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(事例紹介)友人を包丁で刺した少年を殺人未遂罪の疑いで逮捕

2023-09-13

(事例紹介)友人を包丁で刺した少年を殺人未遂罪の疑いで逮捕

知人の10代少年の首を包丁で刺して怪我を負わせたとして、15歳の男子高校生が殺人未遂罪の疑いで逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

・参考事例

13日朝、石川県小松市内で10代の少年を刃物で刺し殺害しようとしたとして市内に住む男子高校生が逮捕された。
殺人未遂罪の疑いで逮捕されたのは小松市内に住む15歳の男子高校生Aだ。

Aは、13日午前8時頃、小松市内の自宅駐車場で知人の10代の少年Vの首の付け根付近をパン切り包丁で刺した疑いが持たれている。
刺されたVは、全治1週間のけがをした。

警察によると外で叫び声がしたため、付近の住民が事件に気づいて通報。
駆け付けた警察が男子高校生の身柄を確保した際、近くに包丁があったという。

調べに対し、男子高校生は「間違いない」と容疑を認めている。
警察は犯行に至った経緯や動機などについて詳しく調べる方針だ。
(※9/14(木)に『Yahoo!JAPANニュース』で配信された「石川県小松市で男子高校生が逮捕 10代少年を包丁で刺した疑い」記事を一部変更して引用しています。)

・殺人未遂罪とは

殺人未遂罪とは、殺人罪が成立する行為を実行した結果、既遂できなかった場合に成立する罪です。
まずは、殺人罪について見ていきましょう。
殺人罪は、刑法第199条で以下のように規定されています。

  • 刑法第199条(殺人)
    人を殺した者は、死刑又は無期若しくは5年以上の懲役に処する。

殺人罪は、その名の通り「人を殺す」ことで成立します。
包丁で刺したりハンマーで殴ったりなど、人を殺す手段や方法については規定されていません。

ただ、殺人罪が成立するかどうかの判断で問題になることが故意の有無です。
刑法では、犯罪の成立には基本的に故意があることが必要になります。
故意とは、一般的な言葉で言うと「わざと」のような意味合いになり、この行為をすれば犯罪に該当することがわかっている上で犯罪行為を行うと故意があると判断されます。

殺人罪における故意は、「殺してやる」といった殺意を持った状態で人を殺すことで認められます。
ですが、殺意などは心の中で思うことなので、本当に殺意があったのかを判断することは難しいです。
なので、使用した凶器の種類殺害の手段死亡した人の傷の部位や程度などの客観的事情や、なぜ殺したかについての動機犯行後の行動などの事情を総合的に考慮して、故意の有無が判断されます。

殺人罪が成立する要件は前述しましたが、殺人罪に該当する行為を実行したものの、結果として相手が死亡しなかった場合に、殺人未遂罪が成立します。
殺人未遂罪については、刑法第203条で以下のように規定されています。

  • 刑法第203条(未遂罪)
    第199条及び前条の罪の未遂は、罰する。

条文に記載されている第199条は殺人罪を指し、前条の罪とは刑法第202条で規定されている自殺関与罪・同意殺人罪をさしています。

今回の事例で考えると、AがVの首の付け根付近をパン切り包丁で刺したことは、客観的事情からも殺人罪の故意があったとみられる可能性があります。
刺されたVは死亡しておらず、Aの行為は既遂ではなく未遂になるため、Aは殺人未遂罪の疑いで逮捕されたと考えられます。

・少年が殺人未遂罪で逮捕された後の流れ

刑法においては、20歳未満の者は全て「少年として扱われ、20歳以上の成人が起こす成人事件と少年が起こす少年事件では手続きが異なる箇所があります。

捜査段階では、少年事件も成人事件と同様の流れになるので、少年であっても逮捕や勾留される可能性はありますが、少年事件は、警察や検察などの捜査機関による捜査が終了すると、原則すべての事件が家庭裁判所に送致される「全件送致主義をとっています。

また、少年事件は、家庭裁判所に送致された後に観護措置として少年鑑別所に収容される場合もあります。
今回の事例のような殺人未遂罪は重大な罪になるため、観護措置が取られる可能性が高いです。

さらに、少年事件は、家庭裁判所に送致された後に、家庭裁判所の調査官が少年に対して保護処分ではなく刑事裁判によって処分することが相当と判断した場合、事件を家庭裁判所から検察官に送る「検察官送致(逆送)こともあり、今回の事例も逆送される可能性があります。

・少年事件を起こしたら弁護士へ

このように、少年事件は成人事件とは異なる手続きで処理されるため、流れを把握している人は多くありません。
お子様が逮捕されたと急に警察から連絡が来ると、どうすればいいかわからず不安な気持ちが募るばかりになる方がほとんどです。
そのような不安な気持ちを少しでも解消するために、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士に相談すれば、弁護士から少年事件の流れやお子様が現在おかれている状況、今後の流れや見通しについて詳しく話を聞くことができます。
刑事弁護活動を依頼すれば、弁護士がお子様の身柄解放活動や処分を免れるための弁護活動に尽力します。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件を担当した実績を持つ、刑事事件少年事件に特化した法律事務所です。
初回無料の法律相談や、最短当日中に弁護士が逮捕されてる方の接見に向かう初回接見サービスなどを提供していますので、お子様が逮捕されてしまって不安な方は、まずは24時間365日受付中の弊所フリーダイヤル(0120-631-881)までご連絡ください。

(事例紹介)触法少年による死傷事件

2023-02-08

(事例紹介)触法少年による死傷事件

14歳未満の少年が犯罪に当たる行為を起こした場合に問題となる触法少年による死傷事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。

・参考事例

16日静岡県牧之原市の住宅で40代の母親が13歳の娘に刺され死亡する事件がありました。
警察は殺人事件と断定して娘を保護し事情を聞いています。
(中略)
16日午後11時50分ごろ、牧之原市の住宅で同居する家族から「女性が刺された」という趣旨の通報が警察にありました。
警察によりますと女性は40代で病院に搬送されましたが、首など複数箇所を刺されていて間もなく死亡が確認されました。
警察は現場の状況などから、自宅にいた中学1年生の13歳の娘が事件に関与したとみて、娘を保護し事情を聞いています。
警察は身元の特定につながる恐れがあるとして、子どもの性別などを公表していませんが、これまで親子の間にトラブルなどの相談はなかったということです。
(中略)
保護された娘は13才のため、刑事責任は問われません。
警察は児童相談所に通告した上で、調査を続け、児童相談所に送致するなどの対応を取る方針です。
(静岡朝日テレビ 1月17日(火) 18時41分配信 「40代の女性が13歳の娘に刺され死亡 警察は殺人事件として娘を保護し事情を聞く 静岡・牧之原市」より引用)

・触法少年について

上記の参考事例で、警察は殺人事件として調査を進めています。
成人している者が殺人事件を起こした場合、殺人の故意があれば殺人罪(刑法199条)、殺人の故意がなくとも暴行や傷害の故意があれば傷害致死罪(刑法205条)、犯罪的意思のない過失であれば過失致死罪(刑法210条)および業務上過失致死罪(刑法211条)などが適用されます。
しかし下記の条文によって、少年(20歳に満たない者「少年法2条1項」)の中でも13歳以下の少年が犯罪に当たる行為をした場合は刑事の責任がないので犯罪は成立しません。

刑法第41条
14歳に満たない者の行為は、罰しない。

13歳以下の少年が違法行為をした場合、その行為が違法であり被害が生じていることから、少年法によって触法少年(法に触れる行為をした少年)として扱われます。
この場合まだ少年が幼いことを考慮して、参考事例の通り家庭裁判所よりも児童相談所などの児童福祉機関が触法少年を優先して扱います。
そして児童福祉機関からの送致を受けることで家庭裁判所が扱うことができるようになります。
これらは下記の条文にも定められており、条文の「前項第二号に掲げる少年」が触法少年を指しています。

少年法第3条2項
家庭裁判所は、前項第二号に掲げる少年及び同項第三号に掲げる少年で十四歳に満たない者については、都道府県知事又は児童相談所長から送致を受けたときに限り、これを審判に付することができる。

少年法において、14歳と15歳の初年は年少少年、16歳と17歳は中間少年、18歳と19歳を特定少年(年長少年)と呼称されています。
また、特定少年が逆送(検察官送致)された場合、成年している者と同様に取り扱われ、起訴された場合は実名報道の禁止が解除されるなど17歳以下と異なる取扱いがされます。

・触法少年事件での弁護活動/付添人活動

少年事件は犯した犯罪の内容だけでなく、少年の年齢によっても扱いが変わってきます。
少年事件の当事者となった場合、これらの法律に詳しい弁護士に相談し、先の見通しや弁護対応を求めることが望ましいといえます。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、少年事件をはじめとする刑事事件を専門に取り扱っている法律事務所です。
弊所の法律相談は初回であれば無料で相談することが可能です。
お子さんが相手を死傷させたことにより触法少年として保護されたなど、少年事件でお困りの方は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所までご連絡ください。

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