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(事例紹介)強盗罪の疑いで15〜19歳の少年少女ら4人を逮捕

2023-09-06

(事例紹介)強盗罪の疑いで15〜19歳の少年少女ら4人を逮捕

マッチングアプリで男性を誘い出し、脅迫や暴行を加えて現金を奪ったとして、強盗罪の疑いで15〜19歳の少年少女ら4人が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

・参考事例

福岡県警中央署は6日、強盗容疑で15~19歳の少年3人と19歳の少女を逮捕したと発表した。4人とも容疑をおおむね認めているという。

発表によると、4人は6月3日午前1時45分ごろ、福岡市中央区にある雑居ビル敷地内で、会社員男性(52)を「財布を出せ」などと脅し殴るなどの暴行を加え、現金約2万2千円を奪った疑いがある。

19歳の少年が、女性のような名前で登録したマッチングアプリを通じて男性と知り合い、ビル付近で待ち合わせた。その場ではまず、19歳の少女が男性と会い、その後、この少年を含む3人が現れ、犯行に及んだとみられるという。

(※2023年9月6日に『朝日新聞デジタル』で配信された「マッチングアプリで誘い、強盗の疑い 少年少女4人を逮捕 福岡県警」記事の一部を引用しています。)

・強盗罪とは

今回の事例で、少年少女らは強盗罪の疑いで逮捕されています。
強盗罪については、刑法第236条で以下のように規定されています。

  • 刑法第236条(強盗)
    暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取したものは、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
     前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

強盗罪は、暴行又は脅迫を用いて他人の財物強取した場合に成立します。
簡単に説明すると、殴る蹴るなどの暴力を加えたり脅したりして、他人の物を奪い取る行為を指します。

強盗罪における「暴行又は脅迫」とは、被害者の反抗を抑圧する程度であることが必要です。

今回の事例で考えると、逮捕された少年らは、マッチングアプリで男性を誘い出し、その後、「財布を出せ」と脅し、殴るなどの暴行を加えて現金を奪い取っています。
つまり、暴行と脅迫を用いて他人の財物を強取しているため、強盗罪が成立するということになります。

・少年が逮捕されるとどうなる?

刑法における「少年」とは20歳に満たない者を指し、この少年が刑事事件を起こすと「少年事件」として扱われます。
20歳以上の者(成人)が起こした刑事事件は「成人事件」として扱われます。

少年事件では、全ての事件が原則として家庭裁判所に送致される全件送致主義がとられていたり、成人事件における公判(裁判)ではなく審判として、「少年の健全な育成」を目的とした保護主義がとられていたりと、成人事件とは異なる特徴があります。

ただ、今回の事例のように、少年事件でも捜査段階においては成人事件と同様なので、逮捕勾留はされます。
逮捕や勾留は身柄が拘束されてしまうため、学校に通うことができなくなったり学校に事件を起こしたことが発覚したりして、退学処分を受けてしまうおそれもあります。

・少年事件で弁護士に依頼するメリット

前述したように、少年事件においても成人事件と同様に逮捕や勾留がなされる可能性はあります。
その際には、早急に弁護士に刑事弁護活動を依頼することで、弁護士が身柄解放のための手続き等を進めてくれるので、早期釈放の可能性も高まります。

また、家庭裁判所に事件が送致された場合でも、弁護士ができる限り軽い処分を獲得できるような活動に尽力してくれます。
弁護士に少年事件の刑事弁護活動を依頼する際は、少年事件の弁護・付添人活動の実績を多数持つ専門の弁護士に依頼することがお勧めです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件に特化した専門の法律事務所です。
お子様が刑事事件を起こしてしまい、今後どうなるか不安な方は、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)またはお問い合わせメールよりご連絡ください。

(事例紹介)電車に鍵をかけた威力業務妨害罪の疑いで少年を逮捕

2023-08-23

(事例紹介)電車に鍵をかけた威力業務妨害罪の疑いで少年を逮捕

今回は、電車のドアに鍵をかけて運行を遅らせたとして、威力業務妨害罪の疑いで17歳の少年が逮捕された報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

・参考事例

鉄道グッズ店で購入した専用の鍵を使ってJR埼京線の電車のドアを施錠し運行を遅らせたとして、警視庁少年事件課は29日までに、威力業務妨害の疑いで、東京都内の高校2年の男子生徒(17)を逮捕した。

電車の撮影が趣味で「かつて運転士にハイビームにされて撮れなかったことがあり、仕返ししたかった」と容疑を認めている。

捜査関係者によると、生徒は都内の店舗で鍵を購入し、恵比寿―大崎間を走行中の車内で同じ車両の片側のドア3カ所を施錠したとみられる。
大崎駅に到着した電車のドアが開かず、約10分の遅延が生じた。
防犯カメラの捜査から浮上した。
(※2023年7月29日に『dmenuニュース』で配信された記事の内容を引用しています。)

・威力業務妨害罪とは

今回の事例で逮捕された少年の行為は、威力業務妨害罪が成立する可能性があります。
威力業務妨害罪については、刑法第234条で以下のように規定されています。

  • 刑法第234条(威力業務妨害)
    威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

条文に記載されている「前条」とは、刑法第233条の信用毀損罪・業務妨害罪(偽計業務妨害罪)を指しています。

  • 刑法第233条(信用毀損及び業務妨害)
    虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

威力業務妨害罪の条文で「前条の例による」と規定されているので、威力業務妨害罪が成立した場合は、信用毀損罪・偽計業務妨害罪と同様に3年以下の懲役又は50万円以下の罰金で処罰されることになります。

威力業務妨害罪が成立するための要件としては、威力」を用いて「人の業務」を「妨害」していることが必要です。

「威力」とは、人(被害者)の意思を制圧するに足りる勢力を使用することを指します。
店内で暴れる行為や従業員に対して過剰なクレームをする行為も「威力」に該当します。

「人の業務」とは、人が社会生活において継続・反復して行う仕事を指します。
業務には、一般的な仕事以外にも、ボランティア活動や学校の授業なども該当します。
ただし、警察官などが強制力を行使する公務については、業務ではありません。
公務を妨害した場合は、威力業務妨害罪ではなく、公務執行妨害罪が成立します。

「妨害」については、実際に業務を妨害される行為だけでなく、業務を妨害するに足りる行為であればよいとされています。

今回の事例でAが行った電車のドアを施錠する行為は、運転手(人)の電車を運行するという意思を制圧して電車運行を遅らせているため、威力業務妨害罪が成立する可能性があります。

・お子様が威力業務妨害罪で逮捕されたら弁護士へ

少年事件と成人事件では、刑事事件を起こした場合の流れが少し異なります。
少年事件の場合は、警察から検察に送致された事件の全てが原則家庭裁判所に送られます。
また、身柄を拘束する必要がある場合の手続きも成人事件と異なる措置が取られる場合もあります。

少年事件に関する事件の流れを理解している人は多くはありません。
まして、お子様が逮捕されたと急に警察から連絡が来ると、気が動転してしまい、今後どうなるのか不安に感じてしまう方がほとんどです。
なので、お子様が事件を起こして逮捕されてしまった場合は、弁護士に弁護活動を依頼することをお勧めします。

弁護士に弁護活動を依頼すれば、弁護士から少年事件の詳しい流れや、お子様の今後の見通し、現在お子様が置かれている立場・状況などを詳しく丁寧に説明してくれるので、不安な気持ちを一人で抱え込まずに対処することができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、威力業務妨害罪はもちろん、様々な少年事件の弁護活動を担当した実績を持つ刑事事件・少年事件に特化した法律事務所です。
少年事件の弁護活動について、詳しく知りたいという方は、まずは24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

(事例紹介)友人を監禁後に暴行を加えた18歳の少年を逮捕

2023-08-09

(事例紹介)友人を監禁後に暴行を加えた18歳の少年を逮捕

友人を車で監禁した後に暴行を加えて傷害を負わせたとして、18歳の少年2人が傷害罪と逮捕・監禁罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

・参考事例

友人の16歳の少年を車に乗せて監禁したとして、警視庁少年事件課は、逮捕監禁の疑いで、東京都小平市のアルバイトの男(18)と、東大和市の塗装工の男(18)を逮捕した。
2人は調べに対し、容疑を認めているという。

逮捕容疑は、6月3日午後8時半ごろ、友人でとび職の少年(16)を東村山市内に呼び出し、塗装工の男の車に無理やり押し込み、約30分間、車内に監禁したとしている。

小平市内で少年を車から降ろしたが、アルバイトの男は、男が住む団地の階段の手すりに、結束バンドで少年を縛り、竹ぼうきや金属バットで殴り、けがを負わせた疑いがある。
同課は、アルバイトの男を傷害と逮捕監禁の容疑で追送検した。

少年事件課は、少年とアルバイトの男との間で、金銭トラブルがあったとみている。
(※2023年8月4日に朝日新聞デジタルで掲載された記事の内容を引用しています。)

・傷害罪とは

今回の事例で、少年らが友人に対して行った行為の一つとして、傷害罪が成立しています。
傷害罪については、刑法第204条で以下のように規定されています。

  • 刑法第204条(傷害)
    人の身体を損害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪に似ている罪として刑法第208条で規定されている暴行罪がありますが、傷害罪と暴行罪の大きな違いは「暴行を加えた結果、相手に傷害を負わせたかどうかです。
暴行を加えた結果、相手に傷害を負わせていなければ暴行罪が成立し、相手に傷害を負わせた場合は傷害罪が成立します。

今回の事例では、少年らは友人に対して、竹ぼうきや金属バットで殴るという暴行行為を行った結果、相手に怪我を負わせているため、傷害罪が成立するということになります。

・逮捕・監禁罪とは

少年らには、前述した傷害罪以外にも、逮捕・監禁罪が成立しています。
逮捕・罪については、刑法第220条で以下のように規定されています。

  • 刑法第220条(逮捕及び監禁)
    不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

逮捕・監禁罪は、不法」に人を「逮捕・監禁」することで成立します。
ここでの「不法」とは「違法」と同じ意味で、警察官による逮捕や私人でも認められている現行犯逮捕、検察庁や裁判所によって行われる勾留など、適法に行われるもの以外での逮捕や監禁を指します。

また、逮捕・監禁とは、いずれも人の行動の自由を奪う行為ですが、意味合いが少し異なります。
「逮捕」とは「人の体を直接拘束することを指し、「監禁」とは「一定の区域からの脱出を不可能又は著しく困難にすることを指します。
相手の手足を縛って身動きが取れないようにすることは逮捕の典型で、部屋に閉じ込めて出られないようにすることが監禁の典型です。

今回の事例では、少年らは友人を車に無理やり押し込み、約30分間脱出ができない状態にしたことと、車から降ろした後に結束バンドで少年を縛っていることで、逮捕・監禁罪が成立するということになります。

・少年が逮捕された場合の流れ

成人が逮捕された刑事事件と、少年(刑事事件における20歳未満の者)が逮捕される刑事事件では、逮捕された後の流れが異なります。
警察が逮捕・取調べを行った後に検察に送致されるまでは成人と同じ流れですが、少年の場合、検察に送致された後については、原則全ての事件が家庭裁判所に送致されます。

また、今回の事例のような18歳や19歳の少年については特定少年として扱われ、家庭裁判所に送致された後に事件を検察官に戻す逆送」の対象になる事件の範囲が拡大されたり、少年において禁止されている実名報道が可能になったり、少年審判における保護処分の内容が限定されたりと、18歳未満の少年事件と異なる手続きが可能になります。

・傷害罪や逮捕・監禁罪でお子様が逮捕されてしまったら弁護士へ

お子様が傷害罪や逮捕・監禁罪で逮捕されてしまった場合は、弁護士へ刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件の刑事弁護活動を担当した実績を持つ刑事事件少年事件に特化した法律事務所です。
警察から急にお子様が逮捕されたと連絡が来て、今後どうなるか不安に感じている方は、まずは24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)お問い合わせメールより、ご相談ください。

(事例紹介)建造物損壊罪と威力業務妨害罪で少年ら3人を逮捕

2023-08-02

(事例紹介)建造物損壊罪と威力業務妨害罪で少年ら3人を逮捕

警察署に対する建造物損壊罪と威力業務妨害罪で、20歳未満の少年ら3人が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

・参考事例

18~19歳の少年3人が、東京都にある警視庁昭島警察署の玄関前で、消火器の消火剤を噴射し、複数回打ち上げ花火を発射。

消火器を投げつけ、玄関扉の強化ガラス1枚(約27万円相当)を破壊したとして、同署は少年らを建造物損壊罪威力業務妨害罪の容疑で逮捕しました。

警察からの取調べに対し、少年らは「仲間が逮捕された仕返しをした」と容疑を認めています。
(※2023年5月30日に『朝日新聞デジタル』で掲載された記事の内容を一部変更しています。)

・威力業務妨害罪とは

今回の事例で、少年らが警視庁昭島警察署に対して行った行為は、威力業務妨害罪が成立しています。
威力業務妨害罪については、刑法第234条で以下のように規定されています。

  • 刑法第234条(威力業務妨害)
    威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

上記条文に記載されている「前条の例」とは、刑法第233条で規定されている信用毀損罪・偽計業務妨害罪と同様の罰則であることを指しています。

  • 刑法第233条(信用及び業務妨害)
    虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

つまり、威力業務妨害罪は、威力を用いて人の業務を妨害した者に対し、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」の罰則を与える罪ということです。

「威力」とは、人の意思を制圧するに足る勢力の使用を指し、今回の事例で考えると、警察署の玄関で消火器を噴射したり打ち上げ花火を発射させる行為は、警察署に出入りしようとする人を制圧する行為に該当するため、少年らの行為は威力業務妨害罪が成立するということになります。

ちなみに、「警察署に対する業務妨害は公務執行妨害罪ではないのか?」と思った方もいるのではないでしょうか。

公務執行妨害罪が成立する行為は、公務員が職務を執行しているときに暴行・脅迫を加える行為です。

今回の事例で考えると、少年らの行為は、公務員である警察官ではなく警察署に対する行為だったため、公務執行妨害罪ではなく威力業務妨害罪が成立するということです。

・建造物損壊罪とは

今回の事例で、少年らは前述した威力業務妨害罪とは別に、建造物損壊罪の容疑もかけられています。
建造物損壊罪については、刑法第260条で以下のように規定されています。

  • 刑法第260条(建造物等損壊及び同致死傷)
    他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

建造物損壊罪が指す「損壊」の定義とは、建造物の本来の効用を滅却あるいは減損させる一切の行為とされています。

少年らは、警察署の玄関扉に消火器を投げつけ、玄関扉の強化ガラス1枚を破壊しているので、建造物である警察署の効用を減損させたとして、建造物損壊罪が成立します。

・少年事件の流れ

今回の事件で逮捕されたのは、18~19歳の少年です。

刑事事件において、20歳未満の者は「少年」として扱われ、成人が刑事事件を起こした場合に行う刑事手続きとは違う手続きが行われます。

警察が逮捕・取調べをして検察に送致するまでは成人も少年も同じ流れですが、少年の場合は、検察に送致された後は原則全ての事件が家庭裁判所に送致されます。

家庭裁判所に送致後は、送致された少年の法的調査と社会調査を行い、調査の結果を踏まえて、裁判官が審判(=少年事件における裁判のこと)にかけるかどうかを判断し、審判にかける場合は少年に対する最終的な処遇を決定します。

少年事件の詳しい流れについては、以下の記事でより詳しく解説しています。

少年事件・少年犯罪の流れ

・子どもが威力業務妨害罪・建造物損壊罪による少年事件を起こしてしまった方へ

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件に特化している専門の弁護士事務所です。

威力業務妨害罪や建造物損壊罪はもちろん、様々な少年事件の弁護活動・付添人活動を数多く行ってきた実績を持つ弁護士が多数在籍しています。

子どもが少年事件を起こしてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
初回無料の法律相談や、逮捕されている場合の初回接見サービスを提供していますので、ご予約の際は24時間受付中のフリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

(事例紹介)乳児の死体遺棄事件で逮捕された19歳の母親を逆送

2023-07-26

(事例紹介)乳児の死体遺棄事件で逮捕された19歳の母親を逆送

生後間もなく死亡した男児をそのまま遺棄したとして、死体遺棄罪の疑いで逮捕された19歳の母親が、家庭裁判所に送致された後に逆送が決定されたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

・参考事例

広島県東広島市で生後間もない男児の遺体が見つかった事件で、広島家裁は、死体遺棄の疑いで逮捕、家裁送致された母親でベトナム国籍の技能実習生の女A(19)の少年審判を開き、検察官送致(逆送)を決定しました。

決定などによると、Aは実習先の寮で男児を出産。
間もなく死亡したため、自分のベッドに遺体を寝かせて生活を続けたが、出産の事実が周りに知られると、帰国させられるかもしれないと考え、近くの空き地に穴を掘って遺体を埋めて遺棄したとされています。

裁判官は決定理由で「わが子の死体を敬う意識を欠くなど責任を軽視することはできない」と指摘し、日本語の会話能力が著しく低いため「保護処分による更生を援助することも困難」などとして、刑事処分が相当としました。
(※6月1日に掲載された『Yahoo!ニュース』記事の一部を変更しています)

・死体遺棄罪(死体損壊等罪)

死体遺棄罪とは、文字通り死体を遺棄したときに成立する犯罪で、刑法第190条で規定されている死体損壊罪の中に含まれています。

  • 刑法第190条(死体損壊等)
    死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。

「死体」とは死亡した人の身体を指し、「遺棄」とは通常の埋葬と認められない方法で死体を放棄することを指します。

今回の事例では、Aは出産したことが周囲に知られると帰国させられるかもしれないと思い、死亡した男児を近くの空き地に穴を掘って埋めています。

この行為は、死亡した人の身体を通常の埋葬と認められない方法で放棄しているため、死体遺棄罪が成立することになります。

・逆送(検察官逆送)とは

逆送とは、14歳以上20歳未満の少年が刑事事件を起こした際に行われる特別な手続きを指します。

少年事件では、警察から検察に送致された後、原則全ての刑事事件が検察から家庭裁判所に送致されます。

家庭裁判所に送致された後、少年に対する調査が行われ、調査結果を踏まえた上で、裁判官が審判を行うかどうかの判断や、審判を行う場合の最終的な処遇を決定します。

本来、少年事件は処罰を与えることより更生させることに重きを置いているため、刑事処罰ではなく保護処分を課すことが優先されます。

ただ、家庭裁判所の審判において、少年に対し刑事処罰が相当であると判断されると、事件が家庭裁判所から検察官に戻されることになります。

このように、刑事処罰が相当であると審判で判断された少年事件が家庭裁判所から検察官に送致されることを逆送(検察官逆送)と言います。

逆送には、以下2つの種類があります。

1.年齢超過による逆送

少年事件が家庭裁判所に送致され、調査・審判を行っている段階で、少年の年齢が20歳以上と判明したことにより、事件を成人と同様の刑事手続きに戻すために行われる逆送です。

20歳以上かどうかの判断は、事件当時ではなく、家庭裁判所に送致されて調査・審判が行われている時点で判断されます。

2.刑事処分が相当であることによる逆送

死刑、懲役又は禁固に当たる事件について、家庭裁判所による調査の結果、罪質及び情状に照らして、家庭裁判所が刑事処分が相当であると認めることにより行われる逆送です。

事件当時16歳以上の少年で、故意の犯罪行為で被害者を死亡させた事件や、犯罪行為時18~19歳の特定少年で、死刑、無期又は短期1年以上の懲役、禁固に当たる事件に関しては、原則逆送されます。

今回の事例で考えると、Aは事件当時19歳の特定少年であり、死体遺棄罪の罰則は3年以下の懲役刑のみであること、Aの日本語会話力が著しく低く保護処分による更生を援助することが困難であることから、裁判官は逆送を決定したということになります。

・逆送を防ぐためには弁護士へ依頼を

逆送されてしまえば、成人の刑事事件と同様の刑事手続きが行われます。

また、逆送されると、ほとんどの少年は刑事処分を受けることになるため、未然に逆送を防ぐためには、少年事件に強い専門の弁護士に付添人活動を依頼することが重要です。

弁護士に依頼すれば、弁護士が少年の付添人として、裁判官に対して刑事処分が相当であると判断させないために、少年が保護処分で更生できること等を主張し、逆送を防ぐために尽力します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件に特化した専門の弁護士事務所です。
お子さんが事件を起こし、逆送されないか不安を抱えている方は、24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)お問い合わせメールよりご連絡ください。

 

(事例紹介)威力業務妨害罪により少年が家庭裁判所へ送致

2023-07-19

(事例紹介)威力業務妨害罪により少年が家庭裁判所へ送致

今回は、回転寿司店における威力業務妨害の非行事実により少年が家庭裁判所へ送致された報道につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

・ケース

山口地検は27日、回転ずしチェーン「はま寿司」の山口県内の店舗で、レーン上のすしにわさびを勝手にのせる動画を拡散させたとして、威力業務妨害の疑いで書類送検された少年1人を家裁送致した。

今年1月、県内のはま寿司の店舗で、他の客が注文したとみられるレーン上のすしにわさびをのせる動画が交流サイト(SNS)上で拡散。
はま寿司が5月に被害届を提出し、山口県警が今月6日、はま寿司の業務を妨害したとして威力業務妨害の疑いで書類送検していた。
Yahoo!JAPANニュース6月27日「迷惑動画で少年を家裁送致 はま寿司、山口地検」より引用)

・飲食店における客の迷惑行為

今年に入ってから、飲食店における客の迷惑行為について注目が集まっており、以前ではあまり見られなかった、強い対応をとる企業も増えてきているようです。
冒頭で紹介した記事がその一例といえます。

・家庭裁判所送致とは?

少年事件ではない刑事事件においては、警察、検察が事件を捜査した後、検察官が起訴、不起訴の別を決定するのが通常です(軽微な事件では警察限りで事件が終了する場合もあります)。
前述の刑事手続においては、被疑者を裁判にかけるか否かについて、検察官が裁量を有していることになります。

これに対し少年事件では全件送致主義がとられており、家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合には、すべての事件を家庭裁判所に送致することが捜査機関に義務付けられています(少年法第41条、42条)。

・家庭裁判所に送致された後は?

家庭裁判所に送致された後は、非行事実のほか、少年の生い立ち性格家庭環境などが調査されます。
調査は在宅で行われる場合もあれば、少年鑑別所に少年を収容した上で実施される場合もあります。

調査の後に審判が開かれた場合、家庭裁判所は必要に応じて保護処分を決定したり(少年院送致,保護観察処分など)、刑事処分が相当であると判断すれば、検察官送致(逆送)を決定することになります。

また、特に処分の必要がないとして不処分とする場合もあります。

・最後に

少年法では、少年の年齢によって異なる処分を予定していることがあり、その内容はかなり複雑です。
少年事件を有利に解決するためには、少年事件に熟練した弁護士のアドバイスが役立ちます。

お子様が少年事件の被疑者となった場合や、家庭裁判所の審判を受けることになってしまい、どうすればよいかわからない、という場合には、少年事件に詳しい弁護士のアドバイスを受け、今後の対応を検討することが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
少年事件に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)15~19歳の少年少女4人が強盗致傷罪の疑いで逮捕

2023-07-12

(事例紹介)15~19歳の少年少女4人が強盗致傷罪の疑いで逮捕

今回は、15歳から19歳の少年少女4人が強盗致傷罪の疑いで逮捕された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

・ケース

SNSを通じて呼び出した男性会社員に暴行を加えてけがをさせたうえ、現金を奪った疑いで、少年少女4人が逮捕されました。

強盗致傷罪の疑いで逮捕されたのは、福岡市などに住む15歳から19歳の少年少女4人です。
4人は、22日午後8時前、福岡市中央区にあるホテルの敷地内で、SNSを通じて会う約束をした男性会社員の顔や頭を殴るなどしてけがをさせたうえ、現金4万5000円を奪った疑いが持たれています。

取り調べに対し、4人はいずれも容疑を認めているということで、警察が事件のいきさつを詳しく調べています。
RKBオンライン6月24日「男性会社員から現金奪う 強盗致傷容疑で少年少女4人逮捕」より引用)

・「特定少年」については厳しい処分がありうる

逮捕された少年少女4人の中には19歳の者が含まれているのとのことですが、18歳、19歳の少年については、原則逆送対象事件の拡大(後述します)、「起訴された場合における実名報道の解禁など、17歳以下の少年とは異なる、より不利益な取り扱いがなされる可能性があります。

逆送を簡潔に説明するならば、「保護処分ではなく刑事処分が妥当な少年につき、家庭裁判所から検察官へ送致する処分」ということができます。
この場合は、20歳以上の者と同じように刑事裁判にかけられ、有罪判決を受けた場合には、懲役刑などの刑罰を受けることになります。

強盗致傷罪の法定刑は「無期又は六年以上の懲役」となっており(刑法第240条)、少年法第62条2項2号によれば、特定少年につき原則逆送対象事件となっています。
逆送決定は家庭裁判所の裁量によってなされるものもありますが、原則逆送対象事件については、文字通り原則として逆送決定を行わなければなりません

・17歳以下の少年についても逆送決定がありうる

今回は特定少年に重きを置いた解説を行いましたが、17歳以下の少年についても逆送決定がなされる場合があります(少年法第20条)。

少年法の定めるルールはかなり複雑であり、事件解決のためには少年事件に熟練した弁護士のサポートが重要となります。
お子様が強盗致傷事件を起こし逮捕されてしまった方は、すぐに少年事件に詳しい弁護士と相談しアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
逆送決定に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)バイクで信号無視などを繰り返した5人の少年が検挙

2023-07-05

(事例紹介)バイクで信号無視などを繰り返した5人の少年が検挙

今回は、バイクに乗って信号無視を繰り返す、車線をはみ出すなどの運転をした疑いで、5人の少年が検挙された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

・ケース

バイクに乗って信号無視を繰り返すなどの危険な運転をしたなどとして、少年ら5人が検挙されました。

警視庁によりますと、16歳から18歳の少年ら5人はことし2月、東京・足立区で4台のバイクに乗り、信号無視や車線をはみ出すといった危険な運転を繰り返したなどの疑いが持たれています。
5人はSNSで知り合い、近くのガソリンスタンドにほかの仲間と20人ほどで集まっていて、通報を受け駆けつけた警察官から逃げる際に犯行に及んだとみられています。

調べに対し、5人はいずれも容疑を認め、「警察に呼び止められると面倒なので逃げた」などと供述しているということです。
livedoorNEWS 6月15日『「警察に呼び止められると面倒で逃げた」バイクで“危険運転”か 少年ら5人検挙 足立区』より引用)

・5人の少年らはこれからどうなるのか?

少年らの身体拘束の有無は不明ですが(通常、被疑者が逮捕された事件報道においては「逮捕」と記載されます)、逮捕されずに在宅で捜査されているのであれば、後日、検察、家庭裁判所に送致され、審判が開かれれば、必要に応じて保護処分を受けることになるでしょう。

もっとも、少年らがバイクに乗って信号無視等を繰り返してまで逃走を図った点については、不審な行動として厳しく追及される可能性があります。
捜査機関は、「警察に知られるとまずいことがあるから逃げたのではないか」と疑い、取り調べを行うことが予想されるからです。

さらに、日常からこのような運転を行う集団に属し、家庭環境やその他の素行にも問題があると判断されれば、家庭裁判所から少年院送致などの重い処分を言い渡される可能性も生じてきます。

少年事件を有利に解決するためには、少年事件に関する専門的な知識を有する弁護士のサポートが重要となります。
まずは少年事件に詳しい弁護士の法律相談を受け、今後の弁護活動についてアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
少年事件に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)少年が電車内で起こした威力業務妨害事件

2023-06-21

(事例紹介)少年が電車内で起こした威力業務妨害事件

少年が電車内で起こしたとされる威力業務妨害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

電車内で唐辛子成分入りのスプレーを噴射したとして、警視庁は大学生の男(19)=東京都…区=と建設作業員の男(19)=同=を威力業務妨害容疑で逮捕し、1日発表した。
大学生は「大騒ぎになると思わなかった」と供述。
建設作業員は「やっていない」と話し、いずれも容疑を否認しているという。

下谷署によると、2人は共謀して5月4日午後11時45分ごろ、上野―入谷駅間を走行中の東京メトロ日比谷線の電車内で、スプレーを噴射し、入谷駅員らに点検などを行わせて業務を妨害した疑いがある。
署によると、スプレーは量販店で売られていた防犯用で、唐辛子成分が含まれていたという。乗客の男女5人が体調不良などを訴えていた。
(以下、略)

(朝日新聞デジタル令和5年6月1日(木)13時30分配信「日比谷線内で唐辛子成分入りスプレー噴射した疑い 19歳2人を逮捕」より引用)

・威力業務妨害罪

参考事件の19歳の少年2人は、威力業務妨害容疑で逮捕されています。
威力業務妨害罪の条文は以下のとおりです。

(威力業務妨害罪)
刑法234条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

前条とは、偽計業務妨害罪・信用毀損罪を指します。

刑法233条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

刑法233条では、「虚偽の風説」「偽計」のいずれかを用いることが前提となり、「人の信用を毀損し」た場合には信用毀損罪が、「業務を妨害した」場合には偽計業務妨害罪が、それぞれ成立すると定めています。
偽計業務妨害罪、信用毀損罪、威力業務妨害の法定刑は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。

刑法234条における威力とは暴行・脅迫、社会的・経済的地位を利用した威迫、集団での力の誇示、物の損壊、騒音などの多くが含まれ、「人の意思を抑圧するに足りる勢力」が威力とされています。
この威力の行使は、被害者の目の前で行われている必要はありません。
威力を用いた結果として、それさえなければ遂行されたはずの本来の業務ができなくなったのであれば、威力業務妨害罪は適用されます。

・少年事件の対応

参考事件で事件を起こしたのは共に19歳の少年です。
被疑者(罪を犯したとして疑われている者)が20歳未満の場合、少年事件の手続きとして進められます。
但し、少年事件の手続きで進められている過程で20歳の誕生日を迎えた場合、原則として成人の刑事事件に切り替わりますので、注意が必要です。

14歳以上で20歳未満の少年が罪を犯したとして捜査され、結果として非行事実が認められた場合、その処分は上述した罰金や服役ではなく、少年院送致や保護観察などの少年法に則った保護処分が下される可能性があります。
保護処分を課すか課さないかを検討する際に重要になるのは少年の「要保護性」と呼ばれるものです。
要保護性とは将来の再非行の可能性を意味し、要保護性が高いということは少年院送致を含めた保護処分が必要であり、要保護性が低い(ない)ということは、少年の性格や生活環境を鑑みて再非行のおそれが低いということになります。

少年院送致や児童自立支援施設送致といった保護処分を言い渡されて施設処遇を受けることで、少年が更生に向かう場合もあります。
他方で、社会から一定の距離を置くことによる心理的負担や、少年のその後の人生を考えた時にいわば空白期間が生じるおそれがあります。
弁護士としては、少年の付添人という立場で、少年にとってどのような保護処分が必要か(あるいは不要であるか)を検討し、お子さんにも保護者の方にも然るべき指導をしつつ、家庭裁判所等に対して適切な主張を行っていく必要があります。

20歳未満のお子さんが威力業務妨害罪などの刑事事件で逮捕され、家庭裁判所に送致され保護処分を受ける可能性があるという場合、すぐに少年事件・刑事事件の弁護活動が豊富な弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。

(事例紹介)少年を含むグループが窃盗をして逮捕

2023-05-31

(事例紹介)少年を含むグループが窃盗をして逮捕

高校生の少年を含む7人が逮捕された窃盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

1月、札幌市北区のスーパーに侵入し、現金などを盗んだ疑いで高校生ら男7人が逮捕されました。
(中略)
1月28日午前4時ごろ、札幌市北区拓北7条2丁目のスーパーマーケットから、現金7500円が入った釣り銭用のケースが盗まれました。
建造物侵入と窃盗の疑いで11日までに逮捕されたのは、住所不定の…容疑者(25)、札幌市豊平区の…容疑者(26)、それに、16歳の男子高校生らあわせて男7人です。
警察は認否を明らかにしていません。
(中略)
社長「防犯カメラを見たら、(男たちは)まずレジに行って、レジは開けて金がないとわかったら、事務所の金庫に走っていくのが見えた。金庫は壊されてバラバラになったが、中まで開けられなかったので、盗まれたのは手提げ金庫のみ」
(中略)
警察によりますと、逮捕された7人は年齢が16歳から26歳で、居住地も札幌市や江別市などばらばらですが、知人どうしだということです。
警察は、余罪を追及する方針です。
(HBCニュース北海道 令和5年5月12日(金)17時37分配信「16歳高校生含む窃盗団7人が逮捕 被害のスーパー社長「まさか自分のところが」札幌市北区」より引用)

・事例で問題となる建造物侵入罪、窃盗罪、及び器物損壊罪

ニュースによると、逮捕された男性7人は建造物侵入罪と窃盗罪の疑いがかかっています。
また、男性7人は窃盗のために金庫を壊しているため、さらに器物損壊罪も適用される可能性があります。
条文はそれぞれ以下のとおりです。

(建造物侵入罪)
刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
(器物損壊罪)
刑法261条 前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
(窃盗罪)
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。 

なお、これらの罪は一連の流れであり、窃盗という目的のために、スーパーに侵入して金庫を開けようとして壊したといういわば手段に当たることから、牽連関係にあると評価されると考えられます。
牽連関係にある罪については、最も重い刑に処されることになるため、すべての犯罪が成立して起訴された場合、「10年以下の懲役又は50万円以下」の範囲内で刑罰が科されます。

・20歳未満の少年について

逮捕された男性のうち25歳と26歳の男性については、刑事訴訟法等の手続法に則り手続きが進められ、前章で説明した刑事罰が科せられる(あるいは何かしらの理由で不起訴になる)ことが考えられます。
他方で、20歳未満の少年らについては、少年法に基づき成人とは異なる手続きに付されます。

少年事件は原則すべての事件で家庭裁判所に送致され、少年の性格や保護者の監督状況についての調査が行われた後に、必要に応じて少年審判を開きます。
少年事件の処分には保護観察や少年院送致等があり、これらは成人の刑事事件のような制裁や処罰ではなく、教育と保護を目的とした保護処分が課せられます。
そのため少年事件での付添人活動としては、少年に更生の可能性があることや、少年が更生できるような家庭環境が整っていることを家庭裁判所に主張し、少年院や児童自立支援施設などの施設送致を回避する活動が主となります。
そのためにも、早期に弁護士に相談し、弁護活動を依頼することがお勧めです。

・少年事件の経験が豊富な弁護士事務所

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱っている弁護士事務所です。
少年事件の場合、捜査を受ける「被疑者」段階で勾留されている場合は原則として全件で国選弁護人が就きますが、家庭裁判所に送致され「少年」の立場になった後は一部例外を除き国選(付添人)は就きません。
お子さんが窃盗事件などで逮捕され、少年事件として手続きが進んでいる場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡・ご相談ください。

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