成人の事件との違いと学校への影響
成人の事件との違いと学校への影響
~ケース~
神戸市に住むAさん(18歳、高校3年生)は、学校へ通学する電車の中で、自分の好みの女子高生を見つけました。
女子高生を発見したAさんは、女子高生の後をつけたいと思ったことから、自宅の最寄り駅とは違う別の駅で下車し、女子高生の後ろで改札を出ました。
しばらく歩くと、女子高生が人気のない道を通って来たので、これはチャンスだと考え、背後から女子高生に抱きつき、その胸を触るなどしました。
Aさんは、女子高生に悲鳴を上げられたことから、その場から逃走し、駅まで戻って再び電車に乗って、自宅に帰りました。
事件から3週間後、Aさんは兵庫県垂水警察署に逮捕されました。
Aさんが逮捕されたことで心配になった両親は・・・
(フィクションです。)
~捜査段階における少年事件と成人の刑事事件の違い~
今回の事件で、Aさんに成立する罪は、その場の状況や、Aさんが触った強さなどにもよるのですが、強制わいせつ罪か、兵庫県の迷惑防止条例違反のいずれかが成立します。
少年事件も、警察や検察庁で捜査を受けている段階では、概ね成人の場合と違いはありません。
しかし、たとえば以下の点が異なります。
①捜査部門が異なる場合がある
強制わいせつ事件の場合、多くの警察署では刑事課で取り扱われています。
しかし、少年が犯した罪の場合には、生活安全課の中にある少年係(警察署の規模によって、これらの呼び方は異なります)によって取り扱われることが多くなっています。
②逮捕に続く身体拘束に種類がある
逮捕された後、さらに捜査のため、必要がある場合には、裁判所の決定により、さらに身体拘束をすることができます。
成人の場合には、勾留という制度しかなく、10日間(場合によってはさらに10日間の合計20日間)身体拘束が継続されます。
これに対し、少年の場合には、勾留することも可能ですが、勾留に代えて観護措置をとることもできます(これを「勾留に代わる観護措置」と呼んでいます)。
少年でも勾留された場合には、最長20日間の身体拘束が可能ですが、勾留に代わる観護措置がとられた場合には、10日間の身体拘束しかできません。
また、成人の場合には勾留されると警察署又は拘置所に留置されるのに対し、少年の場合には、少年鑑別所に留置される場合もあります(勾留に代わる観護措置の場合には、必ず少年鑑別所に留置されます)。
③勾留の要件が異なる
少年でも勾留できるのは既に述べた通りですが、検察官が勾留を請求した場合であっても、「やむを得ない事由」がなければ勾留できないとされています(少年法43条3項)。
この要件の意味はそれほど明確ではないのですが、本来少年は、その未成熟さから、長期の身体拘束や警察署での身体拘束は控えるべきであると考えられているところ、そのような要請があってもなお勾留という20日間の身体拘束によらなければ捜査が終了しないといった事情が必要であると考えられています。
~少年と学校の問題~
少年事件では、少年の多くは学校に通学しています。
18歳や19歳の大学生の少年であれば、定期試験等を除けば、通学しないことでそれほど問題が起きないかもしれません。
一方で、少年が高校生や中学生の場合には、休んでしまうと、大きな問題が生じる場合があります。
加えて、都道府県によっては、警察が少年を逮捕した段階で、警察から学校に通報が行くという制度が設けられているところがあります。
学校に事件を知られてしまうと、学校からご両親へ事情を尋ねる問い合わせが入りうるのはもちろんのこと、最終的に、学校から本人へ停学や退学などの処分がなされる可能性があります。
特に私立学校では、このような傾向が強いということができます。
逮捕後も、学校に継続的に通学をするためには、早期に身体拘束から解放されることが不可欠です。
逮捕の種類にもよりますが、通常逮捕日の翌日か翌々日には勾留(ないしは勾留に代わる観護措置)をするかしないかの手続きが行われます。
早期に弁護士をつけ、勾留を判断する裁判官に対して事情を説明するなどして、身体拘束を継続しないよう説得することが必要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門に扱う法律事務所です。
痴漢などの少年事件でお困りの方は、今すぐ弊所の弁護士にご相談ください。
お問合せは、フリーダイアル0120-631-881まで。
(兵庫県垂水警察署への初回接見費用:37,800円)