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(事例解説②)少年の特殊詐欺事件による少年審判はどうなる?

2024-03-27

(事例解説②)少年の特殊詐欺事件による少年審判はどうなる?

特殊詐欺 少年審判

前回に引き続き、少年特殊詐欺事件について弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

今回は、少年の特殊詐欺事件による少年審判について解説します。

・参考事例

※事例はフィクションです。(前回記事と同内容)

専門高校に通っているAさん(19歳・武蔵野市在住)は,「バイクを買うお金が欲しい」と思い,インターネットで見つけた「高収入」という謳い文句の仕事を受けてしまいました。

実際には,高齢のおばあさんに「金融庁の職員」を名乗ってキャッシュカードを預かるというもので,報酬として5万円を受け取ってしまいます。
Aさんは詐欺だと気づき「もう辞めたい」と言いましたが組織の人間に「警察にばらす」と脅され,ズルズルと続けてしまいました。

ある時、Aさんの自宅に警視庁三鷹警察署の警察官がやってきて,自宅の捜索を行い,Aさんは詐欺罪逮捕されてしまいました。

Aさんの家族は,Aさんがこれからどうなるのか,少年院に行くのか心配に思い,あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に相談することにしました。

・少年審判はどうなる?

前回の記事では,受け子や出し子に対してどのような犯罪が成立するのかを見てきました。

それでは,Aさんの少年審判はどのようになるでしょうか。
Aさんの事例から①特定少年という点と,②特殊詐欺に対する審判の傾向を解説します。

①特定少年の特殊性

特定少年とは,刑事事件を起こしてしまった人のうち,18歳,19歳の人を指します。

これは,民法が改正されて成人年齢が18歳に引き下げられましたが,18歳,19歳はまだ少年法の適用があるという,やや歪んだ状態であることに対応して作られた規定です。
ざっくり分かりやすく言ってしまうと,
「18歳,19歳も少年事件として扱うことがあるけれども,他の子たちよりも大人に近いんだから,場合によっては大人と同じように処罰することがあるよ」
という規定になります。

これまで,少年審判を受ける時に18歳,19歳の人を,成人の刑事裁判で裁くというのは,殺人罪や放火罪,強盗致傷罪のような重大事件を除くと滅多にありませんでした。

しかし,少年法が変わったことで特定少年という概念がうまれました。
この特定少年に対して,これまでは「よほど重い事件でない限りは刑事裁判にはしない」とされていましたが,「事件の内容によっては刑事裁判にする」という扱いに変わったのです。

少年法の少年として扱われていた人を成人の刑事裁判へ移行するという手続きの流れは,逆送(検察官送致)と言われます。
上記に述べたような特殊詐欺の厳罰化という方向を踏まえると,受け子,出し子の事案であっても,18歳,19歳の特定少年の事案であれば,逆送(検察官送致)がなされる可能性が十分にありうるのです。

特殊詐欺の事案が,成人の刑事裁判になってしまうと,たとえ初犯であったとしても実刑判決を受けてしまうケースが多くあります。
特定少年についても,特殊詐欺で逆送(検察官送致)されてしまうと,20歳未満であったとしても実刑判決を受ける可能性が十二分にあるのです。

特定少年の方の特殊詐欺事案では,まず何よりも逆送(検察官送致)されないための弁護活動が重要です。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では,特定少年の事件においても,家庭裁判所の裁判官に対して「逆送せず少年審判の手続きで終わらせるように」説得的に働きかけを行います。
少年審判の前に,裁判官と面談を行い,刑罰ではなく社会での更生を訴える事もあります。

・特殊詐欺の審判の傾向

前述の通り,特殊詐欺事案に対しては厳罰化が進んでおり,特定少年の少年審判でも重い処分が科されやすい傾向があります。

特定少年の少年審判においては,逆送(検察官送致)の場合を除いて,大きく分けて,
審判不開始不処分
保護観察
少年院送致
の3つの処分があります。

このうち,特殊詐欺の事案では保護観察か少年院送致のどちらかとなることがほとんどですが,少年院送致となる可能性が高まっています

実際,令和3年の犯罪白書等の統計資料によると,一般的な少年事件では
少年院送致となったのは6%、保護観察となったのは24.7%、なにも処分がなかった(審判不開始,不処分)のは66.2%だったのに対し,詐欺罪の場合に限って言うと、少年院送致となったのは17.9%、保護観察となったのは38.1%、なにも処分がなかった(審判不開始,不処分)のは36.2%と,詐欺罪というだけで圧倒的に何かしらの処分を受ける可能性が高くなっているのです。
少年院送致の可能性については,約3倍もあります。

これがさらに,特殊詐欺になった場合には,組織的な犯罪であることや重大な被害になるという性質から,より少年院送致となってしまう可能性が高くなるのです。

特殊詐欺の事案の場合,早期の段階から家庭裁判所の裁判官や調査官と連絡を取り,少年院送致を回避するための働きかけを行っていくことが重要です。
早い段階からの働きかけにより,裁判官の心証を「少年院に送るしかない!」というものから「社会内でやり直させてもいいんじゃないか?」というものへと少しずつ説得できた事例もあります。

・最後に

特殊詐欺でご家族が逮捕されてしまったという方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

警視庁三鷹警察署への初回接見サービスはもちろん、ご家族の相談は東京支部(新宿駅最寄り)、八王子支部(八王子駅最寄り)でもお受けいただけます。

ご相談・ご予約に関するお問い合わせは、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にて24時間365日受付中です。
全国対応の弊所に、安心してお任せください。

(事例解説①)少年が特殊詐欺事件を起こした場合の処分は?

2024-03-20

(事例解説①)少年が特殊詐欺事件を起こした場合の処分は?

少年 特殊詐欺

特殊詐欺事件については、近年、ニュースや新聞でも取り上げられることが多くなりました。

今回は、少年特殊詐欺事件を起こした場合の処分について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・参考事例

※事例はフィクションです。

専門高校に通っているAさん(19歳・武蔵野市在住)は,「バイクを買うお金が欲しい」と思い,インターネットで見つけた「高収入」という謳い文句の仕事を受けてしまいました。

実際には,高齢のおばあさんに「金融庁の職員」を名乗ってキャッシュカードを預かるというもので,報酬として5万円を受け取ってしまいます。
Aさんは詐欺だと気づき「もう辞めたい」と言いましたが組織の人間に「警察にばらす」と脅され,ズルズルと続けてしまいました。

ある時、Aさんの自宅に警視庁三鷹警察署の警察官がやってきて,自宅の捜索を行い,Aさんは詐欺罪逮捕されてしまいました。

Aさんの家族は,Aさんがこれからどうなるのか,少年院に行くのか心配に思い,あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に相談することにしました。

・特殊詐欺に対する処分

特殊詐欺の「受け子」「出し子」と呼ばれる,いわゆる末端の役割として10代,20代の若者が使われてしまっています。(参考:「特殊詐欺「受け子」や「出し子」に…SNSからの応募が最多 警察庁が公表」出典元『Yahoo!JAPANニュース』)

特殊詐欺の「受け子」とは,騙された被害者から金品を直接受け取るという役割の者のことです。
「出し子」とは,騙し取ったキャッシュカードを不正に利用してATM等から現金を引き出す役割です。

直接金品を騙し取る「受け子」に対しては詐欺罪が,ATMから引き出す「出し子」に対しては窃盗罪が成立します。
また,受け子,出し子行為によって取ったものを他の共犯者に渡したり,指示役に預けたりする行為は,犯罪によって得た財産を隠したとみなされ,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反(組織犯罪処罰法という犯罪も成立してしまいます。

それぞれの犯罪に対する刑罰は,以下のように定められています。
詐欺罪10年以下の懲役
窃盗罪10年以下の懲役又は50万円以下の罰金
組織犯罪処罰法10年以下の懲役又は500万円以下の罰金,もしくはその両方(財産の没収あり!)

・組織犯罪処罰法ってなに?

これまで,特殊詐欺の事案と言えば,組織のリーダーや幹部などでない限り,詐欺罪か窃盗罪のどちらかについて処罰されてきました。

しかし,近時,受け子や出し子のような末端の役割に対しても「組織犯罪処罰法」で捜査,処分がなされるようになっています
これは,全国の検察庁が「末端の者に対しても,積極的に組織犯罪処罰法を適用しましょう!」と指示をしているためです。

詐欺罪や窃盗罪と,組織犯罪処罰法との大きな違いは,財産に対して没収を行うことができるという点です。
例えば,Aさんの事例のような「受け子」が現行犯で逮捕された時,400万円の現金を所持していたとしてます。
その時,詐欺罪や窃盗罪を適用しても持っていた400万円を没収するということはそうそうありませんでした。

しかし,組織犯罪処罰法の適用があれば,Aさんが何件か受け子をやっていて,持っていた400万円も事件で受け取ったお金であることが分かれば,裁判で没収することができるのです。
その400万円は犯罪と関係がないお金であるという場合には,Aさんの立場から反論,主張しなければならないことになります。
このように特殊詐欺に関連する財産や,犯罪で得られたお金,報酬を没収することで,より被害の回復を目指そうというものです。

また,詐欺罪,窃盗罪と,組織犯罪処罰法はそれぞれ成立するものになります。複数の犯罪が成立することになれば,その分,処罰も重いものになりやすくなります
そのため,検察庁としては特殊詐欺に対して厳罰化被害回復を進めるために,組織犯罪処罰法の適用も進めているのです。

Aさんも,特殊詐欺の詐欺罪で逮捕されてしまいましたが,この後,組織犯罪処罰法によって再逮捕される可能性が十二分にあります。
ただでさえ身体拘束が長引く傾向にあった特殊詐欺の事案ですが,より長くなるというのが現在の傾向です。

・事務所紹介

Aさんの事例のように,特殊詐欺による逮捕でお悩みの方,ご家族の方は,弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご相談ください。

逮捕された直後の方には,24時間以内に弁護士を派遣する初回接見サービスを行っています。
ご本人とご依頼者様が離れたところにいても、全国対応の強みを活かして初回接見することができます。

三鷹警察署までの初回接見は37,620円(日当+交通費,令和6年1月1日時点の報酬規程)でお請けしています。

ご費用のお支払いから24時間以内の接見の上,ご家族に今後の見通しやとるべき対応のご報告まで致します。
ご相談・ご予約については、24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120−631−861)までお電話頂くか,こちらの「お問い合わせフォーム」からお問い合わせください。

(事例紹介①)闇バイトをした少年に問われる犯罪は?

2024-03-06

(事例紹介①)闇バイトをした少年に問われる犯罪は?

闇バイト 少年

ニュースや新聞などでもよく取り上げられている闇バイト
簡単にお金が手に入るからと言って軽い気持ちで闇バイトをしてしまうと、思わぬ犯罪に巻き込まれることになります。

今回は、闇バイトをしてしまった高校生に関する事例をもとに、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が闇バイトで問われる罪について解説します。

・参考事例

※事例はフィクションです。

東京都内の高校に通っているAさん(18歳)は、ある日、友達と遊ぶお金欲しさからSNSで見かけた「闇バイトをしてしまいました。
その内容は、テレグラムというアプリで指定された場所に行き、手渡された荷物を受け取るというものです。
荷物の中身は現金で、Aさんもすぐに「やばい」と思いましたが、ズルズルと続けてしまいます。

ある時、Aさんの自宅に大阪府警豊中警察署の警察官がやってきて、Aさんは詐欺罪逮捕されてしまいました。

Aさんの家族はどうしたら良いかわからず、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士に相談することにしました。
弊所では逮捕されている方との出張相談初回接見を行っています。
ご本人とご依頼者様が離れたところにいても、全国対応の強みを活かして初回接見することができます。

ご家族が遠方の警察署に逮捕されてしまったという方は、0120−631−861までお電話ください。

▼初回接見サービスについて詳しく知りたい方はこちら
初回接見・付添サービス

・闇バイトは詐欺罪

闇バイトという言葉が広く浸透しており、「テレグラム」というアプリを介して特殊詐欺の受け子や出し子の募集が行われていることも広く知られるようになってきました。(参考記事:『AERAdot.』出典「テレグラムで即レス「闇バイト」の正体」)

いまいちど、特殊詐欺がどのような犯罪に当たるのかおさらいします。
特殊詐欺には大きく2種類の態様があります。

一つは、被害者を騙して、クレジットカードや現金を直接渡させる手口の詐欺です。
この手の詐欺は、被害者に対して上司や同僚が現金を取りに行くといって騙し、騙された被害者から金品をだまし取るというものです。

もう一つは、同様に騙した被害者にクレジットカードや通帳を差し出させ、隙を見て偽物とすり替えて盗み取るという窃盗の手口です。
「そんな簡単に取られるの?」と思われるかもしれませんが、この手の詐欺では巧妙に被害者の不安を煽ったり安心させたりしているのです。
実際、すり替え型の特殊詐欺も平成30年から増加傾向にあります。

これらの特殊詐欺は、認知機能が低下した高齢の被害者から、数百万円単位で高額の金品を盗み取るというものであり、詐欺罪窃盗罪の中でも非常に悪質な事案として扱われています。
本人たちは、軽いバイト感覚かもしれませんが、重大かつ組織的な詐欺、窃盗事案の片棒を担いでしまうことになるのです。

特殊詐欺、窃盗に関わってしまうと、逮捕勾留といった身体拘束を受ける可能性が非常に高まります
通常、勾留は10日間ですが、特殊詐欺の場合、勾留の延長が認められやすく、20日間、警察署で勾留されてしまうケースがほとんどです。

さらに、特殊詐欺に1件だけ関わっていたというケースも非常に稀で、2件、3件、あるいは数十件単位で関わってしまっていたということも珍しくはありません。
そうなると、事件の数だけ逮捕、勾留がなされてしまう、いわゆる再逮捕が何度もなされるケースが多くあります。

特殊詐欺で逮捕されてしまったあと、初期の取り調べでどのようなことを話していたかということが、その後の取調べに大きく影響を及ぼします。
そのため、逮捕された直後の弁護士との接見は非常に重要です。

Aさんの事例のように、逮捕された直後の段階で弁護士と接見し、取調べに向けたアドバイスを受けることで、再逮捕の繰り返しを避けられる場合もあります。
ご家族が急に逮捕されてしまった、闇バイトに関わってしまったという方は、早期に弁護士にご相談ください。

・事務所紹介

今回は、闇バイトに手を出してしまった少年の事例をもとに、闇バイトについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説しました。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、闇バイトによる詐欺事件はもちろん、様々な少年事件の弁護人・付添人活動を担当した実績を多く持つ、少年事件・刑事事件に特化した専門の法律事務所です。

大切なお子様が事件を起こしてしまったという方や、すでに逮捕されてしまったという方は、まずは弊所までご相談ください。
ご相談・ご予約に関するお問い合わせは、弊所フリーダイヤル(0120-631-881)にて24時間365日受付中です。

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