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(事例紹介)暴行を加えてスマホや現金を奪った少年らを逮捕

2024-02-21

(事例紹介)暴行を加えてスマホや現金を奪った少年らを逮捕

少年 強盗致傷罪

今回は、大阪府で起きた強盗致傷事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・参考事例

去年12月と今年1月に大阪府茨木市で2件続いた強盗事件で、18歳の高校生ら少年3人が逮捕されました。

強盗傷害の容疑で逮捕されたのは、大阪府内に住む男子高校生ら18歳と19歳の少年3人です。

3人は1月3日、茨木市にある集合住宅の敷地内で、男性V(24)の顔を拳で殴るなどの暴行を加え、着ていたダウンジャケットやスマホなど合計14万6000円相当を奪った疑いが持たれています。

Vは頭や膝に軽傷を負いました。

また、3人のうち18歳の少年2人は去年12月にも、男性W(19)を茨木市内の神社に呼び出し「抵抗したら殺すぞ」と脅して首を絞め、現金8万円などを奪った疑いでも逮捕されています。(以下略)
(※2/20に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「女子高校生になりすまし男性呼び出し・・・暴行加えスマホや現金奪った疑い 18~19歳の少年3人逮捕 大阪・茨木市」記事の一部を変更して引用しています。)

・強盗致傷罪とは

今回の事例で、少年らは強盗傷害罪の容疑で逮捕されたと報道されています。
強盗傷害罪は強盗傷人罪とも呼ばれ、適用される条文は刑法第240条の強盗致傷罪です。

  • 刑法第240条(強盗致死傷)
    強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

強盗致傷罪の主体は強盗犯です。
つまり、刑法第246条で規定されている強盗罪に該当する行為に着手している場合に、相手(被害者)に怪我を負わせた場合に成立するということです。

  • 刑法第246条(強盗)
    暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
    (第2項省略)

強盗罪における暴行脅迫の程度については、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度である必要があります。

今回の少年らは、Vの顔を拳で殴るなどの暴行を加えて怪我を負わせて、スマホなどの金品を奪っています。
また、Wに対しても「抵抗したら殺すぞ」と脅して首を絞めて現金を奪っているため、少年らの行為は強盗罪に該当し、被害者に怪我を負わせているため強盗致傷罪に問われる可能性があるということです。

・少年が強盗致傷事件を起こすとどうなる?

今回逮捕された少年らは18歳と19歳のため、少年法が適用されて少年事件として扱われます。
少年事件については、「全件送致主義」がとられているため、原則全ての少年事件が家庭裁判所に送致されます。

ただし、特に重大な犯罪による少年事件については逆送(検察官送致)」と呼ばれる手続きが取られることがあります。
逆送については、少年法第20条で以下のように規定されています。

  • 少年法第20条(検察官への送致)
    家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁固に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもって、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
     前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であって、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、反抗の動機及び態様、犯行後の状況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。

今回の少年らに疑いが持たれている強盗致傷罪の罰則は懲役刑のみなので、家庭裁判所による調査の結果次第では逆送される可能性があります。
通常、少年に対して刑事処分は下されずに保護処分が下されますが、逆送されると、成人が起こした刑事事件と同様の手続きが行われるということになるので、刑事処分を受ける可能性があります。

刑事処分が下されることになれば前科が付くことにもなるので、今後の人生に多少なり影響が及ぶ可能性も十分にあります。
逆送を回避できる可能性を少しでも上げるためには、弁護士に弁護・付添人活動を依頼することが重要になります。
弁護士の中でも、少年事件の経験が豊富な専門の弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件の弁護・付添人活動を担当した実績を多く持つ、少年事件・刑事事件に特化した専門の法律事務所です。
ご相談・ご予約に関するお問い合わせは、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にて24時間365日受付中です。

お子様が少年事件を起こして逮捕されてしまったという方は、まずは弊所までご相談ください。

(事例紹介)少年が強盗未遂事件を起こすと刑事処分を受ける?

2023-12-20

(事例紹介)少年が強盗未遂事件を起こすと刑事処分を受ける?

強盗未遂事件 少年

今回は、千葉県で起きた少年らによる強盗未遂事件をもとに、少年が強盗未遂事件を起こした場合の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説していきます。

・参考事例

千葉県柏市内の住宅に押し入り、高齢の女性を押し倒して現金を奪おうとしたとして、千葉県内に住む16歳と17歳の少年4人が強盗未遂などの疑いで逮捕されました。

警察によりますと、4人は柏市豊住の住宅に押し入り、女性V(83)を押し倒して「金を出せ」などと脅したうえ、現金を奪おうとしたとして、強盗未遂などの疑いが持たれています。
Vが大声を出したところ、何も奪わずに逃走したということで、Vにけがはありませんでした。

警察が周辺の防犯カメラを分析するなどして捜査した結果、4人が関わった疑いがあることがわかったということです。
調べに対し4人は友人どうしだと話したうえで、「盗んだお金は分け合うことになっていた」などと供述し、容疑を認めているということです。
(※12/19に『NHK NEWS WEB』で配信された「柏市で強盗未遂事件 少年4人逮捕」記事の一部を変更して引用しています。)

・少年が強盗未遂事件を起こした後の流れは?

逮捕された少年らは16歳~17歳であるため、今回の強盗未遂事件少年法が適用されて少年事件として扱われます

少年事件は20歳以上の成人が刑事事件を起こした場合と流れが異なる箇所があり、原則として全ての少年事件は家庭裁判所に送られます
家庭裁判所に事件が送られた後は、家庭裁判所による少年の調査が行われ、調査の結果、必要に応じて審判を開き、最終的に少年に対する保護処分を下します。

少年事件における保護処分とは、懲役刑や罰金刑といった刑事処分とは違い、少年の更生を目的とした処分です。
保護処分には、保護観察、児童自立支援施設・児童養護施設送致、少年院送致などがありますが、どれも少年の更生させるための処分であり、これらの処分を受けたからといって前科はつきません。

つまり、少年事件は基本的に刑罰を受けなということになります。
ただ、少年事件の内容によっては、例外として刑事処分を受けることになる場合があります。

・強盗未遂事件は少年でも刑事処分を受ける?

少年事件は基本的に刑罰を受けずに保護処分が下されると前述しましたが、家庭裁判所による調査の結果、保護処分ではなく刑事処分が相当であると判断された場合、事件が家庭裁判所から検察官に送致される「逆送が行われます。

逆送については、少年法第20条で以下のように規定されています。

  • 少年法第20条(検察官への送致)
    家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁固に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもって、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
    (第2項省略)

強盗未遂罪のような未遂犯については刑を減軽することができると刑法第43条で規定されていますが、刑法第236条で規定されている強盗罪の処罰内容は「5年以上の有期懲役」と懲役刑しか規定されていないため、減刑されたとしても家庭裁判所の判断によっては逆送される可能性があります。

つまり、強盗未事件を起こしたのが少年だったとしても、逆送されれば成人の刑事事件と同様に扱われるため、起訴されれば刑事裁判が開かれて刑事処分を受ける可能性があるということです。

強盗未遂罪のような重大な犯罪を少年が起こした場合、逆送される可能性は十分にあります。
逆送を阻止する可能性を少しでも高めるためには、少年事件に精通した専門の弁護士に相談することが重要になります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件の弁護・付添人活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件・少年事件に特化した専門の法律事務所です。
ご相談・ご依頼に関するお問い合わせは、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にて24時間365日受付中です。

お子様が強盗未遂事件を起こしてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

(事例紹介)強盗罪で逮捕・家裁送致された少年2人を少年院送致

2023-09-27

(事例紹介)強盗罪で逮捕・家裁送致された少年2人を少年院送致

今回は、強盗罪の疑いで逮捕、家裁送致された少年2人の少年院送致が決定された事例をもとに、少年院について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・参考事例

群馬県太田市内の県有施設で勤務中の男性を暴行して鍵を奪ったとして、強盗の疑いで逮捕、家裁送致された桐生市出身の中学3年の少年A=当時(14)=と伊勢崎市出身の中学2年の少年B(14)の審判が24日までに前橋家裁で開かれ、いずれも第1種少年院送致の保護処分を決定した。

2人は共謀して7月13日、同施設で宿直勤務をしていた男性の首を絞めるなどして脅し、同施設の鍵1本を奪ったとして逮捕された。
(※9/25に『上毛新聞』で配信された「群馬・太田市で強盗した少年2人を少年院に送致 前橋家裁」記事の一部を変更して引用しています。)

・少年院送致とは

少年院送致とは、少年事件を起こした少年に対して、家庭裁判所が審判で言い渡す保護処分の一つです。
保護処分とは、少年事件を起こした少年を更生させるための処分のことを指し、少年院送致保護観察児童自立支援施設等送致の3種類があります。

そもそも、刑法では20歳未満の者を「少年」として扱い、少年が事件を起こした場合は「少年事件」となります。
少年事件と20歳以上の者が起こした事件(成人事件)とでは、手続きなどが異なる箇所があり、保護処分も少年事件にしかありません。

少年院送致の保護処分を言い渡されると、少年院に収容されることになりますが、成人事件のような刑罰としての懲役刑とは目的が違います。

少年院は、家庭裁判所から保護処分として少年院送致を言い渡された少年に対し、少年の健全な育成を図るための矯正教育や社会復帰できるための支援を行うための施設です。
なので、学校と同じような授業を受けたり、少年院を退院した際に早く就職ができるように資格の勉強をしたりすることもあります。

・少年院の種類

少年院は、いくつかに分類されていて、少年の年齢心身の状態、犯罪傾向などを考慮してどの少年院に収容されるかが決められています。
少年院の種類については、少年院法第4条で以下のように規定されています。

  • 少年院法第4条(少年院の種類)
    少年院の種類は、次の各号に掲げるとおりとし、少年院の種類は、次の各号に掲げるとおりとし、それぞれ当該各号に定める者を収容するものとする。

    一 第一種 保護処分の執行を受ける者(第五号に定める者を除く。次号及び第三号において同じ。)であって、心身に著しい障害がないおおむね12歳以上23歳未満のもの(次号に定める者を除く。)
    二 第二種 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね16歳以上23歳未満のもの
    三 第三種 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満のもの
    四 第四種 少年院において刑の執行を受ける者
    五 第五種 少年法第64条第1項第二号の保護処分の執行を受け、かつ、同法第66条第1項の規定による決定を受けた者

    2 法務大臣は、各少年院について、一又は二以上の前項各号に掲げる少年院の種類を指定する。

第一種少年院から第三種少年院までは、少年院送致の保護処分の執行を受ける少年が収容されますが、第四種少年院と第五種少年院は少し異なります。

第四種少年院は、検察官送致(逆送)が行われて刑事裁判が開かれ、禁錮刑以上の刑が言い渡された少年が収容される少年院です。
第五種少年院は、18歳以上20歳未満の「特定少年で、2年間の保護観察としての保護処分が決定したが、保護観察中に重大な遵守事項違反があった場合に収容される少年院です。

・お子様が少年事件を起こしてしまったら弁護士へ

今回は、少年院について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説してきました。

お子様が少年事件を起こしてしまった場合は、早急に弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士に相談することで、少年事件の流れであったり、お子様が今おかれている状況や今後の見通しなどについて、詳しく説明してくれます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件で弁護・付添人活動をした実績を多く持つ、少年事件刑事事件に特化した専門の法律事務所です。
お子様が少年事件を起こしてしまって、今後どうなるか不安な気持ちを抱いている方は、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

(事例紹介)強盗罪の疑いで15〜19歳の少年少女ら4人を逮捕

2023-09-06

(事例紹介)強盗罪の疑いで15〜19歳の少年少女ら4人を逮捕

マッチングアプリで男性を誘い出し、脅迫や暴行を加えて現金を奪ったとして、強盗罪の疑いで15〜19歳の少年少女ら4人が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

・参考事例

福岡県警中央署は6日、強盗容疑で15~19歳の少年3人と19歳の少女を逮捕したと発表した。4人とも容疑をおおむね認めているという。

発表によると、4人は6月3日午前1時45分ごろ、福岡市中央区にある雑居ビル敷地内で、会社員男性(52)を「財布を出せ」などと脅し殴るなどの暴行を加え、現金約2万2千円を奪った疑いがある。

19歳の少年が、女性のような名前で登録したマッチングアプリを通じて男性と知り合い、ビル付近で待ち合わせた。その場ではまず、19歳の少女が男性と会い、その後、この少年を含む3人が現れ、犯行に及んだとみられるという。

(※2023年9月6日に『朝日新聞デジタル』で配信された「マッチングアプリで誘い、強盗の疑い 少年少女4人を逮捕 福岡県警」記事の一部を引用しています。)

・強盗罪とは

今回の事例で、少年少女らは強盗罪の疑いで逮捕されています。
強盗罪については、刑法第236条で以下のように規定されています。

  • 刑法第236条(強盗)
    暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取したものは、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
     前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

強盗罪は、暴行又は脅迫を用いて他人の財物強取した場合に成立します。
簡単に説明すると、殴る蹴るなどの暴力を加えたり脅したりして、他人の物を奪い取る行為を指します。

強盗罪における「暴行又は脅迫」とは、被害者の反抗を抑圧する程度であることが必要です。

今回の事例で考えると、逮捕された少年らは、マッチングアプリで男性を誘い出し、その後、「財布を出せ」と脅し、殴るなどの暴行を加えて現金を奪い取っています。
つまり、暴行と脅迫を用いて他人の財物を強取しているため、強盗罪が成立するということになります。

・少年が逮捕されるとどうなる?

刑法における「少年」とは20歳に満たない者を指し、この少年が刑事事件を起こすと「少年事件」として扱われます。
20歳以上の者(成人)が起こした刑事事件は「成人事件」として扱われます。

少年事件では、全ての事件が原則として家庭裁判所に送致される全件送致主義がとられていたり、成人事件における公判(裁判)ではなく審判として、「少年の健全な育成」を目的とした保護主義がとられていたりと、成人事件とは異なる特徴があります。

ただ、今回の事例のように、少年事件でも捜査段階においては成人事件と同様なので、逮捕勾留はされます。
逮捕や勾留は身柄が拘束されてしまうため、学校に通うことができなくなったり学校に事件を起こしたことが発覚したりして、退学処分を受けてしまうおそれもあります。

・少年事件で弁護士に依頼するメリット

前述したように、少年事件においても成人事件と同様に逮捕や勾留がなされる可能性はあります。
その際には、早急に弁護士に刑事弁護活動を依頼することで、弁護士が身柄解放のための手続き等を進めてくれるので、早期釈放の可能性も高まります。

また、家庭裁判所に事件が送致された場合でも、弁護士ができる限り軽い処分を獲得できるような活動に尽力してくれます。
弁護士に少年事件の刑事弁護活動を依頼する際は、少年事件の弁護・付添人活動の実績を多数持つ専門の弁護士に依頼することがお勧めです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件に特化した専門の法律事務所です。
お子様が刑事事件を起こしてしまい、今後どうなるか不安な方は、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)またはお問い合わせメールよりご連絡ください。

(事例紹介)15~19歳の少年少女4人が強盗致傷罪の疑いで逮捕

2023-07-12

(事例紹介)15~19歳の少年少女4人が強盗致傷罪の疑いで逮捕

今回は、15歳から19歳の少年少女4人が強盗致傷罪の疑いで逮捕された事件につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

・ケース

SNSを通じて呼び出した男性会社員に暴行を加えてけがをさせたうえ、現金を奪った疑いで、少年少女4人が逮捕されました。

強盗致傷罪の疑いで逮捕されたのは、福岡市などに住む15歳から19歳の少年少女4人です。
4人は、22日午後8時前、福岡市中央区にあるホテルの敷地内で、SNSを通じて会う約束をした男性会社員の顔や頭を殴るなどしてけがをさせたうえ、現金4万5000円を奪った疑いが持たれています。

取り調べに対し、4人はいずれも容疑を認めているということで、警察が事件のいきさつを詳しく調べています。
RKBオンライン6月24日「男性会社員から現金奪う 強盗致傷容疑で少年少女4人逮捕」より引用)

・「特定少年」については厳しい処分がありうる

逮捕された少年少女4人の中には19歳の者が含まれているのとのことですが、18歳、19歳の少年については、原則逆送対象事件の拡大(後述します)、「起訴された場合における実名報道の解禁など、17歳以下の少年とは異なる、より不利益な取り扱いがなされる可能性があります。

逆送を簡潔に説明するならば、「保護処分ではなく刑事処分が妥当な少年につき、家庭裁判所から検察官へ送致する処分」ということができます。
この場合は、20歳以上の者と同じように刑事裁判にかけられ、有罪判決を受けた場合には、懲役刑などの刑罰を受けることになります。

強盗致傷罪の法定刑は「無期又は六年以上の懲役」となっており(刑法第240条)、少年法第62条2項2号によれば、特定少年につき原則逆送対象事件となっています。
逆送決定は家庭裁判所の裁量によってなされるものもありますが、原則逆送対象事件については、文字通り原則として逆送決定を行わなければなりません

・17歳以下の少年についても逆送決定がありうる

今回は特定少年に重きを置いた解説を行いましたが、17歳以下の少年についても逆送決定がなされる場合があります(少年法第20条)。

少年法の定めるルールはかなり複雑であり、事件解決のためには少年事件に熟練した弁護士のサポートが重要となります。
お子様が強盗致傷事件を起こし逮捕されてしまった方は、すぐに少年事件に詳しい弁護士と相談しアドバイスを受けることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
逆送決定に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)東京で起きた強盗事件の被疑者少年らが家裁へ送致

2023-06-14

(事例紹介)東京で起きた強盗事件の被疑者少年らが家裁へ送致

今回は、東京の銀座にある高級腕時計店で少年らが強盗事件を起こした報道につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

・ケース

東京・銀座の高級腕時計店に仮面をつけた男らが押し入った強盗事件で、東京地検は男ら4人を家庭裁判所に送致した。

5月8日に起きた東京・銀座の仮面強盗事件では、高校生を含む16歳から19歳の4人の男が腕時計などを奪った強盗の疑いのほか、港区・赤坂のマンション敷地内などに侵入した現行犯で逮捕された。

これまでの調べに対し、男らは黙秘または否認している。

東京地検は6月7日、4人を家庭裁判所に送致し今後、家裁が男らの生活状況の調査などを行い処分が決められる。
Yahoo!JAPANニュース 6月8日 「銀座“仮面強盗” 少年ら4人を家裁送致 高級腕時計奪いマンションへ侵入 男らは黙秘・否認」より引用)

・民法上の成人年齢は18歳だが

民法第4条によれば、「年齢十八歳をもって、成年とする」とされており、現在の成人年齢は18歳です。
しかし、少年法上の「少年」は「二十歳に満たない者」(少年法第2条1項)であり、18歳、19歳も少年法の適用があることになります。

なお、余談ですが、お酒を飲んでよい年齢、タバコを吸ってもよい年齢は民法第4条にかかわらず、20歳からです(二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律第1条1項、二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律第1条)。

・18歳、19歳の少年には特別な手続が予定されている

少年法には「逆送」とよばれる特別な手続があり、少年について保護処分ではなく、刑事処分が適切であると家庭裁判所が判断した場合に、検察官のもとへ「逆送」されることになります。
家庭裁判所の裁量により「逆送」がなされることもありますが、その一方で、重大事件などは「原則として」「逆送」される手続が予定されています(原則逆送対象事件)。

17歳以下の少年についても原則逆送対象事件はありますが、18歳、19歳の少年は「特定少年」とされ(少年法第62条1項)、原則逆送対象事件の範囲がより広く定められています。

冒頭の事件の少年の中には特定少年とされる19歳の方が含まれているとのことですが、強盗罪は少年法第62条2項2号により、原則逆送対象事件となります。

・少年法は複雑であり、少年事件に熟練した弁護士のサポートが重要

少年法は令和4年にその内容が大きく変更され、従来から複雑であった制度がより複雑になったといえるでしょう。
このような少年法に基づく手続に対応するためには、少年事件に熟練した弁護士のサポートが極めて重要となります。

お子様が逮捕されてしまった場合には、まず、少年事件に詳しい弁護士を探しだし、すみやかに相談を受けられることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
少年事件に関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)特定少年による強盗事件②

2023-04-26

(事例紹介)特定少年による強盗事件②

特定少年強盗を起こした場合の事件の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

東京都渋谷区のアクセサリー店で14日に貴金属などが奪われた事件で、警視庁は19日、三重県に住む職業不詳の少年(19)を強盗の疑いで逮捕し、発表した。
少年は事件に関与したことを家族に相談していたといい、18日午後、家族に付き添われて同県内の警察署に出頭した。「指示を受けて1人で店に入り強盗をしました」と容疑を認めているという。
捜査1課によると、少年は14日午後6時40分ごろ、渋谷区神南1丁目のアクセサリー店で20代の男性店長らに包丁を突きつけて「強盗だ」「金を詰めろ」などと脅し、アクセサリー類100点以上(計約4千万円相当)と現金約350万円を奪った疑いがある。
(3月19日配信の朝日新聞デジタルの記事を引用しています。)

特定少年の取扱いについて

前回に引き続き、少年事件における「特定少年」の取扱いについて解説していきます。
特定少年」が起こした事件について、家庭裁判所で検察官送致(逆送)が決定された後は、20歳以上の者と原則として同様に取扱われることになります。
例えば、少年が逆送され刑事裁判で有期の懲役刑または禁錮刑になる場合、刑の長期と短期の両方が決められる形で判決が下される場合があります。
これは、不定期刑といい、「5年以上10年以下の懲役」などの形で判決が下されます。
そして、不定期刑では、刑の長期は15年、短期は10年を超えることはできないとされています。
しかし、「特定少年」においては、不定期刑が適用されず、20歳以上の成人と同様に「懲役5年」のように定期刑で判決が下されます。
さらに、懲役又は禁錮の上限においても最長で30年と20歳以上の成人と同様になります。
また、少年法によって少年の時に行った犯罪については、少年の更生の観点から、犯人がわかるような報道(推知報道)は禁止されています。
しかし、「特定少年」については、この推知報道が一部解禁されています。
具体的には、特定少年が逆送され、検察官に起訴された場合には、推知報道が解禁されます。
これまで、禁止されていた少年に対する推知報道が解禁されることにより、社会的な批評や論評の対象となることが考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
特定少年」に該当する18歳、19歳少年が起こした事件の弁護活動においても経験豊富な弁護士が多数在籍しています。
もし、18歳、19歳の少年が事件を起こしてしまったら、今後の事件の見通しを含めて、いち早く弁護士のアドバイスを受けることが大切になってきます。
まずは、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお電話(フリーダイヤル0120ー631ー881)ください。

(事例紹介)特定少年による強盗事件①

2023-04-19

(事例紹介)特定少年による強盗事件①

特定少年強盗を起こした場合の事件の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

東京都渋谷区のアクセサリー店で14日に貴金属などが奪われた事件で、警視庁は19日、三重県に住む職業不詳の少年(19)を強盗の疑いで逮捕し、発表した。少年は事件に関与したことを家族に相談していたといい、18日午後、家族に付き添われて同県内の警察署に出頭した。「指示を受けて1人で店に入り強盗をしました」と容疑を認めているという。
捜査1課によると、少年は14日午後6時40分ごろ、渋谷区神南1丁目のアクセサリー店で20代の男性店長らに包丁を突きつけて「強盗だ」「金を詰めろ」などと脅し、アクセサリー類100点以上(計約4千万円相当)と現金約350万円を奪った疑いがある。
(3月19日配信の朝日新聞デジタルの記事を引用しています。)

19歳の少年が起こした強盗事件

今回の強盗事件は、19歳の少年が起こした疑いが持たれています。
20歳未満の少年が犯罪を犯した場合には「少年法」が適用されます。
19歳は、少年法が適用される「少年」に該当するため、警察官、検察官が必要な捜査を受けた後、全ての事件が家庭裁判所に送致されます。
もっとも、18歳と19歳の少年は、「特定少年」として17歳以下の少年とは異なった取り扱いを受けます。

特定少年の扱いについて

民法の成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことで、18歳・19歳の者は社会において成年者として責任ある主体となって積極的な役割を果たすことが期待される立場になりました。
これに合わせ、少年法も改正され、18歳と19歳は少年法の適用がありながらも「特定少年」として、17歳以下の少年とは、異なった取扱いを受けることになりました。
主なものを今回と次回の2回に分けて解説していきます。

少年事件が家庭裁判所に送致された後は、家庭裁判所は送致された事件について調査を行い、審判を開始するのが相当であるとされた場合は、審判の上、保護処分や検察官送致(逆送)などの処分がされます。
少年法においては、原則として逆送するものとされている事件が規定されています。
そして、「特定少年」については、この原則逆送となる対象事件が拡大されています。
これまでは、「16歳以上の少年のとき犯した故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件」が原則逆送の対象となっていました

しかし、少年法の改正によって「18歳以上の少年のとき犯した死刑、無期又は短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件」についても原則逆送の対象となりました。
例えば、特定少年が、現住建造物等放火罪、強盗罪、強制性交等罪等を犯した場合、原則として事件が逆送されることになります。
事件が逆送され検察官に起訴されると、少年審判ではなく、20才以上の者と同様に刑事裁判にかけられることになります。
逆送後の取扱いについては、次回解説していきます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
特定少年」に該当する18歳、19歳の少年が起こした事件の弁護活動においても対応できる弁護士が多数在籍しています。
もし、18歳、19歳の少年が事件を起こしてしまったら、今後の事件の見通しを含めて、いち早く弁護士のアドバイスを受けることが大切になってきます。
まずは、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお電話(フリーダイヤル0120ー631ー881)ください。

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