(用語解説)少年事件の「法律記録」と「社会記録」
(用語解説)少年事件の「法律記録」と「社会記録」
少年事件は成人が刑事事件を起こした場合と手続きや内容が異なる点がいくつかあります。
今回は、少年事件における「法律記録」と「社会記録」について、それぞれの内容や違いについて、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説します。
・少年事件と成人の刑事事件の違い
少年事件における「法律記録」と「社会記録」について解説する前に、まずは少年事件と成人の刑事事件の大まかな違いについて見ていきましょう。
刑法において、20歳未満は「少年」として扱われ、少年が刑事事件を起こした場合は「少年事件」として手続きが進んでいきます。
成人の刑事事件は罰金刑や懲役刑などの刑事処分を与えることに対し、少年事件では原則として刑事処分は与えられません。
少年事件は成人の刑事事件と異なり、少年の更生を目的とした「保護処分」が与えられます。
保護処分には、保護観察、児童自立支援施設・児童養護施設送致、少年院送致などがあります。
また、少年事件は、原則として全ての事件が警察や検察などの捜査機関から家庭裁判所に送致される「全件送致主義」がとられていることも特徴の一つです。
家庭裁判所に送致された後は、家庭裁判所の調査官が少年について調査を行い、どのような処分が適切かを判断します。
調査官は調査の内容に応じて、少年審判を開始するかどうかを判断し、少年審判が開始されれば、少年審判で最終処分が下されます。
他にも少年事件特有の手続きがありますが、詳しく知りたい方は下記ページをご覧ください。
▼少年事件・少年犯罪の流れ
・「法律記録」と「社会記録」
少年事件の記録には、法律記録と社会記録の2つがあります。
これらは記録されている内容が違うので、それぞれ見ていきましょう。
法律記録とは、警察や検察などの捜査機関によって作成された少年の非行事実を裏付ける証拠となる記録を指します。
具体的には、捜査報告書、供述調書、実況見分調書などが法律記録に該当します。
社会記録とは、少年の人間性や家庭環境、周囲の環境などを調査した結果をまとめている記録を指し、家庭裁判所に送致された後に作成されます。
具体的には、調査官の調査報告書や少年鑑別所で作成される鑑別結果報告書などが社会記録に該当します。
また、法律記録と社会記録には閲覧と謄写に関する規定が少年審判規則第7条で以下のように規定されています。
- 少年審判規則第7条(記録、証拠物の閲覧、謄写)
保護事件の記録又は証拠物は、法第五条の二第一項の規定による場合又は当該記録若しくは証拠物を保管する裁判所の許可を受けた場合を除いては、閲覧又は謄写することができない。2 付添人(法第六条の三の規定により選任された者を除く。以下同じ。)は、前項の規定にかかわらず、審判開始の決定があつた後は、保護事件の記録又は証拠物を閲覧することができる。
第1項では、少年事件(保護事件)の記録は裁判所からの許可がないと閲覧や謄写ができない旨が規定され、第2項では、付添人であれば裁判所の許可を得る必要なく記録を閲覧できる旨が規定されています。
ただ、記録の謄写については付添人であっても裁判所からの許可が必要になります。
付添人とは、少年事件が家庭裁判所に送致された後に少年の権利を守る役割を担う人を指し、成人の刑事事件における「弁護人」にあたるものです。
付添人は、一般的に弁護士がなることがほとんどです。(※少年事件においても家庭裁判所に送致される前は弁護人として活動します)
・お子様が事件を起こしたら専門の弁護士へ相談
今回は、少年事件における法律記録と社会記録について解説してきました。
少年事件と成人の刑事事件との大まかな違いについても説明しましたが、少年事件は特有の手続きが行われることが多いため、弁護士に相談する場合は、少年事件に詳しく経験が豊富な専門の弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、様々な少年事件の弁護・付添人活動を担当した実績を多く持つ、刑事事件・少年事件に特化した専門の法律事務所です。
お子様が少年事件を起こしてしまって今後どうなるかわからないと不安な方は、まずは弊所までご相談ください。
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