(事例紹介)少年が傷害致死事件を起こすとどうなる?

2023-11-29

(事例紹介)少年が傷害致死事件を起こすとどうなる?

少年 傷害致死罪 検察官送致

今回は、男性と口論になり暴行を加えて怪我を負わせたとして少年が傷害罪の疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

男性はその後死亡しているため、少年に傷害致死罪が成立した場合の流れについてみていきましょう。

・参考事例

24日午後、堺市内にある集合住宅の敷地内で男性V(76)を殴るなどしたとして、19歳の少年が現行犯逮捕されました。
Vはその後、搬送先の病院で死亡しました。

傷害の疑いで現行犯逮捕されたのは大阪府内に住む会社員の少年A(19)です。
Aは24日、堺市にある集合住宅の敷地内で、住人のVを殴ったり蹴ったりしてけがをさせた疑いがもたれています。

Vが倒れ、血を流していたことから少年が自ら119番通報したということです。
(中略)

警察は今後、傷害致死の疑いも視野に捜査を進める方針です。
(※11/25に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「「高齢の男性が文句を言ってきて言い合いになった」 76歳の男性を殴るなどしたとして19歳の少年を逮捕 男性はその後死亡」記事の一部を変更して引用しています。)

・少年が傷害致死事件を起こすとどうなる?

20歳未満の者が刑事事件を起こした場合、少年法が適用されて少年事件として成人が刑事事件を起こした場合と異なる手続きがとられます。

通常の少年事件は、原則として全ての事件が家庭裁判所に送致され、必要に応じて家庭裁判所で審判が開かれて保護処分が下されるという流れになります。
ただ、少年が傷害致死事件を起こした場合、例外として上記の流れとは異なる手続きがとられます。

犯行当時の少年の年齢が16歳以上であり、故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた少年事件の場合、原則として家庭裁判所は事件を検察官に送致しなければなりません
これを検察官送致(逆送)といい、少年法第62条第2条で以下のように規定されています。

  • 少年法第62条(検察官への送致についての特例)
    家庭裁判所は、特定少年(18歳以上の少年をいう。以下同じ。)に係る事件については、第20条の規定にかかわらず、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
     前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、特定少年に係る次に掲げる事件については、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。
    一 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るもの
    二 死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件であつて、その罪を犯すとき特定少年に係るもの(前号に該当するものを除く。)

今後、Aに傷害致死罪が適用されて逆送された場合、検察官は原則として起訴しなければならないため、少年事件が成人事件と同様に扱われることになり、成人と同じ刑事裁判が開かれる可能性があります。

・子どもが傷害致死事件を起こしてしまったら弁護士へ

前述したように、検察官送致(逆送)されると、少年事件であっても成人と同様の刑事事件として裁判が開かれて処罰を受ける可能性があります。
逆送されて刑事裁判を受けることになると、少年であっても前科がつくことになり、実名報道されるリスクもあります

子どもが検察官送致(逆送)される可能性がある事件を起こしてしまった場合、早急に弁護士に弁護・付添人活動を依頼することをおすすめします。
逆送された場合であっても、調査の結果、刑事処分以外が相当であると認められれば保護処分を獲得できることもあるため、弁護士は刑事処分を受けないための弁護・付添人活動に尽力します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件の弁護・付添人活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件・少年事件に特化した専門の法律事務所です。
お子様が少年事件を起こしてしまったという方は、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)までご相談ください。

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