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(事例紹介)少年が強盗未遂事件を起こすと刑事処分を受ける?

2023-12-20

(事例紹介)少年が強盗未遂事件を起こすと刑事処分を受ける?

強盗未遂事件 少年

今回は、千葉県で起きた少年らによる強盗未遂事件をもとに、少年が強盗未遂事件を起こした場合の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説していきます。

・参考事例

千葉県柏市内の住宅に押し入り、高齢の女性を押し倒して現金を奪おうとしたとして、千葉県内に住む16歳と17歳の少年4人が強盗未遂などの疑いで逮捕されました。

警察によりますと、4人は柏市豊住の住宅に押し入り、女性V(83)を押し倒して「金を出せ」などと脅したうえ、現金を奪おうとしたとして、強盗未遂などの疑いが持たれています。
Vが大声を出したところ、何も奪わずに逃走したということで、Vにけがはありませんでした。

警察が周辺の防犯カメラを分析するなどして捜査した結果、4人が関わった疑いがあることがわかったということです。
調べに対し4人は友人どうしだと話したうえで、「盗んだお金は分け合うことになっていた」などと供述し、容疑を認めているということです。
(※12/19に『NHK NEWS WEB』で配信された「柏市で強盗未遂事件 少年4人逮捕」記事の一部を変更して引用しています。)

・少年が強盗未遂事件を起こした後の流れは?

逮捕された少年らは16歳~17歳であるため、今回の強盗未遂事件少年法が適用されて少年事件として扱われます

少年事件は20歳以上の成人が刑事事件を起こした場合と流れが異なる箇所があり、原則として全ての少年事件は家庭裁判所に送られます
家庭裁判所に事件が送られた後は、家庭裁判所による少年の調査が行われ、調査の結果、必要に応じて審判を開き、最終的に少年に対する保護処分を下します。

少年事件における保護処分とは、懲役刑や罰金刑といった刑事処分とは違い、少年の更生を目的とした処分です。
保護処分には、保護観察、児童自立支援施設・児童養護施設送致、少年院送致などがありますが、どれも少年の更生させるための処分であり、これらの処分を受けたからといって前科はつきません。

つまり、少年事件は基本的に刑罰を受けなということになります。
ただ、少年事件の内容によっては、例外として刑事処分を受けることになる場合があります。

・強盗未遂事件は少年でも刑事処分を受ける?

少年事件は基本的に刑罰を受けずに保護処分が下されると前述しましたが、家庭裁判所による調査の結果、保護処分ではなく刑事処分が相当であると判断された場合、事件が家庭裁判所から検察官に送致される「逆送が行われます。

逆送については、少年法第20条で以下のように規定されています。

  • 少年法第20条(検察官への送致)
    家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁固に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもって、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
    (第2項省略)

強盗未遂罪のような未遂犯については刑を減軽することができると刑法第43条で規定されていますが、刑法第236条で規定されている強盗罪の処罰内容は「5年以上の有期懲役」と懲役刑しか規定されていないため、減刑されたとしても家庭裁判所の判断によっては逆送される可能性があります。

つまり、強盗未事件を起こしたのが少年だったとしても、逆送されれば成人の刑事事件と同様に扱われるため、起訴されれば刑事裁判が開かれて刑事処分を受ける可能性があるということです。

強盗未遂罪のような重大な犯罪を少年が起こした場合、逆送される可能性は十分にあります。
逆送を阻止する可能性を少しでも高めるためには、少年事件に精通した専門の弁護士に相談することが重要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件の弁護・付添人活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件・少年事件に特化した専門の法律事務所です。
ご相談・ご依頼に関するお問い合わせは、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にて24時間365日受付中です。

お子様が強盗未遂事件を起こしてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

(事例紹介)少年が傷害致死事件を起こすとどうなる?

2023-11-29

(事例紹介)少年が傷害致死事件を起こすとどうなる?

少年 傷害致死罪 検察官送致

今回は、男性と口論になり暴行を加えて怪我を負わせたとして少年が傷害罪の疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

男性はその後死亡しているため、少年に傷害致死罪が成立した場合の流れについてみていきましょう。

・参考事例

24日午後、堺市内にある集合住宅の敷地内で男性V(76)を殴るなどしたとして、19歳の少年が現行犯逮捕されました。
Vはその後、搬送先の病院で死亡しました。

傷害の疑いで現行犯逮捕されたのは大阪府内に住む会社員の少年A(19)です。
Aは24日、堺市にある集合住宅の敷地内で、住人のVを殴ったり蹴ったりしてけがをさせた疑いがもたれています。

Vが倒れ、血を流していたことから少年が自ら119番通報したということです。
(中略)

警察は今後、傷害致死の疑いも視野に捜査を進める方針です。
(※11/25に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「「高齢の男性が文句を言ってきて言い合いになった」 76歳の男性を殴るなどしたとして19歳の少年を逮捕 男性はその後死亡」記事の一部を変更して引用しています。)

・少年が傷害致死事件を起こすとどうなる?

20歳未満の者が刑事事件を起こした場合、少年法が適用されて少年事件として成人が刑事事件を起こした場合と異なる手続きがとられます。

通常の少年事件は、原則として全ての事件が家庭裁判所に送致され、必要に応じて家庭裁判所で審判が開かれて保護処分が下されるという流れになります。
ただ、少年が傷害致死事件を起こした場合、例外として上記の流れとは異なる手続きがとられます。

犯行当時の少年の年齢が16歳以上であり、故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた少年事件の場合、原則として家庭裁判所は事件を検察官に送致しなければなりません
これを検察官送致(逆送)といい、少年法第62条第2条で以下のように規定されています。

  • 少年法第62条(検察官への送致についての特例)
    家庭裁判所は、特定少年(18歳以上の少年をいう。以下同じ。)に係る事件については、第20条の規定にかかわらず、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
     前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、特定少年に係る次に掲げる事件については、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。
    一 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るもの
    二 死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件であつて、その罪を犯すとき特定少年に係るもの(前号に該当するものを除く。)

今後、Aに傷害致死罪が適用されて逆送された場合、検察官は原則として起訴しなければならないため、少年事件が成人事件と同様に扱われることになり、成人と同じ刑事裁判が開かれる可能性があります。

・子どもが傷害致死事件を起こしてしまったら弁護士へ

前述したように、検察官送致(逆送)されると、少年事件であっても成人と同様の刑事事件として裁判が開かれて処罰を受ける可能性があります。
逆送されて刑事裁判を受けることになると、少年であっても前科がつくことになり、実名報道されるリスクもあります

子どもが検察官送致(逆送)される可能性がある事件を起こしてしまった場合、早急に弁護士に弁護・付添人活動を依頼することをおすすめします。
逆送された場合であっても、調査の結果、刑事処分以外が相当であると認められれば保護処分を獲得できることもあるため、弁護士は刑事処分を受けないための弁護・付添人活動に尽力します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件の弁護・付添人活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件・少年事件に特化した専門の法律事務所です。
お子様が少年事件を起こしてしまったという方は、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)までご相談ください。

(事例紹介)乳児の死体遺棄事件で逮捕された19歳の母親を逆送

2023-07-26

(事例紹介)乳児の死体遺棄事件で逮捕された19歳の母親を逆送

生後間もなく死亡した男児をそのまま遺棄したとして、死体遺棄罪の疑いで逮捕された19歳の母親が、家庭裁判所に送致された後に逆送が決定されたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

・参考事例

広島県東広島市で生後間もない男児の遺体が見つかった事件で、広島家裁は、死体遺棄の疑いで逮捕、家裁送致された母親でベトナム国籍の技能実習生の女A(19)の少年審判を開き、検察官送致(逆送)を決定しました。

決定などによると、Aは実習先の寮で男児を出産。
間もなく死亡したため、自分のベッドに遺体を寝かせて生活を続けたが、出産の事実が周りに知られると、帰国させられるかもしれないと考え、近くの空き地に穴を掘って遺体を埋めて遺棄したとされています。

裁判官は決定理由で「わが子の死体を敬う意識を欠くなど責任を軽視することはできない」と指摘し、日本語の会話能力が著しく低いため「保護処分による更生を援助することも困難」などとして、刑事処分が相当としました。
(※6月1日に掲載された『Yahoo!ニュース』記事の一部を変更しています)

・死体遺棄罪(死体損壊等罪)

死体遺棄罪とは、文字通り死体を遺棄したときに成立する犯罪で、刑法第190条で規定されている死体損壊罪の中に含まれています。

  • 刑法第190条(死体損壊等)
    死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。

「死体」とは死亡した人の身体を指し、「遺棄」とは通常の埋葬と認められない方法で死体を放棄することを指します。

今回の事例では、Aは出産したことが周囲に知られると帰国させられるかもしれないと思い、死亡した男児を近くの空き地に穴を掘って埋めています。

この行為は、死亡した人の身体を通常の埋葬と認められない方法で放棄しているため、死体遺棄罪が成立することになります。

・逆送(検察官逆送)とは

逆送とは、14歳以上20歳未満の少年が刑事事件を起こした際に行われる特別な手続きを指します。

少年事件では、警察から検察に送致された後、原則全ての刑事事件が検察から家庭裁判所に送致されます。

家庭裁判所に送致された後、少年に対する調査が行われ、調査結果を踏まえた上で、裁判官が審判を行うかどうかの判断や、審判を行う場合の最終的な処遇を決定します。

本来、少年事件は処罰を与えることより更生させることに重きを置いているため、刑事処罰ではなく保護処分を課すことが優先されます。

ただ、家庭裁判所の審判において、少年に対し刑事処罰が相当であると判断されると、事件が家庭裁判所から検察官に戻されることになります。

このように、刑事処罰が相当であると審判で判断された少年事件が家庭裁判所から検察官に送致されることを逆送(検察官逆送)と言います。

逆送には、以下2つの種類があります。

1.年齢超過による逆送

少年事件が家庭裁判所に送致され、調査・審判を行っている段階で、少年の年齢が20歳以上と判明したことにより、事件を成人と同様の刑事手続きに戻すために行われる逆送です。

20歳以上かどうかの判断は、事件当時ではなく、家庭裁判所に送致されて調査・審判が行われている時点で判断されます。

2.刑事処分が相当であることによる逆送

死刑、懲役又は禁固に当たる事件について、家庭裁判所による調査の結果、罪質及び情状に照らして、家庭裁判所が刑事処分が相当であると認めることにより行われる逆送です。

事件当時16歳以上の少年で、故意の犯罪行為で被害者を死亡させた事件や、犯罪行為時18~19歳の特定少年で、死刑、無期又は短期1年以上の懲役、禁固に当たる事件に関しては、原則逆送されます。

今回の事例で考えると、Aは事件当時19歳の特定少年であり、死体遺棄罪の罰則は3年以下の懲役刑のみであること、Aの日本語会話力が著しく低く保護処分による更生を援助することが困難であることから、裁判官は逆送を決定したということになります。

・逆送を防ぐためには弁護士へ依頼を

逆送されてしまえば、成人の刑事事件と同様の刑事手続きが行われます。

また、逆送されると、ほとんどの少年は刑事処分を受けることになるため、未然に逆送を防ぐためには、少年事件に強い専門の弁護士に付添人活動を依頼することが重要です。

弁護士に依頼すれば、弁護士が少年の付添人として、裁判官に対して刑事処分が相当であると判断させないために、少年が保護処分で更生できること等を主張し、逆送を防ぐために尽力します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件に特化した専門の弁護士事務所です。
お子さんが事件を起こし、逆送されないか不安を抱えている方は、24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)お問い合わせメールよりご連絡ください。

 

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