少年による業務妨害罪
少年による業務妨害罪について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所の弁護士が解説します。
【事例】
京都市山科区のX高校に通うAさん(16歳)は、近所のスーパーで万引きが見つかり、警察に通報されました。(ここでは万引きは不問とする。)
Aさんは、警察に通報された腹いせに、スーパーを困らせてやろうと考え、スーパーに電話をかけ、「明日、爆弾を仕掛ける。客を避難させないと多数の死者がでるぞ。」と伝えました。
その翌日、スーパーは臨時休業となり、京都府山科警察署の警察官などがスーパーの爆弾を捜索することになりました。
その後、Aさんは威力業務妨害罪の疑いで京都府山科警察署に逮捕されました。
(フィクションです。)
【業務妨害罪について】
ニュースを見ていると、学校や駅などの場所に爆弾を仕掛けるなどと予告して逮捕されたという事件が時々見られるかと思います。
こうした爆破予告は、たとえ実際にその気がなかったとしても業務妨害罪に当たるおそれがあります。
業務妨害罪は、①虚偽の風説の流布、②偽計、③威力のいずれかを用いて、他人の業務を妨害した場合に成立する可能性のある罪です。
①は真実に反する噂や情報を流すこと、②は嘘をついたり勘違いや不知を利用したりすることを指し、これらによる業務妨害は偽計業務妨害罪と呼ばれます。
それに対し、③による業務妨害は威力業務妨害罪と呼ばれます。
ここで言う「威力」とは、暴行や脅迫よりも広い概念であり、相手方の意思を制圧するに足りる勢力を示すことを指します。
また、条文では「業務を妨害した」とされていますが、その危険さえあれば実際に妨げられたかどうかは問わないと考えられています。
つまり、円滑な業務が妨げられるような偽計または威力があれば、業務の停滞や売上の減少といった結果が生じなくとも業務妨害罪に当たる可能性があるということです。
上記事例のような爆破予告は、爆弾を仕掛ける旨の偽計あるいは人の身体や財産の安全を脅かす威力と言うことができます。
そして、その内容からして人の業務を妨害する危険が認められるため、偽計業務妨害罪または威力業務妨害罪に当たると考えられます。
ちなみに、実務上は威力業務妨害罪として捜査をされることが多いようです。
【少年事件における逮捕・勾留】
上記事例のAさんは20歳未満の者であるため、通常の刑事事件ではなく少年事件として手続が進められることが予想されます。
その場合は成人と異なり刑罰が科されませんが、捜査のための身柄拘束である逮捕・勾留は通常どおり行われます。
少年事件に関しては、少年法により勾留が「やむを得ない場合」にしか許されないと定められています。
逮捕の期限が2~3日であるのに対し、勾留の期限は10日以上と長期にわたります。
このことから、勾留は心身が未成熟な少年にとって悪影響が強く、安易な勾留は控えなければならないとされているのです。
ただ、残念ながら実務上その規定が遵守されているかどうかは微妙なところです。
ですので、少年が逮捕された場合には、安易に勾留を行わないよう捜査機関や裁判所にきちんと注意喚起を行う必要があります。
具体的には、勾留が行われる前に検察官や裁判官と面談を行ったり、勾留決定が下った後で裁判官の判断の当否を争ったりすることが考えられます。
こうした手続を難なく行えるのが弁護士の強みなので、勾留の危機を感じたらぜひ弁護士に依頼してください。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所では、少年事件専門の弁護士が、お子さんの勾留阻止を目指して真摯に弁護活動を行います。
お子さんが爆破予告をして逮捕されたら、刑事事件・少年事件専門の弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。
事務所での法律相談料は初回無料です。