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トイレで出産した子を見捨て保護責任者遺棄罪
今回は、妊娠した16歳の少女がトイレで子を出産し、これを見捨てた場合に成立する犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
さいたま市北区に住む16歳の女子高生Aは、急に産気づいたため、近くのトイレに駆け込み子を出産しました。
しかし、自宅に連れて帰ることもできず、また、自身で育てることもできなかったので、そのままトイレに置いて帰宅しました。
数時間後、トイレから鳴き声を聞いた近隣住民と警察官により、新生児は無事に保護されました。
Aは後日、埼玉県大宮警察署に保護責任者遺棄罪の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)
~保護責任者遺棄罪について解説~
刑法第218条は、「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する」としています。
Aが出産した子は上記「幼年者」に該当する可能性が極めて高いと思われます。
Aは出産した子の母親に該当するので、「幼年者を保護する責任のある者」とされる可能性が高いです。
刑法第218条の「遺棄」には、被遺棄者を場所的に移転させる「移置」の他、「置き去り」のように、被遺棄者を危険な場所に遺留して立ち去る行為も含まれます。
トイレにおいて新生児を出産した後、そのままこれを置き去りにする行為は通常、「遺棄」に該当するでしょう。
なお、新生児を遺棄したことにより、新生児に死傷結果が生じた場合においては、保護責任者遺棄致死傷罪が成立し、より重く処罰されうることになります。
以上の事実関係によれば、Aに保護責任者遺棄罪が成立する可能性が高いと思われます。
~今後の手続~
Aは少年(少女)ですから、少年法の適用があります。
少年法による手続は、原則として刑罰を科すことを目的とするものではなく、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分及び少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的としています(少年法第1条)。
(逮捕後の手続)
捜査段階において逮捕・勾留されうる、という点では成人と同じです。
(家庭裁判所への送致)
検察官は、原則として全ての事件を家庭裁判所へ送致します。
家裁へ送致された後は、Aについて観護措置をとるかどうかが決定されます。
観護措置がとられた場合においては、数週間、少年鑑別所に収容され、Aの心身や家庭環境、交友関係について調査されることになります。
(少年審判の結果)
少年審判が開始されると、Aに必要な保護処分が言い渡されることになります(「不処分」という決定もあります)。
保護処分の種類には①少年院送致、②保護観察処分、③児童自立支援施設または児童養護施設送致があります。
ケースの場合は、①あるいは②の処分を言い渡される可能性が高いのではないでしょうか。
少年院に送致されると、特別の場合を除いては外出できないので、Aにかかる負担も重くなります。
保護観察処分は、在宅でAの改善更正を図る処分です。
当然ですが、少年院送致と比べてこちらの方が負担が軽いと言えるため、保護観察処分の獲得を目指したいところです。
しかし、Aがケースの犯行に至ったきっかけは、妊娠してしまったが誰にも相談することができず、適切な対処法を講じることができなかったという点にあるのではないでしょうか。
すると、Aの家庭環境は理想的とはいえないかもしれません。
Aにとって有利な処分を獲得するためには、交友関係の見直し、家庭環境の見直しを行うことが重要です。
弁護士のアドバイスを受けながら、より有利な事件解決を目指して行動していく必要があると思われます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
娘様が保護責任者遺棄事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
コンビニ店員レジ係の窃盗事件で示談解決
窃盗事件・横領事件の示談解決について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
事例
大阪市北区在住のAさん(16歳少年)は、コンビニでレジ係のアルバイトをしていたところ、月に1,2回の頻度で、レジ内の現金を抜き取って、自分の物にしていた。
あるとき、コンビニ店長にAさんのレジ現金窃盗行為が発覚し、Aさんは店長から呼び出しを受けて、窃盗行為の経緯について詳しく話を聞かれた。
Aさんは、Aさんの両親に事件のことを相談し、両親とともに刑事事件に強い弁護士に法律相談することで、なんとか警察への被害届が出される前に、コンビニ側と示談交渉を行って、事件を早期解決することを弁護士に依頼することにした。
(事実を基にしたフィクションです)
~コンビニのレジ店員の窃盗・横領の刑事処罰~
コンビニのレジ係が、レジ内の現金を抜き取って自分の物にした場合には、刑法の「窃盗罪」に該当して、「10年以上の懲役又は50万円以下の罰金」という刑事処罰を受けます。
・刑法235条(窃盗)
「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」
他方で、コンビニ店長などの「コンビニ経営や商品納入等に携わっていて、レジ内の金品を管理する立場にある人」が、レジ内の現金を抜き取って自分の物にした場合には、刑法の「業務上横領罪」に該当して、「10年以下の懲役」という刑事処罰を受けます。
「横領」とは、自分が保管などを任された他人の物を、自分の物にしてしまう行為をいいます。
レジ内の現金を管理する立場にあって、レジ内の占有があると判断されれば「業務上横領罪」が成立し、他方で、アルバイトの立場でレジ内の占有が無ければ「窃盗罪」が成立すると考えられます。
・刑法253条(業務上横領)
「業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。」
~少年事件の少年審判の流れ~
20歳未満の少年が犯罪を起こした場合の手続の流れは、成人の刑事事件手続の流れとは異なります。
一般的に成人の刑事事件では、警察の取調べによる調書作りや証拠集めが終わった後に、事件が検察庁に送られて、検察官による事件の起訴・不起訴の判断が行われ、懲役刑・罰金刑・不起訴処分などの刑事処罰の求刑判断がなされます。
一方で、少年事件の場合には、警察取調べ段階の終了後に、事件が家庭裁判所に送られて、
少年の普段の素行や家庭環境・学校環境の調査が行われ、少年審判に付されます。
家庭裁判所の少年審判では、刑事処罰を受けることは無く、家庭裁判所調査官による調査結果をもとに、少年に対する保護処分として、少年院送致・児童自立支援施設送致・保護観察処分・不処分などの判断がなされます。
~窃盗事件・横領事件の示談解決~
窃盗行為・横領行為が発覚した場合には、弁護士と相談した上で、できるだけ早い時期に、被害者側との示談交渉を行うことが重要です。
被害者が警察に被害届を出す前の段階で、示談交渉に長けた弁護士が示談を仲介する形で、被害金額の返還、被害者への謝罪を真摯に行い、被害者側に許してもらう形の示談が成立すれば、窃盗事件・横領事件を公にしたくない会社(被害者)側が、警察に被害届を提出せず、刑事事件とはならないケースも考えられます。
たとえ、被害者側が警察に被害届を出した後のケースであっても、弁護士の助言のもとで被害者側との示談が成立し、被害者の許しを得ている事情があれば、他に不利な事情がない場合(初犯である、被害額が小さい等)には、不起訴・不処分となる可能性が高まります。
コンビニ店員レジ係窃盗事件でお困りの方は、刑事事件を専門に扱っている、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の評判のいい弁護士にご相談ください。
少年事件と示談
少年事件と示談について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
兵庫県加古川市にある商業施設内のエスカレーターで、女子高生のスカート内を盗撮したとして、市内に住む高校生のAくんが逮捕されました。
兵庫県加古川警察署で取り調べを受けた後、自宅に帰ることができたAくんでしたが、Aくんの両親は被害者に謝罪と被害弁償をしたいと考えています。
翌日、示談も含めた被害者対応について少年事件に詳しい弁護士に相談することにしました。
(フィクションです。)
示談について
被害者が存在する事件においては、被害者への対応が重要です。
当たり前のことですが、悪いことをした結果、誰かを傷つけてしまったり、誰かの財産を失わせたりしてしまったのであれば、きちんと謝り、何らかの方法でその傷や損失を回復すべきですだからです。
そのような道徳的理由に加えて、被害者へどのように対応したかといった点が加害者側の最終的な処分にも大きく影響するという意味でも、被害者への適切な対応をすることが重要です。
例えば、被害者との間で示談が成立しているかどうかは、検察官が起訴・不起訴を判断するときに考慮されますし、裁判官がどのような刑罰を被告人に科すべきかを決めるときにも考慮されます。
もちろん、示談の成立は、被疑者・被告人にとって有利な事情として考慮されます。
示談というのは、加害者が被害者に対して一定の金銭を支払う一方、被害者が加害者を許す、被害者が被害届や告訴を取り下げる、あるいは、提出しないといったことを約束し、今回の事件については当事者間で解決したとする合意のことをいいます。
このような示談が成立している場合には、不起訴処分となり前科を回避することができたり、執行猶予判決が言い渡され実刑を回避する可能性を高めることができます。
ですので、刑事事件における重要な弁護活動のひとつに、被害者との示談交渉が挙げられるのです。
少年事件と示談の効果
刑事事件では、示談の有無により、最終的な処分が大きく変わることになります。
それでは、少年事件でも示談には同様の効果があるのでしょうか。
少年事件の場合、要保護性の一要素として判断され、必ずしも処分の内容に直接反映されるとは限りません。
もちろん、被害が回復され、被害者の処罰感情が緩和されたかどうかといった点が処分の内容に大きく影響することにはなります。
しかしながら、より重要なのは、被害者への対応を行うなかで、少年の要保護性が如何に解消されたかという点です。
「要保護性」というのは、少年審判において審理対象となるものです。
この要保護性は、次の3つの要素で構成されると理解されています。
①犯罪的危険性
少年の性格や環境に照らして将来再び非行に陥る危険性があること。
②矯正可能性
保護処分による矯正教育を施すことにより、再非行の危険性を除去することができる可能性があること。
③保護相当性
保護処分による保護が最も有効かつ適切な処遇であること。
要保護性は、非行事実とともに少年審判での審理の対象となります。
ですので、非行事実が軽微であっても、要保護性が高い場合には、保護処分の中でも最も厳しい少年院送致となることもあるのです。
つまり、少年事件の場合、要保護性をいかに解消するかが、最終的な処分の結果に大きく影響するのです。
この要保護性の解消に向けた活動を「環境調整」と呼びます。
環境調整のうちの1つが、被害者対応となります。
環境調整である被害者対応において、単に被害弁償がなされた事実だけでは、必ずしも少年の要保護性解消にはつながらないことがあります。
少年が自身の行為を反省せず、被害者に対して素直に謝罪をしていないにもかかわらず、少年の親が被害者に謝罪し被害弁償をしたとしても、そこには少年の要保護性解消につながる要素を見出すことはできません。
少年事件においては、形式上の被害弁償を急ぐのではなく、少年自身が真に反省し被害者への謝罪の気持ちを持ち、それに基づいて被害者対応を行うことが必要となります。
少年の要保護性解消に繋げる被害者対応を行うには、もちろん少年の家族の協力が必要です。
加えて、付添人による環境調整活動は、少年の更生にとって非常に重要となるでしょう。
弁護士は、少年の権利を守ることはもとより、弁護人・付添人として、少年が自身の行った行為と向き合い、なぜそのようなことをしたのか、どうすれば同じ過ちを繰り返さないようにできるのか、自身が持つ問題を明らかにし、それをいかにして改善するかについて考え、見出すことができるよう支援する役割を担っています。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。
刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。
無料法律相談・初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。
非行少年の種類について解説
今回は、少年法上の非行少年の種類について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
京都市伏見区に住む中学3年生(15歳)のAくんは、同級生のV女とカラオケに行った際、カラオケボックス内において、Vの陰部を弄ぶなどのわいせつな行為を行ってしまいました。
Vがその両親に被害を打ち明けたところ、Vの両親は激怒し、京都府伏見警察に被害届を提出しました。
Aくんは後に、強制わいせつの疑いで逮捕されてしまいました。
今後どうなってしまうのでしょうか。(フィクションです)
~少年事件について解説~
Aくんの行った行為は強制わいせつ罪(刑法第176条)を構成する可能性の高い行為です。
しかし、Aくんは20歳未満の「少年」であるため、少年法の適用があります。
少年法は、「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的」としています(少年法第1条)。
それでは、「非行のある少年」、すなわち、非行少年とはどのような概念なのでしょうか。
「非行少年」とは、①「犯罪少年」、②「触法少年」、③「虞犯少年」の全体を合わせた概念をいいます。
それぞれについて解説していきたいと思います。
(犯罪少年)
犯罪少年とは、「罪を犯した少年」をいい、法律上の犯罪を犯した少年です。
刑法上の犯罪はもちろん、道路交通法違反行為、さらには淫行などを行った場合に成否が検討される青少年健全育成条例違反行為についても対象となります。
ただし、14歳未満で刑罰法令に触れる行為を行った少年については、行為が犯罪とならないため(刑法第41条)、次に掲げる「触法少年」となります。
(触法少年)
前述の通り、14歳未満で刑罰法令に触れる行為を行った少年をいいます。
(虞犯少年)
虞犯少年とは、少年法第3条1項3号イ~ニの事由(虞犯事由)のいずれか一つ以上に該当し、かつその性格又は環境に照らして、将来、犯罪行為又は触法行為をする虞のあるものが該当します。
具体的には、保護者の法律上・社会通念上正当な監督に服しない行動傾向が認められる少年や、反社会的組織・集団に加入している少年、薬物乱用者が集まる場所に出入りしている少年(このような場所で薬物犯罪を行っていれば、もはや虞犯少年ではなく、上記の犯罪・触法少年とされます)などが該当します。
Aくんは、15歳であり、かつ、強制わいせつ罪という刑法上の犯罪を犯した嫌疑がかかっているため、上記の「犯罪少年」として扱われることになります。
~今後はどうするべきか?~
(まずは身柄解放を実現する)
逮捕・勾留されると、捜査段階で最長23日間、留置場や拘置所、少年鑑別所などに入らなければなりません。
Aくんの転校の手続をとるなど、Vと接近しないですむ方法を検討し、身体拘束を長期化させないようにしなければなりません。
(観護措置決定の阻止)
Aくんが家庭裁判所に送致されると、観護措置をとるか否かが決められます。
「審判を行うため必要があるとき」に、Aくんを少年鑑別所に一定期間収容し、心身の調査が行われます。
この場合も身体拘束を伴うため、なるべく在宅での調査を実現することが重要です。
(少年審判の対応)
審判が開かれると、必要に応じて、Aくんに対し保護処分が言い渡されます。
Aくんには在宅で更生を図る「保護観察処分」か、少年院に入って更正を図る「少年院送致」のいずれかが言い渡される可能性が高いと思われます。
当然ですが、少年院送致が言い渡されると、特別の場合を除いて外出できないので、かなり重い負担がかかります。
保護観察処分を獲得できれば、身体拘束に伴う負担はありません。
ただし裁判官に、Aくんが在宅でも更生しうることを納得してもらう必要があります。
より有利な処分を獲得するためには、審判の前から弁護士のアドバイスを受けて、Aくんをとりまく環境の調整、監護態勢の見直しを行い、さらに、Aくん自身において真摯に内省を深めることが必要です。
経験豊富な弁護士の助言を受けながら、有利な事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が強制わいせつ事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
ひったくりと家庭裁判所送致後の流れ
ひったくりと家庭裁判所送致後の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
福岡県春日市に住むAさんは、他人からお金を奪い取ろうと思い、人通りのない場所を自転車で帰宅中の女性Vさんに原付バイクで背後から接近しました。そして、Aさんは、Vさんが前かごに入れていたバッグに手をかけそれを抜き取りひったくろうとしましたが、Vさんがこれに反応し奪われまいとしてバックを離さなかったため、左足でVさんを蹴りVさんがバックから手を離した隙にバッグを奪い取ってその場から逃走しました。その後、A君は福岡県春日警察署に強盗罪で逮捕されてしまいました。
(フィクションです。)
~ひったくりは窃盗罪?強盗罪?~
ひったくりは、物を持ち歩いている歩行者や、前カゴに荷物を入れている自転車に近づき、すれ違ったり追い抜いたりする瞬間にその物を奪って(ひったくって)逃げる行為をいいます。
ひったくりは主に窃盗罪(刑法235条)あるいは強盗罪(刑法236条)に当たる可能性があります。
刑法235条
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
刑法236条1項
暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
窃盗罪は、他人の占有する財物(本件の場合Vさんのバック)を、不法領得の意思(権利者を排除し他人の物を自己の所有物と同様にその経済的用法にしたがってこれを利用し処分する意思)をもって、窃取した場合に成立します。
「窃取」とは、暴行・脅迫によることなく、占有者(Vさん)の意思に反してその占有を排除し、目的物(バック)を自己(Aさん)又は第三者の占有に移すことをいうとされています。
したがって、ひったくりは窃盗罪に当たる可能性があるといえます。
他方、強盗罪は、暴行・脅迫を財物奪取の直接的な手段として用いて他人の財物を強取した場合に成立する罪です。
つまり、財物奪取の手段としてこの暴行・脅迫を用いるか否かが窃盗罪とを区別するポイントとなります。
そして、強盗罪の暴行・脅迫は、相手方の反抗を抑圧するに足りる強度はものである必要があるとされています。
この点、まずAさんがVさんを左足で蹴る行為が「暴行」に当たると考えられます。そして、当該行為はVさんの自転車運転中になされたことなどを考えると、Vさんの反抗を抑圧するに足りる暴行に当たる可能性も十分にあります。また、当該行為を含めた一連の過程(バッグを引っ張るなど)が暴行に当たるとされる可能性もあります。
~家庭裁判所送致から少年審判まで~
家庭裁判所送致から少年審判までの流れは以下のとおりです。
①家庭裁判所送致&観護措置決定
↓
②少年鑑別所における鑑別、家庭裁判所調査官による調査等
↓
③少年審判
①の観護措置決定とは、通常、少年鑑別所へ収容する旨の決定のことをいいます。つまり、それまで警察署の留置場に収容されていた少年は、観護措置決定により少年鑑別所へ身柄を移送されます。
他方、勾留に代わる観護措置決定により少年鑑別所に収容されていた少年に対しては、家庭裁判所送致されると観護措置決定が出たものとみなされます(これを「みなし観護措置」といいます)。この場合、少年の収容場所は従前の少年鑑別所のままです。
収容期間は観護措置決定のときから「2週間」ですが、2週間更新することができるとされており、多くの事件では更新されていますから、通常、拘束期間は観護措置決定の日から「4週間」となります(例外あり)。ただし、不服申し立てによってはやめに釈放されることもあります。
この拘束期間中に、②少年鑑別所において専門技官による鑑別(専門的調査)を受けたり、家庭裁判所調査官による面談を受けるなどします。なお、面談を受けるのは少年に限らず、保護者などの少年の関係者など広く含まれます。
こうした調査の結果、家庭裁判所が少年審判を開くかどうか決定します。家庭裁判所が少年審判を開く必要がないと判断したときは、審判不開始決定を出します。
③少年審判が開かれた場合、少年審判では非行事実が認められるかどうか、認められるとして少年にどんな処分を下すことが適当か判断されます。
この処分のことを保護処分といいます。
保護処分には少年院送致、保護観察などがあります。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。お気軽にご相談ください。
中学3年生が無免許運転の疑いで逮捕
今回は、少年が無免許運転をしてしまった場合の弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
東京都練馬区内の公立中学3年生のAくん(15歳)は、イタズラ仲間A2らを誘い、自宅の車に乗り合わせて車道を走行していたところ、パトカーに停められてしまいました。
警察官はAくんらが無免許で自動車を運転していたことを確認すると、道路交通法違反(無免許運転)の疑いで、警視庁練馬警察署に現行犯逮捕しました。
Aくんの親はかなりショックを受けています。
どうすればよいのでしょうか。(フィクションです)
~Aくんらが疑われている犯罪~
無免許運転は立派な犯罪行為です。
道路交通法では、以下の通り、無免許運転行為を禁止しています。
※道路交通法第117条の2の2第1号(抜粋)
第百十七条の二の二 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 法令の規定による運転の免許を受けている者(第百七条の二の規定により国際運転免許証等で自動車等を運転することができることとされている者を含む。)でなければ運転し、又は操縦することができないこととされている車両等を当該免許を受けないで(法令の規定により当該免許の効力が停止されている場合を含む。)又は国際運転免許証等を所持しないで(第八十八条第一項第二号から第四号までのいずれかに該当している場合又は本邦に上陸をした日から起算して滞在期間が一年を超えている場合を含む。)運転した者
Aくんらが無免許運転の他に嫌疑をかけられていないことは、不幸中の幸いといえます。
また、Aくんらはまだ未成年であるため、少年法の適用があります。
したがって、上記の「三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」を言い渡されることは原則としてありません。
~Aくんらは今後どうなるか?~
Aくんらには少年法の適用がありますが、捜査段階においては刑事訴訟法の適用があるため、逮捕・勾留されてしまうという点では成人と同じです。
ケースにおいても、現にAくんらは現行犯逮捕されています。
まずは、早急に弁護士を依頼し、すぐに外へ出られるよう動いてもらいましょう。
Aくんらの親などが身元引受人になり、さらに、家庭環境にも問題がなければ、適切な弁護活動を行うことにより、早期に釈放される可能性があります。
逮捕後、勾留がついたり、家庭裁判所への送致後、観護措置がとられ、鑑別所に収容されてしまえば、長期間身体拘束を受けることになってしまいます。
その間、学校には行けなくなってしまうので、Aくんの進路にも弊害が生じる可能性があります。
弁護士は、捜査機関や裁判官に対し、少年を長期間勾留する弊害などを訴えかけ、身体拘束の長期化の阻止を図ります。
~家庭裁判所への送致~
家庭裁判所へ送致されると、Aくんについて、前述の「観護措置」をとるか否かが検討されます。
観護措置決定が出てしまうと、少年鑑別所に入らなければなりません。
観護措置決定の阻止のために動くことも重要な弁護活動です。
家庭裁判所へ送致されれば、Aくんの性格、資質や家庭環境、交友関係などが調査され、少年審判に役立てられます。
少年審判が開かれた場合において、Aくんが非行を行ったのが初めてであれば、「不処分」あるいは、「保護観察処分」が言い渡される可能性が高いと思われます。
「不処分」とは、Aくんの更生が期待できる場合に、特に保護処分をしないことをいいます。
「保護観察処分」とは、保護観察官や保護司などの指導・監督を受けながら、社会内で更生を図る処分です。
当然、不処分を獲得した方がAくんの将来に対する悪影響が少なくて済みますし、Aくん自身の負担も小さくて済むでしょう。
不処分を獲得できる可能性を高めるためには、少年審判が開かれる前から、Aくんの監護態勢、交友関係を見直し、準備を進める必要があります。
弁護士を依頼していれば、そのアドバイスが大いに役立つと思います。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が無免許運転事件を起こしてしまいお困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
恐喝罪と逮捕後の流れ
恐喝罪と逮捕後の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
東京都板橋区の高校に通うA君(17歳)は、同級生のB君と共に自宅近くのゲームセンターへ行きゲームを楽しんでいましたが、お金を使い果たしてしまいました。そんなとき、A君は見るからにA君よりも体格の劣っている中学生のV君(14歳)が一人でゲームを楽しんでいるのを見かけました。そこで、A君はB君に「あいつからカツアゲしよう。」と誘ったところ、B君もこの誘いに乗ってきたため、二人はV君に近づきました。そして、二人はV君を囲み、A君がV君に、「ねえ、君、どこ中?」「ちょっと金貸してくんね。」などと言いました。二人ははじめV君から断られましたが、B君が無理やりV君を一目のないところへ連れていき、さらにV君に「痛い目遭いたくないよね?」といいました。すると、B君がV君から千円札3枚を受け取りました。そして、A君とB君はこの3000円を使ってゲームなどを楽しみました。ところが、その後、A君とB君は恐喝罪で警視庁高島平警察署に逮捕されてしまいました。逮捕の通知を受けたA君の母親は逮捕後の流れを知りたくて、少年事件に詳しい弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)
~恐喝罪~
恐喝罪は刑法249条に規定されています
刑法249条
1項 人を恐喝して財物を交付させた者は10年以下の懲役に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
「恐喝」とは、財物の交付又は財産上不法の利益を得るために行われる「暴行」又は「脅迫」のことをいいますが、恐喝罪の場合、一般的に「脅迫」が行われることが多いと思われます。「暴行」、「脅迫」の程度は、相手方の反抗を抑圧するに至らない程度であること、つまり、相手方に畏怖あるいは困惑の念を抱かせる程度(人の意思決定、意思実行の自由を制限、妨害するに足りる程度)であることが必要とされています。
この点、体格の勝っている高校生が中学生のV君を人目のつかないところへ連れていき、「痛い目遭いたくないよね?」という行為は「脅迫」に当たるでしょう。
そして、恐喝罪が成立するには、①恐喝、②①による相手方の畏怖あるいは困惑、③畏怖、困惑した状態での財物の交付、という流れが繋がっていることが必要ですが、本件ではこの要件をすべて満たしそうです。
~少年事件と逮捕後の流れ~
もっとも、少年事件では、少年が罪に当たる行為をしたとしても直ちに上記の罰則により処罰されるわけではありません。
逮捕後、捜査が終了した後は家庭裁判所に送致され、基本手には少年の更生を目的とした保護処分を科されるのが通常です。
逮捕後の流れは、
①逮捕
↓
②警察官による弁解録取→釈放
↓
③送致(送検)
↓
④検察官による弁解録取→釈放
↓
⑤検察官による「勾留請求」OR「勾留に代わる観護措置請求」
↓
⑥勾留質問→釈放
↓
⑦裁判官による「勾留決定」OR「勾留に代わる観護措置決定」
という手続を踏みます(なお、この間、不服申し立て等により釈放を早めることも可能です)。
①から⑤まで最大で72時間拘束されます。
したがって、①から⑦まで概ね3日間を要します。
なお、②の段階、③の段階、⑥の段階で釈放されることがあります。
⑦勾留決定があった場合は、逮捕された際に収容された留置場へ収容されるでしょう。
⑦勾留に代わる観護措置決定があった場合は指定された少年鑑別所へ収容されます。
勾留の期間は、検察官の勾留請求があった日から「10日間」で、その後、やむを得ない事由がある場合は最大「10日間」延長されることがあります。
観護措置の期間も請求の日から「10日間」ですが、延長は認められていません。拘束された少年は上記の期間内に警察や検察の捜査を受け、事件を⑤家庭裁判所へ送致される手続を取られます。
⑧捜査
↓
⑨家庭裁判所送致
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。
占有離脱物横領で不処分
占有離脱物横領と不処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
~事例~
神奈川県平塚市に住む少年A君(16歳)は電車の座席に置き忘れている財布(Vさん所有)を見つけました。A君はしばらくそのままにしていましたが、誰も取りに来る様子がなく、周りに人もいなさそうだったことから、「自分のものにしてしまえ」と思い、その財布を手に持ったまま電車から降りました。ところが、後日、A君は神奈川県平塚警察署の警察官から占有離脱物横領罪の疑いをかけられ、警察署まで出頭するよう呼び出しを受けてしまいました。A君とA君の両親は不処分獲得のため、弁護士に無料法律相談を申し込みました。
(フィクションです。)
~占有離脱物横領罪~
占有離脱物横領罪は刑法254条に規定されています。
刑法254条
遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。
「遺失物」も「漂流物」も「その他占有を離れた他人の物(占有離脱物)」の例示です。
そして、「その他占有を離れた他人の物」とは、その物(本件でいえば財布)の持ち主の元(占有)から離れたものをいいます。
「横領」とは、簡単にいうと自分のものにすることです。
では、本件の電車の座席に置かれていた財布は、「持ち主の元から離れたもの」すなわち「占有離脱物」と言えるのでしょうか?
この点、Vさんの占有が及んでいない場合は占有離脱物といえますが、占有が及んでいる場合は「他人の物」として窃盗罪(刑法235条)の客体となります。
そして、財物に対して占有が及んでいるかどうかは、主として①支配の事実と②支配の意思によって判断されます。
例えば、財布をその持ち主が実際に手に持っているという場合には、①支配の事実が明白であり、占有が及んでいると認められるでしょう。
しかしながら、持ち主が財物を実際に手に持っていないという場合でも、例えば、マンションの自転車置き場に自分の自転車を置いているという場合には、実際に手に持っている場合に比べて①支配の事実が弱いとはいえ、自分の物として自転車置き場に置く意思があると考えられますので、②支配の意思があり、占有が及んでいると認められるでしょう。
~不処分決定~
少年(20歳未満の者)の場合は,少年の更生に主眼が置かれるため,警察や検察での捜査がある程度終了すると,事件は家庭裁判所に送致されるなど成人とは異なる手続きを踏むことになります。具体的には
①家庭裁判所送致&観護措置決定
↓
②少年鑑別所における鑑別、家庭裁判所調査官による調査等
↓
③少年審判
不処分(決定)とは,家庭裁判所における調査の結果,①保護処分に付することができない場合や②保護処分に付するまでの必要がない場合において,少年審判で保護処分に付さない旨の決定のことをいいます。
ご相談者の中には,審判不開始と混合して理解されている方もおられますが,審判不開始はそもそも少年審判を開く前の審判を開かない旨の決定,不処分決定は少年審判開いた上で,少年に対し保護処分を下さない旨の決定である点が異なります。
①とは,非行事実の存在が認められない場合(無罪判決に相当)などが当たります。
②とは,審判までに少年が更生し,要保護性(つまり,矯正施設による保護の必要性)がなくなった場合,非行事実が極めて軽微な場合などをいいます。
不処分決定が出される場合の多くが②の場合です。
ですから,不処分決定を獲得するためには,少年審判が開かれる前に,まずは少年自身に内省していただき,少年の更生のために,ご家族,学校,その他少年に関わる環境を整える必要があります。それにはご依頼を受けた弁護人はもちろん調査官などの専門家が関与しますが,何よりまずはご家族様のご協力が不可欠です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件専門の法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、まずは0120-631-881までお気軽にお電話ください。無料法律相談、初回接見サービスを24時間体制で受け付けております。無料相談や初回接見後のご報告では、事件の見通しや、刑事手続の説明の他、弁護士費用などについてご納得いただけるまでご説明させていただきます。
家裁送致前の少年の収容場所
家裁送致前の少年の収容場所について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。
~事例~
埼玉県深谷市の学校に通う専門学校生のA君(18歳)は通学電車内で盗撮をしたとして、埼玉県深谷警察署の警察官に埼玉県迷惑行為防止条例違反により現行犯人逮捕されてしまいました。逮捕の連絡を受けたAさんの母親は、まず息子がどんなことをして疑いをかけられているのか、どこに拘束されているかなどをきちんと確かめるため、A君との接見を弁護士に依頼しました。
(フィクションです。)
~少年法上の「少年」とは~
少年法上、「少年」とは、20歳に満たない者をいい、男子であろうと女子であろうと少年法上は「少年」と呼ばれます。また、年齢を基準に判断されるため、学歴、就職の有無等も関係ありません。
~逮捕直後の収容先~
警察に逮捕されると、少年であっても
警察の留置施設(一般的に留置場と呼ばれています)
に収容されます。
留置施設は、各都道府県警察に設置される施設です。つまり、警察署内に設けられており、拘束されるとそこでの生活を強いられることになります。8畳ほどの広さの部屋(居室)が何か所か設けられ、共同で生活しなければなりません。もちろん、プライベートなど考えられていません。留置施設には少年のほか、20歳以上の成人も収容されていますが、少年法では少年と成人とを分離して収容しなければならないとされています。少年に対して悪影響が及ぶことを避けるためでしょう。
~逮捕後の収容先~
少年の場合、逮捕後は、検察官に①勾留請求された場合と、②勾留に代わる観護措置請求された場合とで収容される場所が異なります(なお、請求後、決定までに釈放されることもありますが、ここでは釈放されなかったことを前提に話を進めていきます)。
①検察官に勾留請求され、それが裁判官によって許可されると、通常、少年は逮捕直後に収容された「留置施設」に収容されることになります。なお、稀に検察官が勾留請求しても、裁判官の判断によって「少年鑑別所」に収容されることがあります(勾留に代わる観護措置決定)。
②検察官に勾留に代わる観護措置請求(※)され、それが裁判官によって許可されれば、収容先は「留置施設」から「少年鑑別所」へ変更となります(移送されます)。
なお、少年鑑別所は、少年の身柄を確保しつつ心身の鑑別を行う施設で、家裁送致後は、「鑑別」、すなわち、医学、心理学、教育学、社会学などの専門的知見から、非行等に影響を及ぼした資質上及び環境上問題となる事情を明らかにするための法務技官による面接や各種心理検査などを受けることが予定されています。したがって、観護措置が必要か否かも、主に、収容鑑別を実施する必要があるか否かという観点から判断されることになります。
※勾留に代わる観護措置とは?
検察官は,少年の被疑事件において,やむを得ない場合でなければ,裁判官に対して勾留を請求することができません(少年法4条3項)。少年事件において,勾留はあくまで例外的措置となっています。やむを得ない場合はないが,引き続き少年の身柄を拘束する必要がある場合は,少年の身柄を少年鑑別所に収容することができます。これを,勾留に代わる観護措置(少年法43条1項等)といいます(ただし,実務上は,勾留に代わる観護措置がなされることはあまりありません)。なお,やむを得ない場合とは,事件が重大・複雑で捜査に相当日数を必要とする場合,捜査担当の警察署から少年鑑別所までの距離が離れており,少年に対する取調べ等に支障をきたすことなどが挙げられます。勾留に代わる観護措置の期間は検察官が請求をしてから10日間で,期間の延長は認められていません(少年法44条3項)。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に取り扱う法律事務所です。刑事事件・少年事件でお困りの方は、弊所までお気軽にご相談ください。24時間、無料法律相談、初回接見サービスを受け付けております。
強要罪で少年院回避
大阪府和泉市の強要事件における少年院回避について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。
【事例】
大阪府和泉市に住むAさん(18歳)は、コンビニで弁当を買った際、従業員のVさんが割り箸をつけなかったことに怒りを覚えました。
そのことをVさんに指摘したところ、Vさんはしぶしぶ謝罪するような態度を見せたことから、Aさんは激怒して土下座を要求しました。
Vさんは、Aさんに「てめえいい加減にしないと殴るぞ」などと言われたことから、さすがにまずいと思い土下座をしました。
後日、Vさんが大阪府和泉警察署に被害届を提出したことがきっかけとなり、Aさんは強要罪の疑いで逮捕されました。
(フィクションです)
【強要罪について】
第二百二十三条
生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。
暴行や脅迫を手段として、他人に本来行う必要のない行為を無理やり行わせた場合、強要罪が成立する可能性があります。
最近時々見られる土下座強要も、それに至る過程で脅迫や暴行が加えられていれば、強要罪が成立すると考えられます。
強要罪は、他人の自由な意思決定を妨げることを問題視する罪だとされています。
そのため、手段となる暴行や脅迫は、相手方を畏怖させるに足りる程度のものでなければならないと考えられています。
また、たとえ暴行や脅迫がその程度に至っていたとしても、それと結果との間に因果関係が存在する必要があります。
ですので、たとえば被害者が憐れみの情を感じて行為に及んだ場合は、畏怖によってなされた行為でないため強要未遂罪が成立するにとどまるということになります。
【少年院を回避するには】
20歳未満の者が罪を犯した場合、その事件は通常の刑事事件ではなく少年事件として扱われるのが原則です。
少年事件は逆送されない限り刑罰が科されず、その代わりに保護処分という少年の更生に向けた措置がとられることになります。
保護処分には、①保護観察、②児童自立支援施設・児童養護施設送致、③少年院送致の3つがあります。
このうち最もよく耳にするのは③少年院送致ではないかと思います。
少年院送致とは、その名のとおり少年を少年院に入院させ、そこでの生活を通して更生を図るための保護処分です。
一般的に、少年院送致が行われるのは、家庭や学校・職場といった少年の現在の環境では更生が達成しづらいケースです。
そうしたケースに当たるかどうかの判断は、少年事件が家庭裁判所に送致された後で行われる調査と、それを受けて必要に応じて行われる少年審判によります。
これらの手続を経て、少年自身や周囲の力でどの程度更生が見込めるか確かめられ、最終的な保護処分が決められることになるのです。
少年院送致を阻止するためには、第一に少年の更生が実現できる環境をきちんと整える必要があります。
それは少年自身の問題にとどまらず、主に保護者をはじめとする少年の周囲の問題でもあります。
大切なのは、悪いことをしたからといって少年を責めたりせず、非行に至った原因を紐解いてきちんと少年に向き合うことです。
具体的に何をすればいいかは少年ひとりひとりにより違うので、困ったら少年事件に詳しい弁護士に聞いてみてもよいでしょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件に強い弁護士が、少年院送致を回避するために行うべきことを丁寧にお伝えします。
お子さんが強要罪を犯してしまったら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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