証拠隠滅罪と少年事件の流れ

2019-12-16

証拠隠滅罪と少年事件の流れ

少年による証拠隠滅事件の流れについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。

~ ケース ~

このところ、テレビなどでは「大阪府箕面市内のコンビニXに強盗が押し入り、金属棒で店員を殴りつけ逃走した」というニュースが連日報道されていました。
同市に住むA君(19歳)は、ある日、先輩のB(20歳)から呼び出され、上記事件の犯人がBであることを打ち明けられました。そして、A君は、Bから犯行に使用した金属棒を隠すよう言われました。A君は犯行にかかわりたくないと思いながらも、過去にBから様々お世話になったことを思い出し、Bの頼みを聞き入れることにしました。そして、A君はBに言われたとおり、金属棒を捨てたところ、大阪府箕面警察署の警察官の職務質問をされました。そして、A君はこれまでの経緯を警察に説明したところ、証拠隠滅罪で逮捕されました。また、その後、Bも強盗致傷罪で逮捕されました。
(フィクションです。)

~ 証拠隠滅罪 ~

証拠隠滅罪は刑法104条に規定されています。

刑法104条

他人の刑事事件に関する証拠を隠滅し、偽造し、若しくは変造し、又は偽造若しくは変造の証拠を使用した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。

「他人の」とは、行為者以外の者をいいます。
この点、「自己の」とされていない点に注意が必要です。
つまり「自己の」刑事事件に関する証拠を隠滅しても証拠隠滅罪は成立しません。
これは、罪を犯した犯人自身にこうした行為に出ないことについて期待することが難しいという考えに基づきます。

「刑事事件」とは、現に裁判中に限らず、捜査中の事件も含まれます。また、少年法により将来刑事処分を受ける可能性がある少年保護事件も含まれると解されています。
「証拠」とは、物にかぎらず、人(被害者、目撃者など)も含まれます。
「隠滅」とは、物理的に滅失させるだけではなく、証拠の顕出を妨げ、その価値を減失・減少させるすべての行為を含むと解されています。

なお、今回、A君はBの強盗への関与は認められませんが、仮に関与が認められる場合(たとえば、犯行中に見張りをした、犯行の準備段階で金属棒を貸したなどの場合)は強盗致傷罪の共犯者となる余地が出てきます。
共犯者となった場合、金属棒は「他人の」刑事事件に関する証拠と同時に自己の刑事事件に関する証拠にもなります。
この場合における証拠隠滅罪の成否について、最高裁判所の見解は明らかにされておらず、他の裁判所では肯定も否定もありうるところです。

~ 事件認知後の少年事件の流れ ~

少年の場合も、事件が認知されれば、家庭裁判所送致までは基本的には成人と同様の流れとなります。
逮捕勾留され身柄を拘束されることもありますし、在宅被疑者として警察から出頭の要請に応じるべき場合もあります。
一方、必要な捜査がひととおり終わり家庭裁判所へ送致された後は、専門職員による調査・面会、家庭裁判所調査官による調査・面会などを受けることになります。送致の段階で勾留により身柄を拘束されている場合は、観護措置を取られ少年鑑別所に収容されます。
各機関なの調査・面会が終わると、必要に応じて少年審判が行われます(審判不開始により受ける必要がない場合もあります)。
少年審判では、保護観察少年院送致などの保護処分や、検察官送致(いわゆる逆送)の決定が下されます。
少年審判の結果不処分とされることもありえますが、多くの場合は上記の処分に付されると考えて差し支えないでしょう。

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