トイレで出産した子を見捨て保護責任者遺棄罪

2020-05-22

今回は、妊娠した16歳の少女がトイレで子を出産し、これを見捨てた場合に成立する犯罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

さいたま市北区に住む16歳の女子高生Aは、急に産気づいたため、近くのトイレに駆け込み子を出産しました。
しかし、自宅に連れて帰ることもできず、また、自身で育てることもできなかったので、そのままトイレに置いて帰宅しました。
数時間後、トイレから鳴き声を聞いた近隣住民と警察官により、新生児は無事に保護されました。
Aは後日、埼玉県大宮警察署保護責任者遺棄罪の疑いで逮捕されてしまいました。(フィクションです)

~保護責任者遺棄罪について解説~

刑法第218条は、「老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する」としています。

Aが出産した子は上記「幼年者」に該当する可能性が極めて高いと思われます。
Aは出産した子の母親に該当するので、「幼年者を保護する責任のある者」とされる可能性が高いです。

刑法第218条の「遺棄」には、被遺棄者を場所的に移転させる「移置」の他、「置き去り」のように、被遺棄者を危険な場所に遺留して立ち去る行為も含まれます。
トイレにおいて新生児を出産した後、そのままこれを置き去りにする行為は通常、「遺棄」に該当するでしょう。

なお、新生児を遺棄したことにより、新生児に死傷結果が生じた場合においては、保護責任者遺棄致死傷罪が成立し、より重く処罰されうることになります。

以上の事実関係によれば、Aに保護責任者遺棄罪が成立する可能性が高いと思われます。

~今後の手続~

Aは少年(少女)ですから、少年法の適用があります。
少年法による手続は、原則として刑罰を科すことを目的とするものではなく、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分及び少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的としています(少年法第1条)。

(逮捕後の手続)
捜査段階において逮捕・勾留されうる、という点では成人と同じです。

(家庭裁判所への送致)
検察官は、原則として全ての事件を家庭裁判所送致します。
家裁へ送致された後は、Aについて観護措置をとるかどうかが決定されます。
観護措置がとられた場合においては、数週間、少年鑑別所に収容され、Aの心身や家庭環境、交友関係について調査されることになります。

(少年審判の結果)
少年審判が開始されると、Aに必要な保護処分が言い渡されることになります(「不処分」という決定もあります)。

保護処分の種類には①少年院送致、②保護観察処分、③児童自立支援施設または児童養護施設送致があります。

ケースの場合は、①あるいは②の処分を言い渡される可能性が高いのではないでしょうか。

少年院に送致されると、特別の場合を除いては外出できないので、Aにかかる負担も重くなります。

保護観察処分は、在宅でAの改善更正を図る処分です。
当然ですが、少年院送致と比べてこちらの方が負担が軽いと言えるため、保護観察処分の獲得を目指したいところです。

しかし、Aがケースの犯行に至ったきっかけは、妊娠してしまったが誰にも相談することができず、適切な対処法を講じることができなかったという点にあるのではないでしょうか。
すると、Aの家庭環境は理想的とはいえないかもしれません。

Aにとって有利な処分を獲得するためには、交友関係の見直し、家庭環境の見直しを行うことが重要です。
弁護士のアドバイスを受けながら、より有利な事件解決を目指して行動していく必要があると思われます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
娘様が保護責任者遺棄事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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