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(事例紹介)「パパ活狩り」で強盗罪に問われて逮捕された事例
(事例紹介)「パパ活狩り」で強盗罪に問われて逮捕された事例
~事例~
デートの見返りに金品をもらう「パパ活」に応じた男性(30)から車などを奪ったとして、警視庁が川崎市内の17~19歳の少年5人と女子高校生(16)の計6人を強盗容疑で逮捕したことが8日、捜査関係者への取材でわかった。少年らの一部は「遊ぶ金が欲しかった」と容疑を認め、パパ活を悪用して金品を巻き上げることを「パパ活狩り」と呼んでいたと説明しているという。
捜査関係者によると、6人は8月22日未明、川崎市多摩区の路上で「俺の女に手を出しやがって。警察に言わないでやるってことはどういうことかわかるよね」などと脅して男性の車を乗っ取ったほか、イヤホンなど18点(計約13万円相当)を男性に買わせた上で奪った疑いがある。
(後略)
(※2022年9月8日9:50YAHOO!JAPAN配信記事より引用)
~「パパ活狩り」と強盗罪~
今回取り上げた事例では、10代の少年少女が複数人、強盗罪の容疑で逮捕されています。
少年らは「パパ活」を利用して被害男性を呼出し、「パパ活狩り」と称して呼び出された被害男性から金品を巻き上げていたと報道されています。
いわゆる「パパ活」とは、若い女性が金銭的に余裕のある男性を相手に、食事やデートなどを共にし、対価として金品をもらうというものを指します。
性的関係をもたないことなどがいわゆる援助交際との違いであると言われていますが、昨今では「パパ活」と称して援助交際のようなことをするケースもあるようです。
今回の事例の少年らは、この「パパ活」を装って男性を呼出し、呼び出された男性を脅して金品を巻き上げていたようです。
今回の事例の内容を見ると、いわゆる「美人局(つつもたせ)」の手法と同じ様な手法で被害者から金品を巻き上げていると考えられます。
「美人局(つつもたせ)」とは、男女が共謀して、女性が被害者となるほかの男性と通ずるように見せかけたところを、それを理由に男性が被害者に言いがかりをつけて脅し、金品を巻き上げるというものです。
今回の「パパ活狩り」の事例でも、少年らと少女が共謀して、少女が「パパ活」をするように見せかけて被害男性を誘い出し、少年らが「パパ活」に応じたことを言いがかりに被害男性をゆすって金品を渡させるという流れになっていたようです。
こうした「美人局(つつもたせ)」的な事例では、刑法の恐喝罪(刑法第249条)や詐欺罪(刑法第246条)に当たることが多いですが、今回の事例では、少年らは強盗罪の容疑で逮捕されています。
刑法第236条第1項(強盗罪)
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
強盗罪は、暴行や脅迫を用いて、他人の財物を奪い取ってしまうという犯罪です。
この時に用いられる暴行や脅迫が、相手の抵抗を押さえつけるほど強いと判断された場合に強盗罪が成立することになります(それほど強くない暴行や脅迫が用いられたと判断された場合には恐喝罪となります。)。
今回取り上げた事例では、報道によれば少年らが被害男性の車を奪って被害男性を軟禁するといった行為もしているようですから、被害男性が抵抗できないほどの「暴行」を用いて被害男性から金品を巻き上げた=「他人の財物を強取した」と判断され、強盗罪となったのでしょう。
「パパ活狩り」のような「〇〇狩り」と呼ばれる手口や「美人局(つつもたせ)」のような手口のゆすりたかりの類は、その言葉の印象から軽く感じられるかもしれませんが、強盗罪にも発展する犯罪です。
少年事件では、基本的に成人のように刑罰を受けることはありませんが、少年自身の年齢や事件の状況などから、逆送されて起訴され、刑事裁判を受けることも考えられます。
複数人で恐喝行為や強盗行為をするということは悪質な犯罪行為ですから、更生のためには根本的に環境を変える必要があると判断されて少年院送致などの強い処分が取られる可能性もあります。
適切な処分を目指し、かつ、再犯を防止して更生を目指すためにも、早めに少年事件・刑事事件を扱う弁護士からサポートを受けることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件だけでなく、10代の少年少女の起こしてしまった少年事件についてのご相談・ご依頼も承っています。
0120-631-881では、専門スタッフが、ご相談者様の状況に合わせたサービスをご案内中です。
まずはお気軽にお電話ください。
(事例紹介)人を転落させて傷害罪 少年らが逮捕された事例
(事例紹介)人を転落させて傷害罪 少年らが逮捕された事例
~事例~
広島県府中町の商業施設の立体駐車場で、男性会社員(19)を殴って現金を奪うなどしたとして、少年ら9人が逮捕された事件で、県警は5日、男性を立体駐車場から転落させたとして、6人(18~15歳)を傷害容疑で再逮捕した。
(中略)6人は6月30日午後8時5分頃から約5分間、立体駐車場の屋上(高さ約24メートル)で男性を殴る蹴るなどし、男性が屋上から飛び降りざるを得ない状況に追い込み、脳挫傷や大腿骨骨折などの大けがを負わせた疑い。
(中略)
主犯格の足場作業員の男(18)(広島市東区)が位置情報を他人と共有できるアプリや電話で近くにいた少年を集めたとみられ、屋上では男が「誰か1人に勝ったら許してやる」などと言い、その場にいた少年らが代わる代わる男性に暴行を加えたという。
(後略)
(※2022年9月6日12:16読売新聞オンライン配信記事より引用)
~転落させて傷害罪~
今回取り上げた事例では、すでに8月の時点で、少年らは強盗致傷罪や監禁罪の容疑で逮捕・捜査されていたようです(参考記事)。
しかし、その強盗致傷罪や監禁罪に加え、今回は被害男性を立体駐車場から転落させたということについて傷害罪の容疑がかけられ、再逮捕されたということのようです。
今回の事例では、報道の内容を見るところ、少年らは被害男性に対して暴行をふるっているものの、被害男性を立体駐車場から突き落としたというわけではないようです。
報道からは、被害男性が少年らの暴行から逃げようとして立体駐車場から飛び降りて転落してしまったのか、少年らが被害男性が立体駐車場から飛び降りるよう仕向けたのかは明らかではありませんが、いずれにせよ、少年らが物理的に被害男性を転落させたということではないようです。
ここで、被害男性が立体駐車場から転落して怪我を負ったことに対して、少年らに傷害罪が成立するのかという疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
特に前者のケースでは、少年らが立体駐車場から被害男性が転落して負った怪我の責任を傷害罪として負うことになるのかと不思議に思われるかもしれません。
しかし、過去の判例では、暴行を加えられていた被害者が現場から逃げた後に事故に遭って無くなってしまったという事例で、暴行と被害者の逃亡先の事故による死亡という結果に因果関係があるという判断が下されたものが存在します。
この判例では、暴行の被害者が現場から逃げる際、高速道路に侵入してしまい、交通事故に遭ってなくなってしまったという事情がありました。
裁判では、被害者の行動が、長時間激しくかつ執ような暴行を受け、極度の恐怖感を抱いて、必死に逃走を図る過程で、とっさに選択されたものであり、暴行から逃れる方法として、著しく不自然、不相当であったとはいえないと判断され、暴行と被害者の死亡という結果に因果関係があるとして、傷害致死罪が成立すると判断されました。
(以上、最決平成15.7.16より)
つまり、今回の事例で、たとえ被害男性が少年らの暴行から逃れようとして立体駐車場から転落してしまったのだとしても、紹介した判例に照らせば、被害男性は少年らから先だって暴行を受けていたという事情もあることから、少年らの暴行と被害男性の転落・負傷の間には因果関係があるとして傷害罪が成立することも十分考えられるということになります。
また、少年らが被害男性に対して立体駐車場から飛び降りるように仕向けたというケースであっても、少年らは暴行をすることで被害男性が立体駐車場から飛び降りるしかない状況を作り出していることから、少年らが暴行を加えたことで被害男性が故意的に転落させられて怪我を負ったという経緯になり、少年らには傷害罪が成立しうるということになるでしょう。
今回の事例では、事件の加害者である少年が複数人いることや、容疑をかけられている罪名が強盗致傷罪など重大犯罪も含まれていること、被害男性の怪我が重いものであり一時意識不明にもなっていることなどから、少年らの身体拘束が長期間に及ぶことや処分が重くなることが予想されます。
少年事件の手続は成人の刑事事件の手続とは異なる部分も多く、行うべき活動も異なってくることもあります。
だからこそ、複雑な少年事件については早い段階で専門家である弁護士の力を借りることが望ましいといえるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、成人の刑事事件だけでなく、少年事件についてのご相談・ご依頼も多く承っています。
強盗致傷罪や傷害罪などの暴力事件も含め、少年事件でお困りの際は一度弊所弁護士までご相談下さい。
(事例紹介)殺人・死体遺棄事件で少年院送致
(事例紹介)殺人・死体遺棄事件で少年院送致
~事例~
秦野市内の自宅で出産した女児を殺害したとして、神奈川県警捜査1課と秦野署は21日、殺人の疑いで、同市に住む10代の少女=死体遺棄容疑で逮捕=を再逮捕した。
県警によると、少女は調べに対し、「間違いありません」と容疑を認めているという。
再逮捕容疑は、5月15日、自室で女児を出産した後に殺害した、としている。
捜査関係者によると、少女は1人で出産後、女児を自室に放置して殺害したとみられる。
遺体は数日間、自室に置いたままだったという。
(後略)
(※2022年7月21日12:40YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)
~殺人事件と少年事件~
前回も取りあげた事例について、今回は殺人罪という犯罪と少年事件について注目していきます。
まず、前回の記事でも触れた通り、取り上げている事例では、10代の少女が殺人罪などの容疑に問われています。
刑法第199条(殺人罪)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
刑法の条文にある通り、殺人罪の法定刑は、「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」とされています。
10代の者が犯罪をした少年事件では、原則として、成人のように起訴されて刑事裁判となり、有罪判決を受けて刑罰を受けることはありません。
少年事件では、捜査を受けた後に事件が家庭裁判所に送られ、調査を経て審判を受け、保護処分(少年の更生のための処分)を受けるという流れが一般の流れとなります。
しかし、今回の事例で登場する殺人罪を含む一定の刑罰の重さがある犯罪については、その少年事件の流れの例外が存在します。
その例外が、いわゆる「逆送」です。
逆送とは、捜査機関などから家庭裁判所に送致された少年事件を、再度家庭裁判所から検察官に送致することを指します。
一般の少年事件は、先ほど触れた通り、捜査機関(検察官を含む)から家庭裁判所に送致されて審判に付されることが多いため、その逆に家庭裁判所から検察官へ送致されることから、逆送致=「逆送」と呼ばれます。
この逆送は、その少年事件の終局処分として、保護処分ではなく刑事処分(刑罰を受けさせること)が適切であると判断された場合に取られるものです。
逆送され検察官のもとへきた少年事件は、原則として起訴され、成人同様刑事裁判を受けることとなります。
そして、刑事裁判で有罪判決を受けるということになれば、成人とは仕組みが異なるものの、少年も刑罰を受けることとなります。
ここで、今回の事例で登場している殺人罪と逆送の関係を見てみましょう。
少年法では、逆送をする場合について、以下のように定めています。
少年法第20条
第1項 家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
第2項 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない。
ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。
少年法第62条
第1項 家庭裁判所は、特定少年(18歳以上の少年をいう。以下同じ。)に係る事件については、第20条の規定にかかわらず、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
第2項 前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、特定少年に係る次に掲げる事件については、同項の決定をしなければならない。
ただし、調査の結果、犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。
第1号 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るもの
第2号 死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件であつて、その罪を犯すとき特定少年に係るもの(前号に該当するものを除く。)
逆送についての基本的な定めは、少年法第20条に定められており、特に少年法第20条第2項は、「原則逆送」と呼ばれることもあります。
少年法第20条によると、「死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件」で調査を経て刑事処分が妥当と判断される場合には逆送をしなければならず(第1項)、それにかかわらず「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件」で「その罪を犯すとき16歳以上の少年」である事件の場合は原則として逆送をする(第2項)と定められています。
少年法第20条第2項では、但し書きとして逆送をしなくてよい場合も定められています。
そして、その例外として、少年法第62条では、18歳以上の「特定少年」の逆送について定めています。
先ほど挙げた少年法第20条の定めに関わらず、特定少年は調査の結果刑事処分が適当とされた場合には逆送をしなければならず(第1項)、それにかかわらず特定少年の「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件」で「その罪を犯すとき16歳以上の少年」に係る事件(第2項第1号)と、「死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件」で「その罪を犯すとき特定少年」に係る事件(第2項第2号)は原則逆送をしなければならないと定められています。
こちらについても、少年法第20条第2項同様、但し書きで逆送をしない場合について定められています。
今回の事例では、逮捕された少女の容疑として殺人罪が含まれていますが、殺人罪は「故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪」です。
報道では、少女の年齢は10代であることしかわかりませんが、少女が16歳以上であれば、少年法第20条第2項により、原則逆送の措置がとられると考えられます。
しかし、ここでこの事例の終局処分について、以下のような報道がされています。
~事例~
秦野市で、出産した赤ちゃんを殺害し畑に遺棄したとして逮捕された10代の少女について、横浜家庭裁判所は少年院に送ることを決めました。
(後略)
(※2022年8月25日19:29NHK NEWS WEB配信記事より引用)
すなわち、今回の事例では、家庭裁判所の審判で、逆送して刑事処分(刑罰)を受けさせることよりも、少年院送致という保護処分を受けさせる方が適切であると判断されたということになります。
先述した「原則逆送」を定める条文でも、但し書きで逆送をしない場合についても定められている通り、原則として逆送をするというケースでも、事情によっては保護処分になる場合もあるということです。
少年院送致などの保護処分では、少年の更生のための活動が行われ、例えば少年院では、生活習慣の改善が図られたり、矯正教育が行われたり、その後の生活のための就労訓練や資格取得援助が行われたりします。
対して、逆送後起訴され、刑事裁判で有罪となった場合に少年刑務所へ行くとなった場合には、こちらはあくまで刑罰を受けるということになりますから、更生のための十分な活動は保護処分ほど手厚くはないと考えられます。
こうしたことから、逆送の対象となる少年事件で、今後の更生を考えて逆送を回避して保護処分を受けさせてほしいと考えられる方も多いでしょう。
逆送の対象となる事件は重大犯罪であることも多いうえ、少年事件の手続は成人の刑事事件とは異なる部分もあることから、当事者だけで対応をしていくことには限界もあると思われます。
だからこそ、まずは少年事件に対応している弁護士に相談してみることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、逆送の対象事件となる少年事件についてのご相談・ご依頼も受け付けています。
まずはお気軽に0120-631-881までご連絡ください。
(事例紹介)出産した乳児の殺人・死体遺棄事件
(事例紹介)出産した乳児の殺人・死体遺棄事件
~事例1~
秦野市内の畑でビニール袋に入った乳児の遺体が見つかった事件で、県警捜査1課と秦野署は2日、死体遺棄の疑いで、同市に住む10代の少女を逮捕した。
逮捕容疑は、5月中旬ごろ、同市曲松1丁目の畑に、乳児の死体を遺棄した、としている。
同課によると、少女は「赤ちゃんを埋めたことに間違いありません」と供述、容疑を認めている。
(後略)
(※2022年7月2日9:50YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)
事例1は、10代の少女が乳児の遺体を遺棄したという死体遺棄罪の容疑で逮捕されたという報道です。
この事例については、その後についても報道されています。
~事例2~
秦野市内の自宅で出産した女児を殺害したとして、神奈川県警捜査1課と秦野署は21日、殺人の疑いで、同市に住む10代の少女=死体遺棄容疑で逮捕=を再逮捕した。
県警によると、少女は調べに対し、「間違いありません」と容疑を認めているという。
再逮捕容疑は、5月15日、自室で女児を出産した後に殺害した、としている。
捜査関係者によると、少女は1人で出産後、女児を自室に放置して殺害したとみられる。
遺体は数日間、自室に置いたままだったという。
(後略)
(※2022年7月21日12:40YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)
~出産した乳児に対する犯罪~
報道によれば、今回取り上げた事例(事例1・2)は、10代の少女が、自分で女児を出産した後、その女児を殺害し、遺体を遺棄したという流れで起こってしまった殺人・死体遺棄事件のようです。
こうした、未成年の少女や若い女性が、出産した乳児を殺害してしまったという刑事事件・少年事件や、出産した乳児を遺棄してしまったという刑事事件・少年事件は、度々報道されるところです。
今回取り上げた事例の報道によると、少女は殺人罪と死体遺棄罪の容疑に問われています。
刑法第199条(殺人罪)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。
刑法第190条(死体遺棄罪)
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。
今回の事例では、産まれた段階で女児が生きており、その女児を少女が故意的に死なせてしまったということから殺人罪に、その亡くなった女児の遺体を畑に遺棄したということから死体遺棄罪に問われることとなったと考えられます。
なお、出産した乳児を放置してしまった、遺棄してしまったという刑事事件・少年事件では、こうした殺人罪・死体遺棄罪のほかに、保護責任者遺棄罪(遺棄致死傷罪)も問題となることがあります。
刑法第218条(保護責任者遺棄罪)
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の懲役に処する。
刑法第219条(遺棄致死傷罪)
前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
例えば、出産した乳児を放置して立ち去ってしまった、出産した乳児をどこかへ隠したというようなケースでは、こうした保護責任者遺棄罪や遺棄致死傷罪が成立することも考えられます。
出産した乳児に対する刑事事件・少年事件では、出産した時点で乳児が生きていたのかどうか、乳児が亡くなってしまっている場合には故意的に乳児を死なせたのかどうか(殺人罪にあたるかどうか)などを慎重に検討する必要があります。
特に殺人罪は、定められている刑罰が「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」と非常に重いものとなっています。
今回取り上げたような少年事件では、原則としてこうした刑罰を受けることはないのですが、殺人罪のような重大犯罪の場合、逆送されて刑事裁判となる可能性も出てきます(こちらについては次回の記事で解説いたします。)。
事件内容も重いものとなっていることから、当事者が取調べに応じることだけでも負担が大きいと考えられますし、そうした中で本意ではない供述に流されてしまうということも考えられます。
当事者の負担を減らすことやリスクを減らすことを考えても、早期に弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、成人の刑事事件だけでなく10代の方の起こした少年事件も取り扱っています。
少年事件でお困りの際は、お早めにお問い合わせください。
在宅捜査を受けられている方は初回無料法律相談を、逮捕・勾留されている方には初回接見サービスをご用意しております(ご予約・お申込み・お問い合わせ:0120-631-881)。
(事例紹介)福岡市の集団暴走事件 道路交通法違反で書類送検
(事例紹介)福岡市の集団暴走事件 道路交通法違反で書類送検
~事例~
(略)
福岡県警城南署は10日、署付近の歩道を走行するなどの集団暴走をしたとして、福岡市早良区や城南区に住む18~19歳の少年4人を道路交通法違反(共同危険行為)の疑いで福岡地検に書類送検した。
署によると、4人は5月27日午後11時ごろ、バイクに乗って、城南区七隈7丁目の城南署前から早良区荒江2丁目付近まで、約4キロにわたって蛇行運転や信号無視をしながら暴走した疑いがある。
(後略)
(※2022年8月12日12:00YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)
・集団暴走行為と少年事件
今回取り上げた事例では、18歳~19歳の少年が複数人で集団暴走をしたとのことです。
今年4月から成人年齢は18歳に引き下げられましたが、少年法上では20歳未満の者は「少年」として扱われ(少年法第2条第1項)、罪を犯せば少年審判の対象となります。
こうした集団暴走行為は、道路交通法でいう「共同危険行為」にあたることが多く、その場合には共同危険行為をしたことによる道路交通法違反となります。
道路交通法第68条(共同危険行為等の禁止)
二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者は、道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為をしてはならない。
道路交通法第68条の条文によると、「道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合において、共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為」がいわゆる共同危険行為になると考えられます。
今回の事例と照らし合わせてみましょう。
報道によると、今回の事例では、18歳~19歳の少年4人が、バイクに乗って蛇行運転や信号無視をしながら暴走したということです。
少年らは4人でバイクを運転していたようですから、道路交通法の条文にある「二人以上の自動車又は原動機付自転車の運転者」という主体に当てはまり、かつ、「道路において二台以上の自動車又は原動機付自転車を連ねて通行させ、又は並進させる場合」であったと予想されます。
そして、少年らは一緒に蛇行運転や信号無視をしてバイクを走らせる集団暴走をしたとのことですので、複数人で一緒になって道路上で事故を引き起こすような行為をしたといえます。
こうしたことから、「共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく他人に迷惑を及ぼすこととなる行為」に当たる=共同危険行為をしたと判断され、道路交通法違反で検挙されるに至ったのでしょう。
少年事件では、こうした集団暴走による共同危険行為で道路交通法違反となるケースがしばしば見られます。
いわゆる暴走族のようなグループに所属していなくとも、仲間内でバイクや原付を一緒に走らせるという少年もいます。
たとえ暴走族に所属しているというわけでなくとも、集団暴走をしてしまえば道路交通法違反という犯罪になってしまいますし、集団暴走事件の特性上、共犯者となる事件関係者も複数存在するため、逮捕や勾留による身体拘束を伴って捜査されることもありえます。
少年事件の終局処分は、少年の更生に適切な環境が整っているのかということが重視されますから、共犯者・事件関係者との関係を見直すことや、集団暴走の危険性を理解すること、少年の家族など周囲の人による監督体制の構築などが必要となってくると考えられます。
同じことを繰り返さないためにも、こうした環境の構築に取りかかることは事件が起きてから早い段階からスタートさせることが望ましいでしょうから、少年事件を取り扱う弁護士に早期に相談・依頼されることがおすすめです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年の集団暴走による道路交通法違反事件なども取り扱ってきました。
まずは手続の把握や今後の見通しを知りたいという方にも対応できる、初回無料法律相談や初回接見サービスをご用意していますので、お気軽にお問い合わせください。
【事例紹介】滋賀県東近江市の強盗致傷事件で男子高校生逮捕
【事例紹介】滋賀県東近江市の強盗致傷事件で男子高校生逮捕
滋賀県東近江市の強盗致傷事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所がご紹介します。
事例
滋賀県警東近江署などは31日までに、強盗致傷の疑いで、ともに県内の高校に通う東近江市の17歳と16歳の男子生徒2人を逮捕した。
逮捕容疑は共謀し、6月15日午後11時ごろ、東近江市内の路上で、同市の会社員男性=当時(30)=を羽交い締めにして棒状のもので殴って頭部打撲のけがを負わせ、現金12万円などが入った手提げかばんを奪おうとした疑い。男性が抵抗したためにかばんを奪えず、走って逃走したという。
(7月31日 京都新聞 「強盗致傷疑い、高校生2人を逮捕 路上で羽交い絞め、男性殴る 滋賀」より引用)
強盗致傷罪
強盗致傷罪は刑法第240条で「強盗が、人を負傷させたときは無期または6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑または無期懲役に処する。」と規定されています。
ここで、今回取り上げた事例を見てみましょう。
男子高校生2人が共謀して強盗致傷事件を起こして逮捕されてしまったという内容が報道されていますが、報道によれば、逮捕された男子高校生らは最終的に男性からかばんを奪うことができずに終わっています。
こうした場合、強盗致傷罪ではなく未遂罪が成立するのではないかと不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、現在の通説では、強盗部分(暴行・脅迫を手段として物を奪う)が未遂であっても、それによって人を負傷させた時点で強盗致傷罪が成立すると考えられています。
つまり、今回の事例の男子高校生らは、強盗に当たる部分、すなわち、男性からかばんを奪い取るという部分に関しては未遂に終わっているものの、強盗行為によって男性に頭部打撲の怪我を負わせている=男性を負傷させているということですから、たとえ目的であったかばんを奪い取れていなくとも強盗致傷罪が成立するということになるのです。
強盗致傷罪と少年事件
今回取り上げた事例では、強盗致傷事件を起こして逮捕されたのは16歳と17歳の男子高校生です。
男子高校生らは未成年であり、少年法の適用を受けるため、基本的には成人のように刑事裁判を受けることはありませんし、刑務所に行くこともありません(逆送された場合は例外です。)。
しかし、少年事件の場合には、成人の刑事事件とはまた別の手続があり、警察や検察などで事件の捜査が終了した後は、家庭裁判所が少年自身やその周りの環境を詳しく調査し、処分を決定することとなります。
少年事件では、その少年がしてしまった犯罪の重さだけを見て処分が決まるわけではありませんが、それでも強盗致傷罪などの重大犯罪をしてしまったということは、それだけその少年自身や周囲の環境に大きな問題があるのではないかと考えられる可能性があります。
更生のために根本的に環境を変える必要があると判断されれば、少年院などの施設に送致される処分も十分考えられます。
少年事件において重要なことの1つは、今後の更生に十分な環境を整えられているかどうか、少年やその周囲の人がそのために事件に向き合うことができているかといった部分です。
こうした環境調整活動を行うためにも、少年事件を取り扱う専門家のサポートを受けることがおすすめです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、成人の刑事事件だけでなく、少年事件についてのご相談・ご依頼も多く承っています。
子どもが逮捕されてしまった、強盗致傷事件などの重大犯罪を起こしてしまったといったケースもお受けしておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
(事例紹介)夏休み中の闇バイト 受け子で逮捕
(事例紹介)夏休み中の闇バイト 受け子で逮捕
~事例~
東京・武蔵野市の70代の男性からキャッシュカードをだまし取ろうとしたとして、17歳の少年が逮捕されました。
少年は「夏休みに、学費を稼ぐため」と話しているということです。
高校3年生の17歳の少年は仲間と共謀し、8月2日午後5時すぎ、武蔵野市に住む70代の男性からキャッシュカードをだましとろうとした疑いが持たれています。警視庁によりますと、当日の午後3時すぎ、男性に武蔵野署員を名乗る男から「女2人を逮捕したところ、あなたの名義のキャッシュカードを持っていた。確認しに署員が行きます」と電話があったということです。
(中略)
少年は取り調べに対し、「闇バイト・高額収入とツイッターで検索した。夏休みに暇で、専門学校の学費を稼ぐためだった。成功報酬は1割と聞いていた」などと容疑を認めているということです。
(※2022年8月4日18:32YAHOO!JAPAN配信記事より引用)
~「闇バイト」と少年事件~
今回取り上げた事例では、17歳の少年が、特殊詐欺事件のいわゆる「受け子」という役割をして逮捕されてしまったという内容が報道されています。
特殊詐欺は組織的に行われることが多く、その場合には組織のメンバーそれぞれに役割が与えられていることが多いです。
例えば、今回の事例で少年が請け負った、特殊詐欺の被害者からキャッシュカードや金品を受け取るという役割は「受け子」と呼ばれます。
この「受け子」は、被害者と直接接触することもあり、特殊詐欺の役割の中では検挙されやすい位置にいます。
検挙されやすい役割であるということからか、この「受け子」の役割は、特殊詐欺を行う組織の末端であったり、SNSなどを通じて雇ったアルバイトであったりと、特殊詐欺を行う組織の中心から離れた人が請け負うことが多いとされています。
今回の事例も、報道によれば、逮捕された少年は「闇バイト」などとSNSで検索してこの「受け子」の仕事にたどり着いたとされていますが、「闇バイト」「裏バイト」「高額収入」などと称したアルバイトを装い学生などを特殊詐欺の一端を担わせるケースは多くみられるところです。
特に、今は夏休みの時期であり、未成年の学生が比較的時間を自由に使えることなどから、こうした「闇バイト」によって少年事件を起こしてしまうことが心配されます。
少年事件では、犯罪の重さだけでなく、その少年自身の資質や少年の周囲の環境などから、どの程度の保護処分が必要かといったことを考慮されて処分が決定します。
例えば、「闇バイト」が犯罪であることをわかっていながら何件も大量に行っていたという場合であれば、犯罪であると分かっていながらあえて繰り返し「闇バイト」をしたことを問題視され、根本的な環境の改善を行うために少年院などの施設送致といった処分が取られることも考えられます。
「闇バイト」などの摘発・防止には、捜査機関も積極的に取り組んでおり、SNSなどで「闇バイト」と検索すると、捜査機関やSNSなどの媒体自体がが注意を促す投稿が表示されることもあります。
そういった注意をきちんと把握して「闇バイト」などに関わらないということが一番ですが、もしもお子さんが「闇バイト」に関わり逮捕されてしまったら、すぐに弁護士のサポートを受けることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、「闇バイト」などから詐欺事件などに関わってしまったという事例についてのご相談・ご依頼も受け付けています。
まずはお気軽にお問い合わせください。
【解決事例】摂食障害の影響で万引き事件を起こした事例で審判不開始に
【解決事例】摂食障害の影響で万引き事件を起こした事例で審判不開始に
~事例~
神戸市東灘区に住んでいる10代のAさんは、専門学生として学校に通いながら、アルバイトにも励む日々を送っていました。
しかし、そのうちAさんは摂食障害を患うようになり、いわゆる過食嘔吐をするようになってしまいました。
Aさんは、神戸市東灘区にあるコンビニで食料品を万引きしてしまい、兵庫県東灘警察署に窃盗罪の容疑で逮捕されてしまいました。
Aさんの両親は、Aさんの将来を考え、Aさんの力になれないかと思い、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の初回接見サービスを利用。
弁護士から接見の報告を受けた後、弁護士に弁護活動を依頼することに決めました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
~弁護活動と結果~
Aさんは、前述のように摂食障害を患っており、長期の身体拘束を受けることで症状が悪化してしまうおそれがありました。
加えて、Aさんの逮捕が専門学校に知られることで、Aさんが退学などの処分を受けてしまう可能性もあったため、今後のAさんのことを考えると、Aさんのご両親としてはすぐにでも釈放してもらいたいというご要望でした。
Aさんの両親がAさんの逮捕から間もない段階で弁護士に依頼したこともあり、弁護士は勾留決定前に検察官や裁判官にAさんの釈放を求める交渉を行うことができました。
弁護士は、依頼を受けてすぐにAさんの体調などの事情を検察官と裁判官に上申し、Aさんの釈放を求めました。
その結果、Aさんは勾留されずに釈放されることとなりました。
釈放を求める活動と並行して、弁護士は、Aさんやその両親の意向を受け、万引きの被害を受けたコンビニへの被害弁償をするために、コンビニとの交渉を行いました。
実は、Aさんは逮捕された万引き事件を起こしたコンビニ以外のコンビニでも食料品を万引きしたことが明らかになっていたため、弁護士は本件以外の余罪の万引き事件についても、被害弁償のための交渉にあたりました。
最終的に、複数のコンビニに被害弁償を受け入れていただくことができました。
そして、AさんとAさんの両親は、Aさんが釈放されてすぐに、摂食障害を治療するための病院探しを開始しました。
いくつか病院を回った上で、Aさんらは、摂食障害を治療するための専門的な治療を行っている病院を見つけ、そこで継続的な治療を行うことを決めました。
Aさんは、しばらく学校を休学して治療に専念するとともに、自分のしてしまったことに向き合い反省を深め、Aさんの両親はAさんの指導を行うと共にAさんの治療をサポートするための環境を整えました。
弁護士は、こうした被害弁償の結果やAさんの反省の深まり、Aさんの治療のための環境が整ってきていることなどを家庭裁判所に上申しました。
弁護士と裁判所の協議の結果、Aさんについては更生のための環境が整えられていると判断され、審判不開始という結果になりました。
Aさんは、調査等に時間を割くことなく事件を終了することができ、早期に治療などに専念することが可能となりました。
今回のケースのように、摂食障害などの影響から少年事件が起こってしまうというケースもあります。
こうした場合、どのように少年事件の原因となったものを解消していくのか、解消できる環境を作っていくのかといったことが適切な処分を目指すうえで重要です。
もちろん、少年事件を起こしてしまった本人やそのご家族の積極的な協力は重要ですが、どういった活動に取り組むべきなのか、何を見直すべきなのかは、当事者だけでは分からないということも多いでしょう。
だからこそ、少年事件を取り扱う専門家のサポートも大切なのです。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件だけでなく少年事件についても数多く取り扱ってきた弁護士が、万引き事件などを含む少年事件のご相談をお受けしています。
子どもが万引き事件を起こしてしまった、少年事件の手続・対応に困っているといった場合には、ご遠慮なくお問い合わせください。
【解決事例】強制わいせつ致傷事件で釈放を実現・保護観察獲得
【解決事例】強制わいせつ致傷事件で釈放を実現・保護観察獲得
~事例~
京都市左京区在住の高校3年生のAさんは、日頃のストレスから、路上を歩いていた通行人の女性Vさんに対する強制わいせつ致傷事件を起こしてしまいました。
その後、Vさんからの被害申告を受けた京都府川端警察署の捜査により、Aさんの犯行が発覚。
後日、Aさんの自宅に京都府川端警察署の家宅捜索が入り、Aさんは任意同行されて警察署に連れて行かれた後、そのまま強制わいせつ致傷罪の容疑で逮捕されました。
Aさんの両親は、全く状況が分からず、どうしたらよいのかも分からなかったため、インターネットで見つけた弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に問い合わせ、弁護士による初回接見サービスを利用することにしました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
~弁護活動と結果~
Aさんの両親は、弁護士から初回接見サービスの報告を受けた後、引き続き弁護士に弁護活動・付添人活動を依頼することに決めました。
依頼を受けた弁護士は、まずはAさんの釈放を求める活動を行いました。
弁護士が依頼を受けた段階で、Aさんには勾留決定が下っていました。
勾留とは、逮捕に引き続く身体拘束であり、延長期間を含めて最大20日間にも及びます。
Aさんは、事件をきっかけに通っていた高校を退学するか転校するかしなければならない状況にありましたが、こうした進路を決定するためにも、Aさんが両親や学校と時間をかけて話し合う必要もありました。
弁護士は、こうした事情も含め、勾留に対する不服申立て(準抗告)を行い、Aさんを釈放するよう裁判所に訴えました。
その結果、不服申立てが認められ、Aさんは釈放されました。
こうした活動と並行し、弁護士は、謝罪と弁償についての話し合いを行うため、被害者であるVさんにコンタクトを取りました。
Aさん自身はもちろん、Aさんの両親もVさんに対する謝罪や被害弁償をしたいという意向を持っていたため、弁護士はその意向を伝えると共に、Vさんの意向もくみ取れるよう、示談交渉を行っていきました。
最終的に、Vさんには示談を受けていただくことができました。
在宅での捜査が終了した後、Aさんの強制わいせつ致傷事件は家庭裁判所に送致されました。
AさんとAさんの両親は、弁護士と連携をとりながら、今後の進路を具体的に決めると共に、性教育などについて専門機関の力を借りながら行っていくこと、生活習慣を整えることなどに取り組んでいきました。
弁護士は、Vさんと示談締結ができたことのほか、これらの取り組みによってAさんらが更生に向かって環境を整えていることを審判で主張し、保護観察処分とすることを求めました。
審判の結果、Aさんは保護観察処分となり、社会の中で更生を目指していくこととなりました。
少年事件では、原則として少年の更生のために適切な環境・処分を審判で決めていくこととなります。
少年自身のその後の進路などは、更生のために重要な要素でしょう。
しかし、少年事件の捜査・調査によって少年が身体拘束されているままであったり、施設送致となってしまったりすれば、その進路に関わる決断ができなかったり、就学先・就労先がなくなってしまったりというデメリットが生まれてしまうことも考えられます。
釈放を求めていくことはもちろん、少年と弁護士の接見を通じて意思の確認をしていくことなどもできますから、まずは弁護士に相談されることをおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、成人の刑事事件だけでなく、少年事件についてのご相談・ご依頼も受け付けています。
強制わいせつ致傷事件などの性犯罪も対応可能ですので、少年事件でお困りの際はお気軽にご相談ください。
【解決事例】前歴のある強制わいせつ事件で試験観察獲得・少年院回避
【解決事例】前歴のある強制わいせつ事件で試験観察獲得・少年院回避
~事例~
大阪市北区に住んでいる16歳のAさんは、大阪市北区内を自転車で走行中、歩いている女子中学生Vさんを見かけました。
女性の身体に触ってみたいという欲を抑えられなかったAさんは、すれ違いざまにVさんの胸を揉み、その場から逃げました。
実はAさんは、こうした痴漢行為を複数回行っていました。
Vさんからの被害申告を受けた大阪府大淀警察署の捜査により、Aさんは強制わいせつ罪の容疑で逮捕され、勾留に代わる観護措置となりました。
Aさんの逮捕・勾留に代わる観護措置を知ったAさんの両親は、Aさんのためにできることはないかと弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に相談し、初回接見サービスに申し込みました。
(※守秘義務の関係で一部事実と異なる表記をしています。)
~弁護活動と結果~
Aさんは、今回の強制わいせつ事件以前に公然わいせつ事件を起こしたことがあり、児童相談所へカウンセリングに通っていたという経緯がありました。
そうした中で強制わいせつ事件を起こしてしまい、加えてAさんがこれとは別に公然わいせつ事件も起こしていたことが発覚したため、根本的に環境を変えるべきと判断されて少年院送致となる可能性もありました。
しかし、少年院送致となってしまえば、その期間社会とは完全に切り離されて過ごすことになるため、Aさんの将来のために社会内で更生を目指せないかということから、弁護士は弁護活動と付添人活動をすることとなりました。
まず弁護士は、Aさんの勾留に代わる観護措置という処分について、裁判所に不服申し立てを行いました。
Aさんの家族が協力してAさんの監督を行うことや、Aさんの通う高校への通学の必要などの事情を含め、裁判所に対して釈放を求めていきました。
その結果、不服申立てが認められ、Aさんは釈放されました。
釈放されたAさんは、捜査中の期間は高校に通うことができ、その学期の単位を取得することができました。
家庭裁判所に事件が送致された後、Aさんにはより専門的な調査が必要であるとして、観護措置が取られました。
その中で、Aさんが前歴がありながら強制わいせつ事件を起こしてしまった原因が調査され、Aさん自身の認識の問題などが指摘されました。
弁護士は、Aさん自身やAさんの家族と話し合い、より専門的なカウンセリング治療などを受けることを提案しました。
Aさんとその家族は、弁護士の出した課題を通じて事件と向き合い、今後専門的な治療を受けることを具体的に決めたり、家庭内での指導・コミュニケーションの取り方などを振り返っていきました。
こうした活動と並行して、弁護士は被害者様の親御様とも連絡を取り合い、Aさんとそのご家族のお詫びの気持ちをお伝えしました。
被害者様の親御様には、Aさんらが今回の事件を重く受け止め反省していることをご理解いただくことはできましたが、その時点では示談締結には至りませんでした。
しかし、Aさんらは被害者様やその親御様にお詫びし被害弁償をしたいという意思を持ち続けていたことから、弁護士は期間をおいて被害者様の親御様とお話を続け、最終的には示談を締結していただくことができ、さらにはお許しの言葉をいただくこともできました。
家庭裁判所の審判では、Aさんらが具体的な治療受診の計画まで立てていることや反省の度合い、被害者様の親御様との話し合いを継続していることなどが弁護士から挙げられ、すぐに少年院送致とするのではなく、試験観察とすることが提案されました。
結果として、Aさんは約3か月間の試験観察となり、自宅で過ごしながら治療を受け、家庭裁判所の指定した介護施設で手伝いをしながら人間関係などを学ぶこととなりました。
試験観察中、Aさんは指定された週3日程度、介護施設での手伝いに通い、仕事を通じて人とのコミュニケーションや、相手の心理を慮ることなどを学びました。
そして、専門機関に通い、専門的なカウンセリング治療を受けることで、強制わいせつ事件や公然わいせつ事件を起こすに至った自身の認識を正していくことに努めました。
試験観察中のAさんの行動や態度などが2回目の審判で評価され、Aさんの最終的な処分は保護観察処分となりました。
少年院送致を回避することができたことにより、Aさんは通信制の学校に通いながら専門学校を目指すなど、社会内での更生を目指すことができるようになりました。
少年事件では、特に少年自身やそのご家族の認識・取り組みが重要視される部分があります。
しかし、どういった部分を改善すべきなのか、どのように取り組んでいくべきなのかということは、当事者だけでは見えづらい部分もあるでしょう。
少年事件に詳しい弁護士にフルサポートしてもらうことで、より適切な処分を目指すことが可能となります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件についてのご相談・ご依頼も受け付けています。
まずはお気軽にお問い合わせください。