盗撮の疑いで逮捕された中学生が高校を受験する方法

2020-11-27

今回は、盗撮の疑いで逮捕され、勾留中の少年が高校入試を受験する方法について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。

~ケース~

大阪府八尾市に住むAくんは高校入試の受験を控えた中学3年生です。
ところが、受験勉強の疲れからか、Aくんに魔が差し、駅構内で女性のスカート内を盗撮した疑いで大阪府八尾警察署逮捕・勾留されてしまいました。
勾留中に高校入試の受験予定があります。
Aくんは大いに自身の過ちを反省していますが、今まで必死に受験勉強に打ち込んできたこともあり、できれば高校入試を受験したいと考えています。
何か方法はないでしょうか。(フィクションです)

~少年事件においても刑事訴訟法の適用がある~

少年事件においても、刑事訴訟法の適用があるため、成人と同じく逮捕・勾留される可能性があります。

逮捕された後、取調べを受け、留置の必要が認められると、逮捕時から48時間以内に身柄が検察へ送致されます。

送致後は検察官の取調べを受け、検察官が身柄を受けとったときから24時間以内、かつ、逮捕時から72時間以内に、Aくんの勾留が請求されるか、釈放されるかが判断されます。

勾留が請求されると、裁判官が勾留の可否を審査し、適法に勾留できると判断すると、勾留決定を出します。
勾留決定が出されると、10日間、勾留されることになります。
また、やむを得ない事由があると認められると、最長10日間、勾留が延長されることになります。

勾留中は外に出られませんので、その間に高校入試があっても受験することはできません。
それでは、Aくんは高校受験を諦めるほかないのでしょうか。

~Aくんが高校入試を受験する方法~

(勾留を解き、外に出る方法)
勾留決定に対し、不服があるとして「準抗告」を行うことが考えられます。
準抗告」が認容され、勾留の取消が認められれば、外に出ることができます。
外に出た後は、捜査機関などの出頭要請に応じ、取調べを受ける必要はありますが、日常生活に戻ることができます。
学校にも今まで通り登校することができますし、また、高校入試も受験することができるでしょう。

ただし、準抗告は一度なされた勾留決定を覆すものです。
準抗告による勾留の取消しはハードルの高い身柄解放活動といえるでしょう。

(勾留の執行停止を実現する)
勾留決定が適法と判断されれば、勾留決定に対する準抗告は認められません。
この場合には、「勾留の執行停止」という制度を利用することが考えられます。

刑事訴訟法第95条は、「裁判所は、適当と認めるときは、決定で、勾留されている被告人を親族、保護団体その他の者に委託し、又は被告人の住居を制限して、勾留の執行を停止することができる」としています。
条文中には「被告人」とありますが、捜査段階の「被疑者」の勾留に対しても準用されます(刑事訴訟法第207条1項)。

執行停止が認められる場合として、実務上、①被疑者・被告人の病気、②特に親しい近親者の病気や冠婚葬祭、③学生の試験があります。
Aくんは勾留中に高校受験を控えているため、執行停止が認められる可能性があります。
勾留執行停止の申請を行い、認められると、勾留の執行が一時的に停止され、外に出ることができます。
その間に、高校入試を受験することができるかもしれません。

~その後の弁護活動~

無事に高校入試を受験できても、当然ながら事件が解決したわけではありません。
Aくんはこの後、検察から家庭裁判所送致され、少年審判を受けることになる可能性が高いです。
事件解決までを見越し、行動していくことが重要です。
有利に事件を解決するためには、弁護士の助力が役立ちます。
早期に弁護士を依頼し、Aくんの将来に悪影響を及ぼさないよう、活動していくことをおすすめします。

弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
高校受験を控えたお子様が盗撮事件を起こし、逮捕されてしまった方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。

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