[事例紹介]特殊詐欺に関連した窃盗罪の容疑で少年逮捕

2022-06-29

[事例紹介]特殊詐欺に関連した窃盗罪の容疑で少年逮捕

特殊詐欺に関連した窃盗罪の容疑で少年が逮捕された事例について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所京都支部が解説します。

事例

京都府警中京署は24日、窃盗の疑いで、大阪府堺市の無職少年(17)=窃盗容疑で逮捕=を再逮捕した。
特殊詐欺グループでカードを盗む「受け子」役だったとみて捜査している。
再逮捕容疑は、5月31日、何者かと共謀し京都市中京区の女性(80)宅に電話し、キャッシュカードの再発行が必要だとうそを言い、全国銀行協会の職員になりすまして女性宅を訪れ、キャッシュカード11枚を盗んだ疑い。
(6月24日 京都新聞  「銀行協会職員になりすまし80歳からカード11枚窃盗 少年を容疑で逮捕」より引用)

窃盗罪と詐欺罪

窃盗罪詐欺罪はどちらも他人の財産を害する犯罪であり、移転罪とも呼ばれる分類の犯罪です。
分類上は移転罪という同じカテゴリの犯罪にはなるものの、窃盗罪では被害者の意思に反して物が移動するのに対し、詐欺罪では騙された被害者の意思に沿って物が移動する(交付行為)ところが異なります。

窃盗罪詐欺罪でそれぞれ有罪となった場合には、
窃盗罪の場合、10年以下の懲役または50万円以下の罰金(刑法235条)
詐欺罪の場合、10年以下の懲役(刑法246条1項)
となります。

窃盗罪・詐欺罪の裁判例

昨今、報道されている事例のような特殊詐欺事件は絶えず報道されています。
成人の起こした特殊詐欺事件の裁判も多く見られ、例えば今回の事例に類似した裁判例には、以下のようなものがあります。

被告人は知人と共謀して警察官及び銀行関係者になりすまし、キャッシュカードを騙しとった上に、そのキャッシュカードで現金を盗もうと企てたとして、窃盗罪・詐欺罪の容疑で起訴されました。
裁判では、被告人が犯行に関わったと認定するには合理的な疑いが残り、犯罪の証明がないことから、被は無罪となりました。
(以上、平成29年3月15日広島地方裁判所判決

被告人は知人と共謀して警察官になりすまし、共犯者が窃取したキャッシュカードを用いて、現金を引き出しました。
被告人は共謀して現金を引き出したことを罪に問われ、窃盗罪により懲役3年執行猶予5年の判決が言い渡されました。
(以上、令和2年2月14日名古屋地方裁判所判決

被告人は警察官になりすましてキャッシュカードを窃取した後、そのキャッシュカードを用いて現金を窃取し、より利益を得たいと思った被告人は知人を犯罪に引き入れました。
被告人は詐欺罪、窃盗罪で懲役4年となりました。
(以上、令和2年4月7日名古屋地方裁判所判決

今回取り上げた報道の事例では、いわゆる「出し子」をしている事例でしたが、この「出し子」は裁判例にもある通り、窃盗罪が適用されることが多いです。
ですから、今回紹介している事例での窃盗罪の再逮捕は、被害者のキャッシュカードを利用して266万円を勝手に引き出したことに対するものと考えられます。

今回の報道で逮捕された少年は17歳とのことですので、少年事件の手続によって事件が進んでいくことになるでしょう。
少年事件では、裁判例にあるような刑事裁判になって懲役刑を受けるということは基本的にはありません。
しかし、特殊詐欺グループに関わって複数の特殊詐欺事件に関わっていたということであれば、そういった環境を厳しく考えられ、少年院送致などの処分も考えられます。
社会内での更生を目指したいということであれば、被害者対応だけでなく、特殊詐欺グループとの関係を断つことや、生活環境の改善などを積極的に行っていくことが求められるでしょう。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、刑事事件だけでなく、少年事件も多数取り扱っております。
特殊詐欺に関連した窃盗罪詐欺罪でお困りの際は、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
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