玄関ドアに落書きで逮捕

2021-11-18

玄関ドアに落書きで逮捕について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

大阪市内に住むA君は、Vさんから交際を断わられた腹いせに、Vさん宅の玄関ドアにペンキで落書きしました。しかし、その後、周辺の防犯カメラの映像からAさんによるしわざだということが判明し、A君は建造物損壊罪で逮捕されてしまいました。A君の親は少年審判が開かれることを回避したいと考えています。
(フィクションです。)

~建造物損壊罪~

建造物損壊罪は刑法260条に規定されています。

刑法260条
 他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって、人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処する。

「他人の」とは、他人所有のという意味です。「建造物」とは、屋蓋を有し、障壁又は柱材で支持されて土地に定着し、その内部に人が出入りできる構造を持つ家屋その他これに類する工作物をいうとされています。
もちろん、建造物の一部を損壊した場合でも本罪に問われますが、そのものが建造物の一部なのか、あるいは器物損壊罪(刑法261条)の「器物」なのか問題となることがあります。本件では、玄関ドアが建造物の一部なのか「器物」なのか問題となりえるところです。

この点、「建造物」と「器物」とは、容易に取り外しが可能か否かで区別するのが通説・判例です。壁板は毀棄しなければならず、取り外しが容易でないことから「建造物」に当たります。。他方、雨戸、畳、建具は工具等を使えば容易に取り外しが可能であることから「建造物」ではなく「器物」に当たります。

では、本件の玄関ドアはどうでしょうか?
最高裁判所は、建造物に取り付けられた物が建造物損壊罪の客体に当たるか否かは、当該物と建造物との接合の程度のほか、当該物の建造部における機能上の重要性をも総合考慮して決すべきものであるところ、(略)、本件ドアは、住居の玄関ドアとして外壁と接続し、外界との遮断、防犯、防風、防音等の重要な役割を果たしているから、建造物損壊罪の客体に当たるものと認められ、適切な工具を使用すれば損壊せずに同ドアの取り外しが可能であるとしても、この結論は左右されないと判示しています(建造物損壊罪の成立を認めています)。

~建造物損壊罪での審判回避~

少年審判とは、家庭裁判所において、少年が本当に非行(罪)を犯したかどうかを確認した上、非行の内容や少年個々人が抱える問題点に応じて、適切な処分を決めるための手続きです。

少年審判は必ず開かれるわけではありません。
家庭裁判所は、調査の結果、①審判に付することができず、又は②審判に付するのが相当でないと認めるときは、少年審判を開始しない決定を出すことができます(少年法19条1項)。
これが「審判不開始」決定です。

①審判に付することができないときとは、非行事実の存在の蓋然性がない場合などが挙げられます。
②審判に付するのが相当でないと認めるときとは、事案が軽微であったり、少年が十分に反省しており、更生のための環境も整っているなど要保護性が低い場合などが挙げられます。

審判不開始決定が出されるのは、多くは②の場合です。
ですから、少年審判を回避したければ、裁判所に対し、少年の反省具合、更生のための環境が整っていることなどをしっかりアピールしなければなりません。
また、それと併行して、被害者に被害弁償、示談等を行っていくことも大切です。

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