少年が同級生を傷害・正当防衛主張の弁護活動

2021-01-15

同級生に怪我を負わせてしまい傷害事件で少年が逮捕されてしまった事件を題材に、少年事件における正当防衛の主張などについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事例~

福岡県北九州市に住む少年AとVはともに同じ高校に通っていたが、常日頃からそりが合わなかった。
ある日の放課後、人のまばらな校内において、少年AはVを高さ約2メートルの階段の下の踊り場に突き落とし、足などを骨折する怪我を負わせた。
福岡県小倉南警察署の警察官は、少年Aを傷害の疑いで逮捕した。
もっとも、これはVが校内にあった金属製の棒で少年Aに殴りかかろうとしたことから、これをかわした少年Aが反撃行為として行ったものであることが発覚した。
少年Aの家族は、少年事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実をもとにしたフィクションです。)。

~少年同士の喧嘩で正当防衛が成立?~

少年AはVを階段下に突き落とすという傷害行為(傷害罪:刑法204条)によって逮捕されてしまっています。
もっとも、これはVからの攻撃に対し、少年Aによる反撃行為にすぎません。
このような場合に、少年AのVに対する行為に正当防衛が成立する余地はないのでしょうか。

結論めいたことから書いてしまうと、少年Aの行為に正当防衛が成立する可能性は必ずしも高くないと言わざるを得ません。
刑法第1編第7章(「犯罪の不成立及び刑の減免」)には、36条1項の正当防衛の他にも、より成立要件の厳しい緊急避難(刑法37条1項)などの犯罪の成立阻却事由が規定されています。
にも関わらず、諸外国などと比べてもわが国における正当防衛成立のハードルは非常に高いと言われています。
勿論、弁護士としては少年の利益に鑑み、正当防衛の主張も視野に入れつつ弁護活動を行っていくことになります。

他方で、36条は2項において「情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる」と、いわゆる過剰防衛の規定を置いています(ただし、少年事件の場合には原則として刑が科されるわけではないため、審判などの際の考慮事項と位置付けられることにもなるでしょう)。
したがって、36条1項が成立するか否かだけでなく2項の対象となり得るかという点でも、正当防衛の成立要件を検討することは非常に重要です。
本件ではVの方から少年Aに殴りかかっていること等から、少年Aの行為が「急迫不正の侵害」に対して「自己……の権利を防衛するため」の行為であったことは、あまり問題とはならないでしょう。
問題は、少年Aの行為が「やむを得ずにした行為」であるかどうかです。

「やむを得ずにした行為」といえるためには、防衛行為として必要最小限(最判昭和44年12月4日参照)であることが求められます。
ここで問題となるのは行為(手段)であり、結果の比較ではないことに注意が必要です。
これを本件についてみるに、Vの行為は金属製の器具での攻撃であり極めて危険な行為であることは間違いありません。
しかし、少年AにはVの攻撃をかわす余裕があり(ただし、正当防衛者には回避義務があるわけではありません)、Vの攻撃から身を守るのにVを階段下に突き落とす必要まであったかは争点とならざるを得ないでしょう。
したがって、少年Aの防衛行為は、必要最小限度であったとまではいえない可能性も十分あります。
もっとも、その場合でも少年Aの行為は「やむを得ずにした」行為とはいえないだけであり、この要件を満たさずとも36条2項によって過剰防衛が成立します。

~退学処分等の回避のための弁護活動・学校への対応~

少年事件逮捕されてしまった場合、少年が在籍している学校から退学処分等の不利益を受けることを回避することが極めて重要になってきます。
本件もそうですが、高校以降はいわゆる義務教育ではないことから、退学等の処分を受ける可能性は義務教育段階と比べ高くなってしまいます。
つまり、逮捕されてしまった事件そのものに関する処分以外の不利益を避けるための弁護活動も、少年事件では大きなウェイトを占めるのです。

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