少年が恐喝の疑いで逮捕・少年に対する弁護活動

2020-07-03

少年が恐喝の疑いで逮捕されてしまった事例を題材に、少年に対する弁護活動などについて弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~事例~

神戸市長田区に住む少年Aはショッピングモール内で、かねてから対立していたVに対して「殴られたくなければ金を出せ」などと因縁をつけ、Vから現金を脅し取った。
兵庫県長田警察署の警察官は、少年Aを恐喝の疑いで逮捕した。
Aの家族は、少年事件に強いと評判の弁護士に相談することにした(本件は事実を基にしたフィクションです。)。

~恐喝罪と強盗罪の区別~

本件では、少年Aは恐喝罪の疑いによって逮捕されてしまっています。
本件事例は、恐喝罪で逮捕されているものの、一見すると強盗事件のようにも見えるかもしれません。
では、恐喝罪と強盗罪はどのように区別されるのでしょうか。
まず、それぞれの犯罪を規定する刑法の条文を見てみることにしましょう。

刑法249条1項は、「人を恐喝して財物を交付させた者」を恐喝罪として「10年以下の懲役」に処する旨を定めています。
これに対し、236条1項は「暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者」を強盗罪とし、「5年以上の有期懲役」に処するとしています。
ここから、強盗罪は「暴行又は脅迫」を手段とする犯罪だということが分かります。
他方、恐喝罪も条文上は「人を恐喝して」とありますが、これも暴行又は脅迫を手段とする点では強盗罪と同様であることに注意が必要です。
いずれの犯罪も暴行又は脅迫行為を手段として行われることになりますが、法定刑が重い強盗罪が成立するためにはより強度の「暴行又は脅迫」が認められなければなりません。
つまり、反抗を抑圧する程に強度の「暴行又は脅迫」が行われたといえる場合には、より重い強盗罪が問われることになるのです。
そして判例実務上、反抗を抑圧する程度に達しているかどうかは、暴行・脅迫行為の態様や犯行時間・場所など状況を総合的に考慮した上で判断すべきものとされています。
本件では、専ら「脅迫」行為があったといえるかが問題となりますが、AがVを脅した際に何ら凶器等が使われていないことや、ショッピングモールを犯行現場としている点で助けを呼ぶことも可能であったことを考慮すると、Vの反抗を抑圧するまでの脅迫行為とは言い難いと考えられます。
もっとも、相手方を畏怖する程度の脅迫行為はあったと考えられることから、少年Aの行為に恐喝罪が成立するものといえるでしょう。

~少年を対象とする弁護活動(捜査段階)~

20歳未満の未成年に対しては、少年法が適用されるということは多くの方がご存知のことと思います。
それでも、逮捕・勾留などの捜査段階においては、少年事件も通常の刑事事件とほぼ同様の手続が採られることになります。
もっとも、逮捕などの身体拘束処分は、心身の発達過程にある少年にとって重大な影響を及ぼします。
特に逮捕後に勾留されることになると、最大20日間もの身体拘束がなされることになりその不利益は計り知れません。
したがって、弁護士による勾留阻止の活動が、成人事件以上に重要になってくるといえるでしょう。
なお、少年事件においては、刑事訴訟法に規定されている勾留要件(刑訴法207条1項・60条1項)に加え、「やむを得ない場合」(少年法43条3項)という要件が加重されています。
したがって、弁護士としては,刑訴法上の要件のみならず,少年法上の要件にも目を配った弁護活動が求められます。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、恐喝事件を含む少年事件を扱っている刑事事件専門の法律事務所です。
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