非行少年の種類について解説
今回は、少年法上の非行少年の種類について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
京都市伏見区に住む中学3年生(15歳)のAくんは、同級生のV女とカラオケに行った際、カラオケボックス内において、Vの陰部を弄ぶなどのわいせつな行為を行ってしまいました。
Vがその両親に被害を打ち明けたところ、Vの両親は激怒し、京都府伏見警察に被害届を提出しました。
Aくんは後に、強制わいせつの疑いで逮捕されてしまいました。
今後どうなってしまうのでしょうか。(フィクションです)
~少年事件について解説~
Aくんの行った行為は強制わいせつ罪(刑法第176条)を構成する可能性の高い行為です。
しかし、Aくんは20歳未満の「少年」であるため、少年法の適用があります。
少年法は、「少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的」としています(少年法第1条)。
それでは、「非行のある少年」、すなわち、非行少年とはどのような概念なのでしょうか。
「非行少年」とは、①「犯罪少年」、②「触法少年」、③「虞犯少年」の全体を合わせた概念をいいます。
それぞれについて解説していきたいと思います。
(犯罪少年)
犯罪少年とは、「罪を犯した少年」をいい、法律上の犯罪を犯した少年です。
刑法上の犯罪はもちろん、道路交通法違反行為、さらには淫行などを行った場合に成否が検討される青少年健全育成条例違反行為についても対象となります。
ただし、14歳未満で刑罰法令に触れる行為を行った少年については、行為が犯罪とならないため(刑法第41条)、次に掲げる「触法少年」となります。
(触法少年)
前述の通り、14歳未満で刑罰法令に触れる行為を行った少年をいいます。
(虞犯少年)
虞犯少年とは、少年法第3条1項3号イ~ニの事由(虞犯事由)のいずれか一つ以上に該当し、かつその性格又は環境に照らして、将来、犯罪行為又は触法行為をする虞のあるものが該当します。
具体的には、保護者の法律上・社会通念上正当な監督に服しない行動傾向が認められる少年や、反社会的組織・集団に加入している少年、薬物乱用者が集まる場所に出入りしている少年(このような場所で薬物犯罪を行っていれば、もはや虞犯少年ではなく、上記の犯罪・触法少年とされます)などが該当します。
Aくんは、15歳であり、かつ、強制わいせつ罪という刑法上の犯罪を犯した嫌疑がかかっているため、上記の「犯罪少年」として扱われることになります。
~今後はどうするべきか?~
(まずは身柄解放を実現する)
逮捕・勾留されると、捜査段階で最長23日間、留置場や拘置所、少年鑑別所などに入らなければなりません。
Aくんの転校の手続をとるなど、Vと接近しないですむ方法を検討し、身体拘束を長期化させないようにしなければなりません。
(観護措置決定の阻止)
Aくんが家庭裁判所に送致されると、観護措置をとるか否かが決められます。
「審判を行うため必要があるとき」に、Aくんを少年鑑別所に一定期間収容し、心身の調査が行われます。
この場合も身体拘束を伴うため、なるべく在宅での調査を実現することが重要です。
(少年審判の対応)
審判が開かれると、必要に応じて、Aくんに対し保護処分が言い渡されます。
Aくんには在宅で更生を図る「保護観察処分」か、少年院に入って更正を図る「少年院送致」のいずれかが言い渡される可能性が高いと思われます。
当然ですが、少年院送致が言い渡されると、特別の場合を除いて外出できないので、かなり重い負担がかかります。
保護観察処分を獲得できれば、身体拘束に伴う負担はありません。
ただし裁判官に、Aくんが在宅でも更生しうることを納得してもらう必要があります。
より有利な処分を獲得するためには、審判の前から弁護士のアドバイスを受けて、Aくんをとりまく環境の調整、監護態勢の見直しを行い、さらに、Aくん自身において真摯に内省を深めることが必要です。
経験豊富な弁護士の助言を受けながら、有利な事件解決を目指していきましょう。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が強制わいせつ事件を起こしてしまい、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。