非行少年の要保護性の解消に向けて活動する弁護士
今回は、少年事件の処分を軽くし、有利に事件を解決するための弁護活動について、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所が解説いたします。
~ケース~
東京都八王子市に住む高校1年生のA君(16歳)は、学校をサボり、友人に紹介された闇カジノへ頻繁に出入りしていました。
闇カジノでは賭博行為も行っていたようです。
ある日、闇カジノで遊んでいた際に警視庁八王子警察署の捜索が入り、A君とその他の客は賭博の疑いで現行犯逮捕されてしまいました。
取調べでは、賭けていたお金をどこから手に入れていたのかを尋ねられたため、「親からお金を盗んで用意していた」と供述しました。
実際にA君は親から盗んだお金を使い、闇カジノで遊んでいたようです。
A君の親は、お金を盗む行為について最初は注意していましたが、A君が暴れて手に負えなくなるため、最近では特に注意しなくなっていました。
Aくんはこれからどうなるのでしょうか。(フィクションです)
~賭博罪と窃盗罪について~
(賭博罪)
賭博とは、偶然の事情に関して財物を賭け、勝敗を争うことをいいます。
勝敗を争う2人で5千円ずつ賭け、じゃんけんを行い、勝利した方が自身の賭けたお金と相手の賭けたお金を取得する、というルールであっても、立派な賭博行為といえます。
法定刑は50万円以下の罰金又は科料となっています。
また、Aくんは闇カジノへ頻繁に出入りしていたことから、「常習として賭博をした」ものと判断される可能性もあります。
この場合は「常習賭博罪」を構成し、法定刑は3年以下の懲役となります。
(窃盗罪)
他人の財布から現金を持ち出す行為は、窃盗罪を構成する可能性が高いでしょう。
ただし、配偶者、直系血族又は同居の親族との間で窃盗罪及びその未遂罪を犯したとしても、刑に処せられることはありません(刑法第244条1項)。
このような場合においては、国家の刑罰権による干渉を差し控え、親族間の規律に委ねるのが望ましいとの考慮により、刑が免除されることになっています。
もっとも、判例通説によれば、刑は免除されるものの、窃盗罪自体は成立するとされています。
また、犯人が少年であれば、親からお金を窃取した事実について家庭裁判所の審判に付せられ、保護処分を受ける可能性もあります。
~A君にとってなるべく有利な事件解決を目指す~
上記の賭博行為や窃盗行為は、それ自体、それほど重い犯罪ということはできません。
しかし、少年事件の場合は、軽微な事件であっても、家庭環境や交友関係、A君の資質、性格に重大な問題があるとされると、少年院送致を含む重い保護処分を言い渡されることもありえます。
なるべくA君にとって有利に事件を解決するためには、「要保護性」を解消する活動が必要になります。
「要保護性」とは、①再非行の危険性、②矯正可能性、③保護相当性(保護処分による保護がもっとも有効かつ適切な処遇であること)が認められることをいうと考えられています。
前述の通り、非行事実自体が軽微であっても、再非行の危険性が高く、家庭や学校での生活を通しての矯正も難しく、施設に収容した上での矯正教育による外ないと判断されれば、A君にとって不利な処分を言い渡される可能性が高まります。
そのため、Aくんを取り巻く環境を整理し、家庭裁判所の裁判官に再非行の危険性がないことを納得してもらうための準備が必要になります。
どのような環境調整が効果的かは具体的状況により異なりますが、ケースの場合は、
①交友関係の見直し(A君に闇カジノを紹介したのは友人ですし、闇カジノへ頻繁に出入りするようになっていました)
②家庭での監護態勢の見直し(親がA君の窃盗行為に関心を持たなくなっている点が問題です)
③学業に専念するように生活態度を見直すこと(学校に在学できるように取り計らうことも必要です。逮捕・勾留が長引くと退学になるおそれがありますが、その場合、少年が勉学する機会が損なわれてしまいますし、審判に際しても一般的に不利となります)
が主なポイントとなるでしょう。
効果的な環境調整を行うためには、少年事件に熟練した弁護士の助力が役立ちます。
まずは早期に弁護士と相談し、有利な事件解決を目指した活動を始めることをおすすめします。
弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所は、刑事事件・少年事件を専門とする法律事務所です。
お子様が賭博、窃盗事件を起こし、お困りの方は、是非、弁護士法人あいち刑事事件総合法律事務所にご相談ください。