(事例紹介)出産した乳児の殺人・死体遺棄事件

2022-08-24

(事例紹介)出産した乳児の殺人・死体遺棄事件

~事例1~

秦野市内の畑でビニール袋に入った乳児の遺体が見つかった事件で、県警捜査1課と秦野署は2日、死体遺棄の疑いで、同市に住む10代の少女を逮捕した。
逮捕容疑は、5月中旬ごろ、同市曲松1丁目の畑に、乳児の死体を遺棄した、としている。
同課によると、少女は「赤ちゃんを埋めたことに間違いありません」と供述、容疑を認めている。
(後略)
(※2022年7月2日9:50YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)

事例1は、10代の少女が乳児の遺体を遺棄したという死体遺棄罪の容疑で逮捕されたという報道です。
この事例については、その後についても報道されています。

~事例2~

秦野市内の自宅で出産した女児を殺害したとして、神奈川県警捜査1課と秦野署は21日、殺人の疑いで、同市に住む10代の少女=死体遺棄容疑で逮捕=を再逮捕した。
県警によると、少女は調べに対し、「間違いありません」と容疑を認めているという。
再逮捕容疑は、5月15日、自室で女児を出産した後に殺害した、としている。
捜査関係者によると、少女は1人で出産後、女児を自室に放置して殺害したとみられる。
遺体は数日間、自室に置いたままだったという。
(後略)
(※2022年7月21日12:40YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)

~出産した乳児に対する犯罪~

報道によれば、今回取り上げた事例(事例1・2)は、10代の少女が、自分で女児を出産した後、その女児を殺害し、遺体を遺棄したという流れで起こってしまった殺人死体遺棄事件のようです。
こうした、未成年の少女や若い女性が、出産した乳児を殺害してしまったという刑事事件少年事件や、出産した乳児を遺棄してしまったという刑事事件少年事件は、度々報道されるところです。

今回取り上げた事例の報道によると、少女は殺人罪死体遺棄罪の容疑に問われています。

刑法第199条(殺人罪)
人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

刑法第190条(死体遺棄罪)
死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、3年以下の懲役に処する。

今回の事例では、産まれた段階で女児が生きており、その女児を少女が故意的に死なせてしまったということから殺人罪に、その亡くなった女児の遺体を畑に遺棄したということから死体遺棄罪に問われることとなったと考えられます。

なお、出産した乳児を放置してしまった、遺棄してしまったという刑事事件少年事件では、こうした殺人罪死体遺棄罪のほかに、保護責任者遺棄罪遺棄致死傷罪)も問題となることがあります。

刑法第218条(保護責任者遺棄罪)
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の懲役に処する。

刑法第219条(遺棄致死傷罪)
前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

例えば、出産した乳児を放置して立ち去ってしまった、出産した乳児をどこかへ隠したというようなケースでは、こうした保護責任者遺棄罪遺棄致死傷罪が成立することも考えられます。

出産した乳児に対する刑事事件少年事件では、出産した時点で乳児が生きていたのかどうか、乳児が亡くなってしまっている場合には故意的に乳児を死なせたのかどうか(殺人罪にあたるかどうか)などを慎重に検討する必要があります。
特に殺人罪は、定められている刑罰が「死刑又は無期若しくは5年以上の懲役」と非常に重いものとなっています。

今回取り上げたような少年事件では、原則としてこうした刑罰を受けることはないのですが、殺人罪のような重大犯罪の場合、逆送されて刑事裁判となる可能性も出てきます(こちらについては次回の記事で解説いたします。)。
事件内容も重いものとなっていることから、当事者が取調べに応じることだけでも負担が大きいと考えられますし、そうした中で本意ではない供述に流されてしまうということも考えられます。
当事者の負担を減らすことやリスクを減らすことを考えても、早期に弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、成人の刑事事件だけでなく10代の方の起こした少年事件も取り扱っています。
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