(事例紹介)財布を盗んでけがをさせ強盗致傷事件になった事例

2022-11-30

(事例紹介)財布を盗んでけがをさせ強盗致傷事件になった事例

~事例~

福岡市のパチンコ店で男性客から財布を盗み、追ってきた男性の腕の骨を折るケガをさせた強盗致傷の疑いで男子中学生など2人が逮捕されました。
博多警察署によりますと、11月13日午後8時半ごろ、福岡市博多区のパチンコ店で男性が遊んでいたところ、パチンコ台に置いていた財布を2人組に盗まれました。
男性は追いかけましたが、2人組に突き飛ばされ、左腕の骨を折る重傷を負いました。
その後、パトロール中の警察官が現場から逃げた筑紫野市に住む無職の16歳の少年を近くの公園で発見し、強盗致傷の現行犯で逮捕。
29日に佐賀県唐津市に住む14歳の男子中学生も強盗致傷容疑で逮捕しました。
ふたりは非行グループの仲間で「遊ぶ金欲しさだった」などと容疑を認めています。
(※2022年11月29日17:34YAHOO!JAPANニュース配信記事より引用)

~窃盗行為から強盗致傷罪に~

今回取り上げた事例では、少年2人が強盗致傷罪の容疑で逮捕されているようです。
報道によると、この少年らはパチンコ店で男性客の財布を盗み、追ってきた男性にけがをさせたという容疑で逮捕されたとされています。
内容だけ見ると、財布を盗んだ窃盗事件と、男性にけがをさせた傷害事件のように見えますが、逮捕容疑は強盗致傷罪です。
なぜ強盗致傷罪が逮捕容疑となっているのでしょうか。

実は、刑法には、窃盗行為をした人がその後の対応によって強盗罪となる定めが存在します。

刑法第238条
窃盗が、財物を得てこれを取り返されることを防ぎ、逮捕を免れ、又は罪跡を隠滅するために、暴行又は脅迫をしたときは、強盗として論ずる。

この刑法第238条で定められている犯罪は、事後強盗罪と呼ばれる犯罪であり、「強盗として論ずる」とあるように、この条文に該当する場合は強盗罪同様「5年以上の有期懲役」となります。

事後強盗罪は、簡単に言えば、窃盗行為をした人(窃盗罪を犯した人)が、盗んだ物を取り返されないようにするためや逃げ切るためなどに暴行・脅迫した場合に成立します。
つまり、当初犯した罪が窃盗罪だったとしても、その後の対応で事後強盗罪が成立し、強盗として罰せられることがあり得るのです。
そして、その暴行によって誰かがけがをしてしまえば、強盗時に暴行によってけがを負わせたということで、強盗致傷罪となってしまうのです。

~非行グループと少年事件~

今回の事例では、報道によると逮捕された少年らは非行グループに所属しているとされています。
非行グループに所属している、暴走族に所属しているなど、仲間内で犯罪をしたり非行をしたりすることが常態化している場合、その環境を根本的に変えなければ少年の更生に適切でないと考えられることもあります。
だからこそ、事件化してすぐの段階から、家庭裁判所での審判を見据えて活動を行っていく必要があります。

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