠したとみなされ,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反(組織犯罪処罰法という犯罪も成立してしまいます。

それぞれの犯罪に対する刑罰は,以下のように定められています。
詐欺罪10年以下の懲役
窃盗罪10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
組織犯罪処罰法10年以下の懲役又は500万円以下の罰金,もしくはその両方(財産の没収あり!)

・組織犯罪処罰法ってなに?

これまで,特殊詐欺の事案と言えば,組織のリーダーや幹部などでない限り,詐欺罪か窃盗罪のどちらかについて処罰されてきました。

しかし,近時,受け子や出し子のような末端の役割に対しても「組織犯罪処罰法」で捜査,処分がなされるようになっています
これは,全国の検察庁が「末端の者に対しても,積極的に組織犯罪処罰法を適用しましょう!」と指示をしているためです。

詐欺罪や窃盗罪と,組織犯罪処罰法との大きな違いは,財産に対して没収を行うことができるという点です。
例えば,Aさんの事例のような「受け子」が現行犯で逮捕された時,400万円の現金を所持していたとしてます。
その時,詐欺罪や窃盗罪を適用しても持っていた400万円を没収するということはそうそうありませんでした。

しかし,組織犯罪処罰法の適用があれば,Aさんが何件か受け子をやっていて,持っていた400万円も事件で受け取ったお金であることが分かれば,裁判で没収することができるのです。
その400万円は犯罪と関係がないお金であるという場合には,Aさんの立場から反論,主張しなければならないことになります。
このように特殊詐欺に関連する財産や,犯罪で得られたお金,報酬を没収することで,より被害の回復を目指そうというものです。

また,詐欺罪,窃盗罪と,組織犯罪処罰法はそれぞれ成立するものになります。複数の犯罪が成立することになれば,その分,処罰も重いものになりやすくなります
そのため,検察庁としては特殊詐欺に対して厳罰化被害回復を進めるために,組織犯罪処罰法の適用も進めているのです。

Aさんも,特殊詐欺の詐欺罪で逮捕されてしまいましたが,この後,組織犯罪処罰法によって再逮捕される可能性が十二分にあります。
ただでさえ身体拘束が長引く傾向にあった特殊詐欺の事案ですが,より長くなるというのが現在の傾向です。

・事務所紹介

Aさんの事例のように,特殊詐欺による逮捕でお悩みの方,ご家族の方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

逮捕された直後の方には,24時間以内に弁護士を派遣する初回接見サービスを行っています。
ご本人とご依頼者様が離れたところにいても、全国対応の強みを活かして初回接見することができます。

三鷹警察署までの初回接見は37,620円(日当+交通費,令和6年1月1日時点の報酬規程)でお請けしています。

ご費用のお支払いから24時間以内の接見の上,ご家族に今後の見通しやとるべき対応のご報告まで致します。
ご相談・ご予約については、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−861)までお電話頂くか,こちらの「お問い合わせフォーム」からお問い合わせください。

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