(参考事例)交通事故で犯人隠避の少年を逮捕
(参考事例)交通事故で犯人隠避の少年を逮捕
交通事故が発生した後、運転をしていなかった少年が「自分が運転手だ」と嘘をついたことで犯人隠避罪で逮捕されたという事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説致します。
【参考事例】
14日、名古屋市東区で、飲酒運転の乗用車が欄干に突っ込み、同乗者3人が死傷した事故で、うその申告で運転者を隠したなどとして助手席の少年が逮捕されました。
この事故は、14日午前、男女5人が乗った乗用車が橋の欄干に突っ込み、1人が死亡、2人が大けがをしたものです。
警察によりますと、新たに逮捕された春日井市の会社員の少年は、乗用車の持ち主で、運転していた少年の身代わりに、自分が事故を起こしたとうその申告をした、犯人隠避などの疑いがもたれています。
調べに対し、容疑を認めているということです。
この事故では、運転していた少年が酒を飲んで運転し、同乗者を死傷させたとして、危険運転致死傷の疑いで逮捕されています。
(中京テレビニュース 2023年5月16日配信 同17日閲覧)
【事件で問題となる犯人隠避の罪】
参考事例では、飲酒の後運転をして事故を起こした運転手と、それを庇った助手席の者が、それぞれ問題となっています。
まず、実際に運転をしていた運転手は、他の自動車や歩行者と接触したわけではなく自身の車が橋の欄干(らんかん)に衝突し、同乗者が怪我をしたという事故です。
この場合も、いわゆる人身事故として取り扱われます。
また、運転手は運転前に飲酒していたと報じられていることから、
・危険運転致死傷罪
・過失運転致傷罪と道路交通法違反(酒気帯び運転)
が問題になると考えられます。
次に、助手席に座っていた少年について、本当は運転をしていなかったにもかかわらず運転をしていたと申告した嫌疑で逮捕されています。
この場合に問題となる犯罪に、犯人隠避罪があります。
条文は以下のとおりです。
刑法103条 罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者を蔵匿し、又は隠避させた者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
犯人隠避の罪は、警察官などが犯人を見つけられなくするような行為を意味します。
判例では、犯人に逃げるようにアドバイスした行為や、犯人に対し逃亡のための資金を渡す行為、犯人がいる場所に来た警察官に「別の場所に逃げた」と嘘を言う行為、など様々な行為が隠避と認められています。
今回助手席にいた少年は、いわゆる身代わり出頭に類する行為により警察官に対して真の運転手がいることを隠そうとしていることから、犯人隠避の罪が成立すると考えられます。
【少年事件での弁護活動】
少年事件での弁護活動・付添人活動は、成人の刑事事件とは手続きが異なるという点だけでなく、少年の性格などを把握したうえでの対話が必要となります。
例えば、大人の取調べに対して突っぱねているだけで本当は罪を認めたいと考えている場合、別の犯人から脅されて犯人であると名乗り出た場合、罪の重さを理解していない場合、大人の言っている言葉や用語を理解していない場合、など、様々な状況が検討されるため、先入観にとらわれず、時間をかけて少年の話を聞き取ることが重要です。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、開設当初から数多くの刑事事件・少年事件に携わってきました。
お子さんが犯人隠避の罪などで逮捕・勾留された場合、少年事件の弁護活動・付添人活動が豊富な、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご連絡ください。
まずは初回接見サービス(有料)により、事件の内容をお子さんから直接伺った上で、今後の見通しなどについてご説明致します。