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万引きで示談するも家庭裁判所に

2019-08-28

示談するも家庭裁判所に

東京都町田市の高校に通うA君は、漫画本欲しさに市内の書店で漫画本3冊を万引きしたところ、その行為を一部始終見ていた保安員に逮捕されました。そして、A君は、通報を受け現場に駆け付けた警視庁南大沢警察署の警察官に引き渡されましたが、A君のご両親が南大沢警察署に身元引受人として出頭し、今後A君を厳重に監督していく旨誓約したことから釈放されさました。その後、A君のご両親はA君とともに書店へ行き店長に謝罪し、万引きした漫画本3冊の買い取りと、迷惑料として1万円を支払いました。ところが、後日、A君は南大沢警察署東京地方検察庁立川支部から呼び出しを受けたばかりか、万引きの件を東京家庭裁判所立川支部に送られた(家裁送致)と聞きました。A君やA君のご両親は、被害弁償が済んでいたのにどうして家裁送致されなければならないのか納得がいかず、少年事件に強い弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)

~ 少年事件は全件送致主義が原則 ~

※少年=20歳未満の者

一定の嫌疑がある限り、原則としてすべての少年事件が捜査機関から家庭裁判所へ送致される手続きのことを全件送致主義といいます。
全件送致主義は、少年法41条、42条に根拠があります。

少年法41条
 司法警察員は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、罰金以下の刑にあたる犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。

少年法42条1項
 検察官は、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑があるものと思料するときは、第四十五条第五号本文に規定する場合を除いて、これを家庭裁判所に送致しなければならない。犯罪の嫌疑がない場合でも、家庭裁判所の審判に付すべき事由があると思料するときは、同様である。

~ 成人事件の場合、微罪処分、起訴猶予がある ~

他方、成人事件の場合、微罪処分不起訴処分(起訴猶予等)が認められています。

微罪処分とは、事件が警察から検察庁へ送致されることなく、被疑者への厳重注意、訓戒等で終了する手続きのことをいいます。
微罪処分を受けると検察庁へ送致されることはありませんから、検察庁から呼び出しを受けたり、何らかの刑事処分(起訴、不起訴)を受けるおそれはありません。もちろん、刑罰を科されることもありません。

また、不起訴処分は、検察官の刑事処分の一つで、起訴しない、つまり、裁判所に刑事裁判を求めない処分のことをいいます。
不起訴処分を受けると刑事裁判を受ける必要がなくなる、というわけです。

~ では、なぜ少年事件は全件送致主義なの? ~

成人事件の場合、今回のA君のご両親のように、被害者に被害弁償したり、あるいは被害者と示談を締結することができれば微罪処分不起訴処分を獲得できる可能性は高くなるでしょう。ところが、少年事件の場合、同様のことを行っても、事件は原則家裁送致されてしまいます。なぜでしょうか?

これは、少年法が

少年の健全な育成(1条)

という教育目標を掲げているからだ、といえます。

少年事件の場合、犯罪の嫌疑がある場合はもちろん、犯罪の嫌疑がない場合であっても、そう疑われるに至った経緯・背景には様々あると思います。そうした経緯・背景には、少年自身の性格、少年の取り巻く環境(家庭、学校、交友関係など)などに関する問題が影響しているのです。そこで、そうした問題を一つ一つ丁寧に調査し、少年の性格を矯正し、少年を取り巻く環境を整備するという教育的な働きかけを行っていくことで健全な大人へと育っていってもらう、ということを少年法は期待しているのであり、少年の時期であればまだ深く犯罪に根付いていない可能性が高いためそれが可能だと考えられます。

また、そうした調査や、少年への教育的な働きかけ、少年を取り巻く環境調整は、警察や検察の捜査機関が行うには限界があります。少年や少年を取り巻く環境の問題を調査し、それを少年の更生に繋げるのは捜査機関よりもむしろ家庭裁判所(家庭裁判所調査官、少年鑑別所の技官など)の方が適しているといえます。そこで、全件送致主義が取られている、というわけです。

~ 審判不開始、不処分もあり得る ~

ただ、全件送致主義が取られているからといって、少年の方が不利かといえばそうではありません。
何より少年手続きを通じて、少年の矯正、更生が期待できます。
また、少年の矯正、更生態度によっては、そもそも少年審判が開かれない審判不開始、保護処分を科されない不処分もあり得ます。その意味でははやめには被害者に被害弁償することなども全く無意味ではありません。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件専門の法律事務所です。刑事事件少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談初回接見サービスを受け付けております。

逮捕中の息子が少年鑑別所へ

2019-08-23

逮捕中の息子が少年鑑別所へ

神奈川県横浜市港南区に住むAさんは、横浜地方裁判所の裁判所書記官から、「B君のお母様でございますでしょうか?私は、横浜地方裁判所の書記官です。本日、B君に対し、少年鑑別所に収容する旨の観護措置決定が出ましたからお知らせいたします。」との電話を受けました。Aさんは、2、3日前、神奈川県江南警察署の警察官から「息子が江南警察署の留置場に収容された」と聞いていたことから、どうして少年鑑別所に収容されたのか分かりませんでした。また、Aさんは、少年鑑別所という施設がどんな施設かわからず、まずは少年事件に詳しい弁護士にB君との接見を依頼することにしました。
(フィクションです。)

~ 留置場とは ~

まず、留置場とは正式には「留置施設」といい、被疑者の逃亡、罪証隠滅行為を防止するため各都道府県警察署内に設けられている施設です。
つまり、留置場は警察の管轄下にある施設で、警察に逮捕されると原則として留置場に収容されます。

~ 少年鑑別所とは ~

少年鑑別所は、少年の身柄を確保しつつ心身の鑑別を行う施設で、法務省が管轄しています。留置場とは全く異なる施設です。少年鑑別所は、

刑事事件が家庭裁判所に送られ観護措置決定が出た少年が収容される

というイメージですが、逮捕後、その後の手続を経て(約2、3日後)収容されることもあります。そのための決定のことを勾留に代わる観護措置決定といいます。B君の場合、この勾留に代わる観護措置決定により少年鑑別所に収容されたのだと考えられます。

~ 少年鑑別所での収容期間は? ~

勾留に代わる観護措置決定の場合、収容期間は「10日間」で、期間の延長は認められていません。
他方、家裁送致後の観護措置決定により収容された場合は、はじめ「2週間」が法律上の原則ですが、ほとんどの場合期間が更新されますから「4週間」が通常と考えていた方がよいでしょう(なお、特別な事情がある場合は更に2回まで更新することができ、その場合の収容期間は最大で「8週間」となります)。

~ 面会は可能? ~

少年鑑別所に収容されている少年との面会は大きく、①弁護人、付添人(家裁送致後少年を権利・利益を保護する人のことで、通常、弁護士が行う面会と②付添人以外の者が行う一般面会に分けられます。

①の場合、全国に設けられている少年鑑別所により異なり、一定の約束事はありますが、平日、土日祝日を問わず、立会人なしに面会できます。また、1回の面会時間の制限はありません。なお、面会できる時間帯は午後8時までとされていることが多いようです。
②場合、平日の日中のみで、1回の面会時間は15分程度と制限されています。また、面会には少年鑑別所の職員が立ち会い、面会の様子が記録され、鑑別結果通知書等に引用されることもあります。

~ 金品、手紙の差し入れは可能? ~

差し入れはできます。しかし、物や少年が置かれている地位によっては差し入れできないものもありますから、事前に少年鑑別所に確認するとよいでしょう。また、少年自身が少年鑑別所で食料品等を購入することもできます。ですから、限度額が設けられていますが、現金を差し入れることも喜ばれるのではないでしょうか?
また、面会に行けない、面会では伝えられなかったなどという場合は、手紙(信書)を送ることも一つの方法です。ただし、原則として信書の検査が行われ、検査の結果、内容によっては差し止め、削除、抹消が行われる場合もありますから注意しましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件少年事件逮捕されるなどしてお困りの方は、まずはお気軽に、0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが24時間体制で、初回接見無料法律相談の予約を受け付けております。

高校生の強制わいせつ事件

2019-08-18

高校生の強制わいせつ事件

~ケース~
埼玉県鴻巣市に住むAくん(16歳)は、同級生の女子生徒Vを同じく同級生のA2宅に誘い、A2宅でテレビゲームをする等して遊んでいました。
Vがトイレに行っている間に、AくんはA2と共謀し、Vにわいせつな行為を行うことを企図しました。
Vが部屋に帰ってくると、AくんとA2はVをソファーに押し倒し、陰部を直接弄ぶなどし、わいせつな行為を行いました。
後日、Aくんの自宅に埼玉県鴻巣警察署の警察官が現れ、「先日A2宅で起きたことについて聞きたいことがある」と言われました。(フィクションです)

~強制わいせつ罪と強制性交等罪の未遂について解説~

AくんとA2が共謀して行った行為は、「強制わいせつ罪」(刑法第176条)、場合によっては、「強制性交等罪」(刑法第177条)の未遂として扱われる可能性があります。

A2宅で起きたケースの事件が刑事事件化した理由として、帰宅したVが親に相談した、あるいは自ら警察に相談した、ということが考えられます。
その場では何も起きなかったとしても、後日被害届や告訴状を提出されることにより、刑事事件化することは珍しくありません。

(強制わいせつ罪について)
強制わいせつ罪」は、13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をし、または、13歳未満の者にわいせつな行為をする犯罪です。
「暴行」とは、身体に対する不法な有形力の行使をいい、被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに足りる程度の暴行であれば足ります。
AくんとA2が行った、Vをソファーに押し倒す行為は、上記の「暴行」に該当すると考えられます。
また、「わいせつな行為」の具体例として、陰部に手を触れたり、手指で弄んだり、自己の陰部を押し当てることや、女性の乳房を弄ぶことをいいます。
ケースにおける「陰部を直接弄ぶ」行為は、「わいせつな行為」の典型例ということができるでしょう。
Aくんは、A2と共謀して、暴行を用い、Vにわいせつな行為を行ったということができるので、Aくんに強制わいせつ罪が成立する、と判断される可能性が極めて高いでしょう。

(強制性交等未遂罪について)
AくんとA2の犯行は、Vと強制的に性交しようとしたが、何らかの理由で性交する前に止めた、という見方もできなくはありません。
この場合は、強制性交等罪の未遂の成否が検討されることになります。
強制性交等罪は、13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交をし、又は、13歳未満の者に対し、性交、肛門性交又は口腔性交を行う犯罪です。
かつては、「強姦罪」と呼称されていた犯罪類型です。
もし、AくんとA2が、Vと強制的に性交することを目的としてVをソファーに倒したのであれば、強制性交等未遂罪が成立する余地が出てくる、ということになります。

~取調べにはどう対応すればよいか?~

取調べにおけるAくんとA2の供述は、Vと強制的に性交する目的の有無を左右する重要な証拠になります。
取調べで「Vを押し倒したとき、Vと性交することも少しは考えた」旨の調書がとられると、強制性交等未遂罪の疑いで捜査が進む可能性が高まります。
そうなると、強制わいせつ罪よりも強制性交等未遂罪の方が重大な犯罪と言えるため、より重い処分が下されるおそれがあります。
取調べに先立ち、Aくんの認識を前提に、どのように供述すればAくんにとって不利にならずに済むかについて、弁護士から助言を受けることをおすすめします。

~Aくんらはどうなるか?~

Aくんらは20歳未満の者なので、少年事件として手続が進むことが見込まれます。
最終的に、事件が家庭裁判所に送致され、審判を受けることになる可能性が高いでしょう。
審判では、Aくんに認められる犯罪傾向、家庭環境を考慮し、少年院送致保護観察処分などの処分が言い渡されます。
少年院送致を言い渡されると、施設に収容され、特別の場合以外は外出できませんので、Aくんやその家族にとっても、負担の重い処分となります。
Aくんの学業、進路に対しても、悪影響をもたらす可能性が懸念されます。
一方、在宅で改善更正を図る保護観察処分ですめば、Aくんの将来への悪影響が最小限で済みます。
そのためには、ケースの事件につき、Aくんに真摯な反省を促し、性に対する認識を改めさせると同時に、Aくんの交友関係や家庭環境などを見直す必要があります。
弁護士の助言を受けながら、環境調整を行っていきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が強制わいせつ事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

初回法律相談:無料

万引き事件と国選弁護人、国選付添人

2019-08-13

万引き事件と国選弁護人、国選付添人

大阪府大阪市大正区に住む高校生のA君(16歳)は、区内にある本屋で漫画本6点を万引きしたとして警備員に現行犯逮捕され、その後身柄を大阪府大正警察署の警察官に引き渡されました。その後、A君は釈放されることなく勾留され、大正警察署の留置施設に収容されています。
(フィクション)

~ はじめに ~

万引きは刑法235条の窃盗罪に当たる立派な犯罪です。

刑法235条
 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

少年(20歳未満の者)に対しては、その少年の性格の矯正、更生が優先されるため、少年に刑罰が科されることは原則としてありません。しかし、身柄拘束については成人と異なるところはありません。条件がそろえば逮捕されたり、勾留されることは十分考えられます。

当然ながら、逮捕勾留による身柄拘束は、肉体的にも精神的にも大きな負担となるものです。特に、精神的に未熟な少年にとってはなおさらでしょう。そこで、少年事件では、少しでもその負担を軽減すべく、弁護士が大きな役割を果たすと思われます。

~ 捜査段階(逮捕から勾留)までにおける国選弁護人 ~

国選弁護人とは、主に被疑者・被告人の申立てを受け、国が弁護士の中から選任する弁護人のことを指します。
捜査段階では、成人(20歳以上の者)と少年とで選任の要件が異なるわけではありません。つまり、成人事件の場合も、少年事件の場合も、

・被疑者に勾留状が発せられ
・被疑者が困窮その他の事由により弁護人を選任することができず
・被疑者の請求があるとき

には、国選弁護人が選任されます。

* 国選弁護人は逮捕段階では選任されない *

逮捕後の刑事手続としては「逮捕勾留」という手続で進んでいきますが、国選弁護人勾留(勾留状発付)後でなければ選任されません。つまり、勾留前の逮捕期間である2~3日国選弁護人に頼ることができません。したがって、逮捕段階での接見、早めの弁護活動などをお望みの場合は、当番弁護士制度を利用するか、私選の弁護人を選任する必要があります。

~ 家裁送致後の国選付添人 ~

家庭裁判所送致後、少年のために弁護活動をしてくれる人のことを「付添人」といいます。付添人も「私選」の場合と「国選」の場合の2種類があります。
「私選」の場合、少年及び保護者が、いつでも選任することができます。選任する場合は、「付添人選任届(少年と弁護士との連署によるもの)」という届出書を家庭裁判所へ提出する必要があります。

「国選」の場合、裁量的国選付添人と必要的国選付添人とがあります。
「裁量的国選付添人」は、

・死刑又は無期もしくは長期3年を超える懲役もしくは禁錮に当たる罪(以下、対象事件という)に該当する非行に及んだこと
・観護措置が取られていること
・少年に付添人がいないこと
・事案の内容、保護者の有無その他の事情を考慮し、審判の手続に弁護士である付添人が関与する必要があると認められること

の事由が認められる場合に選任されることができるとされている付添人です。
この点、窃盗罪は、法定刑が「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」ですから、「長期3年を超える懲役に当たる罪」に当たります。そこで、その他の要件を満たせば国選付添人が選任される可能性があります。
「必要的国選付添人」は、ある一定の重大事件について選任される国選付添人です。単純な万引き程度であれば選任される可能性はないでしょう。

「国選」の場合、家庭裁判所から法テラスに国選付添人の指名通知を依頼します。依頼を受けた法テラスは、契約弁護士に国選付添人の打診を行い、弁護士が承諾すればこの弁護士を候補者として裁判所へ通知します。少年や保護者の中には、「家裁送致後、国選弁護人だった弁護士に引き続き国選付添人として選任したい、頼みたい」と思われる方も多いと思われます。
そういった場合は、家裁送致前から国選弁護人に「付添人としてもお願いしたい」旨の意思を明確に伝え、その弁護士から裁判所や法テラスに「家裁送致後も引き続き付添人として担当する」旨伝えてもらうことで、家裁送致後も付添人として弁護活動を担当してくれる運用がなされているようです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、窃盗罪をはじめとする刑事事件少年事件専門の法律事務所です。刑事事件少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間、無料法律相談初回接見サービスを受け付けております。

詐欺事件で少年院回避

2019-08-08

詐欺事件で少年院回避

~ケース~
兵庫県神戸市西区在住の未成年者のA君は、いいアルバイトがあると高校の友人に誘われ、振り込め詐欺によって振り込まれたお金をATMから引き出す、いわゆる出し子行為を行った。
後日、振り込め詐欺事件が発覚し、銀行のATMに設置された防犯カメラの映像に振り込まれたお金を引き出すA君の姿が映っていたため、A君は兵庫県神戸西警察署の警察官に逮捕されてしまった。
A君逮捕の事実を知ったA君の両親は、少年事件に強い弁護士に法律相談をすることにした。
(上記の事例はフィクションです)

~出し子について~

組織的に行われることが多いオレオレ詐欺などの特殊詐欺の場合、被害者に電話をかけてお金を振り込むよう騙す役割の者(いわゆる「かけ子」)と、振り込まれたお金を引き出す役割の者(いわゆる「出し子」)が分かれていることが一般的です。

出し子については、上記事例のAさんのようにATM内の防犯カメラに姿が映るリスクがあることから、詐欺グループの中でも末端の構成員や出し子として雇われたアルバイトの学生などが行うケースが多いです。
そのため、A君のような未成年者がアルバイト感覚で出し子を行い、逮捕されてしまうことが多くあります。

出し子行為については、ATM内の金銭を権限無く引き出す行為として窃盗罪が成立したり、出し子行為行うために銀行内に立ち入ったとして建造物侵入罪が成立することから、直接騙す行為を行っていない者であっても重く処罰されてしまう恐れがあります。

~少年院送致について~

少年事件の場合、犯罪の疑いがあると判断された事件については全て家庭裁判所に送られることになります。
家庭裁判所は、少年や保護者などとの面談を行うことで、非行事実や審判条件について調査を行い、少年に対しどのような処分を行うのが適切かを判断することになります。
その後、家庭裁判所において審判が開かれ、少年に対する保護処分が必要であると判断された場合には、保護観察少年院送致といった処分が下されることになります。

保護観察については、少年を施設等に収容することなく、保護観察官や家庭内での指導によって少年の更生を図るというものです。
他方で、少年院送致については、少年を少年院に収容し矯正のための適切な教育や生活訓練を行うことで少年の更生を図るというものです。
少年院では、基本的に外出が禁止され、少年院収容は原則として20歳までとなっており、収容期間は概ね4カ月~2年の範囲で決められることになります。

このように、少年院送致処分がなされた場合には、少年は学校に通うことが出来なくなってしまい学校側から退学処分がなされてしまうことがあります。
そのため、家族としても少年院送致処分の回避を希望されることも多いです。

少年院送致を回避するための弁護活動としては、裁判官に対し少年院での処遇の必要がないことを説得することがメインとなります。
具体的には、少年の非行事実が軽微であることなどから少年の非行性が深くないことや、家族が積極的に少年の更生を行う環境を整備していることなどを主張することになります。
上記事例では、A君はあくまでアルバイト感覚で出し子を行っていたにとどまり、主体的に詐欺に深く関与していたわけではないこと、A君が現在も高校に通っているとことや、家庭内で少年を更生させることが出来る環境が整っていることを主張することになります。

少年の更生に必要な環境整備まで含めると、少年事件における弁護士の活動の幅はかなり広く、少年の今後の処遇を大きく左右する可能性があります
少年院送致の可否を目指される方は、少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談下さい。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士初回接見無料法律相談を行っています。
0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお電話ください。

傷害事件と不処分

2019-08-03

傷害事件と不処分

京都府京都市伏見区の高校に通う高校2年生のA君(17歳)は、同級生のV君と些細なことでけんかとなり、V君の顔面を1発殴り、V君に加療3週間のけがを負わせました。A君は、傷害罪京都府伏見警察署逮捕され、10日間、伏見警察署の留置施設に拘束された後、事件をが京都家庭裁判所に送致され、観護措置決定により身柄を少年鑑別所に移されました。A君の母親は、家裁送致前に選任されていた国選弁護人の示談交渉が上手くいかなかったことから、家裁送致後は私選の付添人(弁護人)を選任して示談を成立させ、審判不開始、あるいは不処分決定を獲得したいと考えています。
(フィクションです)

~ 家裁送致後の拘束場所について ~

少年(20歳に満たない者)事件では、警察、検察での捜査が終わると、事件は家庭裁判所へ送致されます。家裁送致前に警察署の留置施設に拘束されている場合は、通常、家裁送致後、観護措置決定により少年鑑別所に身柄を移されるでしょうし、家裁送致前から少年鑑別所に収容されている場合は、そのまま少年鑑別所に収容されることになるかと思います。

なお、「観護措置」とは

・家庭裁判所調査官の観護に付する措置

・少年鑑別所に送致する措置

の2種類がありますが、実務で「観護措置」という場合、通常、後者(少年鑑別所に送致する措置)を意味します。

~ 家裁送致後の付添人 ~

家裁送致後に選任された弁護士は「弁護人」ではなく「付添人」と呼ばれます。ちなみに、付添人は、家庭裁判所の許可を受ければ少年の保護者でもなることができます。

家裁送致前の少年は、成人と同様「被疑者」という立場で捜査機関による取調べ等の捜査を受けます。したがって、身柄を拘束されている場合は、少年の権利・利益を保護する必要性が特に高いことから、国選でも弁護人が選任されることがあります。しかしながら、国選選任の効果は、家庭裁判所送致後までには及びません。
したがって、家裁送致後も引き続きその弁護人に付添人としての弁護活動を頼みたい場合は家裁送致前からその旨伝えておく必要がありますし(弁護人からも意思確認されるかと思います)、Aさんのように、別の弁護士に依頼したいという場合もその旨を伝えるとともに、私選で選任する場合は、新たな弁護士を探して契約を結んでおくとともに、その弁護士から家庭裁判所宛に選任届を提出してもらう必要があります。
なお、家裁送致後も国選の付添人制度がありますが、要件が定められており、必ず選任されるわけではないという点に注意が必要です。

~ 不処分決定 ~

不処分(決定)とは、家庭裁判所における少年審判の結果、保護処分に付することができないとき、又は保護処分に付するまでの必要がないと認めるときに、保護観察少年院送致等の保護処分に付さない旨の決定のことをいいます。

保護処分に付することができないとき」とは、非行事実の存在が認められない場合などが当たります。つまり、少年審判のきっかけとなった非行事実の存在について、合理的疑いを超える心証が得られない場合をいいます。成人でいえば「無罪判決」に相当します。「保護処分に付するまでの必要がないとき」とは、審判までに少年が更生し、要保護性がなくなった場合や試験観察期間中の少年の生活態度からさらに保護処分を行う必要がなくなった場合などが当たります。調査や審判の過程で、調査官などによる教育的な働きかけによって、少年の問題点が改善され、要保護性がなくなった場合をいいます。

~ 不処分決定を受けるための弁護活動 ~

付添人(弁護人)としては、調査の過程で、少年に対して教育的な働きかけを行っていき、少年の事件に対する反省を深めさせたり、生活環境を整えていったりしていきます。そして、その結果を、家庭裁判所調査官に書面などで報告します。家庭裁判所調査官は、その報告書や自ら調査した結果などをもとに、家庭裁判所に対し、処分に関する意見を上申することができます。

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大麻所持で退学か

2019-07-29

大麻所持で退学か

福岡県筑紫野市にある中学校に通う少女Aさん(15歳)は、知人から勧められて大麻を吸引していたところ、福岡県筑紫野警察署の警察官から職務質問、所持品検査を受けてしまいました。Aさんは、ズボンの右ポケットの内に大麻入りのチャック付きポリ袋を入れていたため、警察官に大麻取締法違反(所持の罪)逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたAさんの両親は驚き、学校に通報されてしまうのか、娘は退学処分を受けてしまうのか不安になって、少年事件に強い弁護士にAさんとの接見を依頼しました。

~ 少年と大麻 ~

近年は、インターネット等で比較的容易に大麻を入手できるようになっています。今年3月には、京都府の中学3年生の女子生徒が大麻を所持していたということで大麻取締法違反(所持の罪)逮捕されましたが、その女子生徒も「インターネットで大麻を購入した」などと話していたようです。
大麻はインターネットでも購入できる時代です。また、未成年であってもスマートフォンやパソコンを利用でき、容易にインターネットの世界へ飛び込める時代となっています。このようなことから、未成年であっても、一歩間違えれば大麻をはじめとする薬物に汚染されてしまう危険を有しています。

そして、少年と大麻に関して、注目していただきたい数字が出ています。平成30年度版犯罪白書によると、少年の覚せい剤取締法違反における検挙人員は平成10年から減少傾向にありますが、大麻取締法違反については平成25年まで減少傾向にあったものの、以下のとおり、その後、急激に増加しています。あくまでも検挙された人員ですから、すでに大麻に手を出している少年を含めるとさらに数は増えるものと思われます。

平成25年  58人
平成26年  77人
平成27年 144人
平成28年 206人
平成29年 292人

~ 学校に通報されるの? ~

警察から逮捕された事実を学校に通報されるかどうかは、各都道府県の教育委員会・学校と警察がどういう協定、取り決めを結んでいるかにもよります。自治体によっては

逮捕事案
逮捕事案以外であっても、児童・生徒が非行・不良行為を繰り返している場合

などは通報するとの取り決めをしており、これに該当する場合は

通報される可能性がある

かもしれません(ただし、上記の場合であっても、捜査、調査その他の理由により連絡をすることができないと認めるときは通報しないとしている自治体もあります)。

~ 逮捕されたら退学処分となるの? ~

お子さまが逮捕されたとなれば、

退学処分となるのではないか

と不安にかられる親御様もおられるかと思います。そこで、学校教育法を確認すると、その11条では

 校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。

とされています。そして、「文部科学大臣の定めるところにより」というのは、学校教育法施行規則のことを指しており、その26条1項から3項では

1項 校長及び教員が児童等に懲戒を加えるに当つては、児童等の心身の発達に応ずる等教育上必要な配慮をしなければならない。
2項 懲戒のうち、退学、停学及び訓告の処分は、校長(大学にあつては、学長の委任を受けた学部長を含む。)が行う。
3項 前項の退学は、公立の小学校、中学校(学校教育法第七十一条の規定により高等学校における教育と一貫した教育を施すもの(以下「併設型中学校」という。)を除く。)、義務教育学校又は特別支援学校に在学する学齢児童又は学齢生徒を除き、次の各号のいずれかに該当する児童等に対して行うことができる。
 1 性行不良で改善の見込がないと認められる者
 2 学力劣等で成業の見込がないと認められる者
 3 正当の理由がなくて出席常でない者
 4 学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反した者

とされています。つまり、公立の小学校、中学校の児童、生徒については退学処分を受けることはありません。他方で、私立の場合は、学校の裁量に委ねられています。とはいっても、退学処分とするにはそれなりの合理的な理由が必要とされますから、それがない場合の退学処分は学校の裁量権を逸脱したとして違法とされる場合もあります(先日、6月13日、少年(16)が寮で火遊びをして退学処分になったのは違法として、少年が学校に約277万円の損害賠償を求めた訴訟で、さいたま地裁川越支部は「退学処分は裁量権を逸脱し違法」として、学校側に約194万円の支払いを命じる判決を言い渡しています)。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、大麻取締法違反をはじめとする刑事事件少年事件専門の法律事務所です。刑事事件少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談初回接見サービスを24時間受け付けております。

少年による強制性交事件

2019-07-24

少年による強制性交事件

~ケース~
東京都昭島市に住む高校2年生(17歳)のAくんは、友人3名を誘い、学校の同級生の女子Vとカラオケに出かけました。
カラオケボックスにおいてAくんは、友人3名と共謀し、Vを3名でソファーに押さえつけ、残る1名で順次Vと性交しました。
Vが助けを求めて叫んだので、店員が警察に通報し、Aくんらは強制性交等罪の疑いで警視庁昭島警察署現行犯逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~強制性交等罪について解説~

13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いて性交、肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」といいます)をする犯罪です。
13歳未満の者に対しては、暴行又は脅迫が要件となっておらず、性交等のみをもって強制性交等罪が成立します。
法定刑は5年以上(20年以下)の有期懲役となっており、かなりの重罪と言えます(刑法第177条)。

強制性交等罪における「暴行又は脅迫」とは、被害者の反抗を著しく困難にする程度のもので足り、反抗を抑圧する程度に達する必要はありません(最高裁昭和24年5月10日判決)。
その程度は、暴行・脅迫の態様のほか、時間的・場所的状況・被害者の年齢・精神状態等の諸般の事情を考慮して客観的に判断されます。

ケースの場合は、反抗する力が同年代の男性よりも弱いと考えられる女性のVを、男性3名でソファーに押さえつけ、また、逃走しにくいカラオケボックス内で上記暴行が行われています。
こうした事情を考慮すると、「反抗を著しく困難にする程度」の暴行がなされたと認められる可能性が高いと思われます。
上記暴行により、AくんらはVと性交したものと考えられるので、Aくんらに強制性交等罪が成立する可能性は極めて高いでしょう。

~Aくんは今後どうなるか?~

(少年保護事件として手続が進行する場合)
Aくんは17歳の少年ですから、少年法が適用され、原則として少年に必要な保護処分少年院送致保護観察処分児童自立支援施設又は児童養護施設送致)を行う少年保護事件として手続が進行することになります。
成人の事件においては、警察、検察の捜査を遂げた後、事件について起訴されれば、裁判で有罪あるいは無罪の判断がなされます。
少年保護事件においても、捜査段階で逮捕勾留勾留延長されうる点は成人と同じであり(少年法第40条)、最長23日間の身体拘束を受ける可能性があります。
成人の事件においては、犯罪を立証できる場合であっても検察官の裁量で被疑者を起訴しない「起訴猶予処分」が行われる可能性がありますが、少年事件においては、犯罪の嫌疑がある場合、犯罪の嫌疑がなくとも、家庭裁判所の審判に付すべき事由がある場合は、すべての事件を家庭裁判所に送致しなければなりません(全件送致主義)。
少年の教育による改善更正が優先されているといえます。

(成年と同じく刑事事件として扱われるケース)
少年法第20条1項は「家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない」としています。
これを「検察官送致」といいます。
強制性交等罪が5年以上の有期懲役が予定されている犯罪であり、凶悪犯罪として考えられていることから、検察官送致が行われる可能性が否定できません。
検察官送致がなされると、原則として起訴され、成人と同じく刑事裁判を受けることになります。
有罪判決で実刑が下されれば刑に服さなければならず、執行猶予でも前科となってしまいます。
保護処分と比較すると、Aくんにとっても負担の重い手続きになるでしょう。

~弁護士と相談し、なるべく負担の少ない処分を目指す~

検察官送致は可能な限り回避したい処分です。
弁護士は、家庭裁判所に対し、刑事処分が相当ではなく、原則通りの保護処分によりAくんが改善更正することができることを主張し、検察官送致をしないよう働きかけます。
そのためには、性に関する認知の歪みを直してAくんの反省を心から促した上で、共犯者の友人3名との交友関係を見直し、家庭における指導監督を充実させるなど、Aくんの周囲の環境を調整する必要があると考えられます。
弁護士と相談しながら、環境調整を行っていきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
未成年のご家族が強制性交等事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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高校生の住居侵入と窃盗

2019-07-19

高校生の住居侵入と窃盗

~ケース~
神奈川県横浜市鶴見区に住む高校3年生のAくん(17歳)は、通学途中で出会った女性Vが気になったので、Vの後をつけ、家を特定しました。
Vの自宅にある私物に興味をもったので、Vのアパートに侵入し、Vの衣服を盗んでしまいました。
Vが犯人不明のまま神奈川県鶴見警察署被害届を出したところ、警察による捜査が開始され、アパートの監視カメラにAくんがV宅に侵入していくのが映っていました。
ある朝、Aくんの自宅に警察官が数名現れ、Aくんは逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~住居侵入罪、窃盗罪について解説~

Aくんには住居侵入罪窃盗罪が成立する可能性が高いです。

住居侵入罪は、正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入する犯罪です(刑法第130条前段)。
法定刑は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金です。
「人の住居」とは、人の起臥寝食、すなわち日常の生活に使用される場所をいいます。
Vが生活に使用するアパートの一室は明らかに「人の住居」に該当します。
「侵入」とは、「管理権者の意思に反する立ち入り」を意味します。
通常、無断かつ窃盗目的で赤の他人が他人の住居に立ち入ることは、管理権者(今回の場合はV)の意思に反する立ち入りと評価することができると考えられます。
そうすると、Aくんの行為が「侵入」に該当する可能性は極めて高く、住居侵入罪の成立が見込まれます。

また、窃盗罪は、他人の財物を窃取する犯罪であり(刑法第235条)、法定刑は10年以下の懲役又は50万円以下の罰金です。
Vに無断で衣服を持ち出したAくんの行為は、窃盗罪を構成する可能性が高いと思われます。

~今後Aくんはどうなるか?~

(捜査段階)
Aくんは少年なので、刑法などが規定する刑罰を科されるのではなく、少年法の適用により保護処分というものが行われます。
少年の資質や家庭環境などを考慮して適切な措置を行うことで、少年の更生と健全な育成を目指す趣旨です。
もっとも、捜査段階においては刑事訴訟法が適用されるので、成人と同じように逮捕勾留される可能性があります。
そのため、警察段階で最長48時間、検察段階で最長24時間、勾留・勾留延長されると最長20日間(最長で逮捕から計23日間)身体拘束を受けることになります。
Aくんは高校生ですから、長期間学校を休むと、留年したり、あるいは停学・退学といった処分を受ける可能性が見込まれます。
そのため、早期の身柄解放を実現する必要があります。
弁護士に身柄解放活動を依頼し、なるべく勾留されないよう、あるいは、勾留された場合であっても、釈放されるように動くことが重要です。
勾留は、罪証(証拠)隠滅や逃亡のおそれなどの要件を満たしている場合でなければ行うことができません。
そこで、弁護士は、Aくんにそのようなおそれがないことを具体的に主張し、検察官、裁判官に対して勾留をしないよう働きかけます。

(保護処分)
家庭裁判所における審判(通常の刑事事件で言う裁判に相当するもの)が開始され、保護処分が相当であると判断された場合には、①少年院送致、②保護観察処分、③児童自立支援施設又は児童養護施設送致のいずれかの処分が言い渡されます。
これらのうち、③の児童自立支援施設等送致は、主に虐待を受けているなど家庭環境に大きな問題がある少年に対して行われることが多いものです。
そのため、①の少年院送致、②の保護観察処分が言い渡される可能性が高いと考えられます。
少年院では、身体拘束を伴い、特別な場合を除き外出することはできません。
保護観察処分は、少年を社会内で生活させながら、保護司の指導監督を受けさせ、改善更正を図る処分です。
いずれも少年の健全な育成を目指すことには変わりありませんが、やはり少年院の方が負担が大きく、Aくんの学業、進路に対する影響も大きいと言えます。
ですので、Aくんの学業、進路に与える影響を少なくするには、保護観察処分を目指して行動することになるでしょう。
もっとも、住居侵入の上窃盗となると、非行化が相当進んでいると評価されやすいことは否定できません。
そこで,Aくんが社会内でも改善更正できることを家庭裁判所に納得させるには、説得的な主張を行うことが必要になります。
具体的には、少年が非行を犯したことにつき深く反省していること、家庭での教育・指導がきちんとできること、仕事や学校など将来像があること、などが考えられます。
Aくん深く反省を促し、加えて、自宅での指導プラン、学校には今まで通り通学できるか、そうした主張をきちんと行えるよう、弁護士と綿密に相談し、周囲の環境を調整していきましょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
少年であるご家族が住居侵入、窃盗事件を起こし逮捕され、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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高校生の振り込め詐欺

2019-07-04

高校生の振り込め詐欺

~ケース~
兵庫県神戸市須磨区の私立高校に通うAさん(16歳)は、同じ高校の先輩に誘われ、振込め詐欺によって振り込まれたお金を銀行のATMから引き出し、引き出したお金の一部を報酬として受け取るという行為を複数回に渡って行っていた。
その後、振り込め詐欺を行っていた主犯格の者が逮捕されたことによって、Aさんが振り込め詐欺に関与していたことが発覚し、Aさんも詐欺罪の容疑で逮捕されてしまった。
Aさんが逮捕されたことを聞いたAさんの両親は、少年事件に強い弁護士を探し、相談することにした。
(上記の事例はフィクションです)

~振り込め詐欺の出し子について~

振り込め詐欺については、組織的になされることが多く、虚偽の内容の電話などをかけることによって被害者を騙し、金銭を振り込ませる役割の者(いわゆる「かけ子」)と、振り込まれた金銭をATMから引き出すという役割の者(いわゆる「出し子」)が分かれていることがあります。

出し子」については、直接被害者と接する「受け子」と同様に外に出て行動するのが通常です。そのため、銀行の防犯カメラに顔が映る可能性があり逮捕されるリスクが大きいことから、学生等にアルバイトとして行わせることが多いです。
かけ子」については、詐欺事件の主犯格として重く処罰される一方で、出し子の場合は詐欺事件の全容を把握せずに参加している場合も多く、主犯格と比べると量刑が軽くなる傾向にあるといえます。

~出し子に成立する犯罪について~

先述のとおり、「出し子」であるAさんが行ったのは、キャッシュカードを用いてATMからお金を引き出したというものです。
そうすると、Aさんは虚偽の電話をかけるなどして被害者を騙す行為を行ったわけでも、被害者から直接財物(主にお金)の交付を受けたわけでもないため、Aさんの行為単体で詐欺罪が成立するわけではありません。
ですが、共犯事件においては、共犯者各人の役割は一部でも全員で一つの犯罪を行ったものとみなされます。
そのため、振り込め詐欺に加わった以上、Aさんにも詐欺罪が成立する可能性があるのです。

また、Aさんがお金を引き出しているのは他人の銀行口座であることから、本来はAさんにお金を引き出す権利がないといえます。、そうすると、銀行が管理する金銭を許可なく持ち去る行為といえることから、窃盗罪が成立する可能性があります。
振り込め詐欺出し子詐欺罪窃盗罪のどちらで責任を問われるかは、役割の内容や行為時の内心などの具体的な事情により異なってきます。

以上に加えて、Aさんは振り込め詐欺によって振り込まれた金銭を引き出すために銀行に立ち入っています。仮に銀行側がAさんの立入りの意図を知っていれば、当然ながらAさんの入店を拒否していたと考えられます。そうすると、Aさんは正当な理由なく銀行に侵入したとして、建造物侵入罪が成立する可能性もあります。

成年による刑事事件の場合、振り込め詐欺における「出し子」の量刑については、初犯であるかどうか、被害額の大きさ、示談が成立しているか否か、詐欺グループとの関与の程度などを総合的に判断して決定されます。
振り込め詐欺によって振り込まれた金銭であることを知らなかった場合には無罪の可能性もあります。有罪判決となるとしても詐欺の実態を詳しく知らなった場合や、初犯であって被害額がそれほど大きくないといえる場合には、執行猶予付き判決となる可能性もあります。

一方で、罪を犯したのが少年(20歳未満の者)であれば、成年者が裁判を経て処罰されるのと異なり、少年審判にかけられ、少年の更生のためにどのような処分が適切かが判断されることになります。
そうした少年事件の場合、少年院への送致が更生のために適切であると判断された場合には、少年院送致という処分がなされることになります。

少年の家族の中には、子供を少年院に入れたくないと希望する方も多くいらっしゃいます。そのために弁護士としては、少年院に入れるよりも、家庭での生活が少年の更生のために必要であることを裁判官に説得することになります。

少年事件でお困りの方は、少年事件に強い弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談下さい。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件に強い弁護士が初回接見無料法律相談を行っています。
0120-631-881にて24時間受け付けておりますので、お気軽にお電話ください。

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