自転車事故

自転車事故の場合,業務上過失致死傷罪(刑法211条1項)に問われることがあり,同罪の法定刑は,5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金です。
   

自転車事故の解説

最近では,自転車を利用する人が増加するにつれて,自転車が関係する事故も重要な問題として社会的に意識されるようになってきました。
特に通学等に自転車を利用する少年も多いと考えられます。

警察庁のホームページによると,自転車関連事故の発生件数は,平成25年で12万1040件になっています。
そのうち,歩行者を相手方とする自転車事故2605件発生し,そのうち死亡事故が3件あります。
また,自転車同士の事故が3037件発生し,そのうち死亡事故が3件あります。
 

少年による自転車事故の対応方法

1 無罪を主張する場合

身に覚えがないにも関わらず,自転車事故の容疑を掛けられてしまった場合,弁護士を通じて,警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対して,審判不開始,不処分になるよう主張する必要があります。

アリバイや真犯人の存在を示す証拠を提出したり,速度測定器の誤作動,整備不良,設置・操作上のミスを指摘することで,自転車事故・スピード違反を立証する十分な証拠がないことなどを主張していきます。

自転車事故で警察に検挙・逮捕された少年の方は,本人の性格,不安や諦めの気持ち,友人・知人を庇うなど様々な原因から自分の主張を貫くことが困難になります。
弁護士が,少年本人と接見(面会)して言い分を丁寧に聞き取ってあげることで,自転車事故の詳細を把握し,少年本人の主張が通るように警察・検察などの捜査機関や家庭裁判所に働きかけていきます。

また,弁護士との接見(面会)によって少年を安心させ,支えてあげることで,少年の虚偽の自白を防いで真の更生につなげることが可能になります。
 

2 罪を認める場合

⑴ 謝罪,示談をする
被害者感情が重要視される昨今,少年による自転車事故事件においても,被害者の方と示談することは,重要な弁護活動です。
被害者との間で示談が成立すれば,飲酒運転等の悪質な事故でない限り,審判不開始や不処分,保護観察処分を獲得する可能性を高めることができます。

少年による自転車事故事件では,被害弁償や示談の有無及び被害者の処罰感情が少年の処分に大きく影響することになるので,弁護士を介して迅速で納得のいく示談をすることが重要です。
また,示談をすることで少年が釈放される可能性もありますので,示談によって少年の早期の学校復帰・社会復帰を目指すことができます。
  
⑵ 環境を整える
暴走族や,非行グループの一員として事故を起こした場合は,そのような組織から完全に離脱することが必要です。
不良交友による荒れた生活が事件の引き金になった場合は,交遊関係の見直しを含めた生活環境の改善が必要となってくるでしょう。
   
生活環境を立て直すためにはご家族の協力が不可欠となることから,ご家族には日常生活の中で本人を監督してもらうことになります。
 

3 身柄拘束からの早期解放活動

自転車事故で警察に逮捕されてしまった少年の方を留置場や少年鑑別所から出す(釈放させる)ためには,少年事件・少年犯罪に強い弁護士を通じて,勾留決定や観護措置決定を阻止・回避するよう検察や家庭裁判所に働きかけてもらうことができます。

また,家族のお葬式,入学試験や定期試験といった重要な行事に出席する必要があるなどの場合は,弁護士を通じて観護措置決定の取り消しを家庭裁判所に申し入れることで,少年鑑別所からの一時帰宅を実現できる場合があります。

少年の交通違反・交通事故事件では,弁護士が事案に応じた柔軟な対応をすることで,身体拘束からの解放を実現する可能性を高めることができるのです。

 

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