(事例紹介)特定少年と実名報道について
(事例紹介)特定少年と実名報道について
今回は、少年事件において実名報道がなされうるケースにつき、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
・ケース
岐阜市の陸上自衛隊・日野基本射撃場で隊員3人が銃で撃たれ死傷した事件で、逮捕された自衛官候補生の男は18歳でした。
2022年の法改正で、18歳と19歳の容疑者は「特定少年」と呼ばれ、17歳以下の少年と区別して扱われるようになりました。
警察などの捜査を経て、家庭裁判所に一旦送られた後、殺人や強盗など法定刑の下限が1年以上の罪となる事件の場合、検察に再び身柄を送る「逆送」となります。
そして改めて起訴されれば、20歳以上と同じ公開の裁判で審理されるようになるだけでなく、通常の少年事件では禁止されている報道機関による実名報道も解禁されます。
重大事件の場合は、地検が公表することもあります。
(Yahoo!JAPANニュース 6月16日「地検が“実名公表”の場合も…射撃場での事件で逮捕された自衛官候補生の18歳男「特定少年」の今後の扱いは」より引用)
・少年の実名報道がなされうるケース
刑事事件を起こした被疑者が少年である場合には、事件を報道する場合であっても、「〇歳少年」などと記載することが通常です。
少年法第61条において、「家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない」と規定されているからです。
しかし、特定少年(18歳、19歳の少年)について少年法第68条は「第六十一条の規定は、特定少年のとき犯した罪により公訴を提起された場合における同条の記事又は写真については、適用しない(但書省略)」としており、特例が定められています。
もっとも、検察庁などが特定少年についても匿名を維持するケースは少なくなく、少年の健全育成・更生への配慮とされています。
たしかに、検察庁が特定少年の氏名などを公表し、報道機関がこれを報道することによって、少年の今後の更生が困難になる可能性も否定できません。
実名報道に関して不安のある方は、少年事件に熟練した弁護士のアドバイスを受け、今後の対策をともに検討する必要があるでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
特定少年の実名報道に関してお悩みの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。