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出会い系サイト規制法違反と少年事件の流れ
出会い系サイト規制法違反と少年事件の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
18歳のAさんは女子中学生と性交渉をしたいと思っており、出会い系サイトを利用していました。
Aさんは出会い系サイトの掲示板に「女子中学生で、僕とHしてくれる人いませんか。18歳の大学生です。」と書き込みをしました。
数日後、Aさんの自宅に警視庁渋谷警察署から「出会い系サイトで書き込みをしていますよね。出会い系サイト規制法違反でお話を聞かせてもらえませんか。」と連絡が入りました。
Aさんは自分は少年院に行くことになるのではと不安になったため、両親と相談して少年事件に強い弁護士に相談に行くことになりました。
(フィクションです)
~出会い系サイト規制法とはどのような法律ですか~
出会い系サイト規制法とはどのような法律なのか、まず条文について見ていきましょう。
出会い系サイト規制法第6条
何人も、インターネット異性紹介事業を利用して、次に掲げる行為(以下「禁止誘引行為」といいます。)をしてはならない。
1児童を性交等(性交もしくは性交類似行為をし、または自己の性的好奇心を満たす目的で、他人の性器等(性器、肛門または乳首をいう。以下同じ。)を触り、もしくは他人に自己の性器等を触らせることをいう。以下同じ。)の相手方となるように誘引すること。
2人(児童を除く。第5号にて同じ。)を児童との性交等の相手方となるように誘引すること。
3対償を供与することを示して、児童を異性交際(性交等を除く。次号において同じ。)の相手方となるように誘引すること。
4対象を受けることを示して、人を児童との異性交際の相手方となるように誘引すること。
5前各号に掲げるもののほか、児童を異性交際の相手方となるように誘引し、または人を児童との異性交際の相手方となるように誘引すること。
出会い系サイト規制法第33条
第6条(第5号除く)の規定に違反した者は、100万円以下の罰金に処する。
続いて、第6条の第1号から第5号まで内容を見ていきましょう。
第1号児童に対し、性交等の相手方となるように誘引する行為が対象です。
「児童」とは18歳に満たない者をいい、主体には児童も含まれます。
「誘引」とは、相手方に自己の意思を間接的に表示して誘い掛け、相手方となる者の申し込みを待つ行為をいいます。
「性交等」とは、①性交・性交類似行為(手淫・口淫など)②児童の性器等(肛門や乳首を含む)を触ることや、児童に自己の性器等を触らせる、ことです。
第2号児童を除くものに対し、児童との性交等の相手方となるように誘引する行為が対象です。
第3号対償を与えることを示して、児童に対し、性交等を除く異性交際の相手方となるように誘引する行為が対象です。
(対償を与えることを示してとは、現金だけではなく、衣類やバッグ、時計などの物品のほか、財産上の利益を与えることを示すことをいいます。)
第4号対象の供与を受けることを示して、人を児童との異性交際の相手方となるように誘引する行為が対象です。
第5号「性交等」や「対償の供与」が含まれていない児童にかかわる異性交際を誘引する書き込みが対象です。
~Aさんのこれからについて~
Aさんはこれから捜査機関(警察や検察)で取調べ等を受けていくことになるでしょう。
そして捜査機関による捜査が終結すると、Aさんの事件は家庭裁判所に送致されます。
その際、家庭裁判所がAさんには身体拘束が必要と判断すれば、Aさんは少年鑑別所に送られることになります。
少年鑑別所は刑務所等とは異なり、改善更生のための適切な処遇方針が検討されることから、少年の更生を考えるうえではプラスに働く部分もあります。
その後は少年審判が開かれ、ここでAさんが少年院に行くことになる判断がされるかもしれません。
少年事件に強い弁護士は、Aさんが少年鑑別所や少年院に行くことがないように様々な活動をすることができます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件や少年事件を専門に扱う法律事務所です。
出会い系サイト規制法違反事件を取り扱った実績のある刑事弁護士も多数在籍しております。
出会い系サイト規制法違反事件でご自身やご家族が話を聞かれることになった、逮捕された方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
盗品等無償譲受け罪と弁護活動
盗品等無償譲受け罪と弁護活動について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
愛知県豊橋市に住むAさん(17歳)は友達のBさん(17歳)に、自分の原動機付自転車が壊れて困っていると話をしました。
するとBさんに「実は少し前に泥棒した原付がある。お前との仲だからタダであげるよ。」と言われました。
Aさんは「実際に泥棒したのはBだし、僕はそれをタダでもらうだけだから悪くないよね。」と思い、Bさんから盗品の原動機付き自転車をタダでもらいました。
数日後、愛知県豊橋警察署の警察官がAさんの自宅にやってきて「君がBさんが泥棒した原付をタダでもらったというのを聞いたよ。それは犯罪になるから、これから何回か警察署で話を聞かせてくれないかな。」とAさんに言いました。
Aさんは盗品等無償譲受け罪で愛知県豊橋警察署で任意で話を聞かれることになりました。
(フィクションです)
盗品であることを知っていながら、有償無償問わず譲り受けたり、運搬や保管、処分のあっせんをすることを総称して「盗品等の罪」といいます。
それぞれを見ていきましょう。
盗品等無償譲受け罪
盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物を無償で譲り受けた者は、3年以下の懲役に処する。(刑法第256条1項)
盗品等の所有権を無償で取得することで、贈与などのことです。
盗品等有償譲受け罪・盗品等運搬罪
盗品等保管罪・盗品等処分あっせん罪
前項(刑法第256条第1項)に規定する物を運搬し、保管し、若しくは有償で譲り受け、またはその有償をあっせんをした者は、10年以下の懲役及び50万円以下の罰金に処する。(刑法第256条第2項)
①盗品等有償譲受け罪
盗品等の所有権を有償で取得することで、有償契約締結だけでなく、現実の引き渡しを必要としますが代金の支払いは不要とされています。
例として、売買・交換、譲渡担保・代物弁済・利息付消費貸借などのことです。
②盗品等運搬罪
委託を受けて本犯のために盗品等の所在を移転することで、有償無償を問わず、現実に移転行為をすることを要します。
③盗品等保管罪
委託を受けて本犯のために盗品等を保管することで、有償無償を問わず、質物等担保物として受け取る場合や、賃貸借する場合も含みます。
また、盗品等であることを知らない場合にはこの罪は成立しませんが、知ってもなお保管し続けた場合は罪が成立します。
④盗品等処分あっせん罪
盗品等の有償的な法律上の処分行為(売買・交換・質入れ等)を媒介・周旋することで、また売買等の周旋をした以上、売買等の契約が不成立でも処分のあっせんとなります。
故意はどの程度必要ですか
同罪の一般的故意と行為の客体(物)が盗品等であることの認識は必要ですが、この認識は必ずしも確定的なものである必要はなく、未必的なものであれば足ります。
またこの認識は保管罪を除き実行行為の際に存在することが必要です。
盗品等であることの認識の立証は、本罪と窃盗犯人との関係、盗品等の種類、数量、日時、場所、言動などの具体的状況を総合し合理的に行います。
少年に対する弁護活動
Aさんは17歳で、20歳未満であるため、少年法等の適応を受けることになります。
成人の刑事事件では一般的に裁判手続によって罪の有無及び刑罰の内容が決められますが、少年事件では一般的に家庭裁判所の審判手続きによって少年の保護処分が決められることになります。
今回Aさんは逮捕されませんでしたが、もし少年事件で逮捕されてしまった場合、警察署の留置場から出るためには勾留の決定を阻止しまたは勾留の執行を停止する必要があります。
また少年事件はすべて家庭裁判所に送られ、そこで少年鑑別所に入れられるかが決まるのですが、もし少年鑑別所に入れられた場合は、そこからから出るために観護措置の決定を阻止し又はその決定を取り消す必要があります。
そして家庭裁判所に対し、審判手続きをしないように働きかける、もしくは審判手続きをすることになっても不処分になったり、少年院に入ることにならないよう働きかけていきます。
これらの活動はほぼ弁護士にしかできません。
一刻も早く、少年事件に強い弁護士への相談をおすすめいたします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、年間多数の盗品等無償譲受け罪の弁護を行ってきた刑事事件専門の法律事務所です。
ご自身やご家族が盗品等無償譲受け罪に問われてお困りの方、少年事件の弁護をご希望の方は弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
少年院送致について
少年院送致について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
高校生のAさん(16歳)は、VさんにSNSで悪口を言われたことに腹を立て、Vさんの顔や腹部を殴る蹴るなどの暴行を加え、Vさんに全治2か月の大怪我を負わせてしまいました。そして、Aさんは、学校の通報により駆け付けた警察官に傷害罪で逮捕されてしまいました。逮捕を通知を受けたAさんの両親は、今後、息子が少年院へ送致されるのではないかと不安になり、弁護士に刑事弁護を依頼しました。
(フィクションです。)
~傷害罪~
傷害罪は刑法204条に規定されています。
刑法204条
人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
傷害罪は、当初、怪我させるつもりはあった場合はもちろん、なかった場合でも、行為と結果(傷害)との間に因果関係が認められる場合には成立します。また、傷害の結果、人を死亡させた場合は傷害致死罪に問われることになります。
故意の犯罪行為により被害者を死亡させ、行為時に16歳以上だった少年にかかる事件については、原則、家庭裁判所にある事件を検察官の元へ送致しなければなりません。これを原則逆送事件と呼んでおり、傷害致死罪もこの事件に含まれます。検察官の元へ送致されると、成人と同様の刑事手続で進められていきます。裁判となれば、一般人が裁判に参加する裁判員裁判を受けなければなりません。
~少年院送致~
少年院送致は、家庭裁判所の少年審判において下される保護処分(少年院送致の他に、保護観察、児童自立支援施設または児童養護施設送致があります)の一つです。少年審判では、少年をどの種類の少年院に送致するかまで決定されます(少年審判規則37条1項)。少年院の種類は以下のとおりです(少年院法4条1項1号から3号)。
第1種(1号)
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がないおおむね十二歳以上二十三歳未満のもの(次号に定める者を除く。)
第2種(2号)
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね十六歳以上二十三歳未満のもの
第3種(3号)
保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね十二歳以上二十六歳未満のもの
少年院の収容期間は、大きく短期処遇と長期処遇にわけられます。
短期処遇は、さらに特修短期処遇と一般短期処遇にわけられ、「特修短期処遇」の場合、「4か月」以内、「一般短期処遇」の場合、「6か月」以内です。長期処遇については10か月から2年です。
さきほど、少年審判では家庭裁判所から処遇に関する勧告が出されることがあります(少年審判規則38条2項)。ここで、家庭裁判所が特集短期処遇、一般短期処遇との勧告を出せば、少年院はこれに従うべきとされています(従う勧告)。また、長期処遇については、「比較的短期」の処遇勧告が出た場合、収容期間は10か月以内とされ、少年院はその勧告を尊重しなければならないとされています(尊重勧告)。しかし、長期処遇について何ら勧告がない場合は、少年院が1年から2年の範囲内で決めています
少年院に入らない方法として、①審判不開始を得る、②不処分を得る、③保護観察など少年院送致以外の保護処分を得ることが考えられます。
これらを得るためには、非行事実がないことや非行事実が軽微であること、または、再び非行に走る危険性はないことなどを主張する必要があります。
これらの主張を説得的にするためには、弁護士とともにあらかじめ少年が更生できるような環境を整えるなど、周到な準備が大切になります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談,初回接見サービスを24時間受け付けております。
通貨偽造罪で逮捕
偽造通貨罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
少年A君は、千円札2枚の両面をカラーコピーした上で、ハサミなどで本物と同じ形に整え、これをコンビニの店員であるVさんに手渡しました。千円札を受け取ったVさんは違和感を感じ警察へ通報。警察が捜査したところ、千円札2枚は偽札だったことが判明しました。警察は、通貨偽造・同行使罪、詐欺罪で捜査を進めていますが、現在のところ犯人の特定には至っていません。
(フィクションです)
~通貨偽造罪~
通貨偽造罪は刑法148条1項に規定されています。
刑法148条1項
行使の目的で、通用する貨幣、紙幣又は銀行券を偽造し、又は変造した者は、無期又は3年以上の懲役に処する。
見てお分かりいただけるように、通貨偽造罪は
無期懲役
が規定されているほか、有期懲役刑も
最低が3年
ですから、他の罪を比べてかなり重たい罪であることが分かります。ちなみに、強盗罪は5年以上の有期懲役ですが、その強盗罪ですら無期懲役の規定はありません。
「行使」とは、偽造・変造した通貨を真正な通貨として流通に置くことをいいます。つまり、通貨偽造罪が成立するには、偽造した通貨を真正な通貨として流通に置く目的で通貨を偽造することが必要ということになります。したがって、学校の教材で使用するために千円札をカラーコピーしたなどとう場合は、通貨偽造罪は成立しません。
「通用する」とは、強制通用力を有していることを意味します(※通用する通貨か否かは日本銀行のホームページなどで確認することができます)。貨幣、紙幣、銀行券を総称して「通貨」といいます。「貨幣」とは政府が発行する硬貨、「紙幣」とは政府が発行する貨幣代用証券(現在は流通してない)、「銀行券」とは日本銀行が発行する貨幣代用証券、すなわち日本銀行券を意味します。千円札はもちろん銀行券です。
「偽造」とは、通貨発行権者(政府・日本銀行)でない者が、真正の通貨の外観を有するものを作ること、「変造」とは、通貨発行権者でない者が、真正な通貨に加工して、別個の、真正な通貨と紛らわしい外観を有する物を作ることをいいます。
「偽造」と「変造」の違いが分かりにくいですが、「変造」は常に真正な(本物の)通貨が材料となる点を抑えてください。簡単に言えば、本物の千円札に0を一個加えて1万円札にする行為は「偽造」ではなく「変造」となります。事例では、本物の通貨に手を加えたわけではありませんから「偽造」とされているのです。
~偽造通貨行使罪は別に規定~
偽造・変造した通貨を行使すれば通貨偽造行使罪に当たります。通貨偽造行使罪は刑法148条2項に規定されています。
刑法148条2項
偽造又は変造の貨幣、紙幣又は銀行券を行使し、又は行使のも目的で人に交付し、若しくは輸入した者も、前項(刑法148条1項)と同様とする。
ちなみに、通貨を偽造し、これを行使した場合は、通貨偽造罪と偽造通貨行使罪の両方が成立しますが、両者は手段と結果の関係にあり一罪として処理されます(牽連犯罪、刑法54条1項後段)
偽造した通貨を行使し、行使した相手から物品(財物)を受け取った場合は詐欺罪に当たる可能性もあります。詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」で、通貨偽造・同行罪とは別個に処罰されます(併合罪)。
~少年事件の行方~
仮に、犯人が少年だと判明した場合でも、逮捕される可能性は十分あります。逮捕され身柄拘束が継続すれば、最短でも10日間、最長で20日間の身柄拘束を受けます。その後、事件は家庭裁判所に送致されます。家庭裁判所調査官などによる調査が行われ、少年審判が開かれます。少年審判では、
・「少年院送致」「保護観察」「児童自立支援施設又は児童養護施設への送致」の保護処分
・保護処分が必要でない場合の「不処分」
・刑事処分が相当である場合の「検察官送致」
・一定期間、更生の具合を見極める「試験観察」
のいずれかの決定が出されます。ネットなどでは通貨偽造罪は重たい罪だから「少年院送致は確実」などと言われていますが、必ずしも法定されている刑の重さと保護処分の内容とは結び付くものではありません。確かに、通貨偽造罪は社会的影響力が大きい犯罪ですが、今回は、偶然にも学校の売店段階で流通がとどまっていること、犯行態様が稚拙であること、被害額も少ないことなどを考慮すれば「保護観察」の可能性も十分あるのではないかと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、通貨偽造罪をはじめとする刑事事件、少年事件を専門とする法律事務所です。刑事事件、少年事件でお困りの方は、まずは、お気軽に0120-631-881までお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。
職務質問から公妨で逮捕
職務質問から公妨で逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
自転車を運転してたAさんは警察官であるVさんから声を掛けられて身分証の提示を求められたのにこれを無視して自転車を急発進させたため、警察官をその場に転倒させて怪我を負わせてしまました。その後、Aさんは公務執行妨害罪、傷害罪で逮捕されてしまいました。
(事実を基にしたフィクションです。)
~職務質問~
職務質問は、警察官が異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問する行為をいいます。
これは、警職法(警察官職務執行法)第2条1項の規定により行いうるものです。
職務質問を行うに際しては、刑事訴訟に関する規定によらずに身体を拘束したり、連行したり、答弁を強要したりして強制力を行使してはならないとされており、原則として任意で行われなければなりません。
他方で、全く強制力を用いてはならないとすると、犯罪予防という目的を十分に達成することができなくなってしまうことから、「必要かつ合理的な程度」の実力行使であれば職務質問の実効性確保のために許されると考えられています。
実際の裁判例で職務質問の適法性が争われた事案として、飲酒運転の疑いがあるにもかかわらず酒気検査を頑なに拒んで車を発進させようとした運転者に対して、警察官が車の窓から手を入れてエンジンキーを回してエンジンを切ったという事案において、適法な職務質問であると判断されました。
上の事案では、警察官であるVさんは、Aさんに対して車のドアを開けて身分証の提示を要求していたものであると考えられます。
この裁判例の判断に従うとすれば、このようなVさんの行為も「必要かつ合理的な程度」であるとして、適法な職務質問であると認められる可能性が高いと考えられます。
~公務執行妨害罪~
この職務質問の適法性は、公務執行妨害罪の成否との関係で問題になります。
なぜなら、公務執行妨害罪は公務員が職務を執行するにあたり、これに対して暴行又は脅迫を加えた場合に成立する犯罪ですが、ここでの「職務」については解釈上適法なものであることが要求されているからです。
上の事案では、Aさんは、適法な職務質問を行っている警察官という公務員であるVさんに対し、車のドアを閉めて急発進させてVさんを引きずるという「暴行」を加えています。
このような「暴行」を受けた場合には、警察官の職務執行が妨害されうると十分に考えられるため「妨害した」といえると考えられます。
(公務執行妨害罪における「妨害」に当たるためには職務を妨害するような暴行・脅迫がなされていれば足り、現実に公務の執行が妨害されたことまでは必要ではありません。)
そうすると、上の事案のAさんには公務執行妨害罪が成立する可能性が高いといえます。
公務執行妨害罪が成立した場合、3年以下の懲役若しくは禁錮、又は50万円以下の罰金に処せられることがあります。
また、公務員に暴行を加えた結果けがをさせたという場合には、公務執行妨害罪とは別に傷害罪が成立することになります。
傷害罪が成立すると、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられることがあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。どうぞ、お気軽にご相談ください。
職務質問から公妨で逮捕
職務質問から公妨で逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
自転車を運転してたAさんは警察官であるVさんから声を掛けられて身分証の提示を求められたのにこれを無視して自転車を急発進させたため、警察官をその場に転倒させて怪我を負わせてしまました。その後、Aさんは公務執行妨害罪、傷害罪で逮捕されてしまいました。
(事実を基にしたフィクションです。)
~職務質問~
職務質問は、警察官が異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、若しくは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由のある者又は既に行われた犯罪について、若しくは犯罪が行われようとしていることについて知っていると認められる者を停止させて質問する行為をいいます。
これは、警職法(警察官職務執行法)第2条1項の規定により行いうるものです。
職務質問を行うに際しては、刑事訴訟に関する規定によらずに身体を拘束したり、連行したり、答弁を強要したりして強制力を行使してはならないとされており、原則として任意で行われなければなりません。
他方で、全く強制力を用いてはならないとすると、犯罪予防という目的を十分に達成することができなくなってしまうことから、「必要かつ合理的な程度」の実力行使であれば職務質問の実効性確保のために許されると考えられています。
実際の裁判例で職務質問の適法性が争われた事案として、飲酒運転の疑いがあるにもかかわらず酒気検査を頑なに拒んで車を発進させようとした運転者に対して、警察官が車の窓から手を入れてエンジンキーを回してエンジンを切ったという事案において、適法な職務質問であると判断されました。
~公務執行妨害罪~
この職務質問の適法性は、公務執行妨害罪の成否との関係で問題になります。
なぜなら、公務執行妨害罪は公務員が職務を執行するにあたり、これに対して暴行又は脅迫を加えた場合に成立する犯罪ですが、ここでの「職務」については解釈上適法なものであることが要求されているからです。
上の事案では、Aさんは、適法な職務質問を行っている警察官という公務員であるVさんに対して自転車を急発進させてVさんをその場に転倒させるという「暴行」を加えています。
このような「暴行」を受けた場合には、警察官の職務執行が妨害されうると十分に考えられるため「妨害した」といえると考えられます。
(公務執行妨害罪における「妨害」に当たるためには職務を妨害するような暴行・脅迫がなされていれば足り、現実に公務の執行が妨害されたことまでは必要ではありません。)
そうすると、上の事案のAさんには公務執行妨害罪が成立する可能性が高いといえます。
公務執行妨害罪が成立した場合、3年以下の懲役若しくは禁錮、又は50万円以下の罰金に処せられることがあります。
また、公務員に暴行を加えた結果けがをさせたという場合には、公務執行妨害罪とは別に傷害罪が成立することになります。
傷害罪が成立すると、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられることがあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。どうぞ、お気軽にご相談ください。
少年と放火
少年と放火について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所仙台支部が解説します。
少年Aさんは、父親と喧嘩をしたことに対する腹いせに自宅に火をつけ全焼させてしまいました。Aさんは現住建造物等放火罪の容疑で逮捕されてしまいました。
(事実を基にしたフィクションです。)
~現住建造物等放火罪とは?~
放火により、現に人がいる建造物等を焼損した場合には、現住建造物等放火罪が成立します。
放火罪は、何に火をつけたかによって成立する罪が異なり、建造物か建造物以外の物なのか、建造物であれば人が現に存在する建造物なのかそうでないのか、自己が所有する物なのか他人が所有する物なのかという点で違いが生じます。
このうち、人が住居に使用したり、あるいは現に人がいたりする建造物に放火した場合には現住建造物等放火罪の適用が考えられるということになります。
「人が住居に使用したり、あるいは現に人がいたりする建造物」における「人」とは、放火をする犯人以外の人をいいます。
つまり、放火をする人が1人で住んでいる建物に放火したとしても現住建造物等放火罪は成立せず、自己所有非現住建造物等放火罪(刑法第109条第2項)の成立が考えられるにとどまります。
上の事案のAさんは、一人で住んでいる部屋に火をつけて全焼させていますので、現住建造物等放火罪ではなく自己所有非現住建造物等放火罪が成立するようにも思えます。
しかしながら、アパートやマンションなどの集合住宅においては、部屋一つ一つを独立の「建築物」として捉えるのではなく集合住宅全体を一つの建物として捉えられるのが一般的です。
したがって、集合住宅の一室に火をつけて自室のみを全焼させたというAさんについては、現住建造物等放火罪の成立が考えられるという場合が多いです。
「放火」とは、目的物が燃焼することを引き起こす行為を行うことを言います。
「放火」行為には、ライターやマッチなどを用いて直接点火することだけでなく、導火線などの媒介物を介して目的物に点火する場合も含みます。
また、自ら点火をするという行為だけでなく、自らの行為によらずに発生した火を消し止める法律上の義務を負う者が、簡単に消化できる状況にあったにもかかわらず消化行為をしなかったという不作為の行為による場合にも「放火」に当たります。
「焼損」の意義については学説上争いがありますが、一般的には目的物が独立して燃焼を継続しうる状態に達することをいうと考えられています。
そのため、例えば、家屋に放火したものの、全焼には至らず、「床板約一尺四方、押入床板及び上段各約三尺四方」を燃焼させたという場合であっても「焼損」に当たることになります。
~少年は逆送される~
Aさんは少年ですから、検察に送られた事件がいったん家庭裁判所へと送致されます。その後、家庭裁判所での少年審判で少年院送致、保護観察などの保護処分を受けるのが通常ですが、放火のような重大事件を起こしてしまうと家庭裁判所からさらに検察に事件を逆送されてしまいます。逆送とは、家庭裁判所の調査の過程、あるいは少年審判で本人が20歳以上であることが判明したとき(少年法19条2項、23条3項)、又は、家庭裁判所の審判において、刑事処分が相当であると判断されたとき(少年法20条1項)、あるいは、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件(※)であって、その罪を犯したときに少年が16歳以上だったとき(少年法20条2項)に、事件を家庭裁判所から検察官に送致される手続のことをいいます。手続的には、検察官から家庭裁判所へ送られた事件が、再度、家庭裁判所から検察官の元へ送られるわけですから「逆」送と呼ばれています。逆送されれば、成人と同様の刑事手続に移行します。正式起訴されれば、成人同様、正式裁判を受けなければなりませんし、裁判で有罪となり裁判が確定すれば刑に服さなければなりません。前科も付きます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間受け付けております。
玄関ドアに落書きで逮捕
玄関ドアに落書きで逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
大阪市内に住むA君は、Vさんから交際を断わられた腹いせに、Vさん宅の玄関ドアにペンキで落書きしました。しかし、その後、周辺の防犯カメラの映像からAさんによるしわざだということが判明し、A君は建造物損壊罪で逮捕されてしまいました。A君の親は少年審判が開かれることを回避したいと考えています。
(フィクションです。)
~建造物損壊罪~
建造物損壊罪は刑法260条に規定されています。
刑法260条
他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって、人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処する。
「他人の」とは、他人所有のという意味です。「建造物」とは、屋蓋を有し、障壁又は柱材で支持されて土地に定着し、その内部に人が出入りできる構造を持つ家屋その他これに類する工作物をいうとされています。
もちろん、建造物の一部を損壊した場合でも本罪に問われますが、そのものが建造物の一部なのか、あるいは器物損壊罪(刑法261条)の「器物」なのか問題となることがあります。本件では、玄関ドアが建造物の一部なのか「器物」なのか問題となりえるところです。
この点、「建造物」と「器物」とは、容易に取り外しが可能か否かで区別するのが通説・判例です。壁板は毀棄しなければならず、取り外しが容易でないことから「建造物」に当たります。。他方、雨戸、畳、建具は工具等を使えば容易に取り外しが可能であることから「建造物」ではなく「器物」に当たります。
では、本件の玄関ドアはどうでしょうか?
最高裁判所は、建造物に取り付けられた物が建造物損壊罪の客体に当たるか否かは、当該物と建造物との接合の程度のほか、当該物の建造部における機能上の重要性をも総合考慮して決すべきものであるところ、(略)、本件ドアは、住居の玄関ドアとして外壁と接続し、外界との遮断、防犯、防風、防音等の重要な役割を果たしているから、建造物損壊罪の客体に当たるものと認められ、適切な工具を使用すれば損壊せずに同ドアの取り外しが可能であるとしても、この結論は左右されないと判示しています(建造物損壊罪の成立を認めています)。
~建造物損壊罪での審判回避~
少年審判とは、家庭裁判所において、少年が本当に非行(罪)を犯したかどうかを確認した上、非行の内容や少年個々人が抱える問題点に応じて、適切な処分を決めるための手続きです。
少年審判は必ず開かれるわけではありません。
家庭裁判所は、調査の結果、①審判に付することができず、又は②審判に付するのが相当でないと認めるときは、少年審判を開始しない決定を出すことができます(少年法19条1項)。
これが「審判不開始」決定です。
①審判に付することができないときとは、非行事実の存在の蓋然性がない場合などが挙げられます。
②審判に付するのが相当でないと認めるときとは、事案が軽微であったり、少年が十分に反省しており、更生のための環境も整っているなど要保護性が低い場合などが挙げられます。
審判不開始決定が出されるのは、多くは②の場合です。
ですから、少年審判を回避したければ、裁判所に対し、少年の反省具合、更生のための環境が整っていることなどをしっかりアピールしなければなりません。
また、それと併行して、被害者に被害弁償、示談等を行っていくことも大切です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所福岡支部は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお悩みの方は、まずはお気軽に0120-631-881までお電話ください。専門のスタッフが、24時間体制で、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。
名誉毀損で少年が取調べ・在宅事件も刑事事件専門の弁護士
昨今増加する少年による名誉毀損事件について、在宅で取調べを受けることになった事例を題材に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
事例:少年Aは、インターネット上において、インターネットに掲載されていた情報を信じ、Vは反社会的勢力の一員であるなどとの投稿をしていた。
●●警察署の警察官は、少年Aを名誉毀損の疑いで取り調べることにした。
少年AとAの家族は、少年事件に強いと評判の弁護士に相談した(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。
~インターネットと名誉毀損~
刑法230条1項は、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する」と定めています。
したがって、本条項に該当する場合には、名誉棄損罪が成立することになります。
他方で、刑事罰を科する名誉毀損罪を広く認めてしまうと、憲法21条1項が規定する表現の自由に対する萎縮効果が生じてしまいかねません。
そこで、刑法は法益保護と表現の自由を調和するために、公共の利害に関する場合の特例規定を置いているのです。
刑法230条の2は、「前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない」としています。
つまり、この①事実の公共性、②目的の公益性、③真実性の証明を満たし、特例に該当する場合には名誉毀損罪は成立しないと解されています。
本特例に関して問題となるのが、③の真実性を誤信していたような場合です。
この点、判例(最大判昭和44年6月25日)は、「行為者がその事実を真実であると誤信し、その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らし相当の理由があるときは、犯罪の故意がなく、名誉毀損の罪は成立しないものと解するのが相当である」としています。
これは、名誉毀損行為がインターネット上でなされた場合も同様に解されると考えられています(最決平成22年3月15日参照)。
したがって、真実性を誤信していた場合でも、上記判例の要件を満たした場合には(犯罪の故意がないとして)名誉毀損罪は成立しないことなります。
なお、名誉毀損罪は親告罪(刑法232条1項)であることにも注意を要します。
~少年事件(在宅事件)における弁護士の役割~
逮捕等の「身体の拘束」がされた場合は、弁護士は刑事訴訟法39条1項により「立会人なくして接見」することができます。
もっとも、これは逮捕等の「身体の拘束」がなされた場合に限られていることに注意が必要です。
つまり、任意の取調べ等においては、弁護士の立会権などは認められていないのが現状です。
したがって、警察などの捜査機関の取調べを受けるにあたっては、その前段階において弁護士に相談することが極めて重要です。
また、在宅事件の少年事件においては、身体拘束を受けていない等の事情から、少年が危機感や緊張感を失い、再び非行に走ってしまう事例などが散見されます。
特にインターネット上の名誉毀損行為は容易に行えるため、少年の再非行の可能性が高いことに十分に注意する必要があるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年による名誉毀損事件を含む刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
名誉毀損事件で取調べを受けることになった少年のご家族等は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。
少年事件に強い弁護士が、初回無料の法律相談などをうけたまわります。
自転車ひき逃げと出頭
自転車ひき逃げと出頭について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
大学生のAさんは、アルバイト先から自転車を運転して帰宅途中、道路を横断してきたVさん(69歳)に自転車を衝突させて路上に転倒させました。Aさんは自転車を道路脇に停め、車を降りてVさんの元に近づいたところ、Vさんの意識ははっきりしており怪我の程度も酷くはなさそうだったため、警察に通報するなどせずその場を立ち去りました。その後、Aさんは普段どおりの生活を送っていますが、いつ警察に逮捕されるか不安で仕方ありません。そこで、警察に出頭することも含め、ひき逃げ事件に強い弁護士に無料法律相談を申込みました。
(フィクションです)
~「ひき逃げ」について~
ひき逃げについては、道路交通法(以下「法」)72条1項に定められています。
すなわち、その前段では車両等の運転者の「救護措置義務」を、後段では警察官に対する「事故報告義務」を定めています。
車両等の運転者は、交通事故があった場合、負傷者の救護や道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならず(救護措置義務)、さらに、警察官に対し当該交通事故の内容(日時、場所、死傷者の数、負傷の程度等)を報告しなければならない(事故報告義務)のです。
「車両等」には自転車も含まれますから、自転車の運転者が交通事故を起こし負傷者等を出した場合も同様の義務が課せられます!
ただし、救護措置義務に関する罰則については、自動車と自転車で区別されています。
自動車については法117条1項で「5年以下の懲役又は50万円以下の罰金」、2項で「10年以下の懲役又は100万円以下の罰金」、自転車については法117条の5第1号で「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」と定められています。
事故報告義務については、両者の区別なく法119条10号で「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金」です。
~自首~
自首とは、捜査機関に犯罪事実又は犯人が発覚する前に、犯人が自ら進んで自己の犯罪事実を捜査機関に申告し、その処分を委ねる意思表示のことをいうとされています。
「捜査機関」とは、主に検察官、警察官のことをいいます。「自首」というためには、捜査機関に犯罪事実又は犯人が発覚する前に申告することが必要です。
ただし、「犯罪事実又は犯人」とされていますから、犯罪事実は発覚していても、まだ犯人が誰であるか発覚していない段階でも自首に当たる可能性はあります。
自首の方法としては自ら申告する場合のほか、他人を介して自己の犯罪事実を申告させることもできます。また、書面による申告も有効と解されています。ただし、こうした場合は、犯人がいつでも捜査機関の支配下にいることが条件となると解されています。なお、自首というためには「捜査機関に処分を委ねること」、つまり、犯罪事実を認めていることが前提です。書面のみを提出して所在不明となった場合、氏名を秘匿している場合などは、処分を委ねる意思がないものとみなされるでしょう。
このように、「自首」を主張するためにはいくつかのハードル(要件)を超えなければならないことが分かります。
自首の要件を満たさないのに捜査機関に申告しても、それは「自首」ではなく単なる「出頭」にしか当たりません。
自首すれば、逮捕を免れる可能性があります。仮に「自首」ではなく「出頭」だった場合も同様です。
罪証隠滅のおそれ、逃亡のおそれがないと判断されやすいからです。
ただし、反対に、そのおそれがやはりあるとして逮捕される可能性もあります。
ですから、捜査機関に申告する前に、弁護士とよく相談して様々なアドバイスを受け、対策を取る必要があります。
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少年事件での国選弁護士
少年事件での国選弁護士について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
高校生A君は、近所の男性Vさんと口論となり、Vさんを殴ったところ、Vさんを後方に転倒させて頭を地面に強く打ち付けさせてVさんを死亡させてしまったため、傷害致死罪の容疑で逮捕されました。A君の母親は弁護士を私選にするか国選にするかで悩んでいます。
(フィクションです。)
~捜査段階(逮捕から勾留)までにおける国選弁護人~
捜査段階では、成人(20歳以上の者)と少年とで選任の要件が異なるわけではありません。つまり、成人の事件の場合も、少年の事件の場合も、
・被疑者に勾留状が発せられ
・被疑者が困窮その他の事由により弁護人を選任することができず
・被疑者の請求があるとき
には、国選弁護人が選任されます。
~家裁送致後の国選付添人~
家庭裁判所送致後、少年のための弁護活動をする弁護士のことを「付添人」といいます。付添人も「私選」の場合と「国選」の場合の2種類があります。
「私選」の場合、少年及び保護者が、いつでも選任することができます。選任する場合は、「付添人選任届(少年と弁護士との連署によるもの)」という届出書を家庭裁判所へ提出する必要があります。
「国選」の場合、裁量的国選付添人と必要的国選付添人とで選任される要件が異なってきます。
裁量的国選付添人は、
・死刑又は無期もしくは長期3年を超える懲役もしくは禁錮に当たる罪(以下、対象事件という)に該当する非行に及んだこと
・観護措置が取られていること
・少年に付添人がいないこと
・事案の内容、保護者の有無その他の事情を考慮し、審判の手続に弁護士である付添人が関与する必要があると認められること
の事由が認められる場合に選任されることができるとされている付添人です。
この点、詐欺罪は、法定刑が「10年以下の懲役」ですから、「長期3年を超える懲役に当たる罪」に当たりますし、A君は観護措置決定により少年鑑別所に収容されています。そこで、「少年に付添人がいないこと」、「事案の内容、保護者の有無その他の事情を考慮し、審判の手続に弁護士である付添人が関与する必要があると認められること」の要件を満たせば国選付添人が選任される可能性があります。
一方、必要的国選付添人は
・対象事件のうち、審判の手続に検察官の関与が必要とされた事件
・被害者等による少年審判の傍聴を許そうとする事件
に必ず選任される付添人です。非行事実に争いのある場合や、重大事件などで選任されやすいといえます。
少年や保護者の中には、「家裁送致後、国選弁護人だった弁護士に引き続き国選付添人として選任したい、頼みたい」と思われる方も多いと思われます。
しかし、少年法(42条2項)では、被疑者国選弁護人選任の効力については家裁送致によって失われるとされています。また、少年や保護者には、被疑者国選弁護人と同一人物を国選付添人として選任するよう請求する権利はありません。さらに、上記でご紹介したように、国選弁護人と国選付添人の選任の要件が異なります。ですから、捜査段階(被疑者段階)で国選弁護人が選任されているからといって安心はできません。
詳しくは、すでに選任されている国選弁護人に予め相談しておくか、家裁送致後、あるいはその前に私選の付添人を選任する手続を進めておく必要があります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、詐欺罪をはじめとする刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は0120-631-881までお気軽にお電話ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。
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