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(事例紹介)強盗罪の疑いで15〜19歳の少年少女ら4人を逮捕

2023-09-06

(事例紹介)強盗罪の疑いで15〜19歳の少年少女ら4人を逮捕

マッチングアプリで男性を誘い出し、脅迫や暴行を加えて現金を奪ったとして、強盗罪の疑いで15〜19歳の少年少女ら4人が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

・参考事例

福岡県警中央署は6日、強盗容疑で15~19歳の少年3人と19歳の少女を逮捕したと発表した。4人とも容疑をおおむね認めているという。

発表によると、4人は6月3日午前1時45分ごろ、福岡市中央区にある雑居ビル敷地内で、会社員男性(52)を「財布を出せ」などと脅し殴るなどの暴行を加え、現金約2万2千円を奪った疑いがある。

19歳の少年が、女性のような名前で登録したマッチングアプリを通じて男性と知り合い、ビル付近で待ち合わせた。その場ではまず、19歳の少女が男性と会い、その後、この少年を含む3人が現れ、犯行に及んだとみられるという。

(※2023年9月6日に『朝日新聞デジタル』で配信された「マッチングアプリで誘い、強盗の疑い 少年少女4人を逮捕 福岡県警」記事の一部を引用しています。)

・強盗罪とは

今回の事例で、少年少女らは強盗罪の疑いで逮捕されています。
強盗罪については、刑法第236条で以下のように規定されています。

  • 刑法第236条(強盗)
    暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取したものは、強盗の罪とし、5年以上の有期懲役に処する。
     前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

強盗罪は、暴行又は脅迫を用いて他人の財物強取した場合に成立します。
簡単に説明すると、殴る蹴るなどの暴力を加えたり脅したりして、他人の物を奪い取る行為を指します。

強盗罪における「暴行又は脅迫」とは、被害者の反抗を抑圧する程度であることが必要です。

今回の事例で考えると、逮捕された少年らは、マッチングアプリで男性を誘い出し、その後、「財布を出せ」と脅し、殴るなどの暴行を加えて現金を奪い取っています。
つまり、暴行と脅迫を用いて他人の財物を強取しているため、強盗罪が成立するということになります。

・少年が逮捕されるとどうなる?

刑法における「少年」とは20歳に満たない者を指し、この少年が刑事事件を起こすと「少年事件」として扱われます。
20歳以上の者(成人)が起こした刑事事件は「成人事件」として扱われます。

少年事件では、全ての事件が原則として家庭裁判所に送致される全件送致主義がとられていたり、成人事件における公判(裁判)ではなく審判として、「少年の健全な育成」を目的とした保護主義がとられていたりと、成人事件とは異なる特徴があります。

ただ、今回の事例のように、少年事件でも捜査段階においては成人事件と同様なので、逮捕勾留はされます。
逮捕や勾留は身柄が拘束されてしまうため、学校に通うことができなくなったり学校に事件を起こしたことが発覚したりして、退学処分を受けてしまうおそれもあります。

・少年事件で弁護士に依頼するメリット

前述したように、少年事件においても成人事件と同様に逮捕や勾留がなされる可能性はあります。
その際には、早急に弁護士に刑事弁護活動を依頼することで、弁護士が身柄解放のための手続き等を進めてくれるので、早期釈放の可能性も高まります。

また、家庭裁判所に事件が送致された場合でも、弁護士ができる限り軽い処分を獲得できるような活動に尽力してくれます。
弁護士に少年事件の刑事弁護活動を依頼する際は、少年事件の弁護・付添人活動の実績を多数持つ専門の弁護士に依頼することがお勧めです。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件に特化した専門の法律事務所です。
お子様が刑事事件を起こしてしまい、今後どうなるか不安な方は、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)またはお問い合わせメールよりご連絡ください。

(報道事例)出頭要請を無視し続けた16歳の少年を逮捕

2023-08-30

(報道事例)出頭要請を無視し続けた16歳の少年を逮捕

15歳の男子中学生に対して顔や上半身などを殴り、怪我をさせたとして傷害罪の疑いで出頭要請を受けていた16歳の少年が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件が詳しく解説します。

・参考事例

3月下旬、北海道函館市の商業施設の敷地内で、15歳の男子中学生の顔や上半身などを殴り、けがをさせたとして、16歳の少年が逮捕されました。

傷害の疑いで逮捕されたのは、住所不定、16歳の会社員の少年です。
この少年は3月30日、函館市梁川町の商業施設の敷地内で、顔見知りの15歳の男子中学生の顔や上半身などを殴り、けがをさせた疑いが持たれています。

男子中学生は、頭部の傷、手や指の捻挫、太ももの打撲など、全治10日ほどのけがをしています。

現場で目撃した別の少年が交番に届け出て、警察は、少年を割り出し、再三にわたって出頭するよう求めていましたが、少年が応じなかったため、逮捕しました。
(※2023年8月27日に『Yahoo! JAPANニュース』で配信された「少年らの“たまり場”でトラブル、年下の男子中学生に“ヤキ”を…再三の出頭要請を無視、約5か月後に16歳の会社員を逮捕」の内容を一部引用しています。)

・出頭要請とは

今回の事例では、逮捕された少年は警察からの出頭要請を無視し続けていました。
出頭要請とは、警察や検察などの捜査機関が刑事事件の捜査をする上で取り調べる必要があると判断された人に対して、警察署や検察庁への出頭を求めることです。
出頭要請については、刑事訴訟法第198条で以下のように規定されています。

  • 刑事訴訟法第198条
    検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。

ただ、出頭要請は強制ではありません。
条文の但書にも記載されているように、被疑者は出頭を拒むことができます。
つまり、出頭要請に応じて出頭するかどうかは出頭要請を受けた人次第ということです。

また、出頭要請は犯罪の疑いをかけられている被疑者だけでなく、事件を目撃した人や事件の関係者などの第三者も「参考人」として呼び出されることもあります。

・出頭要請を無視し続けるとどうなる?

前述したように、出頭要請は強制ではないため、出頭を拒むことができます。
ただ、出頭要請を拒み続ければ、警察や検察などの捜査機関が「このまま被疑者が出頭しなければ、逃亡するおそれ証拠を隠滅するおそれがあるから、身柄を拘束する必要がある」と判断し、身柄を拘束するために逮捕される可能性があります。

今回の事例でも、少年は警察からの出頭要請を無視し続けたため、逮捕されています。

・お子様が出頭要請を受けて不安な方は

急に自宅に警察からお子様に対する出頭要請の連絡が来てしまうと、どうすればいいか不安になる方がほとんどです。
そんな時は、まずは弁護士に相談することをお勧めします。
弁護士がお子様から事実関係を伺い、お子様が出頭した後にどのような流れになっていくのか、今後の見通しなどについて詳しく説明してくれます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件の弁護活動を担当した実績を持つ刑事事件少年事件に特化した専門の法律事務所です。
お子様が出頭要請を受けていて不安に感じている方は、24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)またはお問い合わせメールより、ご連絡ください。

(事例紹介)仲間の顔を殴り怪我を負わせた少年4人を逮捕

2023-08-16

(事例紹介)仲間の顔を殴り怪我を負わせた少年4人を逮捕

仲間の顔を殴ったり、背中にたばこの火を押しつけたりするなどをして怪我を負わせたとして、15歳から16歳の少年4人が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

・参考事例

神奈川県警少年捜査課と都筑署は6日までに、傷害の疑いで、横浜市都筑区や緑区に住む、15、16歳で無職や高校1年の少年4人を逮捕した。

4人の逮捕容疑は、共謀し、9月12日午前0時45分ごろから約3時間、同市都筑区の河川敷で、高校1年の男子生徒(16)の顔を殴ったり、背中にたばこの火を押し付けたりするなどし、約2~4週間のけがを負わせた、としている。

署によると、4人はいずれも容疑を認めている。
4人と被害生徒は地元の仲間で、署は何らかのトラブルがあったとみて調べている。
(※2022年10月6日に『カナコロ』で掲載された仲間の顔を殴り、背中にたばこの火 容疑の少年4人逮捕の内容を引用しています。)

・少年らに問われる罪

今回の事例で逮捕された4人の少年の行動は、傷害罪に問われる可能性があります。
傷害罪については、刑法第204条で以下のように規定されています。

  • 刑法第204条(傷害)
    人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に書する。

傷害罪は、暴行罪の結果的加重犯とされています。
「結果的加重犯」とは、加害者の行為が意図していなかった重い結果になった場合、重い結果に対する犯罪の成立を認めることを指します。
つまり、重い方の結果に対して加害者の故意がなかったとしても、加害者が最初に行った犯罪に対する故意があれば、重い結果に対する犯罪も成立するということです。

今回の傷害罪で考えると、傷害罪は暴行を加えた結果、被害者が傷害(怪我)を負うことで成立します。
暴行を加えた結果、被害者が怪我を負わなければ刑法第208条の暴行罪が成立しますが、怪我を負うと傷害罪が成立します。

加害者が被害者に怪我を負わせるつもりがない(傷害罪の故意がない)状態で暴行を加えた結果、被害者が怪我を負ってしまったとしても、傷害罪の成立は暴行の故意(暴行罪の故意)があれば成立するということが結果的加重犯の考え方です。

今回の事例で、少年らは被害者の少年に対して、顔を殴ったり背中にたばこの火を押しつけたりといった暴行を加えた結果、約2〜4週間の怪我を負わせています。
暴行を加えた結果、被害者の少年に対して約2〜4週間の怪我を負わせているため、少年らには傷害罪が成立する可能性が高いです。

・逮捕された少年の流れ

刑法における「少年」は20歳未満の者を指します。
少年が刑事事件(=少年事件)を起こして逮捕された場合と、成人が刑事事件(=成人事件)を起こして逮捕された場合は、少し手続きの流れが変わります。

捜査段階での手続きは少年事件も成人事件も変わりません。
警察が逮捕して48時間以内に検察官に身柄を送致され、検察官が24時間以内に勾留をするのかどうか判断します。
ただ、少年事件の場合は、検察に送致された後、勾留だけでなく「勾留に代わる観護措置」がとられる場合があります。

また、少年事件は「全件送致主義」がとられていることも、成人事件との大きな違いです。
全件送致主義とは、捜査の結果、少年に対して罪を犯した疑いがあると判断された場合は、原則全ての事件を家庭裁判所に送致することです。

家庭裁判所に送致された後は、少年に対する調査が行われ、最終的な処遇を審判で裁判官が決定します。

・傷害罪でお子様が逮捕されてしまったら弁護士へ

お子様が傷害罪で逮捕されてしまった場合は、弁護士へ弁護活動を依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、傷害罪による少年事件はもちろん、様々な少年事件の弁護活動を担当した実績を持つ刑事事件少年事件に特化した法律事務所です。
お子様が逮捕されてしまえば、今後どうなるか不安になる方がほとんどなので、自分だけで抱え込まずにまずは弁護士に相談しましょう。

24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−881)お問い合わせメールより、ご連絡をお待ちしております。

(事例紹介)友人を監禁後に暴行を加えた18歳の少年を逮捕

2023-08-09

(事例紹介)友人を監禁後に暴行を加えた18歳の少年を逮捕

友人を車で監禁した後に暴行を加えて傷害を負わせたとして、18歳の少年2人が傷害罪と逮捕・監禁罪で逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

・参考事例

友人の16歳の少年を車に乗せて監禁したとして、警視庁少年事件課は、逮捕監禁の疑いで、東京都小平市のアルバイトの男(18)と、東大和市の塗装工の男(18)を逮捕した。
2人は調べに対し、容疑を認めているという。

逮捕容疑は、6月3日午後8時半ごろ、友人でとび職の少年(16)を東村山市内に呼び出し、塗装工の男の車に無理やり押し込み、約30分間、車内に監禁したとしている。

小平市内で少年を車から降ろしたが、アルバイトの男は、男が住む団地の階段の手すりに、結束バンドで少年を縛り、竹ぼうきや金属バットで殴り、けがを負わせた疑いがある。
同課は、アルバイトの男を傷害と逮捕監禁の容疑で追送検した。

少年事件課は、少年とアルバイトの男との間で、金銭トラブルがあったとみている。
(※2023年8月4日に朝日新聞デジタルで掲載された記事の内容を引用しています。)

・傷害罪とは

今回の事例で、少年らが友人に対して行った行為の一つとして、傷害罪が成立しています。
傷害罪については、刑法第204条で以下のように規定されています。

  • 刑法第204条(傷害)
    人の身体を損害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

傷害罪に似ている罪として刑法第208条で規定されている暴行罪がありますが、傷害罪と暴行罪の大きな違いは「暴行を加えた結果、相手に傷害を負わせたかどうかです。
暴行を加えた結果、相手に傷害を負わせていなければ暴行罪が成立し、相手に傷害を負わせた場合は傷害罪が成立します。

今回の事例では、少年らは友人に対して、竹ぼうきや金属バットで殴るという暴行行為を行った結果、相手に怪我を負わせているため、傷害罪が成立するということになります。

・逮捕・監禁罪とは

少年らには、前述した傷害罪以外にも、逮捕・監禁罪が成立しています。
逮捕・罪については、刑法第220条で以下のように規定されています。

  • 刑法第220条(逮捕及び監禁)
    不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

逮捕・監禁罪は、不法」に人を「逮捕・監禁」することで成立します。
ここでの「不法」とは「違法」と同じ意味で、警察官による逮捕や私人でも認められている現行犯逮捕、検察庁や裁判所によって行われる勾留など、適法に行われるもの以外での逮捕や監禁を指します。

また、逮捕・監禁とは、いずれも人の行動の自由を奪う行為ですが、意味合いが少し異なります。
「逮捕」とは「人の体を直接拘束することを指し、「監禁」とは「一定の区域からの脱出を不可能又は著しく困難にすることを指します。
相手の手足を縛って身動きが取れないようにすることは逮捕の典型で、部屋に閉じ込めて出られないようにすることが監禁の典型です。

今回の事例では、少年らは友人を車に無理やり押し込み、約30分間脱出ができない状態にしたことと、車から降ろした後に結束バンドで少年を縛っていることで、逮捕・監禁罪が成立するということになります。

・少年が逮捕された場合の流れ

成人が逮捕された刑事事件と、少年(刑事事件における20歳未満の者)が逮捕される刑事事件では、逮捕された後の流れが異なります。
警察が逮捕・取調べを行った後に検察に送致されるまでは成人と同じ流れですが、少年の場合、検察に送致された後については、原則全ての事件が家庭裁判所に送致されます。

また、今回の事例のような18歳や19歳の少年については特定少年として扱われ、家庭裁判所に送致された後に事件を検察官に戻す逆送」の対象になる事件の範囲が拡大されたり、少年において禁止されている実名報道が可能になったり、少年審判における保護処分の内容が限定されたりと、18歳未満の少年事件と異なる手続きが可能になります。

・傷害罪や逮捕・監禁罪でお子様が逮捕されてしまったら弁護士へ

お子様が傷害罪や逮捕・監禁罪で逮捕されてしまった場合は、弁護士へ刑事弁護活動を依頼することをお勧めします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件の刑事弁護活動を担当した実績を持つ刑事事件少年事件に特化した法律事務所です。
警察から急にお子様が逮捕されたと連絡が来て、今後どうなるか不安に感じている方は、まずは24時間受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)お問い合わせメールより、ご相談ください。

(事例紹介)建造物損壊罪と威力業務妨害罪で少年ら3人を逮捕

2023-08-02

(事例紹介)建造物損壊罪と威力業務妨害罪で少年ら3人を逮捕

警察署に対する建造物損壊罪と威力業務妨害罪で、20歳未満の少年ら3人が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が詳しく解説します。

・参考事例

18~19歳の少年3人が、東京都にある警視庁昭島警察署の玄関前で、消火器の消火剤を噴射し、複数回打ち上げ花火を発射。

消火器を投げつけ、玄関扉の強化ガラス1枚(約27万円相当)を破壊したとして、同署は少年らを建造物損壊罪威力業務妨害罪の容疑で逮捕しました。

警察からの取調べに対し、少年らは「仲間が逮捕された仕返しをした」と容疑を認めています。
(※2023年5月30日に『朝日新聞デジタル』で掲載された記事の内容を一部変更しています。)

・威力業務妨害罪とは

今回の事例で、少年らが警視庁昭島警察署に対して行った行為は、威力業務妨害罪が成立しています。
威力業務妨害罪については、刑法第234条で以下のように規定されています。

  • 刑法第234条(威力業務妨害)
    威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。

上記条文に記載されている「前条の例」とは、刑法第233条で規定されている信用毀損罪・偽計業務妨害罪と同様の罰則であることを指しています。

  • 刑法第233条(信用及び業務妨害)
    虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

つまり、威力業務妨害罪は、威力を用いて人の業務を妨害した者に対し、「3年以下の懲役又は50万円以下の罰金」の罰則を与える罪ということです。

「威力」とは、人の意思を制圧するに足る勢力の使用を指し、今回の事例で考えると、警察署の玄関で消火器を噴射したり打ち上げ花火を発射させる行為は、警察署に出入りしようとする人を制圧する行為に該当するため、少年らの行為は威力業務妨害罪が成立するということになります。

ちなみに、「警察署に対する業務妨害は公務執行妨害罪ではないのか?」と思った方もいるのではないでしょうか。

公務執行妨害罪が成立する行為は、公務員が職務を執行しているときに暴行・脅迫を加える行為です。

今回の事例で考えると、少年らの行為は、公務員である警察官ではなく警察署に対する行為だったため、公務執行妨害罪ではなく威力業務妨害罪が成立するということです。

・建造物損壊罪とは

今回の事例で、少年らは前述した威力業務妨害罪とは別に、建造物損壊罪の容疑もかけられています。
建造物損壊罪については、刑法第260条で以下のように規定されています。

  • 刑法第260条(建造物等損壊及び同致死傷)
    他人の建造物又は艦船を損壊した者は、五年以下の懲役に処する。よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。

建造物損壊罪が指す「損壊」の定義とは、建造物の本来の効用を滅却あるいは減損させる一切の行為とされています。

少年らは、警察署の玄関扉に消火器を投げつけ、玄関扉の強化ガラス1枚を破壊しているので、建造物である警察署の効用を減損させたとして、建造物損壊罪が成立します。

・少年事件の流れ

今回の事件で逮捕されたのは、18~19歳の少年です。

刑事事件において、20歳未満の者は「少年」として扱われ、成人が刑事事件を起こした場合に行う刑事手続きとは違う手続きが行われます。

警察が逮捕・取調べをして検察に送致するまでは成人も少年も同じ流れですが、少年の場合は、検察に送致された後は原則全ての事件が家庭裁判所に送致されます。

家庭裁判所に送致後は、送致された少年の法的調査と社会調査を行い、調査の結果を踏まえて、裁判官が審判(=少年事件における裁判のこと)にかけるかどうかを判断し、審判にかける場合は少年に対する最終的な処遇を決定します。

少年事件の詳しい流れについては、以下の記事でより詳しく解説しています。

少年事件・少年犯罪の流れ

・子どもが威力業務妨害罪・建造物損壊罪による少年事件を起こしてしまった方へ

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件に特化している専門の弁護士事務所です。

威力業務妨害罪や建造物損壊罪はもちろん、様々な少年事件の弁護活動・付添人活動を数多く行ってきた実績を持つ弁護士が多数在籍しています。

子どもが少年事件を起こしてしまったという方は、まずは弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。
初回無料の法律相談や、逮捕されている場合の初回接見サービスを提供していますので、ご予約の際は24時間受付中のフリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

(事例紹介)わいせつ行為を女児にしたことで男子高校生逮捕

2023-05-24

(事例紹介)わいせつ行為を女児にしたことで男子高校生逮捕

20歳未満の少年が、13歳未満の児童に対して起こしたとされる強制わいせつ事件の報道を踏まえて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

奈良市内の路上で9歳の女の子に声を掛け、わいせつな行為をした疑いで男子高校生が逮捕されました。
強制わいせつの疑いで逮捕されたのは奈良県…内に住む男子高校生(16)です。

男子高校生はことし4月、奈良市内の路上で犬の散歩をしていた9歳の女の子に声を掛けて、着衣の上から胸や陰部など身体を触った疑いが持たれています。

警察によると男子高校生と女の子の間に面識はなく、被害に遭った女の子が帰宅後、母親に相談し、母親が警察に通報したことで事件が発覚しました。
付近の防犯カメラには男子高校生が乗っていたとみられる原付バイクが映っていてバイクのナンバーなどから男子高校生を割り出したということです。

男子高校生は「僕がしたことに間違いありません」と容疑を認めていますが、「女の子に『触らせて』と言ったら、うなずいたように見えたので、触りました」と話しているということです。

(関西テレビ 令和5年5月9日(火) 14時32分配信 「「犬の散歩中」9歳女児に声掛け“わいせつ行為”16歳男子高生を逮捕 女児が帰宅後に母親と相談し通報」より引用。一部固有名詞を「…」としています。)

・強制わいせつ罪

ニュースで逮捕された少年は、強制わいせつ罪の疑いで逮捕されているようです。
強制わいせつ罪は、刑法で以下のとおり定められています。

刑法第176条
13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

わいせつな行為とは、被害者の性的羞恥心を害し、かつ一般に性的羞恥心を害されるであろうと認識される行為のことです。
参考事例の胸を揉む、陰部に触れるといった行為については、この「わいせつな行為」に該当すると考えられます。

なお、今回の参考事例については、被害者が9歳と報じられています。
被害者が13歳以上の場合には「暴行又は脅迫」を用いることが強制わいせつ罪の構成要件(成立要件)とされていますが、被害者が13歳未満の場合、暴行や脅迫は要件とされていません。
そのため、参考事例の報道では「女の子に『触らせて』と言ったら、うなずいたように見えた」とされていますが、被害者が9歳であることから、同意の有無は強制わいせつ罪の成立に影響しないと考えられます。

・少年事件の流れ

20歳以上の成人が強制わいせつ事件を起こし有罪となった場合、上述した刑法176条に従って「6月以上10年以下の懲役」の範囲で刑事罰が科せられます。
しかし、20歳未満の者が起こした事件については少年事件として扱われ、原則として刑事罰ではなく保護処分が課せられます。

犯罪が起きた場合には捜査機関による捜査が行われますが、14歳以上の少年(犯罪少年)については、原則として成人の刑事事件と同様に捜査が行われます。
捜査に際し身柄拘束が必要と判断された場合には逮捕・勾留される場合もあります。

捜査機関が捜査を終えた時点で、成人の刑事事件であれば検察官が起訴するかどうかの判断をし、起訴するべき事件は各地方裁判所・簡易裁判所に起訴されます。
しかし、少年事件の場合、原則としてすべての事件で家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所では、最終的に(審判不開始の事案を除き)保護処分を課すか等の判断を行う「少年審判」が開かれますが、そのためには少年の性格や保護者の監督状況について把握する必要があります。
そこで行われるのが、家庭裁判所調査官による調査面談や、少年鑑別所で行われる観護措置などです。
少年事件では、事件の内容は重要ですが、事件の内容だけで処分が決まるわけではありません。
成人であれば執行猶予付きの判決が言い渡されるような事件であっても、調査官面談の結果や少年鑑別所での行動観察等により少年院送致・児童自立支援施設といった施設に送致される可能性があります。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件および少年事件を専門に取り扱う弁護士事務所です。
当事務所の弁護士は、これまで数多くの少年事件で弁護活動・付添人活動を行ってまいりました。
在宅の少年事件であれば事務所にて無料法律相談を行うことができるほか、お子さんが強制わいせつ罪などの少年事件で逮捕・勾留されている場合には弁護士が留置先で接見を行う初回接見サービス(有料)のご案内を致します。
ご予約は0120-631-881(24時間365日予約受付)まで。

大麻所持事件で少年が逮捕

2023-02-15

大麻所持事件で少年が逮捕

我が国では法禁物とされている大麻所持事件で問題となる罪と、少年事件の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

【ケース】

福岡県北九州市在住のAさんは、北九州市内の大学に通う大学1年生(18歳)です。
Aさんは、北九州市内の駐車場にて、友人と一緒に乾燥大麻を使用していたところ北九州市内を管轄する折尾警察署の警察官に目撃されました。
Aさんは「20歳未満の少年なので逮捕されないだろう」と安易に考えていましたが、折尾警察署の警察官によって逮捕されました。

≪ケースはすべてフィクションです。≫

【大麻について】

大麻には、乾燥大麻(マリファナ)・大麻樹脂(ハシッシュ)・液体大麻(ハッシュオイル)等の種類があります。
乾燥大麻大麻草を乾燥させた物で、ジョイント(紙に巻いてタバコのように吸う)のほかパイプやボングに詰めて点火して吸引することが一般的です。
大麻樹脂は樹脂等を磨り潰して固めた物で、乾燥大麻同様タバコのように喫煙されます。
液体大麻は葉や樹脂を煮詰めて抽出される液体で、加熱して発生させた蒸気を吸い込むことで効果を得ます。
上記のほか、経口摂取することでも効果を得られるとされています。

大麻を摂取すると、血中にTHCという物質が流れ込み、脳の神経細胞の受容体と結合することで神経細胞に影響を与えます。
これにより、いわゆる陶酔状態に陥ることが出来ます。
一方で、心拍数の増加や悪心、嘔吐といった急性効果や、心拍数の上昇で脳細胞の細胞膜を傷つけ脳障害や幻覚、妄想等の悪影響を及ぼす可能性があります。
気管支や肺に障害をもたらすこともあります。
加えて大麻には、使用しないことで不安に陥る「精神依存」と使用中止後に離脱症状に陥る「身体依存」の2つの依存性があると言われています。

【大麻の所持について】

大麻の所持については、大麻取締法で以下のとおり禁止されています。

大麻取締法24条の2第1項 大麻を、みだりに、所持し、譲り受け、又は譲り渡した者は、5年以下の懲役に処する。

【少年も逮捕される?】

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、無料法律相談を実施しています。
その際に、しばし「少年だから逮捕されないと思っていた」という方がおられます。

そもそも、少年法では、20歳未満を「少年」としています。
しかし、その中でも3つの種類に分かれていて、
犯 罪 少 年:14歳以上20歳未満であり、罪に当たる行為をした少年
虞(ぐ)犯少年:20歳未満で、罪に当たる行為はしていないが、非行などの傾向が見られ将来的に罪を犯すおそれがあると判断される少年
触 法 少 年:14歳未満で罪に当たる行為をした少年
とされています。

今回のAさんは、18歳であり大麻取締法に違反した事例を想定しているため、犯罪少年に該当します。
犯罪少年については、原則として捜査段階では成人の刑事事件と同じ手続きとなります。
捜査を行う上でやむを得ないと判断された場合、犯罪少年が逮捕されることはあります。
特に、共犯者がいる事件では口裏合わせがあるとして、薬物事件であれば押収されていない薬物を破棄したり入手経路が分かるデータなどを破棄されたりする恐れがあるため、逮捕・勾留される可能性が極めて高いです。
これは、少年であっても同様です。

福岡県北九州市にて、お子さんが大麻所持により逮捕されるかもしれない、逮捕・勾留されてしまった場合、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
在宅事件の場合、事務所にて無料で法律相談を受けることができます。
お子さんが逮捕・勾留されている場合はこちら。

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