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(事例紹介)少年が傷害致死事件を起こすとどうなる?

2023-11-29

(事例紹介)少年が傷害致死事件を起こすとどうなる?

少年 傷害致死罪 検察官送致

今回は、男性と口論になり暴行を加えて怪我を負わせたとして少年が傷害罪の疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

男性はその後死亡しているため、少年に傷害致死罪が成立した場合の流れについてみていきましょう。

・参考事例

24日午後、堺市内にある集合住宅の敷地内で男性V(76)を殴るなどしたとして、19歳の少年が現行犯逮捕されました。
Vはその後、搬送先の病院で死亡しました。

傷害の疑いで現行犯逮捕されたのは大阪府内に住む会社員の少年A(19)です。
Aは24日、堺市にある集合住宅の敷地内で、住人のVを殴ったり蹴ったりしてけがをさせた疑いがもたれています。

Vが倒れ、血を流していたことから少年が自ら119番通報したということです。
(中略)

警察は今後、傷害致死の疑いも視野に捜査を進める方針です。
(※11/25に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「「高齢の男性が文句を言ってきて言い合いになった」 76歳の男性を殴るなどしたとして19歳の少年を逮捕 男性はその後死亡」記事の一部を変更して引用しています。)

・少年が傷害致死事件を起こすとどうなる?

20歳未満の者が刑事事件を起こした場合、少年法が適用されて少年事件として成人が刑事事件を起こした場合と異なる手続きがとられます。

通常の少年事件は、原則として全ての事件が家庭裁判所に送致され、必要に応じて家庭裁判所で審判が開かれて保護処分が下されるという流れになります。
ただ、少年が傷害致死事件を起こした場合、例外として上記の流れとは異なる手続きがとられます。

犯行当時の少年の年齢が16歳以上であり、故意の犯罪行為によって被害者を死亡させた少年事件の場合、原則として家庭裁判所は事件を検察官に送致しなければなりません
これを検察官送致(逆送)といい、少年法第62条第2条で以下のように規定されています。

  • 少年法第62条(検察官への送致についての特例)
    家庭裁判所は、特定少年(18歳以上の少年をいう。以下同じ。)に係る事件については、第20条の規定にかかわらず、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
     前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、特定少年に係る次に掲げる事件については、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。
    一 故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき16歳以上の少年に係るもの
    二 死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件であつて、その罪を犯すとき特定少年に係るもの(前号に該当するものを除く。)

今後、Aに傷害致死罪が適用されて逆送された場合、検察官は原則として起訴しなければならないため、少年事件が成人事件と同様に扱われることになり、成人と同じ刑事裁判が開かれる可能性があります。

・子どもが傷害致死事件を起こしてしまったら弁護士へ

前述したように、検察官送致(逆送)されると、少年事件であっても成人と同様の刑事事件として裁判が開かれて処罰を受ける可能性があります。
逆送されて刑事裁判を受けることになると、少年であっても前科がつくことになり、実名報道されるリスクもあります

子どもが検察官送致(逆送)される可能性がある事件を起こしてしまった場合、早急に弁護士に弁護・付添人活動を依頼することをおすすめします。
逆送された場合であっても、調査の結果、刑事処分以外が相当であると認められれば保護処分を獲得できることもあるため、弁護士は刑事処分を受けないための弁護・付添人活動に尽力します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件の弁護・付添人活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件・少年事件に特化した専門の法律事務所です。
お子様が少年事件を起こしてしまったという方は、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)までご相談ください。

(事例紹介)女性に抱きついた少年を強制わいせつ罪の疑いで逮捕

2023-11-15

(事例紹介)女性に抱きついた少年を強制わいせつ罪の疑いで逮捕

少年 強制わいせつ罪

今回は、路上で背後から女性に抱きついて体を触ったとして、強制わいせつ罪の疑いで逮捕された少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・参考事例

佐賀北署は12日、強制わいせつの疑いで、佐賀市在住の少年A(17)を逮捕しました。

逮捕容疑は5月5日、佐賀市内で歩道を歩いていた30代女性Vに背後から抱きつき、体を触った疑いです。
取調べに対し、Aは「間違いない」と容疑を認めています。

同署によると、生徒と女性に面識はなかったとのことでした。(以下略)
(※11/14に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「わいせつ容疑で佐賀県立高校の男子生徒逮捕 佐賀北署 路上で歩行者に抱きつく」記事の一部を変更して引用しています。)

・少年が強制わいせつ事件を起こすとどうなる?

今回逮捕されたAは17歳であるため、少年法が適用されます。
刑法において、「少年」とは20歳未満の者を指し、少年が刑事事件を起こした場合は「少年事件」として扱われます。

Aが起こした事件は、背後から女性に抱きついて体を触ったという内容であり、この行為に強制わいせつ罪の疑いが持たれています。
強制わいせつ罪については、令和5年7月に施行された改正刑法で名称が「不同意わいせつ罪」に変更されており、適用される範囲や法定刑などが変わりました。
ただ、今回の事件が起きたのは改正刑法が施行される前の出来事だったため、不同意わいせつ罪ではなく強制わいせつ罪が適用されているということになります。

少年事件と成人が起こす刑事事件(以下「成人事件」と言います。)では異なる点がいくつかあり、大きな違いの一つとしては、成人は懲役刑や罰金刑などの処罰が与えられることに対し、少年事件は「保護処分」として処罰ではなく少年の性格の矯正や環境を調整して健全な育成を行うことを目的としていることが挙げられます。

つまり、今回のAのような少年が強制わいせつ事件を起こした場合、強制わいせつ罪に規定されている法定刑で処罰されるのではなく、少年の性格や環境を調査して、今後同じような非行をしないための健全な育成を目的とした保護処分が下される可能性があるということになります。

・逮捕されたAの今後の流れは?

逮捕されたAは、まず警察や検察などの捜査機関から取調べを受け、検察官が引き続き身柄を拘束するべきかどうかを判断します。

身柄を拘束する必要がなければ釈放されますが、必要があると判断されれば、勾留勾留に代わる観護措置がとられて逮捕に引き続き身柄を拘束される可能性があります。

その後、事件が家庭裁判所に送致され、家庭裁判所がAの精神状態や性格、交友関係や家庭環境などを調査し、審判(=成人事件における裁判)を開く必要があると判断されれば、審判が開かれます。

審判が開かれて、Aに対して保護処分を与える必要があると判断されれば、保護観察少年院送致といった保護処分が与えられます。

勾留や勾留に代わる観護措置がとられたり審判が開かれてしまうと、学校に行けなくなったり学校に事件のことが発覚して退学になってしまうおそれがあります。
このような事態を防ぐためには、弁護士から具体的なアドバイスを受けることが重要になります。

また、少年事件は成人事件とは異なる手続きがとられるため、弁護士の中でも少年事件に強く経験豊富な弁護士に相談することがおすすめです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件の弁護・付添人活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件・少年事件に特化した専門の法律事務所です。
お子様が事件を起こしてしまったという方は、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)までご相談ください。

(事例紹介)少女に淫行させた少年を児童福祉法違反の疑いで逮捕

2023-11-08

(事例紹介)少女に淫行させた少年を児童福祉法違反の疑いで逮捕

児童福祉法違反 少年事件

今回は、静岡県で起きた児童福祉法違反による少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・参考事例

18歳未満であることを知りながら、10代の少女にみだらな行為をさせたとして、静岡市に住む17歳の少年逮捕されました。

児童福祉法違反の疑いで再逮捕されたのは、静岡市在住の少年A(17)です。
警察によると、Aは3月下旬、静岡市内で18歳未満であることを知りながら、同県在住の少女V(10代)にSNSで募った30代の男性とみだらな行為をさせた疑いが持たれています。

Aは、VにSNSで「女の子電話下さい。電話くれたら電子マネーあげます」などと募集していた「自称・おじさん」に電話をかけさせ、お金を振り込ませていました。
そして、この件に関して「俺が捕まったらお前も捕まるぞ」などと脅し、口止め料と称して50万円要求、支払えなかったVに「稼ぎ方を教えてやる」とSNSで募った複数人の男性とみだらな行為をさせていた、とみられています。

VはAに口止め料として現金10万円を渡したあと、警察に相談して事件が発覚、Aは10月恐喝の疑いで逮捕されました。
(※11月6日に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「「稼ぎ方教えてやる」…少女に男性とみだらな行為させたか 逮捕された17歳の少年「色んな人と淫行させた」 静岡中央警察署」記事の一部を変更して引用しています。)

・児童福祉法とは

児童福祉に関する権利や保障などについて定められた児童福祉法の中には、児童に淫行をさせる行為について同法第34条第1項第6号で以下のように規定されています。

  • 児童福祉法第34条
    何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
    (第1~5号省略)
    6 児童に淫行をさせる行為
    (第2項省略)

「児童」とは満18歳に満たない者と定義(児童福祉法第4条第1項)され、「淫行」とは児童の心身の健全な育成を阻害するおそれがあると認められる性交又は性交類似行為と解釈されています。
淫行を「させる」とは、児童が淫行をすることを助長させるような行為を指します。

今回の事例で記載されている「みだらな行為」は「淫行」と同じ意味合いになります。
つまり、AはVに淫行をすることを助長し、淫行をさせているため、Aは児童福祉法違反の疑いで逮捕されたと考えられます。

・子どもが児童福祉法違反で逮捕されたら弁護士へ

児童に淫行をさせたとして児童福祉法違反が成立すると、同法第60条第1項の規定により10年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又は併料で処罰されます。

刑事事件において、20歳未満の人は「少年として扱われ、少年が刑事事件を起こすと「少年事件」となり、成人の刑事事件とは手続きが異なります。

▼少年事件の流れについて詳しく知りたい方はこちら
・少年事件・少年犯罪の流れ

少年事件特有の手続きがとられることもあるため、子どもが児童福祉法違反による少年事件を起こしてしまった場合は、まずは少年事件に強い弁護士に相談することをおすすめします。
少年事件に強い弁護士に相談することで、少年事件の流れや今後の見通しについて詳しく説明を受けることができます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件で弁護・付添人活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件・少年事件に特化した専門の法律事務所です。
お子様が児童福祉法違反による少年事件で逮捕されてしまったという方は、まずは24時か365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

(事例紹介)出勤途中の男性を殴った少年を傷害罪の疑いで逮捕

2023-11-01

(事例紹介)出勤途中の男性を殴った少年を傷害罪の疑いで逮捕

少年事件 傷害罪

今回は、福島県で起きた傷害罪による少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・参考事例

10月31日、警察は傷害の容疑で郡山市に住む無職の少年A(16歳)を逮捕しました。
警察によると、Aは10月20日の午前8時45分頃、郡山市中町の路上で出勤途中の男性V(60代)に後ろから殴りかかり、顔などにけがをさせた疑いがもたれています。

警察は防犯カメラの映像などからAを割り出し逮捕したとしていて、Aは「間違いありません」と容疑を認めているということです。
VとAに面識はなく、警察は少年が無差別的に男性に殴り掛かったと見て捜査しています。
(※10月31日に『FTV 福島テレビ』で配信された「逮捕されたのは16歳の少年 出勤途中の男性に背後から突然殴りかかってけがをさせた疑い<福島県>」記事の一部を変更して引用しています。)

・傷害罪とは

今回の事例では、Aは傷害罪の疑いで逮捕されています。
傷害罪については、刑法第204条で以下のように規定されています。

  • 刑法第204条(傷害)
    人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪に似た罪として暴行罪(刑法第208条)がありますが、傷害罪と暴行罪の違いは、暴行行為の結果、相手(被害者)が傷害(怪我)を負ったかどうかです。
暴行を加えた結果、相手が怪我を負った場合は傷害罪、相手が怪我を負わなかった場合は暴行罪が成立します。

今回の事例で考えると、AはVに対して後ろから殴りかかり、顔などに怪我を負わせています。
つまり、暴行を加えた結果Vの身体を傷害しているため、Aは傷害罪の疑いで逮捕されたということになります。

傷害罪が成立すると、15年以下の懲役または50万円以下の罰金で処罰されます。

・少年が傷害罪で逮捕された後の流れ

今回の事例のように、20歳未満の人が刑事事件を起こすと、少年事件として扱われ、通常の成人事件と手続きが異なります。

逮捕までの手続きは成人事件と同様の流れになり、逮捕後48時間以内に警察から検察官に事件の記録が送られます。
検察官に事件の記録が送られた後は、検察官が勾留するのか、勾留に代わる観護措置をとるのか、勾留はせずに家庭裁判所に送致するのか判断します。

勾留・勾留に代わる観護措置がとられると、少年の身柄は逮捕に引き続き拘束されることになります。
勾留に代わる観護措置とは、成人事件にはなく、少年事件でのみとられる手続きです。
勾留に代わる観護措置がとられると、少年は鑑別所10日間収容されることになります。

また、少年事件は原則すべての事件が家庭裁判所に送致される「全件送致主義」がとられていて、家庭裁判所に送致された後、家庭裁判所が少年の調査を行います。
調査の結果、家庭裁判所は少年に対して最終的な処遇を決定します。

▼少年事件の詳しい流れについてはこちら
・少年事件・少年犯罪の流れ

少年事件を起こしてしまい、勾留や勾留に代わる観護措置がとられると、身体拘束が長引くことになり、学校に発覚して退学になるおそれもあります。
子どもが少年事件を起こして逮捕されてしまい、早期釈放してほしいという場合は、少年事件に強い弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件の刑事弁護・付添人活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件・少年事件に特化した専門の法律事務所です。

初回無料の法律相談や、すでに逮捕されている場合は、最短当日中に弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)をご案内していますので、少年事件でお困りの方は、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

(事例紹介)住宅などで空き巣を繰り返した少年含む5人を逮捕

2023-10-25

(事例紹介)住宅などで空き巣を繰り返した少年含む5人を逮捕

今回は、近所の住宅や会計事務所に侵入して盗みを繰り返した疑いで少年を含む5人が逮捕された事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・参考事例

長野県の中信地域で空き巣など60件以上の盗みを繰り返した疑いで、少年を含む男5人が逮捕されました。盗みなどの疑いで逮捕されたのは、大町市や安曇野市などに住む18歳から22歳までの男5人です。

警察の調べによりますと、5人は、2023年5月13日から6月19日にかけて、松本市や安曇野市の住宅や会社事務所に侵入して、盗みを繰り返すなどした疑いが持たれています。

被害は合わせて68件で、現金のほか、金庫やレジも盗まれるなど総額はおよそ711万円相当にのぼるということです。

5人は友人関係で、遊ぶ金と生活費ほしさに犯行に及んだと供述しているということです。
(※10/24に『Yahoo! JAPANニュース』で配信された「「遊ぶ金欲しさ」で重ねた盗み60件以上 現金やレジ、金庫も 少年含む5人を逮捕」記事を引用しています。)

・問われる可能性がある罪

今回の事例で逮捕された少年らは、住宅などに侵入して現金などを盗むといった、いわゆる「空き巣」を行っています。
空き巣によって問われる可能性がある罪は、住居侵入罪窃盗罪が考えられます。

ここからは、住居侵入罪と窃盗罪について、それぞれ詳しく解説していきます。

・住居侵入罪とは

住居侵入罪については、刑法第130条で以下のように規定されています。

  • 刑法第130条(住居侵入等)
    正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

条文で規定されているように、住居侵入罪は、正当な理由がない状態他人の住居や建造物に侵入する行為を処罰するものです。(建造物に侵入した場合は建造物侵入罪となります。)
成立要件は、主に①正当な理由がなく、②人の住居に侵入することです。

「侵入」とは、住居権者の意志に反してその場所に立ち入ることを指します。
今回の事例のような空き巣は、正当な理由がなく人の住居に侵入する典型的なパターンになるので、住居侵入罪が成立する可能性が高いです。

・窃盗罪とは

窃盗罪については、刑法第235条で以下のように規定されています。

  • 刑法第235条(窃盗)
    他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

窃盗罪は、他人の財物を窃取する行為を処罰するものです。
窃盗罪の成立要件は、「他人の財物を窃取」することです。

「窃取」とは、他人が事実上支配している(占有している)財物を、その人の意志に反して自分自身の支配下に移す行為を指します。
この定義から、窃盗罪が成立するためには、単に物を持ち去るだけでなく、その行為が他人の意志に反して行われたものである必要があります。

今回の事例で考えると、少年らが盗んだ現金などは、それらを占有している人の意思に反して盗んでいるため、住居侵入罪だけでなく窃盗罪も成立する可能性が高いということになります。

・空き巣による少年事件を起こしてしまったら

20歳未満の少年が刑事事件を起こすと、少年事件として扱われ、成人の刑事事件と手続きが異なる点があります。

▼少年事件の流れについてはこちらで詳しく解説しています。
少年事件・少年犯罪の流れ

少年事件は、成人と同じ罪を犯しても刑事事件の流れなどが異なるため、なるべく早く弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件の弁護・付添人活動を担当した実績を持つ、刑事事件少年事件に特化した専門の法律事務所です。
お子様が空き巣で逮捕されてしまったという方は、最短当日に弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)を提供していますので、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)までご連絡ください。

 

(事例紹介)知人に暴行して現金を奪った少年を強盗致傷罪で逮捕

2023-10-18

(事例紹介)知人に暴行して現金を奪った少年を強盗致傷罪で逮捕

今回は、知人に暴行を加えて怪我を負わせて現金などを奪ったとして、強盗致傷罪の疑いで逮捕された少年事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所に解説します。

・参考事例

北海道旭川市で、知人の少年に暴行を加えてケガを負わせ、現金などを奪ったとして、10月15日、17歳の少年が逮捕されました。
強盗致傷の疑いで逮捕されたのは、旭川市に住む17歳の少年Aです。

Aは10月12日午前3時半ごろ、旭川市内の公園の駐車場で、16歳の少年Vに約15分間にわたり暴行を加えてケガを負わせ、現金などを奪った疑いがもたれています。

警察は逮捕されたAの認否や暴行を受けたVのケガの程度、被害額などを発表していません。
2人は知人関係だったということです。
(※10/15に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「知人の16歳少年に暴行し現金など奪う 17歳の少年を強盗致傷容疑で逮捕 北海道旭川市」記事の一部を変更して引用しています。)

・強盗致傷罪とは

強盗致傷罪については、刑法第240条で以下のように規定されています。

  • 刑法第240条(強盗致死傷)
    強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。

強盗致傷罪は、強盗行為(刑法第236条に基づく)を行い、その結果として被害者に負傷を与えた場合に成立します。
一方、被害者を死亡させた場合は、強盗致死罪が成立します。

強盗行為とは、暴行または脅迫を用いて他人の財物を強取することを指します。
暴行や脅迫の程度については、被害者の反抗を抑圧するに足りるものでなければなりません。
被害者の反抗を抑圧する程度の暴行や脅迫は、被害者の性別、年齢、犯行場所、時間、凶器の有無などの事情も考慮して、社会通念に基づいて判断されます。

また、強盗致傷罪の成立には、強盗罪に着手している必要がありますが、強盗罪が既遂であるか未遂であるかは問題ではありません。
強盗致傷罪の処罰内容は非常に重く、無期懲役または6年以上の懲役に処される可能性があります。

・強盗致傷罪による少年事件の流れ

少年による犯罪行為は、一般的な成人による犯罪とは異なる法的手続きが取られます。
20歳未満の少年が犯罪行為を起こした場合、刑事処罰は基本的に予定されていません。

まず、警察による取調べが行われた後、事件書類は家庭裁判所に送られます。
ここで、家庭裁判所の調査官が少年の普段の素行や背景を調査します。
この調査を基に、「少年審判」と呼ばれる手続きが行われ、少年の保護処分が決定されます。

ただし、特に重大な犯罪については逆送」(検察官送致)と呼ばれる手続きが取られることもあります。
逆送については、少年法第20条で以下のように規定されています。

  • 少年法第20条(検察官への送致)
    家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。

     前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。

今回の事例のような強盗致傷罪は懲役刑が規定されているので、家庭裁判所の調査の結果によっては、逆送されて刑事処分を受ける可能性もあります。

・お子様が強盗致傷罪で逮捕されてしまったら

お子様が強盗致傷事件を起こして逮捕されてしまった場合、できるだけ早く弁護士に相談することが重要なポイントになります。
弁護士の中でも、少年事件や刑事事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な刑事事件や少年事件の弁護・付添人活動を担当した実績を持つ、刑事事件少年事件に特化した専門の法律事務所です。
お子様がすでに逮捕されてしまっている場合、最短当日に弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)を提供していますので、、ご依頼の際は24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご相談ください。

(事例紹介)男性に怪我を負わせた少年2人を傷害罪の疑いで逮捕

2023-10-11

(事例紹介)男性に怪我を負わせた少年2人を傷害罪の疑いで逮捕

今回は、知人男性に殴る蹴るなどの暴行を加えて怪我を負わせたとして、傷害罪の疑いで少年2人が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・参考事例

男性(20)の顔面などを殴打などしけがをさせたとして、16歳の無職の少年2人が、傷害の疑いで逮捕されました。

2人は8月30日夜、男性の顔面などを殴打したり、けったりし、けがを負わせた疑いがもたれています。

被害を知った男性の母親が「自分の息子が殴られてけがをした」と警察に通報し、事件が発覚。
警察は付近の防犯カメラを調べるなど捜査し、10月5日に容疑が固まり、2人を逮捕しました。

調べに対し、少年の1人は「暴力をふるったことは間違いないが、自分のふるった暴力でけがはさせていない」と容疑を一部否認。
もう1人は「殴ってけがをさせたことは間違いない」と容疑を認めています。

少年2人と男性は顔見知りで、警察は口論からトラブルに発展したとみて経緯を詳しく調べています。
(※10/6に『Yahoo! JAPANニュース』で配信された「16歳の少年2人 20歳男性に”殴るけるの暴行”…ケガさせ逮捕「3人は顔見知り」口論からトラブルに? 男性の母親が通報」記事を引用しています。)

・傷害罪とは

傷害罪は、刑法第204条で以下のように規定されています。

  • 刑法第204条(傷害)
    人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪は、暴行の故意により成立するパターンと、傷害の故意により成立するパターンの2つがあります。

そもそも、「故意」とは一般的には「わざと」と似た意味を持ち、刑法における故意とは「ある行為が犯罪に該当することを認識し、それを認容して実行すること」を指します。

相手に怪我を負わせるつもりはなかったけど、結果として怪我を負わせてしまった場合は、「暴行の故意」によって傷害罪が成立します。
最初から相手に怪我を負わせるつもりで怪我を負わせた場合は、「傷害の故意」によって傷害罪が成立します。

ただ、傷害罪は相手が怪我(傷害)を負った場合に成立するので、最初から相手に怪我を負わせるつもりだったが、結果として怪我を負わせなかった場合は、傷害罪は成立しません。

このような場合は、刑法第208条で規定されている暴行罪が成立します。

傷害罪の処罰内容は、15年以下の懲役刑50万円以下の罰金刑です。

・傷害事件における示談の重要性

傷害罪のように被害者が存在する事件では、被害者と示談を締結することが重要になります。
成人の刑事事件では、被害者と示談を締結することで不起訴処分を獲得できる可能性は高まります。

ただ、少年事件の場合、成人の刑事事件とは異なり、被害者と示談を締結したとしても、少年院送致などの保護処分が課せられる可能性はあります。

少年事件においては、①少年が深く反省していること、②再非行のおそれがないこと、③少年を保護する必要性がないことが、審判不開始の判断を獲得する上で重要なポイントになります。

▼少年事件の詳しい流れについてはこちらをご覧ください。
・少年事件・少年犯罪の流れ

少年事件において、被害者との示談締結が必ずしも良い結果に結びつくわけではないとはいえ、後に被害者から損害請求されるおそれがあったり、保護者が少年の行為に対する責任をとれていないと監督能力が疑われてしまうおそれがあるため、被害者との示談交渉を進めることをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件で被害者との示談を締結して審判不開始を獲得した実績を持つ、刑事事件少年事件に特化した専門の法律事務所です。
お子様が傷害事件を起こしてしまったという方は、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)までご連絡ください。

(事例紹介)速度超過+無免許運転の道路交通法違反で少年を逮捕

2023-10-04

(事例紹介)速度超過+無免許運転の道路交通法違反で少年を逮捕

今回は、少年が無免許運転速度超過(スピード違反)による道路交通法違反逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・参考事例

北海道の留寿都村の国道230号線で10月3日、制限速度を21キロ超えるスピードで車を運転していたとして、自称15歳の無職の少年が道交法違反(速度超過)の現行犯で逮捕されました。

少年は制限速度50キロのところを21キロオーバーの時速71キロでレンタカーを運転中、現場で取り締まり中の警察官にみつかり、その場で逮捕されました。

調べに対し少年は「速度超過したのは間違いない。免許も持っていない」と話しています。
(※10/4に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「“無免許運転”でスピードオーバー 自称15歳少年を逮捕…20代の女性とレンタカーで北海道を旅行中 女性からも事情聞く」記事の一部を変更して引用しています。)

・道路交通法違反(速度超過)

速度超過(スピード違反)については、道路交通法第22条1項で以下のように規定されています。

  • 道路交通法第22条(最高速度)
    車両は、道路標識等によりその最高速度が指定されている道路においてはその最高速度を、その他の道路においては政令で定める最高速度をこえる速度で進行してはならない。

道路標識などで速度が指定されている場合は、指定されている速度を超えることで速度超過となり、速度の指定がされていない場合は政令で定められている法定速度を超えることで速度超過となり、道路交通法違反が成立します。

法定速度は、道路交通法施行令第11条によって、普通自動車の法定速度は60km/h原動機付自転車の法定速度は30km/hとされています。
高速道路においての最高速度は、道路交通法施行令第27条で100km/h(※例外もあります)と規定されています。

速度超過による道路交通法違反は、道路交通法第118条第1項第1号で6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金と規定されています。
また、過失により速度超過してしまった場合は、道路交通法第118条第3項で3月以下の禁錮または10万円以下の罰金と規定されています。

・道路交通法違反(無免許運転)

無免許運転は、一般的には運転免許を持っていない状態で自動車や原動機付自転車を運転する行為を指します。
無免許運転については、道路交通法第64条第1項と84条第1項で以下のように規定されています。

  • 道路交通法第64条(無免許運転等の禁止)
    何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで(〜略〜)、自動車又は一般原動機付自転車を運転してはならない。

  • 道路交通法第84条(運転免許)
    自動車及び一般原動機付自転車(以下「自動車等」という。)を運転しようとする者は、公安委員会の運転免許(以下「免許」という。)を受けなければならない。

無免許運転は、道路交通法第117条の2の2により、3年以下の懲役または50万円以下の罰金に処される可能性があります。

・お子様が道路交通法違反で逮捕されたら

年齢が20歳未満の場合に道路交通法違反で逮捕された場合、少年として扱われ、事件の流れが成人事件と異なります
お子様が逮捕されたと急に警察から連絡が来れば、今後どのように進むのか不安に思う方がほとんどです。
なので、まずは少年事件に強い弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件の弁護・付添活動を担当した実績を持つ、刑事事件少年事件に特化した専門の法律事務所です。
初回無料の法律相談や、すでに逮捕されてしまっている場合は、最短当日に弁護士が接見に向かう初回接見サービス(有料)を提供しています。

ご相談は予約が必要なので、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)にてご連絡をお待ちしています。

(事例紹介)施設に落書きをした19歳少年を建造物損壊罪で逮捕

2023-09-20

(事例紹介)施設に落書きをした19歳少年を建造物損壊罪で逮捕

街中でガードレールや壁に落書きがされているものを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
ただ、落書き行為は立派な犯罪なので、発覚すれば逮捕されて処罰される可能性もあります。

今回は、市の施設などに複数回落書きをしたとして、建造物損壊罪の疑いで19歳の少年が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・参考事例

静岡市役所の周辺で、市の施設などに相次いで落書きされているのが見つかった事件で、警察はこのうち、地下駐輪場の入り口のガラスに落書きをしたとして、19歳の少年Aを逮捕しました。
調べに対し、Aはほかの落書きについても関与をほのめかす供述をしているということで、警察は余罪についても調べることにしています。

8月30日、静岡市葵区の市役所周辺で、公園のトイレの壁や市の施設などあわせて10か所以上に落書きされているのが見つかり、市が警察に被害届を提出しました。

警察が目撃情報や付近の防犯カメラの映像などから捜査を進めた結果、住所不定で自称、引っ越し作業員のAが、地下駐輪場の入り口のガラスの壁に黒いスプレーで落書きをした疑いがあるとして、19日建造物損壊罪の疑いで逮捕しました。
現場の状況などからAは1人で落書きを行ったとみられ、調べに対し、容疑を認めているということです。

また、ほかの落書きについても関与をほのめかす供述をしているということで、警察は余罪についても調べることにしています。
(※9/19に『NHK NEWS WEB』で配信された「静岡市役所周辺で相次いだ落書き 19歳の少年を逮捕」記事の一部を変更して引用しています。)

・落書き行為で成立する罪は?

前述したように、落書き行為は犯罪ですが、落書きの程度や範囲、対象によって適用される罪が異なります

落書き行為によって成立する可能性がある犯罪は以下の通りです。

  • 建造物損壊罪(刑法第260条)
  • 器物損壊罪(刑法第261条)
  • 威力業務妨害罪(刑法第234条)
  • 文化財保護法違反(文化財保護法第196条)
  • 軽犯罪法違反(軽犯罪法第1条33号)
  • 迷惑防止条例違反(都道府県などの各自治体が定めている場合)

今回の事例では、Aは建造物損壊罪の疑いで逮捕されているので、建造物損壊罪に焦点を当てて解説していきます。

・建造物損壊罪とは

建造物損壊罪については、刑法第260条で以下のように規定されています。

  • 刑法第260条(建造物等損壊及び同致死傷)
    他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

「建造物」とは、家屋やこれに類似する建築物を指し、判例では屋根を有し、壁又は柱によって支えられ、土地に定着し、その内部に出入りが可能なもの」と定義されています。

「損壊」とは、建造物の本来の効用を滅却あるいは減損させる一切の行為を指しています。
つまり、物理的に建造物を壊すような行為だけでなく、建造物の外観を汚すような行為についても、建造物本来の効用を実質的に滅却あるいは減損されたと認められれば「損壊」に該当する場合があるということです。

落書き行為については、建造物の外観や美観を著しく汚損し、原状回復に相当の困難を生じさせ、その利用についても抵抗感や不快感を与えかねない状態であれば、建造物損壊罪の「損壊」に該当する可能性があります。

今回の事例では、Aは市が管理している公園のトイレの壁や地下駐車場の入り口のガラスなど約10カ所以上に落書きをしています。
Aの落書きの程度などについて報道では記載されていませんでしたが、トイレや地下駐車場は判例で定義されている建造物に該当し、Aの落書き行為も損壊に該当していると判断されたため、Aは建造物損壊罪で逮捕されたと考えられます。

・お子様が落書き行為で逮捕されたら弁護士へ

今回の事例で逮捕されたAは20歳未満なので、刑法においては「少年」として扱われます。
20歳未満の少年が起こした刑事事件(少年事件)と、20歳以上の成人が起こした刑事事件(成人事件)では、手続きが異なる点がいくつかあります。
また、Aは18歳と19歳が該当する「特定少年」に位置しているため、18歳未満の少年が起こした少年事件と少し異なる点があります。

少年事件の流れについて把握している方は少なく、急に警察から子どもが逮捕されたと連絡が来れば、今後どうなっていくのか不安になる方がほとんどです。
もし、お子様が少年事件を起こしてしまった場合は、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士に相談すれば、少年事件の流れや現在お子様が置かれている状況、今後どうなっていくかの見通しなどについて詳しく説明してくれます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件の弁護活動を担当した実績を持つ、少年事件・刑事事件に特化した専門の法律事務所です。

お子様が落書き行為による刑事事件を起こしてしまったり、落書き行為で逮捕されてしまったという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

初回無料の法律相談や、逮捕されている場合の初回接見サービス(有料)を提供していますので、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にてお電話をお待ちしております。

(事例紹介)友人を包丁で刺した少年を殺人未遂罪の疑いで逮捕

2023-09-13

(事例紹介)友人を包丁で刺した少年を殺人未遂罪の疑いで逮捕

知人の10代少年の首を包丁で刺して怪我を負わせたとして、15歳の男子高校生が殺人未遂罪の疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・参考事例

13日朝、石川県小松市内で10代の少年を刃物で刺し殺害しようとしたとして市内に住む男子高校生が逮捕された。
殺人未遂罪の疑いで逮捕されたのは小松市内に住む15歳の男子高校生Aだ。

Aは、13日午前8時頃、小松市内の自宅駐車場で知人の10代の少年Vの首の付け根付近をパン切り包丁で刺した疑いが持たれている。
刺されたVは、全治1週間のけがをした。

警察によると外で叫び声がしたため、付近の住民が事件に気づいて通報。
駆け付けた警察が男子高校生の身柄を確保した際、近くに包丁があったという。

調べに対し、男子高校生は「間違いない」と容疑を認めている。
警察は犯行に至った経緯や動機などについて詳しく調べる方針だ。
(※9/14(木)に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「石川県小松市で男子高校生が逮捕 10代少年を包丁で刺した疑い」記事を一部変更して引用しています。)

・殺人未遂罪とは

殺人未遂罪とは、殺人罪が成立する行為を実行した結果、既遂できなかった場合に成立する罪です。
まずは、殺人罪について見ていきましょう。
殺人罪は、刑法第199条で以下のように規定されています。

  • 刑法第199条(殺人)
    人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

殺人罪は、その名の通り「人を殺す」ことで成立します。
包丁で刺したりハンマーで殴ったりなど、人を殺す手段や方法については規定されていません。

ただ、殺人罪が成立するかどうかの判断で問題になることが故意の有無です。
刑法では、犯罪の成立には基本的に故意があることが必要になります。
故意とは、一般的な言葉で言うと「わざと」のような意味合いになり、この行為をすれば犯罪に該当することがわかっている上で犯罪行為を行うと故意があると判断されます。

殺人罪における故意は、「殺してやる」といった殺意を持った状態で人を殺すことで認められます。
ですが、殺意などは心の中で思うことなので、本当に殺意があったのかを判断することは難しいです。
なので、使用した凶器の種類殺害の手段死亡した人の傷の部位や程度などの客観的事情や、なぜ殺したかについての動機犯行後の行動などの事情を総合的に考慮して、故意の有無が判断されます。

殺人罪が成立する要件は前述しましたが、殺人罪に該当する行為を実行したものの、結果として相手が死亡しなかった場合に、殺人未遂罪が成立します。
殺人未遂罪については、刑法第203条で以下のように規定されています。

  • 刑法第203条(未遂罪)
    第199条及び前条の罪の未遂は、罰する。

条文に記載されている第199条は殺人罪を指し、前条の罪とは刑法第202条で規定されている自殺関与罪・同意殺人罪をさしています。

今回の事例で考えると、AがVの首の付け根付近をパン切り包丁で刺したことは、客観的事情からも殺人罪の故意があったとみられる可能性があります。
刺されたVは死亡しておらず、Aの行為は既遂ではなく未遂になるため、Aは殺人未遂罪の疑いで逮捕されたと考えられます。

・少年が殺人未遂罪で逮捕された後の流れ

刑法においては、20歳未満の者は全て「少年として扱われ、20歳以上の成人が起こす成人事件と少年が起こす少年事件では手続きが異なる箇所があります。

捜査段階では、少年事件も成人事件と同様の流れになるので、少年であっても逮捕や勾留される可能性はありますが、少年事件は、警察や検察などの捜査機関による捜査が終了すると、原則すべての事件が家庭裁判所に送致される「全件送致主義をとっています。

また、少年事件は、家庭裁判所に送致された後に観護措置として少年鑑別所に収容される場合もあります。
今回の事例のような殺人未遂罪は重大な罪になるため、観護措置が取られる可能性が高いです。

さらに、少年事件は、家庭裁判所に送致された後に、家庭裁判所の調査官が少年に対して保護処分ではなく刑事裁判によって処分することが相当と判断した場合、事件を家庭裁判所から検察官に送る「検察官送致(逆送)こともあり、今回の事例も逆送される可能性があります。

・少年事件を起こしたら弁護士へ

このように、少年事件は成人事件とは異なる手続きで処理されるため、流れを把握している人は多くありません。
お子様が逮捕されたと急に警察から連絡が来ると、どうすればいいかわからず不安な気持ちが募るばかりになる方がほとんどです。
そのような不安な気持ちを少しでも解消するために、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士に相談すれば、弁護士から少年事件の流れやお子様が現在おかれている状況、今後の流れや見通しについて詳しく話を聞くことができます。
刑事弁護活動を依頼すれば、弁護士がお子様の身柄解放活動や処分を免れるための弁護活動に尽力します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件を担当した実績を持つ、刑事事件少年事件に特化した法律事務所です。
初回無料の法律相談や、最短当日中に弁護士が逮捕されてる方の接見に向かう初回接見サービスなどを提供していますので、お子様が逮捕されてしまって不安な方は、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

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