名誉毀損で少年が取調べ・在宅事件も刑事事件専門の弁護士

2021-11-11

昨今増加する少年による名誉毀損事件について、在宅で取調べを受けることになった事例を題材に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

事例:少年Aは、インターネット上において、インターネットに掲載されていた情報を信じ、Vは反社会的勢力の一員であるなどとの投稿をしていた。
●●警察署の警察官は、少年Aを名誉毀損の疑いで取り調べることにした。
少年AとAの家族は、少年事件に強いと評判の弁護士に相談した(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~インターネットと名誉毀損~

刑法230条1項は、「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する」と定めています。
したがって、本条項に該当する場合には、名誉棄損罪が成立することになります。
他方で、刑事罰を科する名誉毀損罪を広く認めてしまうと、憲法21条1項が規定する表現の自由に対する萎縮効果が生じてしまいかねません。
そこで、刑法は法益保護と表現の自由を調和するために、公共の利害に関する場合の特例規定を置いているのです。
刑法230条の2は、「前条第1項の行為が公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあったと認める場合には、事実の真否を判断し、真実であることの証明があったときは、これを罰しない」としています。
つまり、この①事実の公共性、②目的の公益性、③真実性の証明を満たし、特例に該当する場合には名誉毀損罪は成立しないと解されています。

本特例に関して問題となるのが、③の真実性を誤信していたような場合です。
この点、判例(最大判昭和44年6月25日)は、「行為者がその事実を真実であると誤信し、その誤信したことについて、確実な資料、根拠に照らし相当の理由があるときは、犯罪の故意がなく、名誉毀損の罪は成立しないものと解するのが相当である」としています。
これは、名誉毀損行為がインターネット上でなされた場合も同様に解されると考えられています(最決平成22年3月15日参照)。
したがって、真実性を誤信していた場合でも、上記判例の要件を満たした場合には(犯罪の故意がないとして)名誉毀損罪は成立しないことなります。
なお、名誉毀損罪は親告罪(刑法232条1項)であることにも注意を要します。

~少年事件(在宅事件)における弁護士の役割~

逮捕等の「身体の拘束」がされた場合は、弁護士は刑事訴訟法39条1項により「立会人なくして接見」することができます。
もっとも、これは逮捕等の「身体の拘束」がなされた場合に限られていることに注意が必要です。
つまり、任意の取調べ等においては、弁護士の立会権などは認められていないのが現状です。
したがって、警察などの捜査機関の取調べを受けるにあたっては、その前段階において弁護士に相談することが極めて重要です。
また、在宅事件の少年事件においては、身体拘束を受けていない等の事情から、少年が危機感や緊張感を失い、再び非行に走ってしまう事例などが散見されます。
特にインターネット上の名誉毀損行為は容易に行えるため、少年の再非行の可能性が高いことに十分に注意する必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年による名誉毀損事件を含む刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
名誉毀損事件で取調べを受けることになった少年のご家族等は、24時間対応のフリーダイヤル(0120-631-881)までまずはお電話ください。
少年事件に強い弁護士が、初回無料の法律相談などをうけたまわります。

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