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(事例紹介)原動機付自転車でひき逃げの少年逮捕

2023-06-07

(事例紹介)原動機付自転車でひき逃げの少年逮捕

16歳の少年がひき逃げで逮捕されたという報道について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

けさ(17日)岡山市東区の県道でひき逃げをしたとして、16歳の少年が逮捕されました。
過失運転傷害・道路交通法違反容疑で逮捕されたのは、岡山市の自称アルバイトの少年(16)です。

警察によりますと少年は、きょう午前7時半ごろ、岡山市東区西大寺上三丁目の県道で原付バイクを運転中、渋滞のため停止しようとしていた岡山市の会社員の女性(18)が運転する軽乗用車に追突したあと、逃走した疑いです。女性は胸椎をねん挫するなど1週間のけがです。
女性からの通報を受けた警察が、ひき逃げ事件として所要の捜査を行って少年の犯行を特定し、きょう午後逮捕したものです。

調べに対して少年は「交通事故を起こして逃げたことについては、オレがやったことに間違いありません」と容疑を認めているということで、警察が逃げた動機などについて調べています。
(RSK山陽放送 令和5年5月17日(水) 20時46分配信 「「オレがやったことに間違いありません」原付バイクで軽乗用車に衝突も逃走 少年(16)を逮捕 軽乗用車の女性(18)が1週間のけが【岡山市】」より引用)

・ひき逃げ

参考事例では、少年がひき逃げで逮捕されています。
ひき逃げは、
・過失運転致傷(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(以下では「自動車運転死傷行為等処罰法」)違反)
・救護義務違反(道路交通法違反)
によって構成されています。

まず、過失運転致傷罪については、原動機付自転車を含む自動車を運転している際に運転上必要な注意を怠り、人に怪我を負わせた場合に適用されます(自動車運転死傷行為処罰法第5条)。
俗に人身事故と呼ばれるものです。
過失運転傷害罪(過失運転致傷罪)の法定刑は7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金です。
また、被害者の負った傷害が軽いと判断されれば、刑が免除される可能性があります。

次に、救護義務違反については、道路交通法第72条前段に違反します。
同条では、交通事故が発生した場合、事故に関係する車両の運転手(その他乗務員)はすぐに車両を止めて負傷者を救護し、必要な措置(道路における危険を防止する等)を講じ警察官に連絡しなければならないことを定めています。
運転手が救護義務に違反した場合の法定刑は10年以下の懲役又は100万円以下の罰金です(道路交通法第117条第2項)。

・少年事件での示談交渉

ひき逃げなどの被害者がいる事件で、少年自身が罪を認めていて且つ反省している場合、謝罪と賠償を行い示談締結を求める弁護活動・付添人活動を行うことが考えられます。
この示談交渉について、成人の刑事事件については、示談し宥恕(被害者が加害者を許す意味)があれば、不起訴処分となる可能性は極めて高いです。
しかし、少年事件の場合、示談をしたからといって必ずしも良い処分を得られるという訳ではありません。
仮に示談が行われたとしても、少年が反省していない・再非行のおそれが高い・要保護性(少年を指導や保護に付する必要性)が高いと評価され、少年院送致や児童自立支援施設送致などの厳しい保護処分が課せられることは考えられます。

では、示談をしなければ良いのかというと、そうではありません。
被害者がいる少年事件では
①倫理的あるいは道義的に謝罪と賠償を行う必要がある
②刑事事件・少年事件の一貫として示談をしなければ、被害者の側から賠償請求などをされる可能性がある
③犯罪少年の行為に対して責任をとれていないとして、保護者の監督能力が疑われる
といった理由から、できる限りの謝罪と賠償、示談交渉を進めていきたいところです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱っている弁護士事務所です。
弊所では初回であれば無料で受けることができる法律相談の他、弁護士が逮捕されている少年のもとに直接伺う初回接見サービス(有料)をご利用いただけます。
お子さんがひき逃げを起こしてしまい取調べを受けている場合、逮捕されてしまった場合は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881(24時間対応、年中無休)」へ御連絡ください。

(事例紹介)少年を含むグループが窃盗をして逮捕

2023-05-31

(事例紹介)少年を含むグループが窃盗をして逮捕

高校生の少年を含む7人が逮捕された窃盗事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

1月、札幌市北区のスーパーに侵入し、現金などを盗んだ疑いで高校生ら男7人が逮捕されました。
(中略)
1月28日午前4時ごろ、札幌市北区拓北7条2丁目のスーパーマーケットから、現金7500円が入った釣り銭用のケースが盗まれました。
建造物侵入と窃盗の疑いで11日までに逮捕されたのは、住所不定の…容疑者(25)、札幌市豊平区の…容疑者(26)、それに、16歳の男子高校生らあわせて男7人です。
警察は認否を明らかにしていません。
(中略)
社長「防犯カメラを見たら、(男たちは)まずレジに行って、レジは開けて金がないとわかったら、事務所の金庫に走っていくのが見えた。金庫は壊されてバラバラになったが、中まで開けられなかったので、盗まれたのは手提げ金庫のみ」
(中略)
警察によりますと、逮捕された7人は年齢が16歳から26歳で、居住地も札幌市や江別市などばらばらですが、知人どうしだということです。
警察は、余罪を追及する方針です。
(HBCニュース北海道 令和5年5月12日(金)17時37分配信「16歳高校生含む窃盗団7人が逮捕 被害のスーパー社長「まさか自分のところが」札幌市北区」より引用)

・事例で問題となる建造物侵入罪、窃盗罪、及び器物損壊罪

ニュースによると、逮捕された男性7人は建造物侵入罪と窃盗罪の疑いがかかっています。
また、男性7人は窃盗のために金庫を壊しているため、さらに器物損壊罪も適用される可能性があります。
条文はそれぞれ以下のとおりです。

(建造物侵入罪)
刑法130条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
(器物損壊罪)
刑法261条 前3条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。
(窃盗罪)
刑法235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。 

なお、これらの罪は一連の流れであり、窃盗という目的のために、スーパーに侵入して金庫を開けようとして壊したといういわば手段に当たることから、牽連関係にあると評価されると考えられます。
牽連関係にある罪については、最も重い刑に処されることになるため、すべての犯罪が成立して起訴された場合、「10年以下の懲役又は50万円以下」の範囲内で刑罰が科されます。

・20歳未満の少年について

逮捕された男性のうち25歳と26歳の男性については、刑事訴訟法等の手続法に則り手続きが進められ、前章で説明した刑事罰が科せられる(あるいは何かしらの理由で不起訴になる)ことが考えられます。
他方で、20歳未満の少年らについては、少年法に基づき成人とは異なる手続きに付されます。

少年事件は原則すべての事件で家庭裁判所に送致され、少年の性格や保護者の監督状況についての調査が行われた後に、必要に応じて少年審判を開きます。
少年事件の処分には保護観察や少年院送致等があり、これらは成人の刑事事件のような制裁や処罰ではなく、教育と保護を目的とした保護処分が課せられます。
そのため少年事件での付添人活動としては、少年に更生の可能性があることや、少年が更生できるような家庭環境が整っていることを家庭裁判所に主張し、少年院や児童自立支援施設などの施設送致を回避する活動が主となります。
そのためにも、早期に弁護士に相談し、弁護活動を依頼することがお勧めです。

・少年事件の経験が豊富な弁護士事務所

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を中心に取り扱っている弁護士事務所です。
少年事件の場合、捜査を受ける「被疑者」段階で勾留されている場合は原則として全件で国選弁護人が就きますが、家庭裁判所に送致され「少年」の立場になった後は一部例外を除き国選(付添人)は就きません。
お子さんが窃盗事件などで逮捕され、少年事件として手続きが進んでいる場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡・ご相談ください。

(事例紹介)わいせつ行為を女児にしたことで男子高校生逮捕

2023-05-24

(事例紹介)わいせつ行為を女児にしたことで男子高校生逮捕

20歳未満の少年が、13歳未満の児童に対して起こしたとされる強制わいせつ事件の報道を踏まえて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

奈良市内の路上で9歳の女の子に声を掛け、わいせつな行為をした疑いで男子高校生が逮捕されました。
強制わいせつの疑いで逮捕されたのは奈良県…内に住む男子高校生(16)です。

男子高校生はことし4月、奈良市内の路上で犬の散歩をしていた9歳の女の子に声を掛けて、着衣の上から胸や陰部など身体を触った疑いが持たれています。

警察によると男子高校生と女の子の間に面識はなく、被害に遭った女の子が帰宅後、母親に相談し、母親が警察に通報したことで事件が発覚しました。
付近の防犯カメラには男子高校生が乗っていたとみられる原付バイクが映っていてバイクのナンバーなどから男子高校生を割り出したということです。

男子高校生は「僕がしたことに間違いありません」と容疑を認めていますが、「女の子に『触らせて』と言ったら、うなずいたように見えたので、触りました」と話しているということです。

(関西テレビ 令和5年5月9日(火) 14時32分配信 「「犬の散歩中」9歳女児に声掛け“わいせつ行為”16歳男子高生を逮捕 女児が帰宅後に母親と相談し通報」より引用。一部固有名詞を「…」としています。)

・強制わいせつ罪

ニュースで逮捕された少年は、強制わいせつ罪の疑いで逮捕されているようです。
強制わいせつ罪は、刑法で以下のとおり定められています。

刑法第176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

わいせつな行為とは、被害者の性的羞恥心を害し、かつ一般に性的羞恥心を害されるであろうと認識される行為のことです。
参考事例の胸を揉む、陰部に触れるといった行為については、この「わいせつな行為」に該当すると考えられます。

なお、今回の参考事例については、被害者が9歳と報じられています。
被害者が13歳以上の場合には「暴行又は脅迫」を用いることが強制わいせつ罪の構成要件(成立要件)とされていますが、被害者が13歳未満の場合、暴行や脅迫は要件とされていません。
そのため、参考事例の報道では「女の子に『触らせて』と言ったら、うなずいたように見えた」とされていますが、被害者が9歳であることから、同意の有無は強制わいせつ罪の成立に影響しないと考えられます。

・少年事件の流れ

20歳以上の成人が強制わいせつ事件を起こし有罪となった場合、上述した刑法176条に従って「6月以上10年以下の懲役」の範囲で刑事罰が科せられます。
しかし、20歳未満の者が起こした事件については少年事件として扱われ、原則として刑事罰ではなく保護処分が課せられます。

犯罪が起きた場合には捜査機関による捜査が行われますが、14歳以上の少年(犯罪少年)については、原則として成人の刑事事件と同様に捜査が行われます。
捜査に際し身柄拘束が必要と判断された場合には逮捕・勾留される場合もあります。

捜査機関が捜査を終えた時点で、成人の刑事事件であれば検察官が起訴するかどうかの判断をし、起訴するべき事件は各地方裁判所・簡易裁判所に起訴されます。
しかし、少年事件の場合、原則としてすべての事件で家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所では、最終的に(審判不開始の事案を除き)保護処分を課すか等の判断を行う「少年審判」が開かれますが、そのためには少年の性格や保護者の監督状況について把握する必要があります。
そこで行われるのが、家庭裁判所調査官による調査面談や、少年鑑別所で行われる観護措置などです。
少年事件では、事件の内容は重要ですが、事件の内容だけで処分が決まるわけではありません。
成人であれば執行猶予付きの判決が言い渡されるような事件であっても、調査官面談の結果や少年鑑別所での行動観察等により少年院送致・児童自立支援施設といった施設に送致される可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を専門に取り扱う弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの少年事件で弁護活動・付添人活動を行ってまいりました。
在宅の少年事件であれば事務所にて無料法律相談を行うことができるほか、お子さんが強制わいせつ罪などの少年事件で逮捕・勾留されている場合には弁護士が留置先で接見を行う初回接見サービス(有料)のご案内を致します。
ご予約は0120-631-881(24時間365日予約受付)まで。

(参考事例)交通事故で犯人隠避の少年を逮捕

2023-05-17

(参考事例)交通事故で犯人隠避の少年を逮捕

交通事故が発生した後、運転をしていなかった少年が「自分が運転手だ」と嘘をついたことで犯人隠避罪で逮捕されたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

【参考事例】

14日、名古屋市東区で、飲酒運転の乗用車が欄干に突っ込み、同乗者3人が死傷した事故で、うその申告で運転者を隠したなどとして助手席の少年が逮捕されました。
この事故は、14日午前、男女5人が乗った乗用車が橋の欄干に突っ込み、1人が死亡、2人が大けがをしたものです。
警察によりますと、新たに逮捕された春日井市の会社員の少年は、乗用車の持ち主で、運転していた少年の身代わりに、自分が事故を起こしたとうその申告をした、犯人隠避などの疑いがもたれています。
調べに対し、容疑を認めているということです。

この事故では、運転していた少年が酒を飲んで運転し、同乗者を死傷させたとして、危険運転致死傷の疑いで逮捕されています。

(中京テレビニュース 2023年5月16日配信 同17日閲覧)

【事件で問題となる犯人隠避の罪】

参考事例では、飲酒の後運転をして事故を起こした運転手と、それを庇った助手席の者が、それぞれ問題となっています。

まず、実際に運転をしていた運転手は、他の自動車や歩行者と接触したわけではなく自身の車が橋の欄干(らんかん)に衝突し、同乗者が怪我をしたという事故です。
この場合も、いわゆる人身事故として取り扱われます。
また、運転手は運転前に飲酒していたと報じられていることから、
危険運転致死傷罪
過失運転致傷罪道路交通法違反(酒気帯び運転)
が問題になると考えられます。

次に、助手席に座っていた少年について、本当は運転をしていなかったにもかかわらず運転をしていたと申告した嫌疑で逮捕されています。
この場合に問題となる犯罪に、犯人隠避罪があります。
条文は以下のとおりです。

刑法103条 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

犯人隠避の罪は、警察官などが犯人を見つけられなくするような行為を意味します。
判例では、犯人に逃げるようにアドバイスした行為や、犯人に対し逃亡のための資金を渡す行為、犯人がいる場所に来た警察官に「別の場所に逃げた」と嘘を言う行為、など様々な行為が隠避と認められています。
今回助手席にいた少年は、いわゆる身代わり出頭に類する行為により警察官に対して真の運転手がいることを隠そうとしていることから、犯人隠避の罪が成立すると考えられます。

【少年事件での弁護活動】

少年事件での弁護活動・付添人活動は、成人の刑事事件とは手続きが異なるという点だけでなく、少年の性格などを把握したうえでの対話が必要となります。
例えば、大人の取調べに対して突っぱねているだけで本当は罪を認めたいと考えている場合、別の犯人から脅されて犯人であると名乗り出た場合、罪の重さを理解していない場合、大人の言っている言葉や用語を理解していない場合、など、様々な状況が検討されるため、先入観にとらわれず、時間をかけて少年の話を聞き取ることが重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、開設当初から数多くの刑事事件・少年事件に携わってきました。
お子さんが犯人隠避の罪などで逮捕・勾留された場合、少年事件の弁護活動・付添人活動が豊富な、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
まずは初回接見サービス(有料)により、事件の内容をお子さんから直接伺った上で、今後の見通しなどについてご説明致します。

(事例紹介)詐欺事件を起こし、別件で少年鑑別所に収容されていた少年2人が逮捕

2023-05-10

(事例紹介)詐欺事件を起こし、別件で少年鑑別所に収容されていた少年2人が逮捕

少年鑑別所に収容されていた少年が逮捕された詐欺事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

埼玉県警朝霞署は24日、詐欺容疑で、静岡県袋井市、男子高校生(17)と同県磐田市、無職の少女(17)の2人を逮捕した。

逮捕容疑は氏名不詳者らと共謀し、今年1月26日午後1時ごろから数回、志木市の無職女性=当時(79)=方に県内の孫(28)を装って電話し、「書類を間違えて発送した。仕事の都合でお金が必要」などと話し、同日午後2時半ごろ、同方を訪れ、女性から現金100万円とキャッシュカード2枚をだまし取った上、同市内のATMで計5回にわたり現金計80万円を引き出した疑い。

同署によると、事件後に女性が孫に連絡を入れたため詐欺と分かった。
同署はコンビニ店の防犯ビデオなどから2人を特定。
その後の捜査で、犯行後に別件で静岡少年鑑別所に収容されていることが分かり、同署は24日、同鑑別所で2人を逮捕した。

2人は友人関係で、女性方やコンビニ店で受け子や見張り役をやっていた。調べに対して「間違いない」と容疑を認めているという。

(埼玉新聞 令和5年4月26日(水) 10時02分配信 「鑑別所で…静岡の17歳男女を逮捕 志木の女性から現金などだまし取った疑い 友人同士で受け子、見張り役」より引用)

・詐欺罪

紹介したニュースの少年(少年法第2条において、20歳に満たない者)2人は、詐欺罪の容疑で逮捕されています。
参考事例の詐欺事件は、特殊詐欺にあたります。
その中でも今回の事例は、親族を装って電話をかけ、仕事のトラブルを騙って現金やキャッシュカードを騙し取っていることから特殊詐欺の類型の1つであるオレオレ詐欺に該当します。

・少年鑑別所

事件を起こした2人は少年鑑別所で逮捕されています.
時系列としては、
①事件Aを起こす
②事件Bを起こす
③事件Bで捜査を受け、家庭裁判所に送致されて観護措置を受ける
④事件Aの捜査の結果、少年らが犯人であることを特定し、既に事件Bで少年鑑別所にて収容観護されていることが判明
という事例であると考えられます。

少年鑑別所では、少年の保護処分を決める少年審判を開く前に、少年が非行に及んだ理由などを調べるための行動観察や面談などが行われます。
また、勾留に代わる観護措置により少年鑑別所に収容されている場合は、警察官等による取調べも行われます。

成人の事件で勾留の手続きが採られた場合、捜査段階での勾留期間は最大で20日間ですが起訴され裁判になる場合には繰り返し延長ができるため、裁判が終わるまでは勾留されるという場合もあります。
しかし少年事件の観護措置決定は2週間+延長2週間の4週間で終える必要がありますので、その期間内に審判期日を設ける場合がほとんどです。

なお、実務的には、捜査をしている段階で余罪があると分かっている事件であれば、捜査がすべて終わった時点で家庭裁判所に送致する場合が多いです。
身柄拘束が必要な事件の場合、20日間の捜査勾留期間内に捜査が終わることが望ましいですが、終わらない場合、1件目の事件で処分保留の釈放をしつつ、2件目の事件で逮捕して改めて勾留する、という流れが一般的で、全ての捜査が終了した後、家庭裁判所の判断で少年鑑別所に収容されます。

しかし、今回報道されている事件について、報道の範囲内で推測される手続きとしては、逮捕により鑑別所での収容観護の執行停止、又は取消しして、2件目の捜査が行われます。
状況や事件の内容によっては、2件目の捜査終了後に改めて家庭裁判所に送致され、最初から少年鑑別所での収容観護が行われる可能性があります。

・少年事件は手続きが複雑

今回の報道事例は特にレアケースですが、少年事件では成人の刑事事件とは異なる手続きが多々見られます。
実は、法律の専門家である法曹三者(弁護士・検察官・裁判官)も、試験勉強から研修(司法修習)、実務に至るまで、少年法をはじめとした少年事件に関する法律に触れる機会は極めて少なく、手続きを知らない方も少なくありません。

そんな中、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする弁護士事務所として、これまで数多くの少年事件に携わってきました。
20歳未満のお子さんが詐欺などの罪を犯して逮捕された、捜査を受けている、少年鑑別所で収容観護が行われているという場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。

(事例紹介)10代の学生に対する傷害事件で少年2人が逮捕

2023-05-03

(事例紹介)10代の学生に対する傷害事件で少年2人が逮捕

少年同士で起きた傷害事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

静岡県焼津市で、顔見知りの15歳の男子学生2人に暴行を加え、けがをさせたとして10代の少年2人が4日、逮捕されました。
傷害の疑いで逮捕されたのは、藤枝市に住む無職の16歳の少年と焼津市に住む無職の15歳の少年です。少年らは3月下旬、焼津市内で顔見知りの15歳の男子学生2人に顔を殴ったり、体を蹴ったりするなどの暴行を加え、けがをさせた疑いが持たれています。男子学生2人は打撲するなどの軽傷です。
警察によりますと、少年らの間に何らかのトラブルがあったということで、事件の詳しい経緯などを詳しく調べています。

(静岡朝日テレビ 令和5年4月4日(火) 12時03分配信 「15歳の少年2人に暴行か…傷害容疑で15歳と16歳の無職の少年を逮捕 静岡・焼津警察署」より引用)

・傷害罪

上記の事件では2人の少年が傷害の容疑で逮捕されています。
傷害について定めた条文は下記のとおりです。

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪における「傷害」とは、人の生理的機能(生活機能)に傷害を与えること、または広く健康状態を不良に変更することを言う、というのが判例通説の見解です。
この「傷害」が扱っている幅は広く、皮膚を傷つける等の行為は固より、病気にかからせることや昏倒させることで人の意識作用に障害を生じさせる行為も、傷害罪の言う「傷害」に当たるとされています。

・少年事件での逮捕後の流れ

事件を起こした犯人が20歳に満たない少年であった場合、その事件は少年事件という扱いになります。
少年が逮捕された場合、警察官は少年を48時間以内に事件を釈放するか検察官に送致するかを決定します。
その後、警察官から被疑者の送致を受けた検察官は、少年を釈放するか裁判官への勾留を請求するかを24時間以内に決定します。
この流れは成人の刑事事件と少年事件で変わりありませんが、少年事件では少年法第43条に「少年の被疑事件においては、やむを得ない場合でなければ、裁判官に対して、勾留を請求することはできない。」と定められているため、少年事件の勾留決定には相応の事情が求められます。
また、少年事件では、勾留ではなく「勾留に代わる観護措置」の決定を受け、警察署等の留置施設ではなく少年鑑別所で観護措置を受ける場合もあります。

少年事件は犯罪の嫌疑がある限り、原則すべての事件を家庭裁判所に送致する必要があります。
これを全件送致主義と言います。
また、成人が起こした刑事事件の場合、通常の裁判や略式裁判、不起訴といった手続きが付されますが、少年事件は少年審判と呼ばれる手続きに付されます。
審判で言い渡される処分も成人の刑事事件とは異なり、少年院送致や保護観察処分といった少年事件独自の処分が課されます。

このように成人が起こす事件と少年が起こす事件では、手続きの面で多くの違いが見られます。
少年が事件を起こしてしまった場合、少年事件の弁護活動・付添人活動の経験が豊富な弁護士にアドバイスを求めることで、その後の手続きや見通しなどを理解できると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件並びに少年事件を専門に扱う弁護士事務所です。
当事務所では、逮捕・勾留や少年鑑別所での観護措置を受けている少年のもとに弁護士が直接行って接見を行う初回接見サービス(有料)を実施しております。
また、在宅事件の場合は事務所にて無料で法律相談を受けることもできます。
20歳未満のお子さんが傷害事件を起こしてしまい、少年事件の手続きや見通しを知りたいという方は、24時間対応している弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所のフリーダイヤル「0120-631-881」へご連絡ください。

(事例紹介)特定少年による強盗事件②

2023-04-26

(事例紹介)特定少年による強盗事件②

特定少年強盗を起こした場合の事件の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

東京都渋谷区のアクセサリー店で14日に貴金属などが奪われた事件で、警視庁は19日、三重県に住む職業不詳の少年(19)を強盗の疑いで逮捕し、発表した。
少年は事件に関与したことを家族に相談していたといい、18日午後、家族に付き添われて同県内の警察署に出頭した。「指示を受けて1人で店に入り強盗をしました」と容疑を認めているという。
捜査1課によると、少年は14日午後6時40分ごろ、渋谷区神南1丁目のアクセサリー店で20代の男性店長らに包丁を突きつけて「強盗だ」「金を詰めろ」などと脅し、アクセサリー類100点以上(計約4千万円相当)と現金約350万円を奪った疑いがある。
(3月19日配信の朝日新聞デジタルの記事を引用しています。)

特定少年の取扱いについて

前回に引き続き、少年事件における「特定少年」の取扱いについて解説していきます。
特定少年」が起こした事件について、家庭裁判所で検察官送致(逆送)が決定された後は、20歳以上の者と原則として同様に取扱われることになります。
例えば、少年が逆送され刑事裁判で有期の懲役刑または禁錮刑になる場合、刑の長期と短期の両方が決められる形で判決が下される場合があります。
これは、不定期刑といい、「5年以上10年以下の懲役」などの形で判決が下されます。
そして、不定期刑では、刑の長期は15年、短期は10年を超えることはできないとされています。
しかし、「特定少年」においては、不定期刑が適用されず、20歳以上の成人と同様に「懲役5年」のように定期刑で判決が下されます。
さらに、懲役又は禁錮の上限においても最長で30年と20歳以上の成人と同様になります。
また、少年法によって少年の時に行った犯罪については、少年の更生の観点から、犯人がわかるような報道(推知報道)は禁止されています。
しかし、「特定少年」については、この推知報道が一部解禁されています。
具体的には、特定少年が逆送され、検察官に起訴された場合には、推知報道が解禁されます。
これまで、禁止されていた少年に対する推知報道が解禁されることにより、社会的な批評や論評の対象となることが考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
特定少年」に該当する18歳、19歳少年が起こした事件の弁護活動においても経験豊富な弁護士が多数在籍しています。
もし、18歳、19歳の少年が事件を起こしてしまったら、今後の事件の見通しを含めて、いち早く弁護士のアドバイスを受けることが大切になってきます。
まずは、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお電話(フリーダイヤル0120ー631ー881)ください。

(事例紹介)特定少年による強盗事件①

2023-04-19

(事例紹介)特定少年による強盗事件①

特定少年強盗を起こした場合の事件の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

東京都渋谷区のアクセサリー店で14日に貴金属などが奪われた事件で、警視庁は19日、三重県に住む職業不詳の少年(19)を強盗の疑いで逮捕し、発表した。少年は事件に関与したことを家族に相談していたといい、18日午後、家族に付き添われて同県内の警察署に出頭した。「指示を受けて1人で店に入り強盗をしました」と容疑を認めているという。
捜査1課によると、少年は14日午後6時40分ごろ、渋谷区神南1丁目のアクセサリー店で20代の男性店長らに包丁を突きつけて「強盗だ」「金を詰めろ」などと脅し、アクセサリー類100点以上(計約4千万円相当)と現金約350万円を奪った疑いがある。
(3月19日配信の朝日新聞デジタルの記事を引用しています。)

19歳の少年が起こした強盗事件

今回の強盗事件は、19歳の少年が起こした疑いが持たれています。
20歳未満の少年が犯罪を犯した場合には「少年法」が適用されます。
19歳は、少年法が適用される「少年」に該当するため、警察官、検察官が必要な捜査を受けた後、全ての事件が家庭裁判所に送致されます。
もっとも、18歳と19歳の少年は、「特定少年」として17歳以下の少年とは異なった取り扱いを受けます。

特定少年の扱いについて

民法の成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことで、18歳・19歳の者は社会において成年者として責任ある主体となって積極的な役割を果たすことが期待される立場になりました。
これに合わせ、少年法も改正され、18歳と19歳は少年法の適用がありながらも「特定少年」として、17歳以下の少年とは、異なった取扱いを受けることになりました。
主なものを今回と次回の2回に分けて解説していきます。

少年事件が家庭裁判所に送致された後は、家庭裁判所は送致された事件について調査を行い、審判を開始するのが相当であるとされた場合は、審判の上、保護処分や検察官送致(逆送)などの処分がされます。
少年法においては、原則として逆送するものとされている事件が規定されています。
そして、「特定少年」については、この原則逆送となる対象事件が拡大されています。
これまでは、「16歳以上の少年のとき犯した故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件」が原則逆送の対象となっていました

しかし、少年法の改正によって「18歳以上の少年のとき犯した死刑、無期又は短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件」についても原則逆送の対象となりました。
例えば、特定少年が、現住建造物等放火罪、強盗罪、強制性交等罪等を犯した場合、原則として事件が逆送されることになります。
事件が逆送され検察官に起訴されると、少年審判ではなく、20才以上の者と同様に刑事裁判にかけられることになります。
逆送後の取扱いについては、次回解説していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
特定少年」に該当する18歳、19歳の少年が起こした事件の弁護活動においても対応できる弁護士が多数在籍しています。
もし、18歳、19歳の少年が事件を起こしてしまったら、今後の事件の見通しを含めて、いち早く弁護士のアドバイスを受けることが大切になってきます。
まずは、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお電話(フリーダイヤル0120ー631ー881)ください。

(事例紹介)逆送対象の放火事件を少年院送致に①

2023-04-05

(事例紹介)逆送対象の放火事件を少年院送致に①

少年事件で原則逆送事件とされている放火事件で少年院送致されたという報道事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

自宅に火を付けたとして現住建造物等放火の非行内容で送致された兵庫県明石市の女(19)の審判が28日、神戸家裁であり、○○裁判官は第1種少年院送致とする保護処分を決定した。

決定によると、女は2月10日、明石市の集合住宅の一室で、ガスこんろで手紙を燃やした際に誤ってごみ袋などに火を燃え移らせた。
消火できる状態だったが自殺しようと考えて火を放置して燃え広がらせ、約12平方メートルを焼損させた。

特定少年である女の非行内容は、昨年4月に施行された改正少年法で、原則検察官送致(逆送)の対象となる事件だった。

決定で○○裁判官は「自殺目的という非行の動機は身勝手」と指摘した上で、積極的に他人の物などを傷つける意図があったとは認められないなどとし「例外的に保護処分を選択することが許容される」と説明。
保護処分で再非行を防ぐことが相当と判断した。

(神戸新聞NEXT 令和5年3月28日(火) 23時42分配信 「自宅に放火の女 少年院送致決定 神戸家裁」より引用 ○○部分についてのみ弊所で編集しています)

・放火と失火

今回の参考事例は、集合住宅の一室で「手紙を燃やした際に誤ってごみ袋などに火を燃え移らせた」とあります。
この時点では、積極的に火を放つ「放火」ではなく、不注意による火災である「失火」に当たります。
失火罪の条文は以下のとおりです。

刑法116条1項 失火により、第108条(注:現住建造物等放火)に規定する物又は他人の所有に係る第109条(非現住建造物等放火)に規定する物を焼損した者は、50万円以下の罰金に処する。

然し乍ら、その後少年は「消火できる状態だったが自殺しようと考えて火を放置して燃え広がらせ」ているとされています。
本来であれば作為的に、つまり積極的な行動によって火を放った場合に適用される放火の罪ですが、消火できるのに(ご自身の命を絶とうとする目的で)消火をしなかったことから、
このように、本来は積極的な行動の結果成立する罪について、傍観する等した消極的な行動によっても成立する場合を、不真正不作為犯と呼びます。
今回は対象となる建物が集合住宅という人の住居ですので、現住建造物等放火罪の適用が検討されます。
条文は以下のとおりです。

刑法108条 放火して、現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物、汽車、電車、艦船又は鉱坑を焼損した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

このような事件の場合、動機の部分や消火の可否の判断の部分(客観的には消火が可能な失火であったとしても、パニックになって気が動転していた、等)など、取調べでの供述が極めて重要になります。
弁護士は、捜査段階から接見を繰り返し、取調べ状況を把握することが重要になるでしょう。

・特定少年事件について

≪次回のブログに続きます≫

・原則逆送事件について

≪次回のブログに続きます≫

・逆送回避の弁護活動と付添人活動

参考事例のように原則逆送対象事件で少年院送致などの保護処分を求める場合、家庭裁判所や検察官に対して保護処分が相当であることを積極的に主張してく必要があります。
保護処分が相当であることを主張するためには、事件前後の少年の変化(更生の可能性あること)、保護者などによる家庭環境の改善状況、当該少年に対し刑事処罰を科すことによるデメリットなどの主張が考えられます。
また、送致事実に少年の主張との食い違いがある場合には、証拠書類(法律記録)を丁寧に確認し、送致事実について争う必要があると考えられます。
罪を認めている場合でも、否認している場合でも、刑事事件及び少年事件の経験が豊富な弁護士に相談し、今後の見通しや考えられる弁護活動・付添人活動について相談することが望ましいでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件と少年事件を専門に扱う法律事務所です。
お子さんが逮捕・勾留されている場合、逮捕・勾留されている少年のいる警察署や少年鑑別所に直接訪れ接見を行う初回接見サービス(有料)を御案内しています。
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18歳、19歳の特定少年に該当するお子さんが、原則逆送事件である建造物等放火で逮捕されている、保護処分を求めるという場合、24時間365日予約を受け付けている弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。

(事例紹介)中学生に対する強要で高校生ら逮捕

2023-03-29

(事例紹介)中学生に対する強要で高校生ら逮捕

少年が相手を脅して海に飛び込ませた強要事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

中学生を脅迫し、海に飛び込ませたとして、警視庁少年事件課は、強要の疑いで、いずれも東京都(略)の高校2年の少年3人を逮捕した。
調べに対し、いずれも容疑を認め「中学生に反省させるためにやった」などと供述しているという。

逮捕容疑は令和4年10月2日、品川区の「東品川海上公園」に中学3年の男子生徒(15)を呼び出し、胸や腹を殴るなどの暴行を加え、「タイマンするか、海に入るか選べ」と脅し、海に飛び込ませたとしている。男子生徒にけがはなかった。
少年事件課によると、男子生徒は事件前、逮捕された3人のスケートボード仲間である中学3年の男子生徒(15)とけんかになっていた。

(産経新聞 令和5年3月7日(火) 15時47分配信 「「タイマンするか、海に入るか選べ」強要容疑で高2の少年3人逮捕 警視庁」より引用)

・強要罪

参考事例の高校生3人は、被害者である中学生に対し、「タイマンするか、海に入るか選べ」と発言しているようです。
本件で問題となるのは、強要罪です。
条文は以下のとおりです。

刑法第223条第1項
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

脅迫罪のいう「脅迫」とは、普通であれば畏怖する(恐怖心を抱く)内容の害悪を相手に告知することです。
この害悪の告知は内容が実行可能であるものであり、恐怖するほどの現実性、具体性を持つ必要があります。
参考事例の場合、年長者である高校生3人が、発言の前に胸や腹を殴るなどの暴行を加えた上で、「タイマンするか」と問いかけています。
つまり身体に対して暴行を加える旨の害悪を告知して、海に飛び込むという義務のない行為を強いていることから、強要罪の成立が検討されるというものです。

【少年事件の手続き】

逮捕されたのは高校2年で、少年事件の捜査を担当する警察官が捜査をしていることから、20歳未満の少年である可能性が高いと考えられます。
少年事件では、警察官や検察官などの捜査機関による捜査が行われた後に、家庭裁判所に送致され、裁判官の判断で少年法が定める保護処分が課せられる可能性があります。
保護処分は少年に対して保護処分を課す必要性がどの程度あるか(要保護性が高いか)を基準にして決定されます。
要保護性が高いと判断されれば少年院などの施設に送致され、そうでない場合は施設送致が不要と判断され保護観察処分や審判不開始などが選択されます。

少年事件は成人が犯罪を起こした場合の刑事事件とは異なる手続きで進められるため、少年事件の当事者になった場合は少年事件の弁護・付添人活動の経験が豊富な弁護士に相談することで、より正確な見通しや適切な活動について知ることが言えると考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。
当事務所では、在宅事件の場合には事務所にて無料で相談を受けることができるほか、家族が逮捕・勾留されている場合には逮捕された方のもとに弁護士が直接赴く初回接見サービス(有料)もご利用いただけます。
20歳未満のお子さん(少年)強要事件を起こし捜査を受けている場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。

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