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(事例紹介)15~19歳の少年少女4人が強盗致傷罪の疑いで逮捕

2023-07-12

(事例紹介)15~19歳の少年少女4人が強盗致傷罪の疑いで逮捕

今回は、15歳から19歳の少年少女4人が強盗致傷罪の疑いで逮捕された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

・ケース

SNSを通じて呼び出した男性会社員に暴行を加えてけがをさせたうえ、現金を奪った疑いで、少年少女4人が逮捕されました。

強盗致傷罪の疑いで逮捕されたのは、福岡市などに住む15歳から19歳の少年少女4人です。
4人は、22日午後8時前、福岡市中央区にあるホテルの敷地内で、SNSを通じて会う約束をした男性会社員の顔や頭を殴るなどしてけがをさせたうえ、現金4万5000円を奪った疑いが持たれています。

取り調べに対し、4人はいずれも容疑を認めているということで、警察が事件のいきさつを詳しく調べています。
RKBオンライン6月24日「男性会社員から現金奪う 強盗致傷容疑で少年少女4人逮捕」より引用)

・「特定少年」については厳しい処分がありうる

逮捕された少年少女4人の中には19歳の者が含まれているのとのことですが、18歳、19歳の少年については、原則逆送対象事件の拡大(後述します)、「起訴された場合における実名報道の解禁など、17歳以下の少年とは異なる、より不利益な取り扱いがなされる可能性があります。

逆送を簡潔に説明するならば、「保護処分ではなく刑事処分が妥当な少年につき、家庭裁判所から検察官へ送致する処分」ということができます。
この場合は、20歳以上の者と同じように刑事裁判にかけられ、有罪判決を受けた場合には、懲役刑などの刑罰を受けることになります。

強盗致傷罪の法定刑は「無期又は六年以上の懲役」となっており(刑法第240条)、少年法第62条2項2号によれば、特定少年につき原則逆送対象事件となっています。
逆送決定は家庭裁判所の裁量によってなされるものもありますが、原則逆送対象事件については、文字通り原則として逆送決定を行わなければなりません

・17歳以下の少年についても逆送決定がありうる

今回は特定少年に重きを置いた解説を行いましたが、17歳以下の少年についても逆送決定がなされる場合があります(少年法第20条)。

少年法の定めるルールはかなり複雑であり、事件解決のためには少年事件に熟練した弁護士のサポートが重要となります。
お子様が強盗致傷事件を起こし逮捕されてしまった方は、すぐに少年事件に詳しい弁護士と相談しアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
逆送決定に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)バイクで信号無視などを繰り返した5人の少年が検挙

2023-07-05

(事例紹介)バイクで信号無視などを繰り返した5人の少年が検挙

今回は、バイクに乗って信号無視を繰り返す、車線をはみ出すなどの運転をした疑いで、5人の少年が検挙された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

・ケース

バイクに乗って信号無視を繰り返すなどの危険な運転をしたなどとして、少年ら5人が検挙されました。

警視庁によりますと、16歳から18歳の少年ら5人はことし2月、東京・足立区で4台のバイクに乗り、信号無視や車線をはみ出すといった危険な運転を繰り返したなどの疑いが持たれています。
5人はSNSで知り合い、近くのガソリンスタンドにほかの仲間と20人ほどで集まっていて、通報を受け駆けつけた警察官から逃げる際に犯行に及んだとみられています。

調べに対し、5人はいずれも容疑を認め、「警察に呼び止められると面倒なので逃げた」などと供述しているということです。
livedoorNEWS 6月15日『「警察に呼び止められると面倒で逃げた」バイクで“危険運転”か 少年ら5人検挙 足立区』より引用)

・5人の少年らはこれからどうなるのか?

少年らの身体拘束の有無は不明ですが(通常、被疑者が逮捕された事件報道においては「逮捕」と記載されます)、逮捕されずに在宅で捜査されているのであれば、後日、検察、家庭裁判所に送致され、審判が開かれれば、必要に応じて保護処分を受けることになるでしょう。

もっとも、少年らがバイクに乗って信号無視等を繰り返してまで逃走を図った点については、不審な行動として厳しく追及される可能性があります。
捜査機関は、「警察に知られるとまずいことがあるから逃げたのではないか」と疑い、取り調べを行うことが予想されるからです。

さらに、日常からこのような運転を行う集団に属し、家庭環境やその他の素行にも問題があると判断されれば、家庭裁判所から少年院送致などの重い処分を言い渡される可能性も生じてきます。

少年事件を有利に解決するためには、少年事件に関する専門的な知識を有する弁護士のサポートが重要となります。
まずは少年事件に詳しい弁護士の法律相談を受け、今後の弁護活動についてアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
少年事件に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)特定少年と実名報道について

2023-06-28

(事例紹介)特定少年と実名報道について

今回は、少年事件において実名報道がなされうるケースにつき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

・ケース

岐阜市の陸上自衛隊・日野基本射撃場で隊員3人が銃で撃たれ死傷した事件で、逮捕された自衛官候補生の男は18歳でした。

2022年の法改正で、18歳と19歳の容疑者は特定少年と呼ばれ、17歳以下の少年と区別して扱われるようになりました。

警察などの捜査を経て、家庭裁判所に一旦送られた後、殺人や強盗など法定刑の下限が1年以上の罪となる事件の場合、検察に再び身柄を送る逆送となります。

そして改めて起訴されれば、20歳以上と同じ公開の裁判で審理されるようになるだけでなく、通常の少年事件では禁止されている報道機関による実名報道も解禁されます。

重大事件の場合は、地検が公表することもあります。
Yahoo!JAPANニュース 6月16日「地検が“実名公表”の場合も…射撃場での事件で逮捕された自衛官候補生の18歳男「特定少年」の今後の扱いは」より引用)

・少年の実名報道がなされうるケース

刑事事件を起こした被疑者が少年である場合には、事件を報道する場合であっても、「〇歳少年」などと記載することが通常です。
少年法第61条において、「家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない」と規定されているからです。

しかし、特定少年(18歳、19歳の少年)について少年法第68条は「第六十一条の規定は、特定少年のとき犯した罪により公訴を提起された場合における同条の記事又は写真については、適用しない(但書省略)」としており、特例が定められています。

もっとも、検察庁などが特定少年についても匿名を維持するケースは少なくなく、少年の健全育成・更生への配慮とされています。

たしかに、検察庁が特定少年の氏名などを公表し、報道機関がこれを報道することによって、少年の今後の更生が困難になる可能性も否定できません。
実名報道に関して不安のある方は、少年事件に熟練した弁護士のアドバイスを受け、今後の対策をともに検討する必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
特定少年の実名報道に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)少年が電車内で起こした威力業務妨害事件

2023-06-21

(事例紹介)少年が電車内で起こした威力業務妨害事件

少年が電車内で起こしたとされる威力業務妨害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

電車内で唐辛子成分入りのスプレーを噴射したとして、警視庁は大学生の男(19)=東京都…区=と建設作業員の男(19)=同=を威力業務妨害容疑で逮捕し、1日発表した。
大学生は「大騒ぎになると思わなかった」と供述。
建設作業員は「やっていない」と話し、いずれも容疑を否認しているという。

下谷署によると、2人は共謀して5月4日午後11時45分ごろ、上野―入谷駅間を走行中の東京メトロ日比谷線の電車内で、スプレーを噴射し、入谷駅員らに点検などを行わせて業務を妨害した疑いがある。
署によると、スプレーは量販店で売られていた防犯用で、唐辛子成分が含まれていたという。乗客の男女5人が体調不良などを訴えていた。
(以下、略)

(朝日新聞デジタル令和5年6月1日(木)13時30分配信「日比谷線内で唐辛子成分入りスプレー噴射した疑い 19歳2人を逮捕」より引用)

・威力業務妨害罪

参考事件の19歳の少年2人は、威力業務妨害容疑で逮捕されています。
威力業務妨害罪の条文は以下のとおりです。

(威力業務妨害罪)
刑法234条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

前条とは、偽計業務妨害罪・信用毀損罪を指します。

刑法233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法233条では、「虚偽の風説」「偽計」のいずれかを用いることが前提となり、「人の信用を毀損し」た場合には信用毀損罪が、「業務を妨害した」場合には偽計業務妨害罪が、それぞれ成立すると定めています。
偽計業務妨害罪、信用毀損罪、威力業務妨害の法定刑は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

刑法234条における威力とは暴行・脅迫、社会的・経済的地位を利用した威迫、集団での力の誇示、物の損壊、騒音などの多くが含まれ、「人の意思を抑圧するに足りる勢力」が威力とされています。
この威力の行使は、被害者の目の前で行われている必要はありません。
威力を用いた結果として、それさえなければ遂行されたはずの本来の業務ができなくなったのであれば、威力業務妨害罪は適用されます。

・少年事件の対応

参考事件で事件を起こしたのは共に19歳の少年です。
被疑者(罪を犯したとして疑われている者)が20歳未満の場合、少年事件の手続きとして進められます。
但し、少年事件の手続きで進められている過程で20歳の誕生日を迎えた場合、原則として成人の刑事事件に切り替わりますので、注意が必要です。

14歳以上で20歳未満の少年が罪を犯したとして捜査され、結果として非行事実が認められた場合、その処分は上述した罰金や服役ではなく、少年院送致や保護観察などの少年法に則った保護処分が下される可能性があります。
保護処分を課すか課さないかを検討する際に重要になるのは少年の「要保護性」と呼ばれるものです。
要保護性とは将来の再非行の可能性を意味し、要保護性が高いということは少年院送致を含めた保護処分が必要であり、要保護性が低い(ない)ということは、少年の性格や生活環境を鑑みて再非行のおそれが低いということになります。

少年院送致や児童自立支援施設送致といった保護処分を言い渡されて施設処遇を受けることで、少年が更生に向かう場合もあります。
他方で、社会から一定の距離を置くことによる心理的負担や、少年のその後の人生を考えた時にいわば空白期間が生じるおそれがあります。
弁護士としては、少年の付添人という立場で、少年にとってどのような保護処分が必要か(あるいは不要であるか)を検討し、お子さんにも保護者の方にも然るべき指導をしつつ、家庭裁判所等に対して適切な主張を行っていく必要があります。

20歳未満のお子さんが威力業務妨害罪などの刑事事件で逮捕され、家庭裁判所に送致され保護処分を受ける可能性があるという場合、すぐに少年事件・刑事事件の弁護活動が豊富な弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。

(事例紹介)東京で起きた強盗事件の被疑者少年らが家裁へ送致

2023-06-14

(事例紹介)東京で起きた強盗事件の被疑者少年らが家裁へ送致

今回は、東京の銀座にある高級腕時計店で少年らが強盗事件を起こした報道につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

・ケース

東京・銀座の高級腕時計店に仮面をつけた男らが押し入った強盗事件で、東京地検は男ら4人を家庭裁判所に送致した。

5月8日に起きた東京・銀座の仮面強盗事件では、高校生を含む16歳から19歳の4人の男が腕時計などを奪った強盗の疑いのほか、港区・赤坂のマンション敷地内などに侵入した現行犯で逮捕された。

これまでの調べに対し、男らは黙秘または否認している。

東京地検は6月7日、4人を家庭裁判所に送致し今後、家裁が男らの生活状況の調査などを行い処分が決められる。
Yahoo!JAPANニュース 6月8日 「銀座“仮面強盗” 少年ら4人を家裁送致 高級腕時計奪いマンションへ侵入 男らは黙秘・否認」より引用)

・民法上の成人年齢は18歳だが

民法第4条によれば、「年齢十八歳をもって、成年とする」とされており、現在の成人年齢は18歳です。
しかし、少年法上の「少年」は「二十歳に満たない者」(少年法第2条1項)であり、18歳、19歳も少年法の適用があることになります。

なお、余談ですが、お酒を飲んでよい年齢、タバコを吸ってもよい年齢は民法第4条にかかわらず、20歳からです(二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律第1条1項、二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律第1条)。

・18歳、19歳の少年には特別な手続が予定されている

少年法には「逆送」とよばれる特別な手続があり、少年について保護処分ではなく、刑事処分が適切であると家庭裁判所が判断した場合に、検察官のもとへ「逆送」されることになります。
家庭裁判所の裁量により「逆送」がなされることもありますが、その一方で、重大事件などは「原則として」「逆送」される手続が予定されています(原則逆送対象事件)。

17歳以下の少年についても原則逆送対象事件はありますが、18歳、19歳の少年は「特定少年」とされ(少年法第62条1項)、原則逆送対象事件の範囲がより広く定められています。

冒頭の事件の少年の中には特定少年とされる19歳の方が含まれているとのことですが、強盗罪は少年法第62条2項2号により、原則逆送対象事件となります。

・少年法は複雑であり、少年事件に熟練した弁護士のサポートが重要

少年法は令和4年にその内容が大きく変更され、従来から複雑であった制度がより複雑になったといえるでしょう。
このような少年法に基づく手続に対応するためには、少年事件に熟練した弁護士のサポートが極めて重要となります。

お子様が逮捕されてしまった場合には、まず、少年事件に詳しい弁護士を探しだし、すみやかに相談を受けられることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
少年事件に関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)原動機付自転車でひき逃げの少年逮捕

2023-06-07

(事例紹介)原動機付自転車でひき逃げの少年逮捕

16歳の少年がひき逃げで逮捕されたという報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

けさ(17日)岡山市東区の県道でひき逃げをしたとして、16歳の少年が逮捕されました。
過失運転傷害・道路交通法違反容疑で逮捕されたのは、岡山市の自称アルバイトの少年(16)です。

警察によりますと少年は、きょう午前7時半ごろ、岡山市東区西大寺上三丁目の県道で原付バイクを運転中、渋滞のため停止しようとしていた岡山市の会社員の女性(18)が運転する軽乗用車に追突したあと、逃走した疑いです。女性は胸椎をねん挫するなど1週間のけがです。
女性からの通報を受けた警察が、ひき逃げ事件として所要の捜査を行って少年の犯行を特定し、きょう午後逮捕したものです。

調べに対して少年は「交通事故を起こして逃げたことについては、オレがやったことに間違いありません」と容疑を認めているということで、警察が逃げた動機などについて調べています。
(RSK山陽放送 令和5年5月17日(水) 20時46分配信 「「オレがやったことに間違いありません」原付バイクで軽乗用車に衝突も逃走 少年(16)を逮捕 軽乗用車の女性(18)が1週間のけが【岡山市】」より引用)

・ひき逃げ

参考事例では、少年がひき逃げで逮捕されています。
ひき逃げは、
・過失運転致傷(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下では「自動車運転死傷行為等処罰法」)違反)
・救護義務違反(道路交通法違反)
によって構成されています。

まず、過失運転致傷罪については、原動機付自転車を含む自動車を運転している際に運転上必要な注意を怠り、人に怪我を負わせた場合に適用されます(自動車運転死傷行為処罰法第5条)。
俗に人身事故と呼ばれるものです。
過失運転傷害罪(過失運転致傷罪)の法定刑は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金です。
また、被害者の負った傷害が軽いと判断されれば、刑が免除される可能性があります。

次に、救護義務違反については、道路交通法第72条前段に違反します。
同条では、交通事故が発生した場合、事故に関係する車両の運転手(その他乗務員)はすぐに車両を止めて負傷者を救護し、必要な措置(道路における危険を防止する等)を講じ警察官に連絡しなければならないことを定めています。
運転手が救護義務に違反した場合の法定刑は10年以下の懲役又は100万円以下の罰金です(道路交通法第117条第2項)。

・少年事件での示談交渉

ひき逃げなどの被害者がいる事件で、少年自身が罪を認めていて且つ反省している場合、謝罪と賠償を行い示談締結を求める弁護活動・付添人活動を行うことが考えられます。
この示談交渉について、成人の刑事事件については、示談し宥恕(被害者が加害者を許す意味)があれば、不起訴処分となる可能性は極めて高いです。
しかし、少年事件の場合、示談をしたからといって必ずしも良い処分を得られるという訳ではありません。
仮に示談が行われたとしても、少年が反省していない・再非行のおそれが高い・要保護性(少年を指導や保護に付する必要性)が高いと評価され、少年院送致や児童自立支援施設送致などの厳しい保護処分が課せられることは考えられます。

では、示談をしなければ良いのかというと、そうではありません。
被害者がいる少年事件では
①倫理的あるいは道義的に謝罪と賠償を行う必要がある
②刑事事件・少年事件の一貫として示談をしなければ、被害者の側から賠償請求などをされる可能性がある
③犯罪少年の行為に対して責任をとれていないとして、保護者の監督能力が疑われる
といった理由から、できる限りの謝罪と賠償、示談交渉を進めていきたいところです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱っている弁護士事務所です。
弊所では初回であれば無料で受けることができる法律相談の他、弁護士が逮捕されている少年のもとに直接伺う初回接見サービス(有料)をご利用いただけます。
お子さんがひき逃げを起こしてしまい取調べを受けている場合、逮捕されてしまった場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881(24時間対応、年中無休)」へ御連絡ください。

(事例紹介)10代の学生に対する傷害事件で少年2人が逮捕

2023-05-03

(事例紹介)10代の学生に対する傷害事件で少年2人が逮捕

少年同士で起きた傷害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

静岡県焼津市で、顔見知りの15歳の男子学生2人に暴行を加え、けがをさせたとして10代の少年2人が4日、逮捕されました。
傷害の疑いで逮捕されたのは、藤枝市に住む無職の16歳の少年と焼津市に住む無職の15歳の少年です。少年らは3月下旬、焼津市内で顔見知りの15歳の男子学生2人に顔を殴ったり、体を蹴ったりするなどの暴行を加え、けがをさせた疑いが持たれています。男子学生2人は打撲するなどの軽傷です。
警察によりますと、少年らの間に何らかのトラブルがあったということで、事件の詳しい経緯などを詳しく調べています。

(静岡朝日テレビ 令和5年4月4日(火) 12時03分配信 「15歳の少年2人に暴行か…傷害容疑で15歳と16歳の無職の少年を逮捕 静岡・焼津警察署」より引用)

・傷害罪

上記の事件では2人の少年が傷害の容疑で逮捕されています。
傷害について定めた条文は下記のとおりです。

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪における「傷害」とは、人の生理的機能(生活機能)に傷害を与えること、または広く健康状態を不良に変更することを言う、というのが判例通説の見解です。
この「傷害」が扱っている幅は広く、皮膚を傷つける等の行為は固より、病気にかからせることや昏倒させることで人の意識作用に障害を生じさせる行為も、傷害罪の言う「傷害」に当たるとされています。

・少年事件での逮捕後の流れ

事件を起こした犯人が20歳に満たない少年であった場合、その事件は少年事件という扱いになります。
少年が逮捕された場合、警察官は少年を48時間以内に事件を釈放するか検察官に送致するかを決定します。
その後、警察官から被疑者の送致を受けた検察官は、少年を釈放するか裁判官への勾留を請求するかを24時間以内に決定します。
この流れは成人の刑事事件と少年事件で変わりありませんが、少年事件では少年法第43条に「少年の被疑事件においては、やむを得ない場合でなければ、裁判官に対して、勾留を請求することはできない。」と定められているため、少年事件の勾留決定には相応の事情が求められます。
また、少年事件では、勾留ではなく「勾留に代わる観護措置」の決定を受け、警察署等の留置施設ではなく少年鑑別所で観護措置を受ける場合もあります。

少年事件は犯罪の嫌疑がある限り、原則すべての事件を家庭裁判所に送致する必要があります。
これを全件送致主義と言います。
また、成人が起こした刑事事件の場合、通常の裁判や略式裁判、不起訴といった手続きが付されますが、少年事件は少年審判と呼ばれる手続きに付されます。
審判で言い渡される処分も成人の刑事事件とは異なり、少年院送致や保護観察処分といった少年事件独自の処分が課されます。

このように成人が起こす事件と少年が起こす事件では、手続きの面で多くの違いが見られます。
少年が事件を起こしてしまった場合、少年事件の弁護活動・付添人活動の経験が豊富な弁護士にアドバイスを求めることで、その後の手続きや見通しなどを理解できると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件並びに少年事件を専門に扱う弁護士事務所です。
当事務所では、逮捕・勾留や少年鑑別所での観護措置を受けている少年のもとに弁護士が直接行って接見を行う初回接見サービス(有料)を実施しております。
また、在宅事件の場合は事務所にて無料で法律相談を受けることもできます。
20歳未満のお子さんが傷害事件を起こしてしまい、少年事件の手続きや見通しを知りたいという方は、24時間対応している弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へご連絡ください。

(事例紹介)特定少年による強盗事件②

2023-04-26

(事例紹介)特定少年による強盗事件②

特定少年強盗を起こした場合の事件の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

東京都渋谷区のアクセサリー店で14日に貴金属などが奪われた事件で、警視庁は19日、三重県に住む職業不詳の少年(19)を強盗の疑いで逮捕し、発表した。
少年は事件に関与したことを家族に相談していたといい、18日午後、家族に付き添われて同県内の警察署に出頭した。「指示を受けて1人で店に入り強盗をしました」と容疑を認めているという。
捜査1課によると、少年は14日午後6時40分ごろ、渋谷区神南1丁目のアクセサリー店で20代の男性店長らに包丁を突きつけて「強盗だ」「金を詰めろ」などと脅し、アクセサリー類100点以上(計約4千万円相当)と現金約350万円を奪った疑いがある。
(3月19日配信の朝日新聞デジタルの記事を引用しています。)

特定少年の取扱いについて

前回に引き続き、少年事件における「特定少年」の取扱いについて解説していきます。
特定少年」が起こした事件について、家庭裁判所で検察官送致(逆送)が決定された後は、20歳以上の者と原則として同様に取扱われることになります。
例えば、少年が逆送され刑事裁判で有期の懲役刑または禁錮刑になる場合、刑の長期と短期の両方が決められる形で判決が下される場合があります。
これは、不定期刑といい、「5年以上10年以下の懲役」などの形で判決が下されます。
そして、不定期刑では、刑の長期は15年、短期は10年を超えることはできないとされています。
しかし、「特定少年」においては、不定期刑が適用されず、20歳以上の成人と同様に「懲役5年」のように定期刑で判決が下されます。
さらに、懲役又は禁錮の上限においても最長で30年と20歳以上の成人と同様になります。
また、少年法によって少年の時に行った犯罪については、少年の更生の観点から、犯人がわかるような報道(推知報道)は禁止されています。
しかし、「特定少年」については、この推知報道が一部解禁されています。
具体的には、特定少年が逆送され、検察官に起訴された場合には、推知報道が解禁されます。
これまで、禁止されていた少年に対する推知報道が解禁されることにより、社会的な批評や論評の対象となることが考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
特定少年」に該当する18歳、19歳少年が起こした事件の弁護活動においても経験豊富な弁護士が多数在籍しています。
もし、18歳、19歳の少年が事件を起こしてしまったら、今後の事件の見通しを含めて、いち早く弁護士のアドバイスを受けることが大切になってきます。
まずは、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお電話(フリーダイヤル0120ー631ー881)ください。

(事例紹介)プリクラの筐体を器物損壊させた少年の逮捕

2023-03-15

(事例紹介)プリクラの筐体を器物損壊させた少年の逮捕

器物損壊罪と審判不開始について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

18日、宮城県石巻市内の商業施設でプリクラの壁に肘打ちして壊したとして○○に住む18歳の漁師の少年が逮捕されました。
器物損壊の疑いで逮捕されたのは、○○に住む18歳の漁師の少年です。
警察によりますと、この漁師の少年は、18日午後4時半頃、石巻市内の商業施設でプリクラの機械に肘打ちして壁をへこませ壊した疑いが持たれています。
従業員の通報でかけつけた警察が、防犯カメラの映像や目撃者の証言などをもとにこの少年の犯行と特定し、商業施設の中にいた少年を見つけ逮捕しました。
当時、複数人のグループで遊んでいたということです。
取り調べに対し少年は、「プリクラの壁をへこませた」などと供述し容疑を認めているということです。
(TBC東北放送 2月19日(木) 7時29分配信 「「肘打ちでプリクラの壁へこませた」漁師の18歳少年を逮捕 宮城・石巻市」より引用。○○については弊所で加筆。)

・器物損壊罪

(以下は、報道事例についての解説です。)

参考事例は器物損壊罪の嫌疑がかけられている事件です。
器物損壊罪の条文は下記のとおりです。

刑法261条
前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

前3条とは公用文書等毀棄罪(刑法258条)、私用文書等毀棄罪(刑法259条)、建造物等損壊罪及び建造物等損壊致死傷罪(刑法260条)を指します。
これらに該当しない、他人の物を損壊等した場合に適用されるのが刑法261条の器物損壊罪です。

・少年の器物損壊事件

(以下は、少年事件の手続きについての解説です。)

成人が器物損壊罪で起訴された場合、3年以下の懲役、30万円以下の罰金、科料のいずれかの法定刑が適用されますが、20歳未満(19歳以下)の少年が事件を起こした場合は少年事件として扱われ、原則として少年法の定める保護処分が課せられます。
家庭裁判所は少年に対し、家族の指導・監督が可能かどうか(保護処分を課す必要がある少年かどうか)の調査を行ったうえで、適切な保護処分を決めるための少年審判を開くことになります。
しかし少年審判は必ずしも開かれるわけではありません。
それは「審判不開始」と呼ばれ、少年法に以下のとおり定められています。

少年法第19条1項 家庭裁判所は、調査の結果、審判に付することができず、又は審判に付するのが相当でないと認めるときは、審判を開始しない旨の決定をしなければならない。

「審判に付することができず」とは「審判条件の不存在」「非行事実が存在する蓋然性(≒可能性)がない」「所在不明等」の場合で、「審判に付するのが相当でないと認めるとき」とは「事案が軽微である」「少年に反省の態度が見られ、保護者の指導・監督に服することで更生可能性が認められる」場合等を指します。
そのため、家庭裁判所に対して少年が反省していることや、更生のための環境が整っていることを主張することで、少年審判の回避を目指すことも可能です。
審判不開始を目指すということは、単に「軽い処分を目指す」という目的ではなく、お子さんの内省を深めたり保護者の方に指導を行うことであり、お子さんの将来のための指導を行うことができという「結果」です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、少年事件の弁護活動・付添人活動の経験が豊富です。
当事務所では、お子さんが逮捕・勾留されている場合に弁護士が留置施設に直接伺ってお話を聞く初回接見サービス(有料)を実施しています。
また、お子さんが在宅で捜査・調査を受けている場合は無料相談を受けることができます。
お子さんが器物損壊事件などを起こして少年事件の弁護活動・付添人活動の経験が豊富な弁護士に相談・依頼したいという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。

審判不開始の可能性や審判不開始に向けた弁護活動・付添人活動について丁寧にご説明致します。

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