取調べの受け方
1 はじめに
少年事件・少年犯罪においても,成人による刑事事件と同様,少年が逮捕・勾留により身柄拘束されれば,自由に面会できるのは弁護士のみとなります(保護者による面会も認められる場合もありますが,警察官の立ち合いなどの制限が付いてしまいます。)。
そして,少年事件・少年犯罪では,少年がまだ成長・発達の過程にあり,大人と比べて,経験や知識など様々な面で未成熟であることから,弁護士が少年と面会し事件の内容について詳しく聞き取るなどして今後の具体的なアドバイスを受けるか否かは,今後の処分等に大きく影響することとなります。
したがって,少年事件・少年犯罪における弁護士の役割は非常に大きなものとなります。
2 警察署・少年鑑別所での接見
少年であっても,成人の場合と同様に逮捕・勾留されることが考えられます。
そして,逮捕・勾留期間も成人の場合と同様,最大23日間身柄が拘束される可能性があります。
少年は,成人に比して未熟であり,表現力や理解力が成人よりも乏しいことから,捜査官の暗示や暴言・暴行をもって圧迫された場合には迎合してしまう可能性が高く,意に反する供述調書が作成されてしまうおそれがあります。
そのようにして作成された供述調書が,そのまま裁判官の目に触れることになり,違法な方法で作成された供述調書が事実認定の基礎となれば,冤罪を招くことにもなりかねません。
そこで,弁護士は,接見に際し,捜査機関の取調べの実態や,供述調書の証拠としての意味・重要性を説明します。
また,取調べの際に答えたくない質問は答えなくてよいこと(黙秘権)や,供述調書が自分の意に反する場合には署名に応じなくてもよく(署名押印拒否権),訂正を求めることができること(訂正申立権)など,少年に認められた権利を接見に際して丁寧に説明していきます。
そうすることにより,少年の意に反した調書が作成されることを防ぐことができ,最終的には少年に対する適正な処遇につながることになります。
3 違法・不当な取り調べへの対応
捜査官が取調べの際に,机を叩いたり,大声で怒鳴るなどして,少年に対して高圧的な取調べがなされる場合があります。
このような場合,かかる取調べは違法・不当な取調べであるとして,担当の捜査官に対し抗議書を提出するなどして,適切な取調べがなされるよう対応していきます。