高校生の脅迫事件で不処分決定を目指す

2019-12-11

高校生の脅迫事件で不処分決定を目指す

今回は、少年の脅迫事件について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

兵庫県小野市に住む高校生(16歳)のAくんは、友人Vに含むところがあり、VのSNSのコメント欄に「調子に乗るなよ。家に火をつけようか。熱いだろうな」などと書きこんでしまいました。
Vは恐怖し、親に相談したところ、親は激怒して兵庫県小野警察署に被害届を提出しました。
ある日、Aくんの自宅に少年係の警察官が現れ、「SNSのことで聞きたいことがある」と告げ、A君は任意同行されてしまいました。
Aくんはその晩帰宅できましたが、今後どうなってしまうのか不安です。
Aくんの両親から相談を受けた弁護士は、脅迫罪に当たる可能性があることを指摘したうえで、不処分を目指すことを提案しました。(フィクションです)

~Aくんには何罪が成立するか?~

脅迫罪を構成する可能性が高いと思われます。
脅迫罪は、「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫」する犯罪です(刑法第222条1項)。

「自宅に火をつけようか」と申し向ける行為は、上記の害悪の告知に該当する可能性が高いと思われます。

実際に火をつける訳ではなくても、「自宅に火をつけようか」と申し向けること自体が「脅迫罪」を構成する可能性があるということです。
仮に実際にVの自宅に火をつけた場合には、別途「現住建造物等放火罪」(刑法第108条)に問われることになるでしょう。

~Aくんの事件はどう解決すべきか?~

(特殊な少年手続)
Aくんは少年なので、脅迫罪を構成しうる行為を行ったとしても、原則として刑罰に問われることはありません。
その代わり、少年保護事件として手続が進み、必要に応じて家庭裁判所により保護処分を言い渡されることになります。

(大まかな手続の流れ)
現在、在宅事件として捜査が行われているので、警察の出頭要請に応じて出頭し、取調べを受けることになります。
在宅捜査中、Vに腹いせをしたり、口封じなどを試みた場合、罪証隠滅のおそれがあると判断され、逮捕されてしまう可能性が高まります。
事件が解決するまでは、不必要にVと接触しない方が賢明でしょう。
また、出頭要請には、特段の事情が無い限り、応じた方が良いと思われます。
決まった出頭日に出頭しない場合、逃亡のおそれがあると判断され、やはり逮捕されてしまう可能性を高めてしまうことになります。

捜査機関が捜査を遂げると、Aくんは家庭裁判所に送致され、非行事実の確認やAくんの人物像などの調査が行われることになります。
その際、調査を円滑に行うために「観護措置」を行うかどうかを検討されます。
観護措置が行われると、少年鑑別所に収容されて調査を受けることになります。

これまで在宅で捜査がなされてきた場合であっても、観護措置決定がなされ、少年鑑別所に収容されることはありえます。
少年鑑別所に収容されてしまうと、2週間の身体拘束を受けることになります。
期間は、1回更新することができ、さらに、要件を満たす場合は、さらに2回を限度として更新することができます。
今回のケースで観護措置決定がなされた場合、一般的な傾向に照らせば4週間収容されると見込まれます。
身体拘束の期間が長引くと、Aくんにとって不利になります。
なるべく早い段階で弁護士に依頼し、観護措置決定がとられないように活動してもらいましょう。

(審判)
調査の結果、審判を開始するのが相当であると認めるときは、審判開始決定がなされます。
少年審判では、必要に応じて、①保護観察処分、②少年院送致、③児童自立支援施設又は児童養護施設送致といった、保護処分が言い渡されます。
これに対し、いずれの保護処分にも付する必要がないと認められれば、何らの処分も行わない不処分決定がなされます。

少年審判が開始された場合において、Aくんにもっとも負担がかからないのは、不処分決定を獲得することです。
不処分決定を獲得するためには、審判開始決定がなされる前から、Aくんに真摯な内省を促し、家庭環境を調整するなどして、Aくんの監護態勢を整えておく必要があります。
どのようにすれば説得的な環境調整ができるのか、という点については、少年事件を専門とする弁護士の助言が大いに役立つでしょう。
お子様がケースのような事件を起こしてしまった場合には、なるべく早い段階で弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が脅迫事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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