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(事例紹介)観護措置ってどんな措置?要件は?

2024-02-07

(事例紹介)観護措置ってどんな措置?要件は?

観護措置とは

今回は、岐阜家庭裁判所が19歳の少年に対する観護措置を2週間延長したという事例をもとに、観護措置について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・参考事例

岐阜市の陸上自衛隊射撃場で隊員3人が自動小銃で撃たれ死傷した事件で、岐阜家裁は2日、強盗殺人などの疑いで家裁送致された元自衛官候補生の男A(19)の観護措置を当初の5日までから19日までに延長すると決めました。

事件は昨年6月に発生し、「89式5.56ミリ小銃」が発射され、隊員2人が死亡、1人が重傷を負いました。
Aは殺人未遂容疑で現行犯逮捕され、殺人容疑で再逮捕されるなどした後、岐阜地検が鑑定留置を行っていました。
Aは今年1月に家裁送致されています。
(※2/2に『dmenuニュース』で配信された「19歳男の観護措置2週間延長 陸自小銃発射、岐阜家裁」記事の一部を変更して引用しています。)

・観護措置とは

観護措置とは、少年事件で少年の身体を少年鑑別所に送致して一定期間保護する措置を指します。
家庭裁判所が円滑な調査や審判を行うためや、少年の心情の安定を図ることを目的とされ、家庭裁判所の調査員が観護する「在宅観護と、少年鑑別所に収容する「収容観護の2つの種類があります。
ただ、在宅観護については、実務上ほとんど使われていないため、実質「観護措置=収容観護」という意味合いになっています。

少年に対して観護措置がとられる場合の要件については、少年法第17条で以下のように規定されています。

  • 少年法第17条(観護の措置)
    家庭裁判所は、審判を行うため必要があるときは、決定をもって、次に掲げる観護の措置をとることができる。
     家庭裁判所調査官の看護に付すること。
     少年鑑別所に送致すること。
    (※第2項以下省略)

条文では、観護措置の要件を審判を行うため必要があるときとしか記載されていません。
ただ、一般的には、以下の要件を満たすことが観護措置の要件と解釈されています。

①審判条件があること。
②少年が非行を犯したことを疑うに足りる相当の理由があること。
③審判を行う蓋然性があること。
④観護措置の必要性が認められること。

また、観護措置の期間は原則2週間を超えることができないと少年法第17条第3項で規定されています。
ですが、観護措置を継続する必要があると判断された場合は、一度だけ期間を更新することができ、最大4週間観護措置がとられることになります。

・観護措置を回避するには弁護士へ依頼

観護措置がとられると、基本的に少年鑑別所に送致されて約1か月間収容されることになります。
長期期間慣れない環境で生活をすることは、少年にとって心理的・肉体的に大きな負担になりかねません。

観護措置を回避する可能性を少しでも上げるためには、弁護士に付添人活動を依頼することが重要になります。
弁護士が付添人となり、観護措置に関する意見書を家庭裁判所に提出するので、この意見書を調査官が確認して観護措置を回避することができる可能性が高まります。

弁護士に依頼する場合は、少年事件の弁護・付添人活動の経験豊富な専門の弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件の弁護・付添人活動を担当した実績を多く持つ、少年事件・刑事事件に特化した専門の法律事務所です。
ご相談・ご予約に関するお問い合わせは、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にて24時間365日受付中です。

大切なお子様が少年事件を起こしてしまったという方は、まずは弊所までご相談ください。

(事例紹介)施設に落書きをした19歳少年を建造物損壊罪で逮捕

2023-09-20

(事例紹介)施設に落書きをした19歳少年を建造物損壊罪で逮捕

街中でガードレールや壁に落書きがされているものを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
ただ、落書き行為は立派な犯罪なので、発覚すれば逮捕されて処罰される可能性もあります。

今回は、市の施設などに複数回落書きをしたとして、建造物損壊罪の疑いで19歳の少年が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・参考事例

静岡市役所の周辺で、市の施設などに相次いで落書きされているのが見つかった事件で、警察はこのうち、地下駐輪場の入り口のガラスに落書きをしたとして、19歳の少年Aを逮捕しました。
調べに対し、Aはほかの落書きについても関与をほのめかす供述をしているということで、警察は余罪についても調べることにしています。

8月30日、静岡市葵区の市役所周辺で、公園のトイレの壁や市の施設などあわせて10か所以上に落書きされているのが見つかり、市が警察に被害届を提出しました。

警察が目撃情報や付近の防犯カメラの映像などから捜査を進めた結果、住所不定で自称、引っ越し作業員のAが、地下駐輪場の入り口のガラスの壁に黒いスプレーで落書きをした疑いがあるとして、19日建造物損壊罪の疑いで逮捕しました。
現場の状況などからAは1人で落書きを行ったとみられ、調べに対し、容疑を認めているということです。

また、ほかの落書きについても関与をほのめかす供述をしているということで、警察は余罪についても調べることにしています。
(※9/19に『NHK NEWS WEB』で配信された「静岡市役所周辺で相次いだ落書き 19歳の少年を逮捕」記事の一部を変更して引用しています。)

・落書き行為で成立する罪は?

前述したように、落書き行為は犯罪ですが、落書きの程度や範囲、対象によって適用される罪が異なります

落書き行為によって成立する可能性がある犯罪は以下の通りです。

  • 建造物損壊罪(刑法第260条)
  • 器物損壊罪(刑法第261条)
  • 威力業務妨害罪(刑法第234条)
  • 文化財保護法違反(文化財保護法第196条)
  • 軽犯罪法違反(軽犯罪法第1条33号)
  • 迷惑防止条例違反(都道府県などの各自治体が定めている場合)

今回の事例では、Aは建造物損壊罪の疑いで逮捕されているので、建造物損壊罪に焦点を当てて解説していきます。

・建造物損壊罪とは

建造物損壊罪については、刑法第260条で以下のように規定されています。

  • 刑法第260条(建造物等損壊及び同致死傷)
    他人の建造物又は艦船を損壊した者は、5年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

「建造物」とは、家屋やこれに類似する建築物を指し、判例では屋根を有し、壁又は柱によって支えられ、土地に定着し、その内部に出入りが可能なもの」と定義されています。

「損壊」とは、建造物の本来の効用を滅却あるいは減損させる一切の行為を指しています。
つまり、物理的に建造物を壊すような行為だけでなく、建造物の外観を汚すような行為についても、建造物本来の効用を実質的に滅却あるいは減損されたと認められれば「損壊」に該当する場合があるということです。

落書き行為については、建造物の外観や美観を著しく汚損し、原状回復に相当の困難を生じさせ、その利用についても抵抗感や不快感を与えかねない状態であれば、建造物損壊罪の「損壊」に該当する可能性があります。

今回の事例では、Aは市が管理している公園のトイレの壁や地下駐車場の入り口のガラスなど約10カ所以上に落書きをしています。
Aの落書きの程度などについて報道では記載されていませんでしたが、トイレや地下駐車場は判例で定義されている建造物に該当し、Aの落書き行為も損壊に該当していると判断されたため、Aは建造物損壊罪で逮捕されたと考えられます。

・お子様が落書き行為で逮捕されたら弁護士へ

今回の事例で逮捕されたAは20歳未満なので、刑法においては「少年」として扱われます。
20歳未満の少年が起こした刑事事件(少年事件)と、20歳以上の成人が起こした刑事事件(成人事件)では、手続きが異なる点がいくつかあります。
また、Aは18歳と19歳が該当する「特定少年」に位置しているため、18歳未満の少年が起こした少年事件と少し異なる点があります。

少年事件の流れについて把握している方は少なく、急に警察から子どもが逮捕されたと連絡が来れば、今後どうなっていくのか不安になる方がほとんどです。
もし、お子様が少年事件を起こしてしまった場合は、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士に相談すれば、少年事件の流れや現在お子様が置かれている状況、今後どうなっていくかの見通しなどについて詳しく説明してくれます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件の弁護活動を担当した実績を持つ、少年事件・刑事事件に特化した専門の法律事務所です。

お子様が落書き行為による刑事事件を起こしてしまったり、落書き行為で逮捕されてしまったという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

初回無料の法律相談や、逮捕されている場合の初回接見サービス(有料)を提供していますので、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にてお電話をお待ちしております。

(事例紹介)友人を監禁後に暴行を加えた18歳の少年を逮捕

2023-08-09

(事例紹介)友人を監禁後に暴行を加えた18歳の少年を逮捕

友人を車で監禁した後に暴行を加えて傷害を負わせたとして、18歳の少年2人が傷害罪と逮捕・監禁罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

・参考事例

友人の16歳の少年を車に乗せて監禁したとして、警視庁少年事件課は、逮捕監禁の疑いで、東京都小平市のアルバイトの男(18)と、東大和市の塗装工の男(18)を逮捕した。
2人は調べに対し、容疑を認めているという。

逮捕容疑は、6月3日午後8時半ごろ、友人でとび職の少年(16)を東村山市内に呼び出し、塗装工の男の車に無理やり押し込み、約30分間、車内に監禁したとしている。

小平市内で少年を車から降ろしたが、アルバイトの男は、男が住む団地の階段の手すりに、結束バンドで少年を縛り、竹ぼうきや金属バットで殴り、けがを負わせた疑いがある。
同課は、アルバイトの男を傷害と逮捕監禁の容疑で追送検した。

少年事件課は、少年とアルバイトの男との間で、金銭トラブルがあったとみている。
(※2023年8月4日に朝日新聞デジタルで掲載された記事の内容を引用しています。)

・傷害罪とは

今回の事例で、少年らが友人に対して行った行為の一つとして、傷害罪が成立しています。
傷害罪については、刑法第204条で以下のように規定されています。

  • 刑法第204条(傷害)
    人の身体を損害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪に似ている罪として刑法第208条で規定されている暴行罪がありますが、傷害罪と暴行罪の大きな違いは「暴行を加えた結果、相手に傷害を負わせたかどうかです。
暴行を加えた結果、相手に傷害を負わせていなければ暴行罪が成立し、相手に傷害を負わせた場合は傷害罪が成立します。

今回の事例では、少年らは友人に対して、竹ぼうきや金属バットで殴るという暴行行為を行った結果、相手に怪我を負わせているため、傷害罪が成立するということになります。

・逮捕・監禁罪とは

少年らには、前述した傷害罪以外にも、逮捕・監禁罪が成立しています。
逮捕・罪については、刑法第220条で以下のように規定されています。

  • 刑法第220条(逮捕及び監禁)
    不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

逮捕・監禁罪は、不法」に人を「逮捕・監禁」することで成立します。
ここでの「不法」とは「違法」と同じ意味で、警察官による逮捕や私人でも認められている現行犯逮捕、検察庁や裁判所によって行われる勾留など、適法に行われるもの以外での逮捕や監禁を指します。

また、逮捕・監禁とは、いずれも人の行動の自由を奪う行為ですが、意味合いが少し異なります。
「逮捕」とは「人の体を直接拘束することを指し、「監禁」とは「一定の区域からの脱出を不可能又は著しく困難にすることを指します。
相手の手足を縛って身動きが取れないようにすることは逮捕の典型で、部屋に閉じ込めて出られないようにすることが監禁の典型です。

今回の事例では、少年らは友人を車に無理やり押し込み、約30分間脱出ができない状態にしたことと、車から降ろした後に結束バンドで少年を縛っていることで、逮捕・監禁罪が成立するということになります。

・少年が逮捕された場合の流れ

成人が逮捕された刑事事件と、少年(刑事事件における20歳未満の者)が逮捕される刑事事件では、逮捕された後の流れが異なります。
警察が逮捕・取調べを行った後に検察に送致されるまでは成人と同じ流れですが、少年の場合、検察に送致された後については、原則全ての事件が家庭裁判所に送致されます。

また、今回の事例のような18歳や19歳の少年については特定少年として扱われ、家庭裁判所に送致された後に事件を検察官に戻す逆送」の対象になる事件の範囲が拡大されたり、少年において禁止されている実名報道が可能になったり、少年審判における保護処分の内容が限定されたりと、18歳未満の少年事件と異なる手続きが可能になります。

・傷害罪や逮捕・監禁罪でお子様が逮捕されてしまったら弁護士へ

お子様が傷害罪や逮捕・監禁罪で逮捕されてしまった場合は、弁護士へ刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件の刑事弁護活動を担当した実績を持つ刑事事件少年事件に特化した法律事務所です。
警察から急にお子様が逮捕されたと連絡が来て、今後どうなるか不安に感じている方は、まずは24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)お問い合わせメールより、ご相談ください。

(事例紹介)乳児の死体遺棄事件で逮捕された19歳の母親を逆送

2023-07-26

(事例紹介)乳児の死体遺棄事件で逮捕された19歳の母親を逆送

生後間もなく死亡した男児をそのまま遺棄したとして、死体遺棄罪の疑いで逮捕された19歳の母親が、家庭裁判所に送致された後に逆送が決定されたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

・参考事例

広島県東広島市で生後間もない男児の遺体が見つかった事件で、広島家裁は、死体遺棄の疑いで逮捕、家裁送致された母親でベトナム国籍の技能実習生の女A(19)の少年審判を開き、検察官送致(逆送)を決定しました。

決定などによると、Aは実習先の寮で男児を出産。
間もなく死亡したため、自分のベッドに遺体を寝かせて生活を続けたが、出産の事実が周りに知られると、帰国させられるかもしれないと考え、近くの空き地に穴を掘って遺体を埋めて遺棄したとされています。

裁判官は決定理由で「わが子の死体を敬う意識を欠くなど責任を軽視することはできない」と指摘し、日本語の会話能力が著しく低いため「保護処分による更生を援助することも困難」などとして、刑事処分が相当としました。
(※6月1日に掲載された『Yahoo!ニュース』記事の一部を変更しています)

・死体遺棄罪(死体損壊等罪)

死体遺棄罪とは、文字通り死体を遺棄したときに成立する犯罪で、刑法第190条で規定されている死体損壊罪の中に含まれています。

  • 刑法第190条(死体損壊等)
    死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の懲役に処する。

「死体」とは死亡した人の身体を指し、「遺棄」とは通常の埋葬と認められない方法で死体を放棄することを指します。

今回の事例では、Aは出産したことが周囲に知られると帰国させられるかもしれないと思い、死亡した男児を近くの空き地に穴を掘って埋めています。

この行為は、死亡した人の身体を通常の埋葬と認められない方法で放棄しているため、死体遺棄罪が成立することになります。

・逆送(検察官逆送)とは

逆送とは、14歳以上20歳未満の少年が刑事事件を起こした際に行われる特別な手続きを指します。

少年事件では、警察から検察に送致された後、原則全ての刑事事件が検察から家庭裁判所に送致されます。

家庭裁判所に送致された後、少年に対する調査が行われ、調査結果を踏まえた上で、裁判官が審判を行うかどうかの判断や、審判を行う場合の最終的な処遇を決定します。

本来、少年事件は処罰を与えることより更生させることに重きを置いているため、刑事処罰ではなく保護処分を課すことが優先されます。

ただ、家庭裁判所の審判において、少年に対し刑事処罰が相当であると判断されると、事件が家庭裁判所から検察官に戻されることになります。

このように、刑事処罰が相当であると審判で判断された少年事件が家庭裁判所から検察官に送致されることを逆送(検察官逆送)と言います。

逆送には、以下2つの種類があります。

1.年齢超過による逆送

少年事件が家庭裁判所に送致され、調査・審判を行っている段階で、少年の年齢が20歳以上と判明したことにより、事件を成人と同様の刑事手続きに戻すために行われる逆送です。

20歳以上かどうかの判断は、事件当時ではなく、家庭裁判所に送致されて調査・審判が行われている時点で判断されます。

2.刑事処分が相当であることによる逆送

死刑、懲役又は禁固に当たる事件について、家庭裁判所による調査の結果、罪質及び情状に照らして、家庭裁判所が刑事処分が相当であると認めることにより行われる逆送です。

事件当時16歳以上の少年で、故意の犯罪行為で被害者を死亡させた事件や、犯罪行為時18~19歳の特定少年で、死刑、無期又は短期1年以上の懲役、禁固に当たる事件に関しては、原則逆送されます。

今回の事例で考えると、Aは事件当時19歳の特定少年であり、死体遺棄罪の罰則は3年以下の懲役刑のみであること、Aの日本語会話力が著しく低く保護処分による更生を援助することが困難であることから、裁判官は逆送を決定したということになります。

・逆送を防ぐためには弁護士へ依頼を

逆送されてしまえば、成人の刑事事件と同様の刑事手続きが行われます。

また、逆送されると、ほとんどの少年は刑事処分を受けることになるため、未然に逆送を防ぐためには、少年事件に強い専門の弁護士に付添人活動を依頼することが重要です。

弁護士に依頼すれば、弁護士が少年の付添人として、裁判官に対して刑事処分が相当であると判断させないために、少年が保護処分で更生できること等を主張し、逆送を防ぐために尽力します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件に特化した専門の弁護士事務所です。
お子さんが事件を起こし、逆送されないか不安を抱えている方は、24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)お問い合わせメールよりご連絡ください。

 

(事例紹介)特定少年と実名報道について

2023-06-28

(事例紹介)特定少年と実名報道について

今回は、少年事件において実名報道がなされうるケースにつき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

・ケース

岐阜市の陸上自衛隊・日野基本射撃場で隊員3人が銃で撃たれ死傷した事件で、逮捕された自衛官候補生の男は18歳でした。

2022年の法改正で、18歳と19歳の容疑者は特定少年と呼ばれ、17歳以下の少年と区別して扱われるようになりました。

警察などの捜査を経て、家庭裁判所に一旦送られた後、殺人や強盗など法定刑の下限が1年以上の罪となる事件の場合、検察に再び身柄を送る逆送となります。

そして改めて起訴されれば、20歳以上と同じ公開の裁判で審理されるようになるだけでなく、通常の少年事件では禁止されている報道機関による実名報道も解禁されます。

重大事件の場合は、地検が公表することもあります。
Yahoo!JAPANニュース 6月16日「地検が“実名公表”の場合も…射撃場での事件で逮捕された自衛官候補生の18歳男「特定少年」の今後の扱いは」より引用)

・少年の実名報道がなされうるケース

刑事事件を起こした被疑者が少年である場合には、事件を報道する場合であっても、「〇歳少年」などと記載することが通常です。
少年法第61条において、「家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない」と規定されているからです。

しかし、特定少年(18歳、19歳の少年)について少年法第68条は「第六十一条の規定は、特定少年のとき犯した罪により公訴を提起された場合における同条の記事又は写真については、適用しない(但書省略)」としており、特例が定められています。

もっとも、検察庁などが特定少年についても匿名を維持するケースは少なくなく、少年の健全育成・更生への配慮とされています。

たしかに、検察庁が特定少年の氏名などを公表し、報道機関がこれを報道することによって、少年の今後の更生が困難になる可能性も否定できません。
実名報道に関して不安のある方は、少年事件に熟練した弁護士のアドバイスを受け、今後の対策をともに検討する必要があるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
特定少年の実名報道に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)東京で起きた強盗事件の被疑者少年らが家裁へ送致

2023-06-14

(事例紹介)東京で起きた強盗事件の被疑者少年らが家裁へ送致

今回は、東京の銀座にある高級腕時計店で少年らが強盗事件を起こした報道につき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

・ケース

東京・銀座の高級腕時計店に仮面をつけた男らが押し入った強盗事件で、東京地検は男ら4人を家庭裁判所に送致した。

5月8日に起きた東京・銀座の仮面強盗事件では、高校生を含む16歳から19歳の4人の男が腕時計などを奪った強盗の疑いのほか、港区・赤坂のマンション敷地内などに侵入した現行犯で逮捕された。

これまでの調べに対し、男らは黙秘または否認している。

東京地検は6月7日、4人を家庭裁判所に送致し今後、家裁が男らの生活状況の調査などを行い処分が決められる。
Yahoo!JAPANニュース 6月8日 「銀座“仮面強盗” 少年ら4人を家裁送致 高級腕時計奪いマンションへ侵入 男らは黙秘・否認」より引用)

・民法上の成人年齢は18歳だが

民法第4条によれば、「年齢十八歳をもって、成年とする」とされており、現在の成人年齢は18歳です。
しかし、少年法上の「少年」は「二十歳に満たない者」(少年法第2条1項)であり、18歳、19歳も少年法の適用があることになります。

なお、余談ですが、お酒を飲んでよい年齢、タバコを吸ってもよい年齢は民法第4条にかかわらず、20歳からです(二十歳未満ノ者ノ飲酒ノ禁止ニ関スル法律第1条1項、二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律第1条)。

・18歳、19歳の少年には特別な手続が予定されている

少年法には「逆送」とよばれる特別な手続があり、少年について保護処分ではなく、刑事処分が適切であると家庭裁判所が判断した場合に、検察官のもとへ「逆送」されることになります。
家庭裁判所の裁量により「逆送」がなされることもありますが、その一方で、重大事件などは「原則として」「逆送」される手続が予定されています(原則逆送対象事件)。

17歳以下の少年についても原則逆送対象事件はありますが、18歳、19歳の少年は「特定少年」とされ(少年法第62条1項)、原則逆送対象事件の範囲がより広く定められています。

冒頭の事件の少年の中には特定少年とされる19歳の方が含まれているとのことですが、強盗罪は少年法第62条2項2号により、原則逆送対象事件となります。

・少年法は複雑であり、少年事件に熟練した弁護士のサポートが重要

少年法は令和4年にその内容が大きく変更され、従来から複雑であった制度がより複雑になったといえるでしょう。
このような少年法に基づく手続に対応するためには、少年事件に熟練した弁護士のサポートが極めて重要となります。

お子様が逮捕されてしまった場合には、まず、少年事件に詳しい弁護士を探しだし、すみやかに相談を受けられることをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
少年事件に関してお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

(事例紹介)特定少年による強盗事件②

2023-04-26

(事例紹介)特定少年による強盗事件②

特定少年強盗を起こした場合の事件の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

東京都渋谷区のアクセサリー店で14日に貴金属などが奪われた事件で、警視庁は19日、三重県に住む職業不詳の少年(19)を強盗の疑いで逮捕し、発表した。
少年は事件に関与したことを家族に相談していたといい、18日午後、家族に付き添われて同県内の警察署に出頭した。「指示を受けて1人で店に入り強盗をしました」と容疑を認めているという。
捜査1課によると、少年は14日午後6時40分ごろ、渋谷区神南1丁目のアクセサリー店で20代の男性店長らに包丁を突きつけて「強盗だ」「金を詰めろ」などと脅し、アクセサリー類100点以上(計約4千万円相当)と現金約350万円を奪った疑いがある。
(3月19日配信の朝日新聞デジタルの記事を引用しています。)

特定少年の取扱いについて

前回に引き続き、少年事件における「特定少年」の取扱いについて解説していきます。
特定少年」が起こした事件について、家庭裁判所で検察官送致(逆送)が決定された後は、20歳以上の者と原則として同様に取扱われることになります。
例えば、少年が逆送され刑事裁判で有期の懲役刑または禁錮刑になる場合、刑の長期と短期の両方が決められる形で判決が下される場合があります。
これは、不定期刑といい、「5年以上10年以下の懲役」などの形で判決が下されます。
そして、不定期刑では、刑の長期は15年、短期は10年を超えることはできないとされています。
しかし、「特定少年」においては、不定期刑が適用されず、20歳以上の成人と同様に「懲役5年」のように定期刑で判決が下されます。
さらに、懲役又は禁錮の上限においても最長で30年と20歳以上の成人と同様になります。
また、少年法によって少年の時に行った犯罪については、少年の更生の観点から、犯人がわかるような報道(推知報道)は禁止されています。
しかし、「特定少年」については、この推知報道が一部解禁されています。
具体的には、特定少年が逆送され、検察官に起訴された場合には、推知報道が解禁されます。
これまで、禁止されていた少年に対する推知報道が解禁されることにより、社会的な批評や論評の対象となることが考えられます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は刑事事件・少年事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
特定少年」に該当する18歳、19歳少年が起こした事件の弁護活動においても経験豊富な弁護士が多数在籍しています。
もし、18歳、19歳の少年が事件を起こしてしまったら、今後の事件の見通しを含めて、いち早く弁護士のアドバイスを受けることが大切になってきます。
まずは、お気軽に、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までお電話(フリーダイヤル0120ー631ー881)ください。

(事例紹介)特定少年による強盗事件①

2023-04-19

(事例紹介)特定少年による強盗事件①

特定少年強盗を起こした場合の事件の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

事例

東京都渋谷区のアクセサリー店で14日に貴金属などが奪われた事件で、警視庁は19日、三重県に住む職業不詳の少年(19)を強盗の疑いで逮捕し、発表した。少年は事件に関与したことを家族に相談していたといい、18日午後、家族に付き添われて同県内の警察署に出頭した。「指示を受けて1人で店に入り強盗をしました」と容疑を認めているという。
捜査1課によると、少年は14日午後6時40分ごろ、渋谷区神南1丁目のアクセサリー店で20代の男性店長らに包丁を突きつけて「強盗だ」「金を詰めろ」などと脅し、アクセサリー類100点以上(計約4千万円相当)と現金約350万円を奪った疑いがある。
(3月19日配信の朝日新聞デジタルの記事を引用しています。)

19歳の少年が起こした強盗事件

今回の強盗事件は、19歳の少年が起こした疑いが持たれています。
20歳未満の少年が犯罪を犯した場合には「少年法」が適用されます。
19歳は、少年法が適用される「少年」に該当するため、警察官、検察官が必要な捜査を受けた後、全ての事件が家庭裁判所に送致されます。
もっとも、18歳と19歳の少年は、「特定少年」として17歳以下の少年とは異なった取り扱いを受けます。

特定少年の扱いについて

民法の成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことで、18歳・19歳の者は社会において成年者として責任ある主体となって積極的な役割を果たすことが期待される立場になりました。
これに合わせ、少年法も改正され、18歳と19歳は少年法の適用がありながらも「特定少年」として、17歳以下の少年とは、異なった取扱いを受けることになりました。
主なものを今回と次回の2回に分けて解説していきます。

少年事件が家庭裁判所に送致された後は、家庭裁判所は送致された事件について調査を行い、審判を開始するのが相当であるとされた場合は、審判の上、保護処分や検察官送致(逆送)などの処分がされます。
少年法においては、原則として逆送するものとされている事件が規定されています。
そして、「特定少年」については、この原則逆送となる対象事件が拡大されています。
これまでは、「16歳以上の少年のとき犯した故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件」が原則逆送の対象となっていました

しかし、少年法の改正によって「18歳以上の少年のとき犯した死刑、無期又は短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪の事件」についても原則逆送の対象となりました。
例えば、特定少年が、現住建造物等放火罪、強盗罪、強制性交等罪等を犯した場合、原則として事件が逆送されることになります。
事件が逆送され検察官に起訴されると、少年審判ではなく、20才以上の者と同様に刑事裁判にかけられることになります。
逆送後の取扱いについては、次回解説していきます。

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特定少年」に該当する18歳、19歳の少年が起こした事件の弁護活動においても対応できる弁護士が多数在籍しています。
もし、18歳、19歳の少年が事件を起こしてしまったら、今後の事件の見通しを含めて、いち早く弁護士のアドバイスを受けることが大切になってきます。
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